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2924.報道比較2017.3.21

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連休明け。各紙のテーマは、ばらついた。国会がまともに機能しない中、整然と法が作られている。数を与えたことの弊害か。

朝日新聞・社説
残業時間規制 まだ一歩でしかない

働き方改革で焦点となっている残業時間の規制について、繁忙期など特別の場合の上限を「月100時間未満」とする案を、政労使がまとめた。ほかに、労使協定で認められる残業の原則は月45時間までと法律に明記▽これを超える特例は年6カ月まで▽2~6カ月間の特例の上限は月平均で80時間以内、とする方向も固まった。過労死で家族を失った遺族は今回の案に強く反対している。月100時間の残業は、労災認定の目安とされる「過労死ライン」ぎりぎりだからだ。15年度に脳・心臓疾患で過労死と認定された96件のうち、月100時間未満の残業だった例は54件と過半を占める。懸念の声があがるのはもっともだ。合意では規制の実施状況を踏まえて5年後に見直しも検討するとされているが、さらに上限を引き下げていく姿勢をより明確にすべきではないか。政府は疑問や不安の声に耳を傾け、実行計画やその後の法改正の作業にいかしてほしい、としている。

過労で犠牲になった人たちの懸念は、上限を設定すると、その上限を超えずに過労死した時は免責される。そんな使途を経営側が目論んでいる気がするからだろう。働き方改革という言葉から抱く期待にはまるで届かない、噛み合わない議論をしている。
非正規雇用の人たちは、収入の不公平に不満。正規雇用の人たちは、酷使されるか、収入のために残業を繰り返す。経営層はどこに投資していいか判断できず、内部留保ばかりを貯め込み、やることは自社株買い。政治の視点も、ずっと規制緩和や構造改革からは逃げつづけ、賃上げの強要、待遇改善、法人税減税。稼ぐ発想を忘れている。

毎日新聞・社説
陸自の日報問題 国民の信頼損なう隠蔽

国の安全保障は、国民の信頼なしには成り立たない。その安全保障を担う防衛省・自衛隊で、信頼を損なう問題が発覚した。組織的な隠蔽が疑われる深刻な事態だ。日報は、昨年7月に首都ジュバで大規模戦闘があった際の状況を伝えている。情報公開請求に対して「廃棄して不存在」のため不開示とした最初の判断が、意図的な隠蔽だったのか否か、現時点ではわからない。ただ、この時の誤った判断が発端となって、矛盾しないようにウソを重ね、最後は事実を隠すために証拠を消し去ったとの疑いが出ている。 防衛省には、徹底した真相究明と、関係者の厳正な処分、再発防止を強く求める。直接の責任は隠蔽に関わった幹部たちにある。しかし、稲田朋美防衛相の管理責任も大きい。平時にこんな隠蔽をするようでは、有事にどれだけの情報操作が行われるのか、不安になってくる、としている。

稲田氏の管理責任を詰める意味は判る。彼女に現状を変えられる能力は見えない。だが、彼女を辞めさせ、別の人材になって変わることなのかも見極める必要がある。現時点では、文民統制を逸脱するレベルまでの恐怖は感じないが、防衛省の制服組と呼ばれる人たちの感覚は、相当に腐っている。自衛隊を管理監督できる能力はないだろう。フクシマの原発で起きたような制御不能な組織形態になっている気がする。

読売新聞・社説
日露2プラス2 建設的な安保協力を追求せよ

日露両政府が外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を3年4か月ぶりに開いた。北朝鮮の核・ミサイル開発に対し、緊密に連携して対応することで一致した。北朝鮮に挑発行動の自制や国連安全保障理事会決議の順守を求める方針も確認した。安全保障を巡る日露の立場が完全に一致しているわけではない。しかし、まずは可能な分野で協調し、信頼醸成を図りつつ、協力を拡大することが肝要だ。G7の足並みを乱さない範囲で、日露の防衛交流や共同訓練も進めたい。岸田外相とラブロフ外相の会談では、4月下旬に安倍首相がロシアを訪問することで合意した。共同経済活動は、あくまで北方領土返還に向けた環境整備が目的である。ロシアの不法占拠を既成事実化するような妥協はあり得ない。領土に関する原則を曲げずに一致点を探るべく、粘り強く交渉することが大切である、としている。

なぜ今、ロシアと北朝鮮のために?ロシアは6か国協議時代に参加していたし、体制でも技術でも、北朝鮮にパイプはあるだろうが、日本が対等に議論できる相手ではない。ロシアとの間にも課題が多くある中、さらに各国の利害の絡む北朝鮮問題に、ロシアといま対話するのだろう?問題を大きくしているだけに見える。

産経新聞・社説
北朝鮮と米中 危険増大に即した行動を

核・ミサイルの挑発をエスカレートさせる北朝鮮にどう対処するか。最も影響力を持つのは、米国と中国である。ティラーソン氏は、訪中前に訪れた日本や韓国で、過去20年の米国の対北政策を「失敗」とし、新たなアプローチが必要だと強調している。トランプ政権が掲げる「あらゆる選択肢」は、武力行使を含むことを示唆している。だが、王毅氏は「外交手段による平和解決」を主張し、対話優先の立場を変えない姿勢を崩さなかった。ティラーソン氏の訪中にタイミングを合わせるように、北朝鮮は高出力ロケットエンジンの地上燃焼実験をした。全国人民代表大会のさなかにミサイルを撃った。中国はエネルギー、食糧の輸出などで北朝鮮の生命線を握り、安保理では北朝鮮を擁護し、制裁の「抜け穴」を提供してきた。暴走を許し、面目を失っているという認識はないのだろうか。トランプ大統領は先に、北朝鮮問題に関して「中国はほとんど協力していない」とツイッターで指摘した。金正恩朝鮮労働党委員長については「非常に悪い振る舞いをしている」と発言している。北朝鮮への圧力を高める方向性が見えはじめたといえよう。日本や韓国も、北朝鮮の挑発を阻止するため、米国との連携をさらに強めなければならない、としている。

人民網日本語版
協力が中米の最大公約数 (2017.3.20)

中国の習近平国家主席は19日、米国のティラーソン国務長官と北京で会談した。習主席は「現在、中米関係の発展は重要なチャンスを迎えている。中米両国は良き協力パートナーとなることが完全にできる。双方がこの最大公約数を堅持しさえすれば、中米関係は正しい方向へと発展する」と指摘した。この姿勢表明は、中米関係の積極的な方向への平穏な移行と発展を推進する助けとなる。ティラーソン長官は訪中時に「米側は非衝突・非対立、相互尊重、協力・ウィンウィンの精神に基づき対中関係を発展させ、相互理解を強化し続け、米中の調整・協力を強化し、国際社会の直面する試練に共同対応することを望んでいる」と繰り返し表明した。これは中国側の提唱する新型の大国関係と完全に一致する。双方ともに「協力パートナー」として中米関係を定義し、両国関係の一層の発展を期待していることが分かる。「中国の夢」の実現には安定的に発展する中米関係が必要だ。米国を「再び偉大にする」のにも安定的に発展する米中関係が必要だ。両者の利益は広範に合致する。その核心が協力・ウィンウィンであり、これが中米関係の新たな戦略的基礎であり原動力だ。ゼロサムの古い考えから脱却して、協力に焦点を合わせれば、中米は両国及び世界にプラスとなる大きな事を多く行うことができる、としている。

人民網は、習氏とティラーソン氏の対話にフォーカスし、北朝鮮の話題を露骨に避けている。こういう態度でいる限り、THAADは配備されるだろうし、アメリカの行動計画に中国が影響を与えることもできない。作戦と呼ばれる軍事計画ができたなら、開示されることもないだろう。中国が、まだアメリカの本気度を測っているなら、時間の無駄だろう。トランプ政権は、北朝鮮の問題を終わりにする覚悟を固めつつある。それくらい北朝鮮の軍事レベルがアメリカの脅威になり、中国の行動力のなさに失望している。
残念だが、韓国と日本は、主導権の一端さえ担える可能性は低い。韓国は政治体制がひどすぎる。次の体制がどうなるのかをアメリカは見定めたら、行動に動くつもりだろう。日本は従順で、カネを出すだけの存在にしかなれなかった。パートナーではあるが、頼りになるプレーヤーではない。求められるのは基地の提供、兵站と戦費負担、難民受け入れくらいではないか。それ以上の能力が期待されることはないだろう。
ならば何をすべきか?北朝鮮の行動に、日本は本当に備えられているのだろうか?原発は?都市は?鉄道や橋は?ミサイルだけでなく、テロや工作に備えられているのだろうか?自衛隊は、本当に自衛のための組織としてワークするのだろうか?問題はまた行政だ。

Financial Times
死のスパイラルに陥る「トランプケア」 (2017.3.16)

トランプ氏は強い意志の力で米国を再び偉大にするという。そして、そこにはオバマケア(医療保険制度改革法)をご破算にし、もっと安くて質が高いうえにすべての米国人をカバーする制度に置き換えるという提案も盛り込まれていた。法案の最も重要なポイントは、バラク・オバマ前大統領にちなんだ通称がある法律を無効にすることにある。オバマケアの実際の中身に対する反対意見は、これを新しい法律と置き換えたいという願望の形成にはほとんど関係していない。新たに打ち出された医療保険制度改革法案にある2つ目のトランプ的な要素は、富める者に富を再配分する効果があることだ。この法案は、米国の所得最上位2%の税負担を今後10年間で8850億ドル軽くする一方、最も貧しい階層のための支出をほぼ同額削減する内容になっている。その結果、超党派の議会予算局(CBO)によれば、医療保険に加入している米国民の数は2026年までに2400万人減るという。医療保険を失うこれらの人々には、トランプ氏に投票した高齢で白人の米国人が不釣り合いに高い割合で含まれることになる。トランプ氏は今、2つある災難の片方に直面している。比較的悪くないのは、共和党が法案を否決するという災難の方だ。共和党にとっては、こちらの方が自分たちの利益にかなうだろう。トランプケアでは、米国を再び偉大にするどころか、米国の最悪の特徴がさらに悪化することになるとしている。

Wall Street Journal
米FBI長官、トランプ陣営とロシアの関係捜査認める (2017.3.21)

米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官は20日、ドナルド・トランプ大統領が選挙活動中にロシア政府と連携していたかどうかについて捜査に入っていることを初めて認めた。公聴会に出席した共和党議員は、トランプ氏の国家安全保障担当補佐官を先月辞任したマイケル・フリン氏がロシアのセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と接触したという報道に関して、法律に抵触した可能性を追及している。ロシア政府との共謀について質問を受けたコミー氏は、FBIが「トランプ氏の選挙活動に携わった個人とロシア政府のあらゆる関係」を洗い出していると回答。2016年の大統領選に対するロシア政府の介入疑惑を調査する一環として、こうした連携があった可能性を調べていると説明した、としている。

アメリカの政治のひどさは止まらない。オバマ氏が健康保険や債務上限問題で揉めていた時も、不毛な議会との攻防があったが、トランプ政権の争いは政策は半分。残りは映画の題材になるようなスキャンダルばかりだ。どれも発端がトランプ氏のツィート。ますますバカバカしくなる。こんなことをつづけられる時間は、あとどれくらいあるだろう?初夏と呼ばれる5月には、マーケットはSell in Mayのアノマリーを迎える。そこまでトランプ氏は期待を維持できるだろうか?

日本経済新聞・社説
欧州のポピュリズムに懸念が消えない

反イスラムや反欧州連合(EU)などの排外的な主張がどれだけ支持を広げるか、欧州政治の流れを左右する国政選挙が今年は相次ぐ。その第1弾となった先週のオランダ下院選挙では、極右の自由党が予想外に勢いを欠く結果となった。極右勢力が躍進すれば、影響は4~5月のフランス大統領選挙に及んだり、EUの不安定化につながったりする可能性があっただけに、欧州にとって好ましい結果だったといえる。欧州政治の焦点は4月下旬からの仏大統領選に移る。世論調査では極右政党・国民戦線のルペン党首が、中道系の独立候補マクロン元経済産業デジタル相と争う展開だ。中道の左右二大政党の候補はいずれも勢いがない。移民規制やEU、ユーロ圏からの離脱など過激な政策を掲げるルペン氏が大統領に当選すれば、欧州は混乱が必至だ。最終的にはマクロン氏が有利とみられているが、予断は許さない。保護主義的な姿勢をみせる米政権への対応、近く始まる英国とEUとの離脱交渉など、欧州が抱える懸案は多い。仏独という中核国が過激で排他的な勢力を選挙で退け、安定した政治基盤を堅持できるか、引き続き目が離せない、としている。

懸念はもっともだが、選挙の予想からは何も生まれないし、発展的な発想は出てこないのは、英国とアメリカで証明されている。いまから備えられるのは予備選挙まで。そこでポピュリズム優勢が見えたら、ユーロやEUの未来を本気で考えるべきだろう。自由が生まれた国と自負するフランスがルペン氏を決選投票に出させる結果になるなら、ヨーロッパ社会は本当に混迷していると再認識した方がいい。低迷からデモや内紛は頻発する。悪化すれば、内戦や、民族紛争になる。政治体制よりも、社会の分断と対立の蔓延が気になる。

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