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2903.報道比較2017.3.1

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トランプ氏が現実を知り、おとなしくなりはじめた?良い事のような、悪い事のような…

日本経済新聞・社説
物流の革新で宅配の人手不足に対応を

ヤマト運輸の労働組合が今年の春季労使交渉で、宅配便の引受総量の抑制を会社側に求めた。インターネット通販の拡大と運転手不足による現場の疲弊が原因だ。同社に限らず、運送分野の人手不足は業界共通の課題となっている。宅配便全体の約2割が不在時の再配達とされる。ネット通販の中心は他人への贈答品ではなく、自分用の買い物だ。発注時に受取日時を指定し、配達回数に応じて料金を変えるようにすれば、無駄足は減るだろう。運送会社と大手通販会社が協力すれば可能だ。経済成長が著しい新興国も含め、いかに少ない労働力で高度な物流サービスを提供するかが各国共通の課題になりつつある。米通販大手のアマゾンが無人ヘリコプターでの配達を研究するなど、物流技術に関する研究開発は世界的に盛んだ。日本の物流業界や通販業界もこの波に乗り遅れるべきではない。人手不足を物流のイノベーションにつなげたい、としている。

ヤマト運輸の労使交渉のニュースは各所にインパクトを与え、考察するに値するテーマだ。結論は、日経の言うとおり、この課題をどう前向きに解決していくかだと思う。
放置すれば、このマーケットをアマゾンは確実に取りに来る。現在の物流と衝突する道は選ばないだろうが、抑制やサービス低下にはノーと言うに違いない。また、ノーと言うべきだと思う。理不尽に増えていく非効率な注文方法にはガードを設けていくべきだろうが、スピード、正確さ、コストダウンは永遠に止まらない。佐川急便が先行してギブアップしたマーケット。ヤマトは投げ出すのではなく、新たな手を目指して欲しい。また、新たなプレーヤーがこの領域に挑戦するのを期待している。
おそらく、この流れは物流だけでは止まらない。消費者側と、供給側にも、新たなイノベーションや発想のチャンスがある。運ぶ人にだけ疲弊を押し付ける時代が変わろうとしている。後ろ向きに考えるテーマではなく、極めて前向きな挑戦だ。

Wall Street Journal
トランプ氏が現実と向き合う時 (2017.2.28)

数週間前に大統領に就任して以降、ドナルド・トランプ氏の政治はスティーブ・バノン首席戦略官による暴走気味の政策と、従来型の共和党政治に対する批判で構成されてきた。「バノン流」の政治はメディアに大きく取り上げられ、国民の議論を呼び起こす。一方で政権の命運を握るのは、議会が保守的な改革案を受け入れるかどうかにかかっている。このようなパラドックスが生じている中、トランプ氏は28日夜に米上下両院合同本会議で初の議会演説を行う。これから主戦場は議会にうつるが、そこではバノン氏やその仲間が毛嫌いする共和党の保守主流派が政権の命運を握る。これは皮肉なことだ。トランプ氏の成功は、約束通りに行政改革と経済成長を実現できるかどうかにかかっている。そのためには議会共和党はほぼ完全に団結しなければならない。トランプ氏と共和党にとって明るい兆しは、米国民が彼らの政策が良い結果を出すとまだ期待を寄せている点だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCテレビが共同で行った世論調査では、トランプ氏が「正しい形での変化」をもたらすと約半分の回答者が答えている。これはバラク・オバマ前大統領に関する2009年の世論調査と大きく変わらない数字だ、としている。

コメントを書く前に、トランプ氏の議会演説への批評を確認していた。落ち着いた、過去に倣った演説は、サプライズのない安定したものだったが、具体性もまた見つからなかった。アメリカの政界にある抑止力、大統領だけに暴走させないシステムには感心する。
トランプ政権でもっとも危険視されているスティーブ・バノン氏に対して、11月の大統領選挙の頃には理解する努力を推奨する寛容さを見せていたWall Street Journalだが、今回は諸悪の根源と指摘するほどバノン氏を見限った。

【社説】スティーブ・バノン氏とは何者か (2016.11.16) by Wall Street Journal

メディアとの対立を煽り、過激な思想を変えようとしないバノン氏よりは、共和党の方がまだ理解できる。Wall Street Journalでなくても、同意する人は多いだろう。
だが、バノン氏の価値観への是非を別として、既存の政党政治に対抗するのをトランプ氏に期待した人たちも多いはずだ。選挙中は党とあからさまに対立していたし、過去の政治との決別を、トランプ氏は何度もアピールしている。ここまでの1か月、トランプ氏が評価されたのは実行力。計算で動く議員たちがトランプ氏の思い通りに動くだろうか?既定の政治に近づくほど、トランプ氏はトランプ氏でなくなっていかなければならない。それはオバマ氏がどんどん輝きを失ったのと同じだ。

朝日新聞・社説
審判とビデオ 協力して魅力高めよう

ビデオ映像を判定にどう生かし、競技をより魅力的なものにするかという課題に、いま多くの関係者が取り組んでいる。サッカーのJリーグは、今季から審判の判定を検証する制度を導入した。試合後にチームから疑義がでると、審判側とチーム側の代表が映像を見て議論する。開幕した先週の土日に行われた20試合のうち、6試合で計8件の検証要請があった。プロ野球では、本塁打とホームベース上のクロスプレーの判定にビデオ映像が活用されている。こちらはその場で確認して当否を判断する仕組みで、昨季は計86件で24件が覆った。むろん正しくジャッジするのが審判の役目だ。バーチャルリアリティーを使った研修プログラムの開発など、競技団体にも工夫と努力が求められる。しかし、選手、指導者、観客が審判に対する敬意を失えば、試合の雰囲気はすさみ、トラブルも続出する。かに精巧な機械が登場し、優れた映像が残されても、最後に判断を下すのは人間だ。だからこそスポーツは面白い、としている。

前向きな朝日には驚かされる。刺々しいばかりが報道ではない。こうしてポジティブな事例を紹介してくれる方がずっと励みになる。朝日がなるべくこういう姿勢でいてくれることを期待している。
朝日は自らが主催する高校野球にも同様の取り組みをはじめたらどうだろう?女子を入れない文化からの脱却、精神論の否定、人格を従順と混同するような高校野球も、似たような洗練が進められると思う。

毎日新聞・社説
京都府立医大 組長優遇ではないのか

京都府立医大付属病院が京都府警の強制捜査を受けた。指定暴力団山口組系組長の病状について虚偽の診断書類を作成し、検察に提出した疑いが持たれている。組長は恐喝事件で実刑判決が確定したが、この書類提出などによって刑務所への収容手続きが止まった。学長はきのう記者会見し、組長との親密な関係を否定した。初めて会ったのは、受診のため病院に来た組長が家族と一緒に学長応接室へあいさつに来た時だという。その後、学長がよく行く飲食店で2回ほど偶然会い、体調のアドバイスをしただけだと説明した。虚偽書類作成の指示や関与も一切ないと述べた。それでも、組長が移植手術を受ける際に大学幹部の介在があったのではないかという疑いが、今回の説明でぬぐい去れたとはいえない。専門性の高い医師の診断に幅広い裁量が認められるのは理解できるが、今回の診断書の妥当性は厳しく検討されなければならない、としている。

虚偽でない診断書が理由で収容が止まるとは考えにくい。未だ日本では暴力団が許容される社会が残っている。これが独立した医師ではなく、大学の付属病院で起きていることが危うい。これがまた付け込む隙を与えることになる。

読売新聞・社説
民進党原発政策 蓮舫流「30年ゼロ」は無理筋だ

蓮舫執行部は12日の党大会で、「原発稼働ゼロ」の目標年限を「2030年代」から「30年」へ前倒ししようとしたが、党内外の反対が強かったためだ。次期衆院選に向けて、党の目玉政策に据える思惑があった。「原発の即時停止」を唱える共産党などとの協力を加速させる狙いもうかがえる。安易すぎないか。連合の神津里季生会長が「30年原発ゼロ」について「政権を担う政党として支持を得られるのか」と指摘するのはもっともだ。連合の電力関係労組系や保守系の議員らは「重要政策であり、より幅広く意見を聞くべきだ」と主張する。労組は選挙支援の見送りもちらつかせ、反発している。原発の廃炉に関する民進党の見解も曖昧である。「30年原発ゼロ」の実現には、30年以降に「40年運転規制」の対象となる原発約20基を前倒しして運転停止にせねばならない。その廃炉費用をどう賄うのか。民進党が「責任政党」を標榜するのなら、原発政策について多角的に議論を重ね、現実的な結論を導き出す力量が問われよう、としている。

民進党の政治手法は変わっていないようだ。自民党と同様、看板を先に考えて論理構築が伴っていない。読売の批判はもっともだ。一方で、原発推進派のなし崩しの再稼働と、進まない核のゴミの再処理も、まさに無理筋だ。相手を責める前に自らの論理構築をして、意見を戦わせて欲しい。

産経新聞・社説
ベトナムご訪問 長い交流の歴史に思いを

天皇、皇后両陛下がベトナムを初めて訪問された。日本との長い交流の歴史を、国民が広く知る機会としたい。陛下の外国ご訪問は20回を数え、譲位の意向を示されてからは初めてとなる。最近では一昨年のパラオ、昨年のフィリピンご訪問と、先の大戦の激戦地への慰霊に重点を置かれてきた。戦禍の傷を癒やし、国々の平和と友好親善に努められる、陛下のお気持ちの強さをうかがうことができる。ベトナム、タイは親日国として知られ、多くの日本企業が進出している。日本にとっても大切な国々である。陛下のご訪問を機会に、とくに若い世代が日本との歴史とともに関心を深めれば、国同士の絆を強めることにつながるだろう、としている。

天皇を敬う気持ちで、中国や朝鮮半島にも接して欲しい。産経の手の平を返すような態度には呆れる。

人民網日本語版
中国の戦略・安全保障上の利益の侵害は許さない (2017.2.28)

2月27日、韓国のミサイル防衛システム「THAAD」配備プロセスはさらに危険な一歩を歩んだ。韓国国防省は、ロッテグループが同日の理事会で韓国軍側のTHAAD配備に関する土地交換合意を承認したことを確認した。これに対して、中国外交部(外務省)は直ちに断固たる反対と強い不満を表明し、THAADの韓国配備に反対する中国側の意思は揺るぎないものであり、必要な措置を講じて自らの安全保障上の利益を守り、これにより生じる全ての結果は米韓が担うことになると強調した。THAADのXバンドレーダーの探知半径は2000キロメートルに達する。その監視範囲と迎撃対象は韓国の自称する半島防衛上の必要を遥かに超え、中国内陸部に達するだけでなく、ロシア極東の主要地域もカバーする。これは事実上、域内国を米国の監視下に置き、韓国を米国のミサイル防衛システムに組み込むものだ。どの国の安全も他国の安全を損なうことを基礎に築かれるべきではない。また、どの国も他国が自国の戦略・安全保障上の利益をほしいままに侵害することを許すことはない。関係国に対して責任ある態度で国際関係と地域の問題を処理し、誤った道を突き進まず、自国の安全を守る中国の意志と力を過小評価しないよう忠告する、としている。

北朝鮮への対応を後悔し、方針転換してくれればアメリカも再考するかもしれない。日本の立場では、南シナ海の中国のやり方に比べれば、国境の向こうに核兵器がある韓国の方が理性的だ。もしアメリカに意図を感じるなら、彼らの同盟という世界戦略の重みを評価したらどうだろう?ディールするにはやりやすい大統領が、いまのアメリカにはいる。

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