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2923.報道比較2017.3.20

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街に出て見ればいい。答えはすぐに見つかる。メディアは政治よりも街に寄り添うべきだ。

Wall Street Journal
移民規制の厳格化に伴う物価上昇という代償 (2017.3.17)

ドナルド・トランプ米大統領による移民政策変更の影響は、真っ先に食品の生産・加工・販売業者を直撃しそうだ。最近の歴史を振り返ると、労働力不足が価格と人件費を押し上げ、企業収益を圧迫する可能性が見て取れる。今後の見通しを探るには、2011年半ばに米ジョージア州で導入された移民法がためになる。この法律は在留資格について質問するよう警察に促し、不法移民の雇用者に対する罰則を強化するという内容だった。大きな影響を受けたのは農家で、特に手作業で収穫・選別を行う作物の生産者はひどい打撃を受けた。同州の果物・野菜生産者協会でエグゼクティブディレクターを務めるジョージ・ホール氏は、これで移民労働者の多くが同州を避けるようになったと話した。ジョージア大学による調査に回答した果物・野菜農家によると、農地面積にして8割に当たる農家が労働力不足を経験したという。だが、トランプ氏の政策は全米に向けられており、厳しい言い回しなため、合法的な移民でさえ米国で働くのが嫌になる可能性がある。複数の州の農家は労働力不足を懸念しており、農業労働者は締め付けに対する不安を表明してきた。投資家はこうした可能性を頭に入れておくべきだ。そして、今年の春は家庭菜園を作ることを考えた方がいい、としている。

どれだけの論理的な反論があっても、公約という根拠から、トランプ氏はやってみようと動くのではないか。その結果、もっとも大きな痛みを被るのが、支持層の多い低所得者層というのも見えている。雇用を求めて、仕事を手にしたら収入以上に物価が上がる。その原因が、アメリカ人の収入が高過ぎるからと言われたら、低所得者層は頭を抱えるしかない。トランプ氏は、さらに強弁をつづけるだろうが、経済学の信憑性は除外しても、経済合理性は物理学のようなものだ。人は安いものと高いものが並べば、価値を精査してなるべく安いものを選ぶ。価格が上がるなら買いだめでパニックが起きるか、需要は抑制される。それは、消費だけでなく、賃金にも、投資でも同じロジックが動く。
トランプ氏が、革命的に今までの価値観の破壊を目指しているというのは真実だろう。ワシントンの官僚組織の破壊は成功するかもしれないが、経済まで破壊した時、アメリカはいっしょに数々の信頼や利権まで失ってしまうだろう。

朝日新聞・社説
G20と米国 「国際協調」を粘り強く

米トランプ政権の発足後、初めての国際経済会議として注目された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明が、昨年から一変した。焦点だった通商分野の記述は、「あらゆる形態の保護主義に対抗する」という一文が削られ、「経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいる」という表現にとどまった。時代を逆行させるかのような動きは、米国にとどまらない。欧州でも移民・難民や雇用への懸念などを背景に、英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた。フランスなどでも排外主義的な主張が台頭している。多国間の枠組みに背を向ける米国を放置すれば、危うい「自国最優先」に弾みがつきかねない。ここは、各国が結束を強め、国際協調の大切さを粘り強く訴え続けなければならない。今回のG20財務相会議の声明では、地球温暖化に関する文章もすべて削除された。環境対策に後ろ向きなトランプ政権の意向が反映されたとみられる。国際協調が不可欠な課題は、途上国の開発支援や貧困対策など、ほかにも数多い。取り組みの停滞を防げるか、貿易分野が試金石となる、としている。

産経新聞・社説
G20共同声明 保護主義の懸念強まった

ドイツで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明で、「保護主義への対抗」をうたった従来の記述が姿を消した。保護主義的な政策に突き進む米国が押し切ったためだ。日欧米や新興国が揃う国際舞台で、「トランプ流」の独善的な主張に歯止めをかけられなかったことに懸念を覚える。保護主義による貿易停滞は、米国を含む世界経済の成長を阻害する。これはG20各国が議論の余地なく共有してきた基本認識のはずだ。それが揺らぐようでは、G20の存在意義にも疑問符がつく。7月の首脳会議に向けて、各国は今後も米国に働きかけるべきだ。先進7カ国(G7)を含む国際社会の結束が問われよう、としている。

日本経済新聞・社説
保護主義に反対できないG20では困る

トランプ政権が誕生してから初めてとなる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、異例の展開となった。G20はこれまでに採択した声明で、貿易や投資の面で「あらゆる形態の保護主義」に対抗する方針を繰り返し確認してきた。それなのに今回のG20は米国の反対を受けて声明から「保護主義に対抗」の文言を削除し、代わりに「経済に対する貿易の貢献の強化」と指摘するにとどめた。こんな中途半端なG20では困る。多額の貿易赤字を削減したい米国の立場に配慮し「過度の世界的な不均衡の縮小」に努力する、との表現も声明に盛り込んだ。今後もトランプ政権の対応に各国や国際社会が振り回されることが予想される。G7やG20はもちろん、国連やWTOといった場での合意形成はますます難しくなると覚悟しておく必要がある。米国は政権交代直後の方針転換を国内外に印象づけたい面もあるのだろうが、建設的な態度で各国と真摯な対話を重ね、国際協調に努めるよう改めて求めたい、としている。

ロイターやBloombergには、多少の記事があるが、Wall Street Journalには、まだG20のコンテンツは見当たらない。訪米していたメルケル氏との会談の方が優先順位も注目度も高いのは当然で、参加者のレベルが首脳から財務長官レベルに下がっていることも、現在のG20のポテンシャル低下が見て取れる。保護主義が行動に移された時も、まるで頼りにならないだろう。

毎日新聞・社説
豊洲市場 知事は速やかに判断を

豊洲市場で実施された地下水の再調査で、最大で基準値の100倍のベンゼンが検出された。前回9回目の79倍を上回る数字だ。基準値を超える有害物質が検出された場所も、29カ所のうち25カ所に上った。小池百合子知事はこの結果を踏まえても、移転については「総合的に判断する」と、明言を避けた。小池知事は先週の都議会で、豊洲市場の安全性は確保されているとも述べている。土壌がコンクリートで覆われており、地上の環境には影響がなく、法令上は使用に問題ないという理屈のようだ。巨額の費用が投じられた豊洲移転問題は都政の最重要課題だ。豊洲移転をめぐる都議会百条委員会ではきのう、東京ガスとの用地売買交渉を担当した浜渦武生元副知事の証人喚問が行われた。専門家に任せ報告を受けていなかったと述べた石原元知事に続き、当時の都政の2トップが自らの責任を回避するのは嘆かわしい。ただし、百条委員会での責任追及が続いているからといって、豊洲移転問題を放置していいことにはならない。ボールは小池知事側に投げ返されている、としている。

小池氏の政治手法も、トランプ氏に通じる。騒ぎは大きくするが、落とし所に決断力が見えない。一度、オリンピックの時に似た失望を、豊洲でも行うのだろうか。やがて出す結論には根拠が求められるだろう。急ぐ必要はないが、日々増える賠償という石原氏の指摘も事実だ。時間を稼ぐほど、小池氏は追いつめられている。

読売新聞・社説
春闘集中回答 労使で働き方改革を進めたい

2017年春闘で、主要企業の回答が出そろった。多くの企業が賃金水準を底上げするベースアップ(ベア)の実施を決めた。自動車・電機などの労組の要求額は前年と同じ3000円だったのに対し、トヨタ自動車が1300円、日産自動車が1500円、日立製作所などは1000円の回答をそれぞれ示した。政府が高水準の賃上げを求める「官製春闘」は4年目を迎えた。毎年、ベアを維持してきたが、賃上げ額は前年割れとなった。政府が長時間労働の是正に乗り出し、経団連と連合も、実質的に青天井だった残業時間に上限を設けることで合意した。この流れを受け、労使が賃上げだけでなく、雇用慣行の見直しに取り組む意義は大きい。働きやすい環境を整え、従業員の意欲と能力が高まれば、生産性の向上が期待できる。それが、企業の収益力を高め、さらなる賃上げの原資を生むだろう。企業の業種や規模を問わず、賃上げの継続が、家計の所得環境を改善するのに不可欠な条件だ、としている。

自民党の自画自賛を応援するような社説にも見えるが、強弁ではない。政治的な圧力も手伝い、賃上げはベースアップで継続した。答えられない部分を、仕事環境の改善で答えようという姿勢も前向きに捉えるべきだろう。
これで報われる人たちは、どれくらいいるのだろう?育児や成長が促され、消費に向かい、良いインフレの芽が出る。政府が求める理想的なスパイラルを起こすだけの母数はいるのだろうか?いるからやっているのだろうが、非正規雇用、延長雇用を求める高齢者にも策が求められる気がする。

人民網日本語版
日本の「地球儀を俯瞰する外交」は本末転倒 (2017.3.17)

日本経済新聞によると、日本の安倍晋三首相は13日にサウジアラビアのサルマン国王と首相官邸で会談し、経済協力を柱とする「日・サウジ・ビジョン2030」で合意した。アナリストによると、これは安倍氏の「地球儀を俯瞰する外交」が全く新たな時期に入ったことを意味し、今後安倍政権が「経済カードを切る」方法で外交活動を展開するかどうかに各方面は注目している。「現在の国際情勢の下で安倍氏が『地球儀を俯瞰する外交』を展開するのには多くの理由がある」。外交学院国際関係研究所の周永生教授は取材に「最大の要因は、日本が『全面的』大国となり、軍事強国さらには軍事大国路線を歩むことを望んでいることだ。次に、日本は国際的威信を高め続けることで、将来の安保理常任理事国入りの基礎を固めることを望んでいる。第3に、日本は『地球儀を俯瞰する外交』を通じて、ある程度中国と競争し、中国の発展を抑制し、いわゆる『中国の脅威』を減らすことを望んでいる」と指摘した。「安倍氏は現在『地球儀を俯瞰する外交』を積極的に推し進めているが、総じて言えば外交の大方針はやはり米国追随であるため、日本の特色ある外交路線を築くのは困難だ」。周氏は「また、日本経済は相対的に弱い。経済力の支えがない外交活動と国際戦略は日本外交の量的拡大に役立つだけで、質的飛躍を生むことはできない。したがって安倍氏が『地球儀を俯瞰する外交』の推進によって日本外交に新たな局面を開こうとするのは容易ではない」と指摘した、としている。

前半の安倍氏の野望の部分は、被害妄想が強いと失笑したが、後半の指摘は極めて正しい。地球規模で外交するといいながら近隣と仲良くできない日本政府の思考は、完全に間違っている。特に、規模で世界2位になった中国との関係は、アメリカ以上に大切にすべきだと思う。競争は必要だが、今の日本は明らかに対抗している。同じ姿勢は中国にも見られる。これは、政治の世界だけの無意味な争いだと私は思う。街に出て見ればいい。私たちは、理想的な隣人関係を気付けている。お互いに、自らの国の政府を嗤っている。メディアは政治よりも街に寄り添うべきだ。

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