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2934.報道比較2017.3.27

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トランプ政権とアメリカ議会の失策を社説で取り上げたのは、日経だけ。当然のようにドルが売られ、日本株も下落する話題だったが、主張の内容は…

産経新聞・社説
ミサイル避難訓練 国民への周知を進めよう

北朝鮮が弾道ミサイルを相次いで発射していることを受け、初の住民避難訓練が秋田県男鹿市で行われた。弾道ミサイルが発射されれば10分足らずで日本に着弾する。ミサイル防衛(MD)の強化だけでは不十分である。迅速に警報を発し、国民が限られた時間の中で避難する態勢を整えておくことが欠かせない。訓練はそのために必要なものだ。国民は武力攻撃の警報を聞いても、どのように行動すべきか教えられていない。今回の住民避難訓練の報道で、警報を初めて聞いた人も多かったのではないか。携帯・スマートフォンへ警報を緊急速報メールとして送る仕組みはあるが、普及しているとは言い難い。国民への周知が重要である。文部科学省は、学校における防災教育の一環として、身を守るための基礎知識の周知を図るべきだ。職場での啓発も有効である、としている。

産経に賛成。一度だけ、この訓練を行った方がいいと思う。何度もやると、日本社会は慣れて無関心になりやすい。一度もやらないと、本当の危機を認識しない。なぜ秋田だけがいまやり、官房長官がバラバラにやることを推奨するのか、理解できないが。国家として仕切れていない状況が丸見えだ。こういう訓練は国を挙げて行い、外交としてアピールすべきだ。戦略はないのだろう。本当の避難を前提にしているなら、日本の防衛方針は最悪だ。

読売新聞・社説
東電経営計画 収益力高めて福島再生進めよ

東電が新たな経営計画の骨子を発表した。経済産業省の有識者会議の提言に沿って3年ぶりに見直す。他電力との統合や提携で、「稼ぐ力」を強化することが柱である。福島原発の事故処理費用は21・5兆円と従来予想より倍増し、このうち廃炉や賠償など16兆円を東電が負担する。今後30年間は年5000億円の確保が必要だ。問題は原発事業である。骨子は他の大手電力との再編・統合を目指す方針を示した。東電再建に資するだけでなく、安価な電力を安定的に供給する体制作りにも有効だろう。ただ、再編相手となる他電力には警戒感が広がっている。原発事故の処理費用を負担させられる可能性があるとの懸念を抱くのは、無理もあるまい。将来にわたって、福島原発の処理には東電と国が責任を負う。この原則に他社の理解と信頼が得られるよう、政府と東電は努力しなければならない、としている。

戦略的提携?今まで提携をハンドリングしたことがない人が発想しているのだろう。相手がいる提携は、カネや条件だけの問題では成立しないことを認識している気がしない。東芝が主導する原発事業に疑問符が着く中、原発コストは減らせるとは思えない。いよいよ推進派も軌道修正が必要になりそうだ。徐々に原油価格が上がりはじめている。八方塞がりになる前に結論は出るだろうか?追いつめられないと考えない経営層には、これくらいのプレッシャーが必要かもしれない。いまの経営計画では、1年以内に計画再考が求められるだろう。

日本経済新聞・社説
米政権は中間層を真に支える策に集中を

米国のトランプ新政権の経済政策運営が迷走している。医療保険制度改革法(オバマケア)の代わりとなる法案の調整に時間を空費した結果、本丸の法人税改革やインフラ投資拡大にいまだ手をつけられていない状況だ。必要なのは米国の成長基盤を強化し、中間層を真に支えるような施策に集中することだ。トランプ大統領は政策の優先順位や内容を見直し、その実現に向け指導力を発揮すべきである。経済政策で優先すべきことは他にある。一つは成長の持続性を高める策だ。米国経済は改善しており、景気を後押しする財政刺激策は不要ともいえる。ただ、老朽化したインフラの改修や新設、高すぎる法人税率の引き下げなどは生産性や競争力を高めるうえで重要だ。これらを財源を確保しつつ前進させることには意味がある。もう一つは技術革新の波のなかで良い仕事を見つけにくくなっている中間層への支援だ。大統領が経営者の意見を聞くため招集した会議では、職業訓練の重要性を強調する声などが出たと伝えられている。技術や産業構造の急激な変化に対応できるよう人々を支えるのが政府に求められる役割だ、としている。

トランプ政権とアメリカ議会の失策を取り上げたのは、日経だけ。だが、内容は…海外紙の翻訳を読んだ方がいい。
当然のようにドルが売られ、円高になって日本株も下落した。「そもそも」な話を日経がしたところで、マーケットにも社会にも、説くに役立つ情報は含まれていない。明らかにトランプ政権への信任も、共和党が過半数を持つ議会の実行力のなさを指摘する海外紙の方が有益だ。
私は、最後のトランプ・ラリーを享受しようかと、この前の大幅下落でアメリカ金融株を押し目買いした。Sell in Mayの前、いつもイヤな思いをする日本の4月末の連休前を期限に…と思っていたが、金曜に損切りした。明らかに、もう一段下の押し目があると思う。もうトランプ相場には恐くて乗れない。春に一度、そんな嵐が吹きそうだ。

朝日新聞・社説
春闘と賃上げ 広がりが問われる

春闘は、組合側からの要求に対し会社側の回答が進んでいる。先週までの連合の集計によれば、賃上げは、前年をやや下回る水準という。昨年10~12月期の法人企業統計によると、企業全体でみれば、前年を上回る空前の利益を上げている。ベアの平均が昨年を下回るような結果になれば、働き手への公正な配分という点で大きな疑問が残る。また、今後の物価上昇次第では、実質賃金の低下を通じて消費を弱め、景気の足を引っ張りかねない。注目されるのは中小企業や非正社員への賃上げの波及だ。「底上げ春闘」を掲げる連合は、中小企業でも早めに回答を引き出した組合が多いことなどから、成果が出ているとしている。非正社員でも正社員を上回る改善も見られるという。現時点で回答を得ているのは、連合傘下の要求提出済み組合の3分の1程度であり、中小企業の多くではこれからも交渉が続く。経営者には、公正な分配と内需の下支えを意識した上で、積極的な回答を望みたい。社会全体のあり方にもかかわる課題について、企業側と労働側が集中的に議論し、大きな方向性を打ち出すことは春闘の一つの機能である。労使の前向きな取り組みが広がることを期待する、としている。

毎日新聞・社説
いま、働くということ 人を支え、自分をはぐくむ

私たちは何のために働くのか。春の訪れとともに考えたい。終身雇用と年功賃金で手厚く守られているのが日本の正社員だ。その代わり、会社に命じられるまま残業も出張も異動も受け入れなければならない。当たり前のように思う人は多いかもしれないが、こうした働き方は欧米にはない。私たちが働くのは生活に必要な賃金を得るためである。しかし、金のためだけではない。社会に関わり、自らの役割をその中に見いだし、社会に貢献しながら成長していくためでもある。どのように働くかは、自分自身が決めることだ。どんな仕事であっても、人は働くことを通して生きる証しを社会に刻んでいる。「働き方改革」は単なる行政課題ではない、としている。

毎日の社説は新入社員向けのつもりだろうか?まるで響かない。以前は社会に出ることに過度の責任や義務感を語っていた。いつでも上からの目線は変わらない。朝日の方が、まだ現実的だが、労働組合の推定組織率は20%もない。

労働組合組織率、組合員数 by 独立行政法人労働政策研究・研修機構

賃上げに組合として交渉し、その成果を検証する意味は、社会にとってインパクトは小さい。なぜそこにフォーカスするのか?安易だからだ。今までそうしてきたからだ。それだけの理由で視点を変えないから、やはり響かない。

Wall Street Journal
AI人材争奪戦、米に後れる中国 (2017.3.27)

人工知能(AI)はテクノロジーで最も熱い分野だろう。中国のインターネット大手や新興企業は、グーグルや フェイスブック 、 マイクロソフト といった企業や世界の一流大学の優秀なAI関連人材を取り込むため激しい争奪戦を展開している。こうして採用された人材のうち、検索大手の 百度(バイドゥ) がAI研究部門を統括する技術責任者として2014年に迎えたアンドリュー・ウン氏ほどの地位を得た人はほとんどいない。この分野でトップクラスの頭脳を持つウン氏は、それまでグーグルのディープラーニング(深層学習)プロジェクト「グーグル・ブレイン」を率いていた。スタンフォード大学の機械学習講座で教えていたこともあり、そのオンライン受講生は累計10万人を超えることから、同氏の影響力が今後も長く続くことは確実だ。それだけに今週発表されたウン氏のバイドゥ退職は大きな痛手だ。その打撃は同社だけでなく、米各社と競う中国IT各社にも及ぶ。電子商取引大手の 阿里巴巴集団 (アリババ・グループ・ホールディング)やソーシャルメディア大手の 騰訊控股 (テンセント・ホールディングス)などバイドゥの主な競合相手も、米企業の人材を積極的に引き抜いている。アリババは最近、AIを含む技術の開発に向けた長期戦略を発表し、世界でトップクラスのIT人材を採用すると言明した、としている。

AIの人材で中国人の名が上がるのはうらやましい。後れを取る中国との表題だが、日本は競争に登場さえしない。AIだけでなく、FinTechも、IoTも、日本の技術は部品と、孫氏が会社でなくひとりで名を轟かせている程度。自分も日本人として、ITで生きる人間として悲喜こもごもだ。コンタクトがあるのは、100%海外。どうやって?と問われて、GitHub、StackOverflow、LinkedIn…と言っても、通じるのはエンジニアだけ。こちらも50%以上は警戒しながら、問われるテクノロジー、ニーズ、条件を聞きながら、経験と楽しみながら割り切ってコミュニケーションしている。日本のリクルーターが間にいてくれれば、どれだけラクかと思うことは多いが、期待はできない。海外のリクルーターの方がシビアでずっと役に立つ。条件だけ厚遇の日本の会社にも、まるで惹かれないのは当然だ。3年後に負けるのが見えている事業に、どうしてコミットしなければならないのか。どうやって勝つつもりなのか?と質問して答えられないなら、チームになれる気はしない。
きっと、天才と言われるエンジニアたちもいっしょだ。上司やチームと議論しても勝てる見込みがないなら、勝てる人たちとやりたい。サラリーや自由時間だけで仕事は決められない。能力の競争も、会社の競争も激しい。それはITだけではなく、どんな業界もいっしょのはずだ。

人民網日本語版
李克強総理と豪ターンブル首相が第2回中豪省州トップフォーラムに出席 (2017.3.25)

李克強・国務院総理は現地時間今月24日午後、オーストラリアのシドニーでオーストラリアのターンブル首相と、「第2回中豪省州トップフォーラム」に出席し、挨拶した。中国の江蘇、河南、湖北、広東、重慶、陕西、山西、広西などの省・自治区・直轄市とオーストラリアの8の州・区のトップが同フォーラムに出席した。李総理は挨拶の中で、「地域の連携が中国とオーストラリアの関係において、切り離すことのできない部分となっている。中国政府は中国とオーストラリアが地域の交流と連携を強化することを非常に重視し、支持している。現在、両国の自由貿易の繁栄により、両国の省・州、企業の連携のポテンシャルが掘り起こされ、連携の新たなセールスポイントを構築するための新たなチャンスができている。オーストラリアの各州・区には、中国の多くの中西部地域との交流を強化し、連携を展開し、中国の『西部大開発』における利益を共有してもらいたい。双方が連携の分野をさらに拡大し、農業や科学技術、教育、物流などの分野、さらに新業態において、商機を共に探すことを願っている」と指摘した。
一方、ターンブル首相は、「当国と中国の地域交流の歴史は長く、各分野の連携は密接、両国の国民が益を受けている。豪中関係の発展のためには、地域の積極的な参加が絶対に欠かせない。当国と中国は信頼できるパートナーで、連携の新たな機会がたくさんある。両国が共に努力し、地域交流や連携を引き続き促進し、両国の経済繁栄を実現し、アジア太平洋地域の自由貿易の促進に寄与していくことを願っている」との見方を示した、としている。

外交に出向いたら、とにかくアピール。それが中国政府と人民網のスタイルのようだ。会合への出席や演説の中身まで、いつも取り上げて称賛する報道は、他の国では見られない。今週末は香港で行政長官の選挙が行われた。世界が知りたいのは、辞めることになる首相の話よりは、次のリーダーの声が聞きたい。たとえ予定調和だったとしても。

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