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2913.報道比較2017.3.10

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北朝鮮に向けて緊張が高まる中、韓国は総選挙へ。日本の国会は首相の思想がからむスキャンダル。どれだけ危機感を醸成しても、ブレないサイエンス界が清々しい。

日本経済新聞・社説
規制改革進め利便性の高い卸売市場に

政府・与党は農業競争力強化プログラムで卸売市場法を抜本的に見直し、合理的な理由のない規制を廃止する方針を打ち出した。食料流通の変化に合わせ、利用者の視点を重視し、使いやすい卸売市場に変えてもらいたい。全国に64ある中央卸売市場や約千の地方卸売市場は、食料が不足していた時代に公平な分配機能を担うために作られた仕組みだ。しかし、現在では卸売市場を通らず、生産者が消費者や小売店へ直接販売する食品も多い。規制改革とともに業界の横並びの体質も改め、市場間、卸会社の間で手数料やサービスの質を競うべきだ。どこの流通経路に出荷するのが有利なのか、生産者が一目で分かるように情報開示の体制も整えてもらいたい。求められるのは安全で、使いやすく、経費を最小限に抑えた卸売市場だ。豊洲市場が抱える安全性の問題も、背景には開設者の東京都が市場の利用者やその先にいる消費者の視点を欠き、安全対策と情報公開をおろそかにしていたことがある。都が開場前から年100億円近い赤字運営を試算する卸売市場は持続可能といえない。旧態依然とした発想で市場を運営しているようでは、箱物行政から抜け出せない。地方卸売市場のように民間での開設、運営を考えるときだ、としている。

日経が斬新な切り口を提案してきた。築地、豊洲を意識しているのは確実で、統廃合で乗り切れという新案。ただの思い付きなら、期待は無意味だが、小池氏がこの案に興味を示せば、ダイナミックな動きがはじまる。国と東京都が取り組むにも十分なテーマだ。さらにITやネット販売が関連すれば、新たな産業の創出にさえなり得る。そこまでの期待を込めた主張だろうか?

朝日新聞・社説
教育勅語肯定 稲田大臣の資質を問う

稲田氏は8日の参院予算委員会で、戦前の教育勅語について次のように語った。「日本が道義国家を目指すというその精神は今も取り戻すべきだと考えている」「教育勅語の精神である道義国家を目指すべきであること、そして親孝行だとか友達を大切にするとか、そういう核の部分は今も大切なものとして維持をしているところだ」天皇を頂点とする国家をめざし、軍国主義教育の根拠となったのが教育勅語だ。明治天皇直々の言葉として発布され、国民は「臣民」とされた。こうした議論を踏まえることなく、勅語を称揚する姿勢は閣僚にふさわしいとは思えない。まして稲田氏は自衛隊を指揮監督する立場の防衛相である。軍国主義の肯定につながる発言は国内外に疑念を招く、としている。

朝日の指摘は適切。最悪なタイミングで、森友学園の学長が似た発言をした。Wall Street Journalも、安倍氏のナショナリズムの負の側面をコラムに掲載した。

日本経済を低迷させる安倍首相のナショナリズム by Wall Street Journal

防衛大臣が、問題になっているスキャンダルの張本人と同じ価値観。その価値観を共有している首相。安倍氏の価値観を社会が拒絶する事態に発展すれば、長期政権が瞬時に瓦解する可能性も出てきた。アベノミクスに確固とした実績がないのが、何よりも痛い。

産経新聞・社説
学術会議の声明案 軍事科学研究なぜ認めぬ

学問の自由とは何か。いま改めて問われる課題が浮上した。科学者の代表組織、日本学術会議の委員会がまとめた声明案のことである。軍事目的の研究をしないことを掲げた昭和25年と42年の方針を「継承」しようとしている。半世紀ぶりの改定にあたり、あまりにも国や国民を守る視点が欠落している。学術会議は軍事科学研究を忌避するこの声明案を4月の総会で決定しようとしている。防衛省は平成27年度から、軍事と民生の双方に活用できる先端研究を公募し、資金提供する「安全保障技術研究推進制度」を運用している。声明案はこの制度を批判し、大学などの研究機関に、所属研究者の応募を審査する仕組みをつくるよう促した。専門学会に対しては指針策定を求めた。先進的技術を防衛態勢の充実に役立てなければ、抑止力は相対的に低下し、危機は高まる。万一の際、自衛隊員や国民の被害が増すことを意味する。学術会議や大学が軍事科学研究を忌避し、結果的に喜ぶのは誰かを考えてほしい。学術会議は法律で設置され、国の予算で運営される。その自主性は尊重されるとしても、国の平和、国民の安全を追求する戦略や計画の意義を一顧だにしない姿勢には違和感を禁じ得ない、としている。

読売新聞・社説
学術会議声明案 技術に「軍事」も「民生」もない

日本学術会議の委員会が、軍事研究に関する声明案をまとめた。「軍事的」と見なされる可能性がある研究について、大学などに、「適切性を技術的・倫理的に審査する制度」を設けるように求めている。問題は、科学技術の研究を「軍事」と「民生」で切り分けられるかどうかである。米軍の技術である全地球測位システム(GPS)は、カーナビに欠かせない。食品ラップや電子レンジなど、日常生活に溶け込んだ製品も、軍事技術に由来する。技術の本質は、軍事と民生の双方で活用できる「デュアルユース」である。両面性を持つものを無理に分離すれば、応用範囲の広い有益な研究まで「軍事」の名の下に排除されることになろう。学術会議の委員会が標的にしているのは、防衛省の「安全保障技術研究推進制度」だ。自衛、防災に役立ちそうな基礎研究に資金を提供している。防衛省は、成果の利用権を得る仕組みだ。声明案は、4月の学術会議総会に諮られる。高水準の科学技術は、安全保障上の抑止力になる。国益を踏まえて、なお議論を深めたい、としている。

朝日の指摘と、Wall Street Journalが指摘する、日本のナショナリズムを現政権がひたひたと進めているのを知れば、日本のサイエンス界の価値観は、未だ揺らいでないのだと安心する。
資料は探しにくい場所にあったが、ここにすべてあった。

安全保障と学術に関する検討委員会 by 日本学術会議

構成員を見ても、資料の声明案を見ても、清々しいほどニュートラルで、偏りも思惑もない。産経、読売の社説の主張と対比させて、洗脳が進む日本に改めて違和感を持った方がいい。

毎日新聞・社説
大震災から6年 福島の声をどう聴くか

死者と行方不明者合わせて2万人近くが犠牲になった東日本大震災からあすで丸6年になる。被災地は復興の途上にあるが、東京電力福島第1原発事故に見舞われた福島県の苦難は現在進行形だ。この1年で最も被害の奥深さを気付かせられたのが、原発事故後に家族とともに避難した子供に対するいじめの問題だ。福島県から全国に避難している児童・生徒は、昨年5月時点で約7800人に上る。表面化していないいじめがある可能性がある。福島からの避難者の相談に乗る弁護士によると、差別や嫌がらせを避けるため、福島から来たことを悟られないようにひっそりと生活する人は今も多いという。避難指示区域の避難者と異なり、自主避難者には東京電力からの定期的な賠償金はなく、住宅の無償提供が公的支援の柱だ。福島県は一昨年6月に打ち切りを決めた。除染が進み生活環境が整ったとの理由だが、仕事や子供が学校に慣れたことを理由に帰らない決断をする人もいる。帰った人、これから帰る人、帰らない人……。原発事故さえなければ、同じ故郷で暮らしていたはずの人たちだ。問われているのは、その人々の声を、政府が、自治体が、そして私たち一人一人がどう聴くかだ、としている。

毎日は明日まで、震災の話題で進めるつもりだろうか。できれば、判っている数字ではなく自身の取材で書いて欲しい。心に響く強さが変わるはずだ。今の社説には、強さを感じられない。

人民網日本語版
中国外交部長 大国は「指導」を語るより「責任」を重んじるべき (2017.3.9)

中国の王毅外交部長(外相)は8日の両会記者会見で「国家を指導する国と指導される国とに分けるべきだとは思わない。中国は大国も小国も一律に平等だと一貫して主張している。だが大国はより多くの資源、より大きな能力を持っており、一層の責任を担い、一層の貢献をするのが当然であり、『指導』を語るよりも『責任』を重んじるべきだ」と表明した。現在、中国はすでに世界第2の経済大国、最大の製造業国、製品貿易国となっている。中国の発展と世界の前途命運はかつてないほど緊密に結びついている。2013年3月、中国の習近平国家主席は北京でBRICSメディアの共同インタビューに応じた際、「中国人は愛国主義を重んじると同時に、国際的な視野と度量も備えている。国力のたゆまぬ増強に伴い、中国はできる範囲内で一層の国際的な責任と義務を担い、人類の平和と発展の崇高な事業に一層の貢献を果たす」と述べた。
中国の楊潔チ国務委員は以前、人民日報への寄稿「国際的な責任と義務を積極的に担う」で、国際的な責任と義務を積極的に担うことは中国の特色ある大国外交にとって当然のことだと表明した。中国の特色ある大国外交の探求と推進に伴い、責任ある大国としての中国の役割は日増しにはっきりと示される、としている。

これは、誰に対してのメッセージだろうか?中国国民に対してなら、意味はほとんどない。先進国にとっても。中国は途上国の顔と大国の顔を、自国の都合で使い分けて来た。いまさら、である。唯一、北朝鮮へのメッセージなら大いに価値がある。その可能性はなさそうだが。

Wall Street Journal
中国の通貨不安、見かけより深刻か (2017.3.8)

数カ月にわたって減少していた中国の外貨準備高が2月に増加した。この謎は、人民銀行が行う為替先渡し契約や先物の取引を見ると解けるかもしれない。中国経済が減速する中、投資家は元売りに徹している。中国政府は元を高値に維持したいため、保有するドルを売って元を買わねばならない。結果として外貨準備は減少するはずだ。2月の外貨準備高は前月から約70億ドル増加。増加は8カ月ぶりだった。だが、デリバティブの影響で状況は実態よりも明るく見えている。 コメルツ銀行 のアナリスト、周浩氏は「為替先渡しへの介入は、外貨準備全体の数字だけを見た場合に人民元への圧力が過小評価されてしまうことを物語っている」と述べた。このデリバティブ戦略にどれほど効果があるかは不明だ。今年に入ってから人民元の対ドル相場は直物が安定する中、1年物先渡し相場は下げが加速している。足元では1ドルが7元を超えており、2007年以来の元安水準となっている。為替相場の先行きを占う上で先渡し相場はあまりあてにならないが、人民銀行の積極的な介入と相まって先渡し価格が低下していることは、元にとって悪い前兆だ。同行が最善の努力を尽くしても、元の先安観を払拭できていないからだ、としている。

マーケットへの中国政府の手段は巧妙なものに変貌をつづけている。手詰まり。シンプルにそういうことだろう。法をつくれる中国政府に、投資家はもっと巧妙に資金流出を企んでいる。ビットコインが金の価格を抜いたのも、中国資本の思惑が関連しているだろう。
アメリカには、確実にバレる。しかも自由に情報は伝播する。マーケットの操作も、気に入らない人物が失踪しても、党内の抗争も…中国政府にとってもっとも抗しがたいのは、マネーよりも情報。次のチャイナ・ショックも、最初に報じるのは中国ではなく海外のメディアだろう。

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