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2904.報道比較2017.3.2

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盛り上がりに欠いたトランプ氏の演説よりは、火を吹きそうな国会の方が国内紙には向いているのでは?触れたくない思いが新聞にもあるのだろうか?

Wall Street Journal
トランプ氏の演説、自身の売り込みに成功 (2017.3.1)

8日夜に米議会上下両院合同本会議で演説を行ったドナルド・トランプ米大統領の課題は、新政権が波乱のスタートを切った後でも自分が大統領にふさわしい人間だと思わせること、そして議会に明確な方向性を示すことだった。新米の大統領としてトランプ氏はこの手の舞台で堂々と落ち着いたスピーチができることを証明した。トランプ氏の看板政策である諸分野の改革について議会に明確な道標を示すには至らなかった。最大の失敗は税制改革についてだ。同氏が示した改革の論拠は、選挙期間中に訴えてきた内容以上ではなかった。サプライサイド経済政策としての税制改革の利点については熱意に欠ける主張をしただけで、むしろ法人税減税は主として「米国の企業と労働者に平等な活躍の場」を生み出す手段だと語った。一般論にとどまったのはトランプ氏の経済チーム内で税制改革の進め方に迷いがあることを反映しているのだろう。就任まもない大統領の例にもれず、トランプ氏が主眼を置いたのは国内の改革であり、外交政策に関して細部で注目すべき点はなかった。同氏は「世界に対する直接的で強固で有意義な関与」を呼びかけたことで安心感を与えた。そして「米国のリーダーシップ」にも言及した。過激派組織「イスラム国」を壊滅させるほか、いかにリーダーシップを発揮するのかは語らなかった、としている。

朝日新聞・社説
米大統領演説 危うい軍拡への回帰

トランプ米大統領が初めて連邦議会で演説をした。就任後40日間の「実績」を強調しつつ、1兆ドルのインフラ投資や大型減税などの方針をしめした。だが、巨額投資と減税をどう両立させるのか、医療保険制度や社会保障をどうするかなど、具体的な施策は依然見えない。国内の経済と治安改善を強調する一方、多国間の自由貿易枠組みに背を向け、同盟国に負担増を求める姿勢は一貫した。国際社会にとって今回とりわけ理解に苦しむのは、トランプ氏が国防費を歴史に残る規模で増額すると言明したことだ。防衛産業にてこ入れして雇用を増やす思惑も透ける。だが、中国やロシア、中東諸国を巻き込んだ軍拡競争を加速しかねない。国内だけに目を向けた「米国第一主義」は慎むべきだ。米国では、議会が予算づくりや立法の権限を握る。短絡的な「力による平和」ではなく、米国と世界の安定と繁栄に真に必要な政策は何かを、議会は冷静に議論してもらいたい、としている。

産経新聞・社説
トランプ氏演説 米軍再建で世界の安定を 経済政策の履行は見極めたい

トランプ米大統領は初の施政方針演説で、「米国第一」主義に基づく青写真を補強した。注目すべきは「米国を再び偉大にする」重要な柱の一つに「米軍の再建」を据えたことだろう。2018会計年度の予算案には、「米国の歴史上、最も大規模な国防費の増額を求める」と述べた。10%とされる増額幅は日本の年間防衛費(約5兆円)を上回る約6兆円に上る。戦争や紛争を抑止するためには外交努力だけではなく、秩序を守る側の十分な軍事力と、有事の際の「戦う意志」が欠かせない。それが国際社会の厳しい現実だ。法人税などの大幅減税とともに、国防費やインフラ投資を拡大すると約束した。大盤振る舞いの印象が強い。成長を促すことで税収増につながると期待しているが、米議会との調整を含め、政策をどう具体化するかしっかりと見極めていく必要がある、としている。

日本経済新聞・社説
政策の具体像が見えないトランプ演説

トランプ米大統領は初の議会演説で、大規模なインフラ投資、法人税減税、オバマケア(医療保険制度改革)撤廃などに取り組むと力説したが、どう進めるのかの道筋は相変わらずはっきりしなかった。いつまで中ぶらりん状態を続けるのだろうか。就任40日で、具体的に数字が入ったのは、(1)インフラ投資の規模が1兆ドル(約113兆円)(2)国防費の増額は540億ドル(約6兆1000億円)――ぐらいだ。法人税率の引き下げを巡り、先週のインタビューで「15~20%の間にする」と表明していた。演説では「経済チームが歴史的な税制改革をまとめている」と述べるにとどまった。中間層への所得税減税の規模は「巨額」という何とも漠然とした説明だった。トランプ政権はいまだ陣容が固まっていない。議会が未承認の閣僚がいるし、副長官以下のポストの大半は指名にも至っていない。与党の共和党の主流派と折り合いが必ずしもよくないため、人材探しに苦労しているようだ。安全保障では同盟国に財政負担を求めると強調した。対象は「北大西洋条約機構(NATO)、中東、太平洋のパートナー」だ。ここに日本は含まれるのか。安倍晋三首相は在日米軍の駐留経費負担について「終わった問題」と述べたが、トランプ氏は本当に理解したのか。再び不安になる、としている。

毎日新聞・社説
トランプ演説 軍事偏重より外交力を

米国の精神はよみがえり、偉大な米国の新たな章が始まっている--。トランプ米大統領は連邦議会での施政方針演説で力説した。最も注目されたのは「米国史上最大級」の軍事費増額だった。今年10月からの会計年度で、約1割増となる540億ドル(約6兆円)の増額を図る。その財源として省庁の非国防費を大幅に減額するというのだ。その根底には、強大な軍事力によって他国の挑発や攻撃をけん制するとともに戦争になれば確実に勝つという、冷戦時からの思想がある。トランプ政権が手本とするのは、「強い米国」を掲げた1980年代のレーガン政権(共和党)だろう。この日の演説では、自分は米国の代表であり世界の代表ではないと言明した。一連の発言は「米国ばかり頼らず、米国も同盟国も軍事費を増やそう」と言っているようにも聞こえる。そんな姿勢がロシアや中国の軍拡を呼ぶことも想像に難くない。折から国連安保理ではシリア制裁決議案に中露が拒否権を使い、トランプ国連外交は早くもつまずいた。冷戦中と違って多様な勢力がせめぎあう今日、世界を説得して動かせる信用と外交力こそ大事ではないか、としている。

読売新聞・社説
トランプ演説 「強い米国」への道筋が見えぬ

トランプ大統領が連邦議会で、初の施政方針演説を行った。過激な主張を封印し、「米国精神の再生」をスローガンに、テロ対策の強化と経済活性化を訴えた。しかし、肝心の具体的な道筋は明確にされないままだった。政権は、「力による平和」の構想に基づき、国防予算の前年度比1割増を目指す。トランプ氏は「米軍に必要な武器を提供せねばならない」と語り、「軍の再建」を進める決意を表明した。法改正には、軍備増強の具体像と財源を明示し、上院の6割の賛成を得る努力が必要だ。議会で幅広い支持を得られなければ、絵に描いた餅となろう。 経済政策で、トランプ氏は「自由貿易を支持するが、公正な貿易でなければならない」と述べ、保護主義的な主張を繰り返した。国際経済は、資金や部品の供給などで、各国の相互依存関係が着実に強まっている。米国は世界中から投資マネーが集中するなど、グローバル化の最大の受益国と言ってもいい。そうした実態を無視して、保護主義に固執すれば、中間層の雇用が回復して生活が楽になるとの幻想を振りまくだけである。早晩行き詰まるのではないか。巨大なインフラ事業の財源の裏付けや官民の役割分担は見えてこない。企業や中間所得層を対象とする大減税も財政負担となろう。一連の政策を実現する行程を早く示すべきである、としている。

昨日の演説で、日本の社説がすべて揃うとは思わなかった。国内紙は森友学園のスキャンダルに執着するかと思っていたが、既定路線に終わったアメリカ大統領の方が気になるのか、日本政府の失態を避けたい思いがあるのか…
国内紙の社説は軍事費増加に神経質になっているが、国内産業の比率の高い業界への政府がバラマキとしては想定内だろう。共和党のカルチャー、側近にやけに軍人が多いことからも、今ごろ騒ぐ話ではない。
むしろ、中東や北朝鮮に武力行使を匂わせる発言から、私は予算の増加よりも、本格的な行動の方が気になっている。戦争になったら、集団的自衛権にアメリカ軍は当然含まれると豪語していたのは安倍氏。こんなにも早く、現実になると想像していただろうか?森友学園の答弁より、さらに言葉を濁すのなら、憲法改正は100%困難になるだろう。
アメリカ国民の反応は、シンプルに好意的だったようだ。物議を醸す発言を避け、議会との協調も見えはじめた。40日で数字が入っていないと手厳しい国内紙よりは、まだ余裕を与えている。マーケットもニューヨークは安心してDOWは21000ドルを超えた。19000から20000までの足踏みを考えると、かなり短い時間で上昇している。ハネムーンは終わっていない。期待だけで11月からDOWが3000ドル、15%も値を上げた。さすがに行き過ぎの予感。
次に議会とトランプ氏を待っているのは、連邦債務の問題。今月中旬には期限が来る。いまのトランプ氏と議会の関係なら、難なくやり過ごしそうな気がする。ギリシャのような先送りなら、やがてどこかで再燃する。ギリシャにはわずか2年の猶予しかなかった。中間選挙の時期に重なるのは、気のせいだろうか?

人民網日本語版
トランプ大統領が楊潔チ国務委員と会談 (2017.3.1)

米国のトランプ大統領は先月27日、ホワイトハウスで中国の楊潔チ国務委員と会談した。楊国務委員は、「中国は米国と両国首脳が電話会談で合意した精神に基づき、衝突せず対抗せず、相互尊重、協力・ウィンウィンの原則を堅持して、ハイレベル及び各レベルの交流を強化し、幅広い二国間の問題や重大な国際・地域問題で協調と協力を進め、相互の核心的利益と重大な懸念を尊重し、中米関係の健全で安定的で前向きな発展を推進し、両国国民と世界の人々によりよく幸福をもたらしたいと願っている」と述べた。会談には米国のペンス副大統領、クシュナー大統領上級顧問も同席した。楊国務委員は同日、クシュナー上級顧問、バノン首席戦略官、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)ら高官とも会談し、中米関係のさらなる発展やその他のともに関心を寄せる問題について意見を交換した。楊国務委員は、「中米の協力は、両国にとっても世界にとってもよいことだ。中米の対抗は、両国にとっても世界にとっても災難だ」。「双方は習近平国家主席とトランプ大統領との電話会談で合意した精神に基づき、コミュニケーションを強化し、相互の信頼を増進し、協力に焦点を合わせ、食い違いを管理コントロールし、衝突せず対抗せず、相互尊重、協力・ウィンウィン(の原則)を実現し、新時期の中米関係がより大きな発展を遂げるよう推進する必要がある」との見方を示した、としている。

あえて古いトピックにしたのか、原稿準備や翻訳に時間がかかるのか、人民網はトランプ氏の演説には触れていない。アメリカの経済紙は、演説への社説といっしょに中国の話題にも触れている。

トランプ氏の登場は「天の恵み」ほくそ笑む中国 by Wall Street Journal

こんな記事を書ける自由は中国にはないだろう。

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