ORIZUME - オリズメ

2918.報道比較2017.3.15

2918.報道比較2017.3.15 はコメントを受け付けていません。

明日の3.15に身構えている投資家は多い。様子見で、不気味なほど動かないマーケット。平穏のまま、明日も過ぎ去るといいが。

日本経済新聞・社説
長期の温暖化ガス削減へ具体策を詰めよ

2050年にかけての温暖化ガスの削減戦略を環境省、経済産業省の有識者会議がそれぞれまとめた。双方の内容には隔たりがあるが、政府はこれらをもとに新しい国際的枠組み「パリ協定」の削減目標達成へ向け、着実に長期戦略づくりを進めてほしい。50年は遠い将来で、何が起きるかわからない。米国のトランプ政権も温暖化対策に後ろ向きだ。だが、着手が遅れるほど後が大変になるのは間違いない。日本は対策の手を緩めるべきではない。両省の会議の見解は、温暖化ガスの削減手段でも異なる。環境省側は排出上限を決めて超えた分を買い取る排出量取引や炭素税など「カーボンプライシング」の早期導入を提唱した。温暖化ガスの排出量を大きく左右する、原子力発電への依存度をどうするかも極めて重要だ。政府は30年時点の電源構成の20~22%を原発で確保する計画だが、再稼働が進まない現状を考えると実現は難しい。新増設の是非を含め方針を明確にする必要がある、としている。

今日の日経の社説は東芝だろうと思っていたが、なぜか地球温暖化だった。なぜだろう?
地球温暖化の問題が語られると、発電が語られ、火力発電が問題視され、原発が推進される。このステレオタイプの発想から脱却することはないのだろうか?ぜひ日経から提案して欲しい。
発電で火力を減らすのはイエスだが、原発の代わりに再生エネルギーや地熱発電にシフトすれば、大きなイノベーションと投資テーマが生まれるはず。電力会社が原発に投じた負債の償却と、もったいないと捨てられない感覚を打破すればいいなら、その方が明らかに日本の産業にはプラスだ。
また、なぜ発電だけに話題を集中するのだろう?世界のこの話題の半分は自動車の排ガスだ。電気自動車を推進するチャンスでもある。小さな減税策を出すより、充電ステーションを拡充して、電気自動車の比率を目標設定した方が早いのではないだろうか。
パリ協定に間に合わなかった理由は、必要以上に答えを先送りしているだけに見える。その間、日本のイノベーションは止まる。次の再生エネルギーに、日本がプレーヤーとして参加できない可能性が高まっている。残念だ。

Wall Street Journal
米貿易赤字をどう考えるべきか (2017.3.13)

ドナルド・トランプ政権で貿易政策の旗振り役を務めるピーター・ナバロ国家通商会議(NTC)委員長は、貿易赤字は経済的に有害であり、米国はそれを解消する政策を取るべきだと主張した。このよからぬ考えは支持を得つつあるようだ。となれば、貿易と国家の富について講義すべきときかもしれない。米国の貿易赤字についてどう考えるべきかは、恐らく考えないようにするのが一番だろう。1978年、米国の国際収支について調査を任された経済有識者の一団は次のように指摘している。「『黒字』と『赤字』という言葉はできる限り避けるべきだ。これらの言葉は、進行が「良いこと」と「悪いこと」をそれぞれ意味すると受け止められることが多い。しかし、その解釈は往々にして間違っている」。さらに1965年には国際収支統計調査委員会が「単一の数字では任意の期間における米国の国際的立場を適切に表すことはできない」と警告している。恐らくそのような委員会が再びこの議論を明確にすべきときかもしれない。トランプ政権は経済成長率を年率3%という従来水準に回復させる政策に注力すべきだ。経済が十分速いペースで成長し、所得が上昇すれば、誰も貿易赤字など気にしないだろう、としている。

ペテンではなく、貿易の赤字は悪いものではない。だからナバロ氏の貿易赤字を問題視する発想を疑問視せよ。すばらしい社説だ。この社説も、トランプ政権は無視するだろうか?むしろ貿易赤字を黒字にすることに腐心しても国は豊かにならないと言われても?トランプ政権のこれからに注目したい。

読売新聞・社説
米国通商政策 国際ルールに背を向けるのか

国に不利益なら国際的な通商ルールを無視する。一方的な対抗措置も取る。あまりに独善的な態度である。通商代表部(USTR)が年次報告を発表し、世界貿易機関(WTO)の決定が米国の利益を損なうなら従わない、と明記した。見逃せないのは、年次報告が、発動すればWTO違反の可能性がある米通商法301条に言及し、市場開放を促す「強力な手段になり得る」と指摘したことだ。301条は、米国が貿易相手国に高関税などの制裁を一方的に発動できると規定している。トランプ政権は、まず日米貿易の実情を正確に把握せねばならない。WTOに最近、送付した意見書でも、日本の自動車市場に非関税障壁があると批判し、農産物の高関税も問題視している。日本は輸入車に関税をかけていない。米国がやり玉に挙げる車検制度も、特定の国を狙い撃ちにしたものではない。欧州車は日本で着実に販売を伸ばしている。米国勢は、商品開発や販売戦略などで、日本の消費者を引き付ける努力と工夫を怠っている。それが売れ行き不振の主因だろう。貿易などを幅広く協議する「日米経済対話」が来月始まる。日本側は、米国の誤解に基づく主張に屈することなく、事実に根ざした建設的な議論を深めるべきだ、としている。

親米派の読売が、熱くアメリカの新政権が考える通商政策の問題点を正論で突き詰めているが、Wall Street Journalにもっと聡明でシンプルな答えがある。議論するまでもない読売の論理は、まるで役に立っていない。

産経新聞・社説
サウジ国王来日 改革支援で中東安定化を

日本が、サウジアラビアの石油依存脱却へ向けた取り組みを、全面的に支援する。来日したサルマン国王との会談で安倍晋三首相は「中東の要であるサウジとの関係をさらに力強く前進させていきたい」と述べた。インフラなど9分野での協力を明記した「日・サウジ・ビジョン2030」は、その関係強化に意義あるものだ。中東地域の安定化を図るためにも、日本は戦略的パートナーとして改革を支えたい。製造業や観光などの産業を育成し、雇用を創出するために、日本からの投資を促し、経験と技術を大いに注入したい。30歳未満の若年層が人口の半分ほどを占め若い労働力が豊富だという。勤勉さといった日本流の美徳も輸出すれば改革の後押しにつながるかもしれない、としている。

したたかに?バカバカしい。日本がサウジアラビアから学ぶ姿勢を持たなければ、大半の案件は次にサウジアラビア国王が訪問する中国に奪われるだろう。まだ日本が世界の技術で先行していると思っているようだ。まずは己を知るべきだ。

人民網日本語版
中国経済は健全な発展を維持 最新データ (2017.3.14)

国家統計局は9日、2017年2月の全国消費者物価指数(CPI)および生産者物価指数(PPI)を発表した。それによると、CPIは前月比0.2%低下し、前年同月比0.8%上昇した。PPIは前月比0.6%上昇し、前年同月比7.8%上昇した。分析によれば、2月のコアCPIは基本的に昨年以来の緩やかな上昇傾向を維持し、PPIは回復に向かう上昇傾向を示し、実体経済の利益力が持続的に改善されていることがわかるという。社会科学院の蔡副院長は、「中国は30年数年に及ぶ高度成長を経て、発展段階が一定の時期に達し、労働適齢期の労働力供給が減少し、労働生産性の伸びが鈍化し、投資リターン率が低下し、潜在的成長率も自ずと低下しており、10%前後の成長率に戻ろうとするのは、現実的でないし、その必要もない。一定の成長ペースを維持することは、民生を保ち、雇用を安定させるために必要であり、小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的建設という目標にもつながり、20年までに国内総生産(GDP)を10年の倍にするという要求の実現にもつながるものだ」と述べた、としている。

前回のチャイナ・ショックの要因のひとつは、FRBの利上げだった。中国はまだ記憶しているだろうか?明日、FRBは利上げを再開すると誰もが予想している。望むのは成長ではなく、安定。その姿勢は、当時よりずいぶんとマーケットを学んだように見える。それでもマーケットを制御できるという高慢さが見える。慢心は、マーケットではもっとも大きなリスクだ。アメリカの株より中国のマーケットの方がリスクを認識していない。

朝日新聞・社説
稲田防衛相 こんな釈明は通らない

国会答弁の重みを、稲田防衛相は理解していないのではないか。閣僚としての責任が厳しく問われる事態だ。一昨日の参院予算委員会で、稲田氏は「裁判を行ったことはない」と言い切っていた。ところが、学園が2004年に起こした民事訴訟で、稲田氏が原告側代理人弁護士として出廷したことを示す大阪地裁の記録が見つかったと報道された。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)をめぐっても、稲田氏の答弁は信頼性を欠いた。陸上自衛隊部隊が派遣されている首都ジュバでの昨年7月の大規模な戦闘を「衝突」と言い張った。なぜ「戦闘」と認めないのかを問われると、「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではない」と答えた。国防を預かる稲田氏の答弁の信頼性そのものが揺らぐ、深刻な事態である。任命権者の安倍首相の対応も問われている、としている。

毎日新聞・社説
稲田防衛相 虚偽答弁の責任は重い

稲田朋美防衛相が14日、これまでの説明から一転して学校法人「森友学園」関連の民事訴訟に原告側代理人弁護士として出廷していた事実を認め、過去の国会答弁を撤回した。結果として答弁が虚偽であったことは間違いない。「虚偽ではなく記憶違いだった」という稲田氏の説明は著しく説得力を欠く。そもそも今回の国有地売却問題は、籠池氏と政治家とのつながりがあったかどうかが大きな焦点だ。稲田氏が「籠池氏とは10年来、まったく会っていない」と答弁している点に対しても、籠池氏は一部のインタビューで「1年か2年前、会合でお目にかかった」と語っている。稲田氏との関係だけでなく、確認すべき点は多い。やはり籠池氏ら関係者の国会招致が必要である、としている。

稲田氏が追いつめられている。野党は追求を強めるつもりだろうが、私には森友学園問題追求で野党の戦略が見えなくなった。安倍氏を追求し、苛立たせ、支持率を下げたい。それが目的だと思っていたが、稲田氏も巻き込んだ。たしかに任命したのは安倍氏だが、安倍氏の失点になる問題にはなっていない。このままでは、問題が拡散して安倍氏に逃げ場を与えてしまう。それでいいのだろうか?答弁を間違えただけで辞任を迫る感覚は、合理的ではない。
国民の興味も集め、被害者も出ている問題に他紙が必死で距離を置いているのは見苦しいが、追求を無限につづけると国民は興味を失っていく。「いつまでやってんだ?」と思われはじめたら、野党の勢いはなくなってしまうだろう。その日は近い気がする。

Comments are closed.