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2916.報道比較2017.3.13

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「トランプ」という言葉の注目度が下がってきた。ハネムーン期間は完全に終わった。日本の国会は首相が孤立しはじめた。疑念は強行採決では突破できない。能力が問われている。

毎日新聞・社説
籠池氏の招致 自民党は何が怖いのか

大阪市の学校法人「森友学園」の国有地取得問題に関し、野党が求めている同学園の籠池泰典氏ら関係者の参考人招致を与党が拒んでいる。だが、拒否の理由は理屈が立たない。学園側が開設を目指していた小学校の設置認可申請を取り下げ、籠池氏が理事長辞任を表明したことで自民党には「参考人招致は必要なくなった」との声があるが、これで幕引きするわけにはいかない。これまでの国会質疑で財務省は「適正な手続きだった」と繰り返している。一方で同学園と近畿財務局との交渉記録は破棄したという。ではなぜ破棄したかと聞けば「適正で問題がないからだ」と答弁する。
これで納得しろという方が無理だ。だから関係者から話を聞く必要がある。ところが野党が求めている財務局担当者ら公務員の招致も自民党は応じようとしない。籠池氏は突如、小学校の設置認可申請を取り下げたが、言い分は一方的だ。より国会招致が必要になったにもかかわらず、自民党には「籠池氏は何を言い出すか分からない」との不安が強まっているようだ。結局、招致を拒む理由はそれかもしれない。やましい所がないなら招致を認めればいいだけの話だ、としている。

メディアは不信感を強調し、国民の疑念も高まっている。与党攻撃という意味では、共産党は手柄だろう。自民党は、この問題にどれだけ興味を持っているのだろう?渦中にいるのは安倍氏と稲田氏くらい。他にも幾人かの関わりが指摘されているが、維新の会や省庁の担当者に批判が広がっても、居眠りしたくなるほど無関係だろう。石破氏のコメントが出るというのも、自民党内でも安倍氏の次を狙う人たちが様子を窺っているからだろう。自民党総裁任期を延ばしたことが無意味になるなら、第一次安倍内閣よりも情けない終わり方だ。徐々に、そんな印象を、野党も、政府も、安倍氏自身も持ちはじめたのではないだろうか?疑念は強行採決では突破できない。安倍氏が少しずつ追いつめられている。

産経新聞・社説
避難指示の解除 強い覚悟で風評の根絶を

東京電力福島第1原発事故に伴う国の避難指示は今月31日に浪江町、川俣町、飯舘村、4月1日に富岡町で、帰還困難区域を除き解除される。11市町村に出された避難指示は、全体面積の約3割に当たる帰還困難区域を残して、解除を終える。帰還を待ち望んだ人たちにとっても、避難先への定住を選択した人たちにとっても、故郷が「帰れる場所」になることの意義は大きい。地域再生の着実な歩みにつなげなければならない。平成26年4月以降に避難指示が順次解除された5市町村では住民の帰還率は約13%にとどまる。放射線に対する恐れや不安は、誰にもある。だが、その心情に乗じて風評を助長し、福島への差別と偏見を正当化するような言説や振る舞いは、断じて看過するわけにはいかない。「風評の根絶なくして、福島の復興はない」の一節を置いて、風評と闘う強い覚悟を打ち出すべきである、としている。

こういう状況を打破するには、国や電力会社が被災地域の土地を格安なタイミングで買い上げ、新たな拠点として運営をはじめるのが理想的だ。再生エネルギーの拠点にする構想は聞いたことがあるし、一時期遷都構想で福島は取り上げられていた地域のはず。安全が確認されて、本気でやる意志があるなら、人口が少なく、地価が下がっているタイミングは、実施にはベストだ。何より、被災地域の安全なイメージがつくられ、仕事や産業が生まれる。
今の政治家にそんな発想を実現できるかは判らないが、過去の日本は、良くも悪くもそうやって地域に産業を根付かせてきた。それは、他の国も同様だ。うまく行く時もあれば、いかない時もある。失敗の責任を問われるのは恐いだろうが、特に福島のような事態になった時は、カネだけを投じて再生を促すのは難しい。決断するのは政治だ。

朝日新聞・社説
民進党大会 民意こそ政策の原点に

民進党大会が開かれた。「安倍1強」と言われる政治状況のなか、旧民主党政権の野党転落から4年たっても、党勢はいまだ回復していない。党大会で、蓮舫執行部が安倍政権への対立軸に位置づけようとしたのは「脱原発」だった。蓮舫代表はあいさつで「原発依存からの脱却は、前倒しで実現可能となるよう、原発ゼロ基本法案を作成する」と訴えた。従来の「2030年代原発ゼロ」から早めたい考えを示したものだが、当初めざした「30年原発ゼロ」を打ち出すことはできなかった。民進党は党内に「脱原発派」と、電力などの労組出身議員ら「原発容認派」が同居する。今大会に向けても、執行部が力を入れたのは労組を回って理解を求めることだった。「脱原発」の民意をくみ取る努力や工夫は十分とは言えない。労組など支持団体ばかりを頼るのではなく、より大きな民意をどうくみ取り、政策に生かしていくか。民進党が問われているのはそこである、としている。

民進党に、まだ立て直る兆しは見えない。蓮舫氏は今のところリーダーとしての能力は発揮していないし、結果も出ていない。原発をテーマにするのは自由だが、論理的、科学的な裏付けを理解した上での法案構築ができる能力が備わったのかは、まだ疑問だ。民進党がなぜ期待を裏切ったのかを再検討して欲しい。想像以上の能力不足、経験不足だったというのが国民の感覚だ。ならば、すべきことは自民党対抗より、勉強、調査、各所との意見交換ではないだろうか?自民党が弛緩している現在、努力は確実に実を結ぶのだが。

読売新聞・社説
陸自PKO撤収 任務「区切り」の判断は妥当だ

政府が、南スーダンにおける陸上自衛隊の国連平和維持活動(PKO)を終了させることを決めた。5月末をめどに部隊を撤収させる。2012年1月の派遣以来、陸自の施設部隊のPKOとしては過去最長となった。首都ジュバ周辺での道路補修は計約210キロ、用地造成は約50万平方メートルに上る。94か所で施設も構築した。安倍首相は撤収の理由について「ジュバでの施設整備は一定の区切りを付けることができる」と語った。妥当な政治判断だろう。疑問なのは、民進党など野党の対応だ。ことさら現地の「治安の悪さ」を強調して陸自撤収を主張し、隊員や家族などの不安を煽った。十数か国が部隊を展開させる中、日本が拙速に引き揚げることの影響を認識していたのか。民進党は国会で、陸自の日報に「戦闘」という表記があることを執拗に問題視した。だが、安倍首相からは、民主党政権時の陸自の報告書も武力衝突を「戦闘」と記していた、と反論された。政府を追及しても自分にはね返るのでは、説得力に欠けよう、としている。

自民党の擁護より、今回の活動を総合評価した意見を聞きたい。南スーダンや国連の意見を拾うのが最も適切だろう。おそらく、貢献はしているはずだ。唐突な撤収、批判を受けたから退くという感覚を国民は持っている。誤解があるなら、政府とともに説明した方がいい。

日本経済新聞・社説
社外取締役の育成が企業統治改革の要だ

東京証券取引所の調べでは、2016年に社外取締役を選任する上場企業は全体の9割を超えた。17年に入っても、社外取締役の比率を3分の1以上とすると発表したパナソニックなど、改革の事例が続いている。閉鎖的と批判されることが多かった日本企業の経営に、外部の視点を入れることは望ましい。不祥事の抑制や経営効率の向上にもつながるだろう。投資家の声に耳を傾けると、上場企業の経営にたずさわった人材がもっと社外に出るべきだ、との指摘が多い。日本では経営の一線から退いても顧問や相談役として経営に影響力を持つことがある。経営陣がOBの助言を仰ぐのもよいが、優れた経営の知見を1社で囲い込むのでなく、幅広く生かす術を考えたい。マネジメントや財務などを学ぶ機会を、企業が役員候補者にもっと提供することも重要だ。汎用性の高い知識を備えた人材は、取締役として他社でも活躍の場を得やすい。人材が統治改革の要だ、としている。

いまの社外取締役制度が、どれだけのワークするのか、私には日経ほどイメージできない。安定のための株式持ち合いのような馴れ合いで、付き合いの多い会社から社外取締役を選出している。そんな人たちが、報酬を得ている相手に批判できるだろうか?今の一部上場会社の大半は、サラリーマンから昇格して役員になった人たちだ。彼らがリスクを取って事業を創出する責務を負ったとしても、経験もない。失点すれば席も報酬も失うなら、何もしない。そんな体質を打破することは、日本の社外取締役制度では期待できない。
東芝やシャープのような状態になれば、誰だって問題を批判する。うまくいっているのか、いっていないのか判らないような低空飛行の経営をしている時、次の成長を促せる人は誰なのだろう。

人民網日本語版
3年間で冤罪無罪判決3718人 中国の司法分野、人権保障へ新たな動き (2017.3.12)

中国最高人民法院(最高裁)が立ち上げたサイト・中国裁判文書網は中国司法の情報公開と透明性における重要な動きの一つであり、現在まで、すでに世界最大規模の裁判文書公開プラットフォームとなっている。3月9日の1日間だけでも、同サイトに新たに加わった文書は23856部となり、文書総数は2698万部、アクセス総数は63億回を突破している。冤罪事件の再審はいずれも社会の公平さと正義について、新たな解釈となるものだ。先ごろ、最高裁は「中国法院の司法改革(2013-2016)」白書を公表した。同白書には2013年から2016年までの間に、中国の各レベルの裁判所で法に基づく無罪判決を受けた被告は3718人、そして国の賠償案件は16889件となり、その賠償金額は69905.18万元(1元は約16.6円)にのぼることを明らかにし、「2016年は全国の裁判所で過去4年間の重大冤罪事件23件、被告37人の再審を行ったほか、新たに冤罪事件11件、被告17人の再審が行われた。これは過去最高の件数となった」としている、としている。

人民網が言う中国司法の進化には期待するが、海外から見ると、政治体制が今のままで、香港や政治犯として失踪する人の多さ、習氏の意向でつづく汚職撲滅などを見ていると、人権を語るには違和感がある。どこの世界にも、権力者が持つ闇はある。ロシアやトルコは際立っているが、中国にも似たような感覚を世界は抱いている。情報を公開するのはすばらしいアイディアだと思うが、胸を張れるレベルではない。

Wall Street Journal
IS「首都」ラッカ奪還へ、中東の今後占う三つ巴の戦い (2017.3.13)

ISは主要拠点モスルの大部分を失い、イラクでの支配地域が急速に縮小。ラッカや残るシリアの拠点が陥落するのも時間の問題となった。しかし、奪還した地域をめぐる争奪戦が新たな暴力の連鎖を生み、中東や世界の主要国が一段と深刻な紛争に巻き込まれる可能性がある。シリア現政権の主な後ろ盾であるロシアは、シリアのクルド人勢力とも関係を築き、最近では一部のスンニ派反体制派にも近づいている。主要な目標はシリアにつぎ込んだ投資を十分生かし、軍事作戦の成果を政治の駆け引きを通じて一段と強固にすることだ。トルコがトランプ政権への敵意や疑念を隠せない一方で、シリアのクルド人政治組織「クルド民主統一党(PYD)」はシリア政府に接近している。それはロシア政府がかねて画策してきた動きでもある。自由シリア軍がラッカ奪還作戦に加わる可能性が低くなった今、バッシャール・アサド大統領が優先するのはスンニ派反体制派が勢力を維持するシリア西部の戦略上重要な地域への支配を強めることだと、ヨルダンにあるアルクッズ政治研究センターのオライブ・ランタウィ所長は指摘する、としている。

シリアの内戦がはじまって6年。いまのアメリカの景気拡大とほぼ同一の時間、オバマ政権の大半、そして日本の3.11からずっと、シリア国内は戦争をしていたことになる。途中からISという世界が新たに直面した危機を、ようやく制圧できそうになった途端、いつもの各国の利害が衝突しはじめた。残念だが、アメリカのリーダーは以前とは真逆の性格だ。ロシア、中東との相性も未知数。シリアにどれだけの関与を考えているのかも見えない。「レッドラインを越えた」とまで言いながら、行動せずに距離を保ったオバマ氏は相当な批判を浴びたが、必要以上の介入で邪魔をするなら、過去の悪いアメリカに戻ったと非難されるだろう。Wall Street Journalの文中にも、提案は見えない。中東やシリアとどう関わればいいのか、アメリカ国内の意見もバラバラに分裂している。リーダーも大義もなくなった戦争を、誰がどう収束させるのか、まったく見えない。

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