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2912.報道比較2017.3.9

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3.11を前に北朝鮮リスクが高まっている。危機管理。この6年に何度も言われた言葉だ。

産経新聞・社説
北の核戦力 「日本標的」に備えあるか

4発の弾道ミサイルを日本海に向けて発射した北朝鮮が、あれは在日米軍基地を攻撃する訓練だったと主張している。つまり、本番では日本領土を標的にすると公言したようなものであり、看過できない。問われているのは、直接的にミサイルの脅威にさらされている日本が、どれだけ自らの問題として考えぬくかである。日本が攻撃を受けた場合の措置が問われていることを明確にし、エスカレートする行為にどう対処するかを考える必要がある。敵基地攻撃能力の保有についても、立法府として積極的な検討に取り組むべきである。新たな脅威に対し、どのような措置が必要かを率直に話し合うことは、喫緊の課題である、としている。

日本経済新聞・社説
アジアと世界の安定に資する米中関係を

トランプ米大統領の台湾問題への発言などで不透明感が漂った米中間の接触が再び活発化している。中国の王毅外相は8日の記者会見で、習近平国家主席とトランプ氏の電話会談に続く、実際の首脳会談へ向けた調整に言及した。近くティラーソン米国務長官による初の訪中も予定されている。北朝鮮の核・ミサイル開発問題も解決の道が見えない。中国は年内の北朝鮮からの石炭輸入を止めるとしたものの、開発阻止へ向けて持てる影響力の全ては使っていない。それどころか北朝鮮の脅威に備える米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の韓国配備に強く反対している。中国は5月、欧州やアフリカまで陸路と海路でつなぐ「新シルクロード構想」の実現に向けた首脳会議を北京で開く。この枠組みが米国に対抗するための手段として使われるのなら、世界経済の安定にはつながらない。中国は、日米韓や周辺国との真の融和へ明確にカジを切るべきだ、としている。

毎日新聞・社説
北朝鮮 国家の卑劣さが際立つ

北朝鮮が自国内にいるマレーシア国民の出国を禁止した。マレーシアに滞在している自国の外交官と国民の「安全が完全に保証される」までの措置だと説明している。金正男氏殺害事件で警察が追っている高麗航空職員と北朝鮮大使館2等書記官を、捜査に応じないまま出国させる狙いのようだ。マレーシアのナジブ首相は「人質を取る行為」と強く非難し、自国内にいる北朝鮮国民の出国を禁じる対抗措置を取った。北朝鮮の身勝手な思い込みにすぎないものの、最近の北朝鮮の行動に共通する傾向でもある。経験の浅い金正恩朝鮮労働党委員長が強気一辺倒で、独裁下で忠誠競争に走る官僚たちも強硬さを競っているのなら極めて危険だ。金正日政権の時代には北朝鮮なりの計算をうかがわせる行動が少なくなかった。冷静さを欠いたようにしか見えない行動が目立つ現在との違いは大きい。韓国の外相は、国連加盟国としての資格停止や国際刑事裁判所(ICC)の活用を提唱した。北朝鮮の無法ぶりを考えれば、真剣に検討されるべきだろう、としている。

Wall Street Journal
韓国THAAD配備、北京と平壌の絆 (2017.3.8)

ソウル南方にある米軍の烏山空軍基地に6日、C-17輸送機が到着し、米国と韓国による地上配備型ミサイル迎撃システム「THAAD(サード)」の配備が開始した。長年にわたって先行きが見えなかった計画だが、配備が開始されるのは予想より数カ月早い。北朝鮮の行動が危険度を増す中、THAADはなるべく早く運用可能な状態にしておくべきだ。北朝鮮が6日に4発の弾道ミサイルを日本海へ打ち込んだことで、韓国国民も防衛システムの必要性を再認識したことだろう。中国の国営メディアは2014年、「韓国が(THAAD)防衛システム導入の誘惑に負ければ、急速に発展してきた中国との関係が犠牲になるだろう」と論じた。警告を無視した韓国が昨年夏に配備を決めると、中国は非公式の制裁で応じ、韓国の芸能人の中国公演や化粧品の輸入、そして観光に規制をかけた。韓国政府関係者によれば、THAADは4月にも運用可能になる。われわれもそう期待する。中国は運用を阻止するため経済的圧力をかけ続けるだろう。中国外務省の報道官は7日、同国はTHAAD配備に対応する措置を取るとし、「米国と韓国側がその責任を負うことになるだろう」と述べた。だが金正恩氏への危険な支援を考え直すことが、中国にとってより賢明な選択である、としている。

人民網日本語版
王毅外交部長 韓国にTHAAD配備を瀬戸際で踏みとどまること求める (2017.3.8)

第12期全国人民代表大会第5回会議は8日、梅地亜中心(メディアセンター)で記者会見を開き、王毅外交部長(外相)が「中国の外交政策と対外関係」について国内外の記者の質問に答えた。「中韓の国交樹立から今年で25年であり、重要な年だ。中国側は過去25年間に両国民の共同努力によって得たこの成果を大切にしている。もちろん、われわれは韓国側も中国側と共に両国の互恵協力の大局を維持することを希望する」と表明。「現在中韓関係に影響を与えている最大の問題は、米韓が論争に満ちたミサイル防衛システム『THAAD』の韓国配備をあくまでも進めていることだ。われわれは当初から断固として反対している。THAADの監視・早期警戒範囲は朝鮮半島を遥かに超えており、中国の戦略的安全を損なう企てはすでに誰の目にも明らかだからだ。したがって、THAAD導入は明らかに誤った選択であり、韓国をより安全でない状況に陥れる可能性が高い」と指摘した。また「われわれは韓国国内の一部勢力に対して、これ以上独断専行しないよう忠告する。さもなくば他国を損ない自らも害する結果になるだけだ。中国側は韓国側に対して、瀬戸際で踏みとどまり、配備を中止し、誤った道を突き進まないよう求める」と述べた、としている。

北朝鮮への緊張が、次の段階に入ったという安倍氏の感覚には同意する。変わったのはアメリカだ。中国、韓国、日本…そして北朝鮮さえ受動的だ。原因は北朝鮮の暴挙からだが、トランプ政権はオバマ時代との違いを鮮明にしている。韓国の政治体制など気にせず、THAADを現実にした。報じられる情報にも「あらゆる手段」「すべての選択肢」という言葉が並んでいる。トランプ氏は戦争が嫌いと噂されているが、仰々しい面々がホワイトハウスには多くいる。
核のリスクを本気で恐れているなら、中東よりもアジアをアメリカは優先するだろう。マティス氏がなぜ最初に韓国と日本に来たのか。なぜロシアに対話を求めたのか。中国に強硬なカードをいくつも持ちながら、突然の対話を始めた理由は何だろう。朝鮮半島でこれらの行動が符合しているなら、あとはタイミングだけだ。トランプ氏が指示したとされる計画の策定は、まもなく仕上がるだろう。
日本は、アメリカが動くと決めたら従うだけだ。産経の危機感は判るが、日本ができるのは社会に不安を蔓延させないことくらいではないか。無関心はまずいが、悲観的になり過ぎる日本人の価値観には、冷静な危機管理の能力が低い。そんな準備を訴えるなら今の時期だと思うのだが…ドイツは、真意は不明だが、食料の備蓄を呼びかけた。それだけでロシアや近隣諸国には緊張が起きただろう。日本政府に似た真似をする人はいないのだろうか?

朝日新聞・社説
大震災から6年 「原発は安い」では済まぬ

東日本大震災からまもなく6年。復興はまだ道半ばだが、とりわけ原発被災地の福島県では今も8万人が避難生活を強いられ、地域社会の再生は見えない。原発事故の被害とその処理費用も膨らみ続けている。東京都内のホール。福島第一原発の事故で全町避難を強いられた福島県浪江町が2月に開いた住民との懇談会で、避難者たちが次々に悲痛な声を上げた。「除染が終わったと連絡が来たが、線量は十分に下がっていない。これでは家に帰れない」賠償や除染、廃炉などの費用について経済産業省は昨年末、総額21・5兆円にのぼるとの見通しを示した。従来想定の2倍で、巨額の負担が電気料金や税金として国民にのしかかる。そもそも、壊された生活や地域社会など金銭では表せない被害もある。痛手は計り知れない。安倍政権がなすべきなのは、原発を取り巻く現実や再稼働に慎重な民意に向き合い、原発への依存度を着実に下げていく具体策を真剣に練ることである。閉鎖的な「原子力ムラ」の論理が幅を利かせ、安全神話がはびこった結果、福島で何が起きたか。この6年間をいま一度思い起こし、エネルギー政策を合理的で持続可能なものに作り替えなければならない、としている。

昨日の毎日につづき、朝日が震災、主に原発関連の社説。NHKも震災を振り返る話題を増やしているが、陰湿さが際立つのは、やはり原発。いじめや心労は未だにつづいており、復興に国民が一丸となって取り組むという姿勢は6年を経ても形骸化している。原発推進を唱えてきた産経や読売は、現状をどう主張するだろう?見ないことにする、何とかなるで進むことの弊害は、顕在化した。再稼働には、経済合理性だけでない論理が求められている。とかく感情論になっていた脱原発は、6年経っても変わらない電力会社の体質、東芝の状況、陰湿につづく日本全体の原発アレルギーと、被災者の被害で十分に証明されている。現状で原発再稼働で強行する自信は、政府にもないだろう。6年の放置は、政治の世界でも遅い。2,3年で法をまとめる支持率は得ていたはずだ。6年目の今年、安倍政権は動くだろうか?相変わらずの放置だろうか?

Financial Times
オランダ人の不満、裕福だが怒れる国民 (2017.3.7)

3月15日の総選挙を前に、反イスラムを掲げるポピュリスト(大衆迎合主義者)のヘルト・ウィルダース氏が世論調査で健闘している。それをもってオランダは格差や人生における機会の不均等、悲惨な中間層圧迫といった近代工業時代の無秩序によって苦しめられているのだろうと想像するのは容易だ。ほかの先進国の市民と比べると、オランダ人は満足している。経済協力開発機構(OECD)の調べでは、オランダ人の生活の満足度は7.3と、OECD加盟国の平均6.5を大きく上回っている。これは仕事と余暇の快適なバランスに起因しているのかもしれない。オランダについては、平均値は必ずしも全体像を表さない。政治においては傾向が重要で、いくつかのレベルでオランダ人はストレスの兆候を見せている。例えば、仕事の質は低下傾向にあるように見える。2008年の金融危機以降、臨時の仕事と自営の割合が急激に高まった。例えば、オランダ北部のフローニンゲン州では、失業率は9%超に達している。この北部の国境地帯が、ウィルダース氏の支持基盤が比較的強い地域になっている。だが、同氏はゼーラント州やリンブルフ州など、失業率のレベルが最も低い部類に入る地域でも健闘している、としている。

Financial Timesのオランダの記事を読みながら、日本に似ていると思った。経済の状況、社会の形容しがたい不安、政治の混迷。日本がもう少し、GDPのランキング順位を落としていくと、さらにオランダに近い社会になるかもしれない。それでも国民が満足していれば十分。悲観的な発想から脱皮するのが、いまの日本がもっとも大切なことかもしれない。心配する割に、対策は「なんとかなるだろう」ではなく、考えられる準備はして、起きた時には「なんとかしよう」と思えるように。
やはり、3.11からの6年には反省が必要だ。

読売新聞・社説
森友学園問題 昭恵夫人は言動の重さ自覚を

学校法人「森友学園」が大阪府に提出した、豊中市に建設中の小学校の設置認可申請を巡る資料に、事実と異なる点が次々と発覚した。資料には、校舎などの建築費に関し、国土交通省への補助金申請書類と異なる金額を記載した契約書が含まれる。府には「7億5600万円」、国交省には「23億8400万円」と報告していた。松井一郎府知事は学園側の姿勢に不信感を募らせている。府は申請内容を精査し、設置の不認可も検討する。当然の対応だろう。首相夫人の安倍昭恵氏と森友学園との関係も、国会審議の焦点の一つとなっている。昭恵氏は、問題の小学校のホームページに名誉校長として高く評価する挨拶文が掲載された。2014年12月と15年9月には、学園の運営する幼稚園で講演し、政府職員も同行している。首相夫人は政府の公式行事や外交活動に参加する機会が多く、その発言の影響力は大きい。単なる「私人」では済まされない。そのことを自覚し、より慎重な振る舞いに努めねばならない、としている。

政府支援新聞の読売でも社説で取り上げざるを得なくなった森友学園問題。政府にかかっている疑念を学園、与党、首相夫人に振り分けてごまかしているだけの内容。読売の社説が炎上の対象となるほどの認知度はないだろうが、呆れるほど論点が違う。安倍氏が同様の対応をしていたら、参考人招致、刑事事件への発展は十分にあるだろう。支持率にもインパクトを与えそうな時間を使っている。総裁任期を変えさせるほど長期安定政権の低迷が政策ではなくスキャンダルとは情けないばかりだ。

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