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2925.報道比較2017.3.22

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日本にいると、アメリカ寄りの情報でTHAAD批判は中国のプロパガンダに見えるが、中国から見れば、不愉快で許せない暴挙。両方の意見を容易に知れる時代になったのはありがたい。

毎日新聞・社説
「共謀罪」法案 説明の矛盾が多過ぎる

テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案が閣議決定された。法整備は、国際組織犯罪防止条約の締結に欠かせないと政府はいう。確かに条約締結には意義がある。国際社会が手を結ぶことは必要だ。条約は、重大な犯罪の合意(共謀)を処罰できる法整備を締結国に求めている。だが、こうした処罰の規定は人の内心に踏み込む。捜査側の対応次第で国民生活も脅かされる。法案の再提出に当たり、唐突にテロ対策の看板を掲げたことも理解できない。条約はマフィアによる犯罪収益の洗浄などへの処罰を目的としたものだ。共謀罪から絞り込んだ要件にも懸念が出ている。組織的犯罪集団に市民が入る余地はないのか、といった点などだ。政府は「共謀罪とは別物だ」との説明を繰り返してきたが、明らかに共謀罪の延長線上にある、としている。

読売新聞・社説
テロ準備罪法案 政府は堂々と意義を主張せよ

テロ等準備罪の創設を柱とする組織犯罪処罰法改正案が国会に提出された。2020年東京五輪を控え、テロ対策は喫緊の課題だ。改正案が成立すれば、国際組織犯罪防止条約への加入が具体化する。締約国間で捜査共助や犯罪人の引き渡しが円滑にできるようになるなど、メリットは計り知れない。今国会の審議では、共謀罪法案との違いを際立たせようと腐心する政府の姿勢が目立つ。共謀罪法案を3度も提出したのは、必要性が高かったからだろう。差異を付けることを優先するあまり、今回の改正案が捜査現場にとって使い勝手の悪いものになっては、本末転倒である。国民の安全確保に資する法案であると、堂々と主張すべきだ。金田法相の答弁は不安材料だ。要領を得ない受け答えが多く、「成案を得てから説明する」と繰り返してきた。緊張感を持って、審議に臨んでもらいたい、としている。

南スーダンや、北朝鮮に向けての国家安全保障会議を見て判るとおり、法案が成立して変わるのは、その法案を前提に動く行政が、法を盾にいくつもの活動を繰り広げることだ。共謀罪の前提で捜査をはじめる。監視をはじめる。今まではできなかった捜査をできるようになる。最初はテロのためと言われていたものが、時とともに違う事例に使われはじめる。警察が判決で抑止を指示したGPS捜査も、この法案があればやりやすいだろう。宗教法人や企業を共謀の発端に指定できれば、全員を処罰できる。逸脱させない条文を正しく盛り込めるとは、到底思えない。今回もまた、最後は強行採決だろう。なぜ過半数を自民党に与えたのか、私たちは反省した方がいい。

日本経済新聞・社説
米国の北朝鮮への強硬姿勢は本気か

米トランプ政権が北朝鮮に強硬姿勢で臨む構えをみせている。日本、韓国、中国の3カ国を歴訪したティラーソン国務長官は、情勢次第で先制攻撃も辞さない考えを表明した。日本にも重大な影響を与える政策変更である。どこまでが本気で、どこからが駆け引きなのか。注意深く見守りたい。どんな外交も、対話と圧力の適切な組み合わせが重要である。北朝鮮の挑発行為は国際社会の常識を外れており、その意味で米国がアプローチを修正することは理解できる。他方、かつてのイラク戦争のような無謀な戦いにつながることがあってはならない。不測の事態への備えも忘れてはならない。万が一だが、米朝が戦闘状態に陥った場合、自衛隊ができること、できないことは何なのか。日米の調整を進め、有事に国論が二分しないようにしなくてはならない。政府は2013年に策定した現在の「防衛計画の大綱」を今年秋にも改定する。こうした機会に日本を取り巻く安保環境を国民に丁寧に説明すべきだ、としている。

昨日、書いたとおりだ。日経は社会の対立、原発への議論のような懸念をしているようだが、北朝鮮への軍事行動への参加有無に、日本の意思決定は何の影響も与えない。ただ従順にアメリカに協力するだけになる。むしろ国防はそんな悠長ではない。北朝鮮からの工作員は日本国内にもいるだろう。すべて監視できているのだろうか?テロリストに突破させてはならない場所の安全は確保されているのだろうか?いまから秋の議論を想定している時点で、感覚が甘過ぎる。

人民網日本語版
韓国はTHAAD配備を瀬戸際で踏みとどまるか (2017.3.21)

韓国聯合ニュースによると、韓国最大野党の「共に民主党」は17日、米国のミサイル防衛システム「THAAD」の韓国配備への反対をさらに強めた。共に民主党の禹相虎院内代表は、中国とロシアの同意を得るまでミサイル防衛システムの配備を延期するべきだと表明した。韓国では近く大統領選が行われる。韓国はTHAAD問題において瀬戸際で踏みとどまり、より賢明な選択をすることができるのか否かに北東アジア各国、さらにはアジア全体が注目している。韓国民衆のTHAAD反対の声も止まない。AFP通信の18日の報道によると同日、慶尚北道星州郡で韓国の民衆約2000人がTHAAD配備に抗議するデモを行った。今月初めにも民衆数百人がTHAAD配備地である星州郡のロッテのゴルフ場でデモを行った。地域の平和・安定維持には双方の共同努力が必要だ。朝韓が現在抱える問題の解決を望むなら、六カ国協議再開が最良かつ最も実効性ある手段だ。「関係各国が交渉のテーブルに戻り、平和的方法で朝韓問題を解決することを希望する。これは朝韓両国の未来だけでなく、北東アジア各国さらにはアジア全体の安全と発展にも関わるからだ」、としている。

日本にいると、アメリカ寄りの情報でTHAAD批判は中国のプロパガンダに見えるが、中国寄りの発想なら、中国の主張には一理あるのだろう。両方の意見を容易に知れる時代になったのは、ありがたい。
アメリカがTHAADに、北朝鮮対応以上の深慮を持たせている可能性は十分にあるが、日米がもっとも憂慮しているリスクが北朝鮮というのも事実だ。このリスクを軽減させる前提ならTHAAD保留はあり得るだろうが、中国には意志がまるで見えない。朴氏の弾劾決定前にTHAAD機材を搬入しはじめたのは、戦略として適切。アメリカは交渉のカードとしてもTHAADを使うつもりのようだ。THAADから南シナ海を圏内に含んでいるなら、さらに興味深い。

Wall Street Journal
トランプ氏「オバマケア改廃しなければ議席失う」 共和議員に (2017.3.22)

ドナルド・トランプ米大統領は21日、下院共和党議員に対し、医療保険制度改革法(オバマケア)を廃止するとした選挙公約を守らなければ2018年の中間選挙で議席を失いかねないと主張し、同法の改廃案を支持するよう呼び掛けた。下院共和党指導部はこの法案を今週通過させることを目指しているが、必要な票数を確保したかどうかは不明だ。強硬派の下院共和党議員らで構成する「フリーダム・コーカス」は、改廃案が一層保守的な構想を反映するように修正されない場合は可決を阻止できるだけの票を押さえているとしている。このグループは少なくとも29票を握っている、としている。

オバマケアの代案審議は、はじまったばかり。選挙前の対立に比べれば、大統領になってからのトランプ氏と議会の関係は冷静に見える。建設的な議論がはじまる気配は、さっそくトランプ氏が消してしまった。駆け引きのディールになるほど、保険の恩恵から漏れる人たちの被害が増える。昨晩、マーケットは何の理由もなく大きく下げた。まだ、調整と呼べるほどの下落だが、期待だけで上がる株価の寿命は終わりが近づいている。期待に応える回答は、トランプ氏も議会も、まだひとつも準備できていない。

朝日新聞・社説
豊洲百条委 都の無責任体質に驚く

土壌汚染がわかっていた豊洲への市場移転を、誰が、いかなる判断に基づいて決めたのか。東京都議会百条委員会による石原慎太郎元知事らへの証人喚問を終えても不透明さは残ったままだ。かわりに浮き彫りになったのは、決定にかかわった人々の驚くべき無責任ぶりだ。石原氏は豊洲問題について「大きな流れに逆らいようがなかった」と証言し、当時の浜渦武生副知事に一任したと述べた。豊洲移転を表明した10年、「知事が歯車を大きく回すしかない。それがリーダーとしての責任だ」と会見で語った石原氏の、これが実像なのか。小池百合子知事は、市場問題の経緯の検証が今後の移転判断に「影響を及ぼす」と述べる。検証はむろん大切だが、それが進まないことが判断の先送りを続ける理由にはなるまい。明らかになった無責任体質の反省に立ち、意思決定過程を透明にして、後世の批判に耐える都庁の態勢を築く。それが、知事が率先して取り組むべき課題だ。豊洲移転の是非についても、そのプロセスの中で結論を出していかねばならない、としている。

石原氏を見ていると「老害」という言葉を思い出す。賛否はあれ、一時は強いリーダーシップを見せていた逸材とも評価された人物が醜態を晒している。彼が題材にした田中角栄氏は病気でのみじめさだが、石原氏は自ら堕ちている。
豊洲は、過去の検証と切り離して、次のリーダーが決めるべきだ。どれだけ過去を探しても、無責任な老人たちは逃げるばかりだ。彼らを信じたことを悔いるしかない。そして思い知るのは、いま、国会で強弁を説いている人たちも、原発を平然と動かしている人も、小池氏や私たち自身も、老いれば石原氏と同じような事を言い出すに違いない。老いるとはそれほど弱ることであり、次の世代の非難に抗うなどできない。ならば…老体が政治を仕切ることが過ちであり、頼りにすることが間違っている。

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