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2902.報道比較2017.2.28

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トランプ氏とメディア、反省して指示を得るのはどちらが先だろう?すでにトランプ氏には変化が見られる。メディアには?むしろ先鋭化が目立つのは気のせいだろうか?

産経新聞・社説
米政権とメディア 「報道の自由」敵とするな

合衆国憲法修正第1条は、言論・報道の自由を規定している。これにまつわるホワイトハウス記者会主催の夕食会が、約100年にわたり続けられており、歴代大統領は出席してきた。だが、トランプ氏は欠席を伝えた。今の政権とメディアとの関係を象徴するものだ。根っこには、自分に都合の悪い報道を「フェイク(偽)ニュース」と呼び、そのメディアを「国民の敵」と決めつけるトランプ氏の誤った判断がある。報道に納得がいかないなら、会見で大いに反論すればよい。指摘された疑問点を的確に説明するのが苦手だというなら、それは指導者としての資質にかかわる。ホワイトハウスの記者会見には日本メディアもアクセスしている。さらに状況を注視したい、としている。

産経の主張には半分は同意する。ひとつ、意図的に産経が見落としているのは、社会はメディアにも違和感を持っているということだ。大統領選挙の前から生じている偏向。論理よりも感情で展開される主張。事実よりも空気を読み、利害や経済力で事実が曲がる。メディアとトランプ政権の対立に、社会は呆れている。そして、やがてどちらからも離れていく。トランプ氏が当選した決定的な理由のひとつが、まさにこの「誰も信じられない」の感覚があった。だから「ヒラリーだけはイヤだ」になったのだし、メディアがどれだけ予測を出しても事実とは乖離があった。今でも、デモの頻度やメディアの批判的な意見を見ればトランプ氏が劣勢に見えるが、世界を混乱させた入国規制さえ、アメリカの世論調査は過半数が支持という結果になった。
産経自身が、メディアが反省すべき点を認識しているだろう。トランプ氏とメディア、反省して指示を得るのはどちらが先だろう?すでにトランプ氏には変化が見られる。メディアには?むしろ先鋭化が目立つのは気のせいだろうか?

Wall Street Journal
トランプ大統領、軍事費540億ドル増強へ 海外援助資金を削減か (2017.2.28)

ドナルド・トランプ米大統領は初の予算案で軍事費の10%近い増加を目指し、非国防部門の歳出削減で埋め合わせる計画だ。複数の政権関係者が27日、明らかにした。関係者によると、予算案では軍事費を540億ドル(約6兆2700億円)増やす見通し。これを支えるため非国防部門に加え対外援助資金の予算が削減される可能性があり、世界の平和維持活動で同盟国に負担を増やすようトランプ氏が求めていることを反映したものとなる。トランプ氏は「この予算は公共の安全と国家安全保障の予算になる」とし、「われわれが最も必要としているときに力が落ちている米国軍を立て直すため、国防費の歴史的な拡大を含む」と述べた。さらに、「これは重大であり、現在の危険な時代に米国の強さと安保、決意を世界に示すものだ」と述べた、としている。

トランプ氏は戦争をはじめるつもりだろうか。今までの支離滅裂だがブレないトランプ氏の価値観と共通しているのは親イスラエル、反イランくらい。どうも共和党寄りで、オイルや軍事産業のプッシュを感じる。就任から1か月。議会演説を前に、もう議会への配慮だろうか。
たしかにアメリカ国内景気にとって、安全保障への資金投下は強烈な補助金になるだろう。シリアをオバマ氏とは違うアプローチで、和平のために動くなら、共感するアメリカ人も半分以上はいるに違いない。暴走を止められるブレーンが周りにいるなら、話くらいは聞いて見たい。いつものように衝動的で、不信があればノー。目的があり、シンプルなら同意する。

朝日新聞・社説
社会的投資 行政の改革と両輪で

利子や配当といったもうけより、さまざまな社会の課題解決に役立ったという満足感を重視したい――。利殖と寄付の中間と言えばよいだろうか、社会的投資と呼ばれる資金提供への関心が高まっている。そうしたお金を行政に呼び込む試みが、新年度から一部の自治体で始まりそうだ。財政難を補いつつ、とかく「成果の検証がなおざりで、使い切って終わり」と批判される予算の見直しにもつなげるのが狙いだ。神戸市は新年度予算案に、糖尿病性腎症の重症化予防事業を盛り込んだ。症状が悪化して人工透析に頼ることになれば、患者の負担は大きく、医療費も膨らむ。ベンチャー企業に委託して食事療法などを指導してもらうのが主な内容だが、企業はまず、民間の資金で事業を行う。指導が終わると市は一定額を支払い、成果に応じて上乗せする。成果を測る指標として、生活習慣の改善につながった人数を決めておく。人工透析を防げた人数も加味して評価する。社会的投資を引きつけようと行政が予算を改革し、それがさらに社会的投資を促す。官と民が協力して、そんな循環を作っていってほしい、としている。

久しぶりの秀逸な社説。凪いだ時期に朝日が良いな仕事を見せた。これが新聞がすべき社説だと思う。
まだ取り組みとしては見えないが、発想は素晴らしい。要点は、最初の信念をどこまで貫けるか、明確な目的の指標があるか、だ。ビジネスが取り組めないテーマに、行政が取り組む意義はある。だが、支援や補助でないなら、何が違うのか?随意契約や入札と何が違い、何を求めているのか?明らかにしなければ、この取り組みを言い訳のように使って暴走する行政はすぐに想像できる。いつしか乱れた「ふるさと納税」を見れば判る。目的を逸脱し、効果よりも手法が、やがて手法より話題ばかりになり、目的の反対の結末に終わることが多数ある。最初のシンプルなコンセプトを見失わないで欲しい。

読売新聞・社説
残業の上限規制 実効性確保へ一致点見いだせ

残業時間の上限規制を巡り、経団連の榊原定征会長と連合の神津里季生会長が会談した。政府が3月中に策定する働き方改革の実行計画に向けて、合意形成を目指して協議を続ける。政府は、残業時間の上限を年720時間とする案を提示している。月平均60時間だ。繁忙期に残業が長くなり過ぎないように、1か月当たりの上限も設ける。政府は、脳・心臓疾患による労災認定基準を踏まえ、「月100時間」「2か月平均で80時間」とすることを検討している。いわゆる「過労死ライン」である。残業の上限規制は、あくまで過労死防止が主たる目的だ。これにより、仕事と家庭の両立や女性の活躍が直ちに実現するわけではない。さらに踏み込んだ長時間労働の是正策が不可欠である、としている。

残業代が、給与を上乗せする仕組みになっている企業は多いはずだ。残業ではなく、残業代をなす方向に向かわせれば、無給で働きたくなる人は多くはない。その分をベースアップに使った方が企業としても人件費の算定がシンプルになる。生産性を高める議論もできるだろう。何より、過労や意味もなく仕事場にいるような環境、精神論で仕事を議論するような風潮が少しでも早くなくなることを願っている。

毎日新聞・社説
予算案衆院通過 宿題が残されたままだ

結果的には数で勝る与党のペースで進んだということだろう。2017年度予算案が衆院を通過した。衆院予算委員会が始まって以降、予算案自体の議論以上に焦点となったのは、政府が近く提出予定の組織犯罪処罰法改正案、南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)、文部科学省の天下り問題の3点だった。文科省の天下り問題も全容は解明されていないのが実情だ。そして審議終盤に浮上した学校法人「森友学園」の問題だ。なぜ国有地が格安の価格で同学園に売却されたのか。疑念は広がる一方だ。アベノミクスは順調に進んでいるようには思えない。政権発足から5年目を迎え、こうした国会議論のままでは「次」には進まない。米国でトランプ大統領が就任し、早々に日米首脳会談が行われる中での予算委審議だった。各種の世論調査では今回の会談を評価する声が多いためだろうか。野党の方が「今後の日米関係はどうあるべきか」の論戦に消極的だったように思える。審議の場は参院に移る。数々の宿題をこなすため、参院での徹底審議を従来に増して求めたい、としている。

毎日は完全に傍観者になり切っている。問題提起することもなければ、分析して主張することもなかった。予算に対して毎日が社説で提言した記憶は薄い。報道に毎日の居場所は、もはや見つからない。

人民網日本語版
百度が中国の国家工程実験室立ち上げへ 人工智能の発展に拍車 (2017.2.27)

中国のインターネット大手・百度はこのほど、中国国家発展改革委員会の正式認可を受け、「ディープラーニングの技術と応用国家工程実験室」を先頭に立って計画し、立ち上げることを発表した。同実験室はディープラーニング技術やコンピューター視覚感知技術、コンピューター聴覚技術、生態認証技術、新型ヒューマン・コンピュータ・インタラクション技術、標準化サービス、ディープラーニングの知的財産権保護を中心に研究する。中国において、国家工程実験室は、国家科学技術イノベーション体系に属する重要な部分で、企業や事業単位(国家が社会公益目的のため、国家機関により運営あるいはその他組織が国有資産を利用し運営するもので、教育、科学技術、文化、衛生などの活動に従事する社会サービス組織)から企業に転じた科学研究機構、科学研究院所、大学などに依拠して設立された研究開発の実体である。2016年9月の時点で、中国には計167の国家工程実験室がある。人工知能技術は中国で、『点』から『面』、『弱』から『強』への急速な発展を遂げた」と成果を強調する、としている。

意味深に書いているが、中国政府が百度のプロジェクトに補助金を出すだけの話だ。予算が書いていないから、規模も不明。まだ組織が合意されただけで、何をするかも決まっているのか判らない。人工知能は、ホットだが、すでに実践に入っている。何を研究するつもりだろう?しかも検閲だらけの、真のデータが限定される中国で?

Financial Times
G・オーウェルならトランプ大統領をどう見たか

ミュンヘン安全保障会議と言えば、かつては西側諸国の指導者たちが世界のさまざまな地域で起こっている邪悪で危険なことについて語り合う場所だった。しかし今年は、自国の民主主義を脅かす邪悪で危険なことがもっぱら話し合われた。誰もがそのリストの最上位に挙げていたのがドナルド・トランプ氏である。欧州勢はこの新大統領の就任以来の行動に不安を覚え、米国勢は大統領を暴走させないよう全力を尽くすと断言した。しかし、本当に気が滅入る討論は何だったかと言えば、それはトランプ氏に直接まつわるものではなく、有権者がトランプ氏をホワイトハウスに送り込んだという事実をめぐる議論だった。過去のデマゴーグたちと同様に、トランプ氏は社会の深刻な沈滞ムードがもたらしたチャンスをつかんだのだ、という議論がなされた。オーウェルによれば、ナチズムとファシズムは人間。心理の流れに乗った。感情が経済的な計算を押しのけたのだという。今日の世界で起こっていることはこれに似ている。ありがたいことに、勘違いの有害さまでは同じではなさそうだが、としている。

感覚的なコラムだった。不安はかき立てられたが、明確な指摘や解決策はない。これは、筆者が嫌っているポピュリズムがやっているのと同じ手法だ。不安を煽り、対立だけを醸成する。文にあるとおり、闘争がはじまると、人は感情だけで動く。相手を倒すことに固執しはじめる。筆者がトランプ氏やルペン氏を痛めつけることに信念を注いでいるなら、していることは一緒だ。戦いをやめよう、と言ったから、今の時代があることを、不安などないのだと言ったリーダーが世界を明るくしたことを、筆者は忘れている。

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