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2898.報道比較2017.2.24

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目を閉じず、口を閉じて。不満よりも、壁を越える発想に頭を使う方が生産的だ。

朝日新聞・社説
金正男氏殺害 「人権」で国際的圧力を

多くの人々が行き交うクアラルンプール空港で、なぜ命を奪われたのか。北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄で、故・金正日総書記の長男である金正男氏が殺害されてから10日がすぎた。真相は今もなぞに包まれている。だが、現地警察の捜査で、事件の背景に北朝鮮の犯行グループがいることが判明した。今回の殺害も北朝鮮工作員らのしわざであれば、正恩氏のあずかり知らないところで企てられたとは考えにくい。正男氏は権力を親子で継承してきた金一族の一人だからだ。国際社会は、北朝鮮によるさまざまな人権の侵害を追及し、改善へ向けて圧力を強めるべきである。日本を含む国際社会は、あらゆる多国間会合の場で北朝鮮の人道無視の問題を取りあげ、北朝鮮が動かざるをえないような環境づくりを急ぐべきだ、としている。

毎日新聞・社説
金正男氏殺害 北朝鮮は聴取に応じよ

クアラルンプール国際空港で起きた金正男氏殺害事件が新たな段階に入った。マレーシア警察当局が、在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官が事件に関与しているという見方を明らかにした。北朝鮮は速やかにマレーシア側の要請に応じ、書記官を出頭させるべきである。マレーシア警察は、北朝鮮国籍の男4人も指名手配している。4人は事件直後にクアラルンプールの空港から出国し、平壌に戻ったという。4人の身柄も、マレーシア側に引き渡されねばならない。北朝鮮はかつてビルマ(現ミャンマー)で爆弾テロ事件を起こし、友好国だったビルマとの国交断絶に追い込まれた。
北朝鮮国民が査証(ビザ)なしで入国できる唯一の主要国であるマレーシアとの外交関係も、深刻な事態に陥る恐れがある。自国民が北朝鮮から唆された可能性があるインドネシアも不快感を強めているようだ。東南アジアには、東西冷戦期の非同盟運動からの流れで北朝鮮に好意的な国が多い。今回の事件で北朝鮮は国際的な孤立を一段と深めることになるだろう、としている。

読売新聞・社説
金正男氏殺害 北朝鮮の責任逃れは見苦しい

北朝鮮の金正男氏殺害事件で、マレーシア警察当局は、北朝鮮大使館の2等書記官と国営・高麗航空の職員を含む3人が関与した疑いがあるとして、出頭させるよう北朝鮮に要請した。実行犯とされるベトナム人とインドネシア人の女2人のほか、北朝鮮国籍の男を逮捕している。残りの容疑者4人は北朝鮮に帰国したと見て、引き渡しを求めた。看過できないのは、北朝鮮が遺体の早期引き渡しを要求するなど、露骨な捜査妨害を試みたことだ。その結果、マレーシアとの対立が先鋭化している。北朝鮮の駐マレーシア大使は、「政治目的の捜査だ」と非難した。マレーシア政府は「捜査は国内法に基づき公正に行われている。侮辱だ」と反論し、駐北朝鮮大使を召還する事態に発展した。自国に嫌疑がかかると、他国に難癖をつけて責任逃れを図る。これは北朝鮮の常套手段である。ASEAN各国は、今回の事件を機に、対北包囲網の強化に積極的に協力せねばならない、としている。

無力だな、と思う。常識の範囲から逸脱すると、ここまで手を焼くことになる。対話だけはつづけるべきだったのだろう。
産経が触れているロシアにしても、北朝鮮の瀬戸際外交と表現される挑発的なやり方は、この10年ほど孤立しながらも北朝鮮に自由な振る舞いを許容している。圧力もワークしていない。今までも何もできなかった習政権には期待できない。トランプ政権はどうだろう?優先順位は中東だろうか?いずれにしても、日本には何の能力もなく、北朝鮮も相手にしていないだろう。

人民網日本語版
朝鮮半島の核問題で米含む各方面と協力強化 外交部 (2017.2.23)

外交部(外務省)の耿爽報道官は22日に行われた定例記者会見で、「米国を含む関係各方面とともに、朝鮮半島の核問題をめぐる情報交換と協力を強化し、交渉再開の糸口をともに模索して見つけだしたい」と述べた。中国は朝鮮半島の非核化の実現という方針を堅持し、朝鮮半島の平和安定の維持という方針を堅持し、交渉と話し合いによる問題解決の方針を堅持するということだ。中国は朝鮮半島問題の負のスパイラルをうち破るべく努力し、各方面の関心と朝鮮半島の現実的状況を総合的に考慮することを土台として、朝鮮半島の非核化と調停メカニズムの「同時進行」への転換という解決策を提示し、これによって六者会合の再開を後押ししたいと考えている。中国は米国を含む関連各方面との情報交換と協力を強化し、交渉再開の糸口をともに模索して見つけだし、朝鮮半島の平和安定を維持し、朝鮮半島の核問題を適切に解決するためにともに建設的な役割を果たしていきたい、としている。

中国は新たな展開を目論んでいるのだろうか?何度も期待させながら、いつも影では手を抜き、北朝鮮をどう捉えているのかが見えない中国。今回もただのポーズかもしれない。期待せずに見守りたい。

産経新聞・社説
北方領土と露軍 「共存の島」とは相いれぬ

ロシアのショイグ国防相が下院の演説で、北方領土と千島列島へ新設の1個師団を年内配備する方針を表明した。国後、択捉両島への展開が想定される。日露間では、北方領土における共同経済活動の協議が3月から本格化しようという矢先だった。直前のこうした言動は、協議の前提を崩すものでしかない。重要な協議を前に、相手にあいくちを突き付けるのはロシアの常套手段である。そこに信頼関係を築く意思など見当たらない。ロシアが軍拡をさらに進めようという地域で、なぜ共存が可能なのか。政府は共同経済活動について、日本の法的立場を損なわないのが前提だとしている。言葉遊びをしている間に、ロシアによる実効支配はさらに強まる。3月には日露の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)も開かれるが、軍備増強を図る相手との間で開催する意味は不明だ。せめて、その場で方針の撤回を確約させるべきである。それをロシアが断るなら、共同経済活動の協議を進めることはできない、としている。

北方領土の主導権は明らかにロシアにある。この程度で信頼の話をするならロシアとは付き合えない。強硬な態度が通る相手でもなく、むしろ下手な言動は利用される。アメリカの同盟国という意味が産経には判っているのだろうか?

Wall Street Journal
移民対策で軍事力行使せず=メキシコで米国土安保長官 (2017.2.24)

ジョン・ケリー米国土安全保障長官は23日、米国は移民対策で軍事力を使用することはないとの見解を示した。ドナルド・トランプ大統領はこの日、移民法の実施を「軍事作戦」だと表現していた。ケリー氏はレックス・ティラーソン米国務長官とメキシコを訪問し、米国の移民政策と国外退去措置の強化について、メキシコ側に説明した。メキシコのルイス・ビデガライ外相およびミゲル・オソリオ内相らとの共同記者会見でケリー氏は「大量強制送還はない」と言明。この発言はいずれも記者による不正確な報道を正すのが狙いだと続けた。トランプ大統領はこの日、ワシントンで、両長官が一連の協議で「難題」に直面しているとしつつ、米国として不法移民や麻薬密輸、貿易赤字の問題に対処するため行動しなければならないと述べた。不法移民取り締まり強化を「軍事作戦」と表現。ギャング集団や暴力行為が増加しているとした上で、移民が原因だと非難した、としている。

トランプ氏を外して会議するのが、トランプ政権のスタンダードになりつつあるのだろうか?日本も大事な話はナンバー2がやり、トップのふたりはゴルフに行ってくれた方がまとまった。メキシコはなかなかしたたかな外交をしている。大統領と他の要人の言葉に差があり過ぎる。

日本経済新聞・社説
米法人税の国境調整措置は経済に有害だ

米下院共和党が法人税の抜本的な改革案について、トランプ政権と内容の調整を進めている。下院共和党が昨年まとめた改革案は、高すぎる税率の引き下げや投資の即時償却制度の導入など理解できるところも多い。問題は国境調整措置の導入によって輸入に高い税を課そうとしている点だ。実現すれば、米国や世界の経済に甚大な悪影響を及ぼしかねない。この部分の実施は見送るべきだ。それ以上に心配なのは、輸入への重課税がもたらす経済への影響だ。輸入品を売る米国の小売業者の利益が圧迫されたり、価格転嫁で消費者の負担が急増したりする恐れがある。対米輸出が多い海外企業にも当然大きな打撃になる。国境調整措置を導入してもドル相場の上昇によって影響はすぐに相殺されるとの見方もある。だが、その通りになるか不透明なうえ、ドルが仮に急上昇すれば、世界の金融市場が動揺しかねない。法人税改革によって国内経済の活性化をめざしたいなら、こうした特異な税制の見直しを急ぐべきだ。内外経済を揺るがしかねない国境調整にこだわる時ではない、としている。

日本の経済紙としては当然の意見だろうが、ならばアメリカは政府だけでなく産業界も、この意見は無視するだろう。保護主義が長期では世界経済だけでなくアメリカにとってもマイナスなのは理解されるだろうが、トランプ政権の意見は、それにしても行き過ぎ、外国がアメリカから稼ぎ過ぎ、短期的にアメリカ国内の雇用のために対策が必要、との論理への反論が足りない。さらに言えば、なぜ日本はアメリカで稼いで潤っているのか、日本国内の内需拡大はどうしたのか?の問いにはずっと苦慮している。トランプ政権の政策に反論している場合ではない。適応した方がいい。
アメリカ国民も良い日本製品を止められれば困るだろうが、いらぬ付加価値を載せて少しだけ高価なもの、同一の価値で外国製品だから安いもの、安さだけで国境を越えてきたものは、政策がなくとも、やがてアメリカから拒否されるだろう。ドル高に頼って売ってきたものは、本当の価値が必要になる。アメリカに工場を造り、雇用をつくるまでの投資をしないなら、関税を多くする。そのハードルを越えてみろ、ということだ。イメージよりは理にかなった要望だ。
この挑戦は、過去の排ガス規制やオイル・ショックに似ているかもしれない。本当にいいもの、本当にアメリカに愛されるもの、日本にとってもビジネスとして整合性が取れているものは、生き残り、歴史に名を残した。恐れや怒りで逃げ出す以上の価値をアメリカは持っている。不満を言う前に、この壁を越える発想に頭を使う方が生産的だ。

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