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2897.報道比較2017.2.23

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政治だけで社会は変わらないが、政治の決断は必ず社会に影響を与える。迎合するだけが戦略ではない。変化に適応する方が、ずっと成長のチャンスはある。

Financial Times
オペルの雇用不安で揺らぐドイツの誇り (2017.2.20)

通常なら社会党の率いるフランス政府は、国内最大級の事業会社が関わる数十億ユーロ規模の大型合併のニュースが出たならば盛大に騒ぐはずである。数千人規模の雇用喪失につながりかねないM&A(合併・買収)は、特にそうだ。政府に近いある関係者はこう言い、オペル買収は一段と大きなフランスのチャンピオン企業を生み出すと付け加えた。PSAの仏キリスト教労働者同盟(CFTC)代表者の1人、フランク・ドン氏は、「これはすごい朗報だ」と述べた。アナリストや業界関係者らによれば、フランス側がこのような態度を見せる理由は、雇用削減の圧倒的多数がドイツ、英国、スペインにあるオペルの6工場に割り当てられ、6万5000人いるPSAのフランス人労働者はそれに比べると無傷で済む可能性が高いからだ。一方、ドイツと英国の政府は、折しも反グローバル化を掲げる過激主義政党がすでに欧州の元工業地帯で台頭しているときに、何千人もの怒れる労働者を抱え込むことになるのを懸念し、雇用維持の保証を模索してきた。メルケル氏は2月17日、「ドイツの雇用と工場が確実に安泰であるようにするために」政治的に可能なことはすべてやらねばならないと述べた、としている。

節々に辛めのジョークが含まれている痛快な内容だ。遠因は、ブレグジットとアメリカの政治の変容だろう。GMは、保護主義に傾くアメリカに集中するなら、優先順位の低い海外ブランドは手放すつもりだ。しかも、EUと英国の綱引きをうまく使えば、売却が成立してもしなくても、政府からの何らかの助けが得られると期待して。
日本では撤退で縁の薄くなったオペルは、EUでは十分にビジネスになっているが、アメリカで勝負できるだけのポテンシャルはない。小型車のノウハウも、GMではオペルは役目を負えたようだ。次の戦いはEV。もうGMはシボレー・ブランドでテスラやBMWを見ている。政治だけで社会は変わらないが、政治の決断は必ず社会に影響を与える。迎合するだけが戦略ではない。変化に適応する方が、ずっと成長のチャンスはある。

朝日新聞・社説
大飯原発 不安がぬぐえていない

関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が新規制基準に適合する、との審査書案を原子力規制委員会がまとめた。大飯3、4号機は、福井地裁が14年に運転を差し止める判決を出し、安全性に重大な疑問が投げかけられた。福井、京都、滋賀の3府県にまたがる30キロ圏には約16万人が暮らすが、事故時にスムーズに避難できるかという難題も残ったままだ。朝日新聞の今月の世論調査では、原発再稼働に57%が反対し、賛成のほぼ2倍だった。東京電力福島第一原発事故から来月で6年たつが、国民の不安はぬぐえていない。今後は地元同意手続きが焦点になる。関電は、安全協定に基づく事実上の「同意権」を持つのは福井県とおおい町だけ、との姿勢を崩さないが、もし事故があれば琵琶湖が汚染されるなど、被害は関西に広く及ぶ。とりわけ、住民が避難する可能性がある地域の理解なしに、再稼働を進めてはならない。京都、滋賀両府県を含め、少なくとも30キロ圏の自治体の同意を得るよう、改めて求める、としている。

まもなく6年となる原発事故。事故からの復興もエネルギー政策も、まるで進まない。民主党の政権運営が原因ではなかったのは明らかで、自民党になっても政治はリーダーシップを持っていない。電力会社も省庁も委員会も、適切な議論さえ進められない。決めたことは「もんじゅを廃炉に」くらいだ。ベースロード電源と原発を位置づけながら、再稼働への安全性の裏付けは理解を得られず、前に進めない。徐々に原油価格は上昇の兆しを見せる。一方で東芝の原発事業は、もはや存続困難な状態。世界から置き去りにされる技術になる予感さえある既存の原子力発電をまだ担ぐのか。事態が解決しないまま時間が過ぎると、ますます問題は大きくなることを示すかのような、最悪な状態に陥っている。もう対話さえ成立していない。日本の分断も、6年前にはじまっていたようだ。

毎日新聞・社説
都議会の百条委 「豊洲の闇」に迫れるか

豊洲市場の移転問題をめぐり、東京都議会は強い権限を持つ調査特別委員会(百条委員会)の設置を決めた。石原慎太郎元知事ら移転決定当時の関係者は証人として委員会に喚問される見通しだ。設置は全会一致で決定した。百条委員会は地方自治法100条に基づき、地方議会に置くことができる。関係者の証言、記録提出を求めるなど調査権限がある。正当な理由がなく証言を拒否したり、うその証言をしたりすると、罰則が科せられるなど強制力を持つ。建物に土壌汚染対策の「盛り土」がされていなかった問題をはじめ、複雑な事実関係を解明するためには百条委の設置が必要だった。にもかかわらず、都議会自民党の動きはこれまで鈍かった。豊洲問題をめぐっては小池知事が石原氏の対応を批判するなど「小池VS石原」の劇場型の対立構図に関心が集まりがちだ。だが、百条委の役割は全体像の解明だ。当時の都幹部らの喚問などが欠かせない。都議会は小池知事の就任まで、豊洲移転に事実上のお墨付きを与えてきた。その責任を十分に踏まえなければならない、としている。

小池氏は、豊洲の解決策を持っているはずだ。それがどんな案なのか、今まで話題に上がったことはない。注目は問題の解明と政局にばかり集まっている。問題が解明されないと決断できないだろうか?いや。すべてが明らかにならなければ動けないはずはない。小池氏は、自身の決断と問題の存在をリンクさせようとしている。それは、決断がうまく行かなかった時のリスク、そこで発生する追加のコストの責任を回避するためだろう。小池氏に抵抗したい人たちは、この点に注目すべきだ。毎日、無意味な補償や賠償金が発生し、築地と豊洲で不安定な中で混乱している人がいる。事実の解明にばかり目を向けるべきでない。

日本経済新聞・社説
規制改革の再加速で技術革新を促せ

時代に合わなくなった規制を改廃して民間の企業や個人に自由を与え、技術革新や新サービスを後押しする。そんな日本経済を活性化するための規制改革を政府は再加速するときだ。自動運転や小型無人機(ドローン)といった先端技術は次世代の経済のけん引役として注目されている。人工知能(AI)などを使った技術は、生活の利便性を大きく高める潜在力を持つ。しかし、実証実験は公道や空間を利用するため、参加する企業が関係機関との事前調整に煩雑な手続きを強いられている。開始までに数カ月かかる例があり、研究開発の足を引っ張っている。こうした問題を解決するのが、英国発の「規制の砂場」という仕組みだ。企業が当局の了解を得て、現行の規制にとらわれずに新たな事業やサービスを実験しやすくする。政府はこの仕組みを盛り込んだ国家戦略特区法改正案を今国会に提出する方針だ。第4次産業革命の成否は日本経済の国際競争力を左右する。官民一体で特区での実証実験を急いでほしい。働き方改革などの課題はもちろん重要だが、政権にとって規制改革の優先順位が低下しているとしたら問題だ。かつて安倍晋三首相は「規制改革は成長戦略の1丁目1番地」と発言した。その矢は力強く放ち続けねばならない、としている。

何度も同じ話が出てきている気がする。長期政権と言われ、2度も解散総選挙をした政権の取り組みは、もう民間としては疑いが先に来る。日経が安倍氏の「規制改革は成長戦略の1丁目1番地」というかつての発言を取り上げたのは皮肉だろうか?アベノミクスという言葉が騒がれてから、日本の経済政策は一歩も進んでいる気がしない。ということは…この先もずっと進んだ気がしないのだろうと気力を失っている。この気力は、外資の取り組みに吸収されていく。政治がすべて悪いとは思わないが、日本のペースは極めて遅い。

読売新聞・社説
テロ準備罪審議 不安を煽る言説は慎みたい

組織犯罪処罰法を改正して創設するテロ準備罪の対象に関し、政府が衆院予算委員会で見解を示した。一般団体であっても、「目的が犯罪を実行する団体に一変した」場合には組織的犯罪集団として罪が適用される、というものだ。宗教法人のオウム真理教が、地下鉄サリン事件を引き起こした。安倍首相は「犯罪集団として一変したわけだから、その人たちは一般人であるわけがない」と説明した。もっともな認識である。疑問なのは、民進党などが「一般市民は対象にならないと言ってきたことと矛盾する」と反発している点だ。「共謀罪」法案と同様、テロ準備罪も人権侵害の恐れが強いと印象付ける狙いだろう。テロ準備罪の創設は、国際組織犯罪防止条約の加入に必要な法整備だ。条約は2000年の国連総会で採択され、翌年の米同時テロを経て、テロ集団やマフィアなどによる犯罪に立ち向かう国際的な礎として機能している。既に187の国・地域が締結した。首相は「法を整備し、条約を締結できなければ、東京五輪・パラリンピックができないといっても過言ではない」と強調する。政府は、3月上旬にも改正法案を国会に提出する。国民の安全を守るため、法の穴をなくし、重大犯罪の芽を摘まねばならない、としている。

野党のパフォーマンスだろうか?安倍政権が暴走したから起きている抵抗だろうか?どちらにしても建設的な議論にはなっていないようだ。読売の主張は適切に見えるが、野党が懸念しているのは、曖昧さを残す自民党の姿勢だろう。その話題をあえて書かない読売の手法もまた、自民党そっくりだ。

産経新聞・社説
竹島の日 政府の返還要求は十分か

「竹島の日」の22日、島根県主催の式典が松江市で開かれた。竹島(島根県隠岐の島町)は歴史的にも国際法上も日本固有の領土でありながら、韓国に不法占拠されたままだ。政府は式典に務台俊介内閣府政務官を派遣した。第2次安倍晋三政権になってから政務官派遣は5年連続だ。だが、式典に閣僚クラスを出すのを控えること自体、領土主権への侵害に対し、腰を据えた対応になっていない。国際社会は竹島を日本領と認めていたにもかかわらず、戦後、昭和27年1月に韓国の李承晩政権が沿岸水域の主権を示す「李承晩ライン」を一方的に設定し、その中に竹島を含めた。サンフランシスコ平和条約が発効し、日本が主権を回復する直前のことだ。韓国の領土主張に根拠はない。竹島の日も政府として制定し、首相や閣僚が出席することになんら遠慮は不要だろう。首脳会談や外相会談などの機会に、竹島問題をどの程度、韓国側に提起してきただろうか、としている。

昨日の読売と同様の疑問。新しい指導要綱を持ち上げる産経と読売は、これで領土問題はないと言う国との矛盾をどう捉えているのだろう?

Wall Street Journal
FOMC議事録「かなり早期」の利上げ見込む (2017.2.23)

米連邦準備制度理事会(FRB)が22日公表した1月31日・2月1日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、短期金利の「かなり早期」の引き上げが見込まれていることが明らかになった。経済の改善とドナルド・トランプ政権が打ち出す経済政策がインフレを予想以上に早いペースで押し上げる可能性を考慮している。議事録によると、一部のFOMC参加者は「ともすれば次回会合で」利上げを実施するのが適切だと確信していることが明らかなり、早ければ3月14日・15日に開催される次回のFOMCで利上げについて検討する可能性が示唆された。FRB当局者は前回のFOMCで、FF金利の誘導目標を据え置くことを全会一致で決定した。FOMC後に発表した政策声明には、3月の利上げについての手がかりは含まれていなかった。だが、FOMCでは短期金利の引き上げに向けた下準備が進められていた、としている。

ムニューチン氏が財務長官に決まり、就任から1か月の混乱が収束しはじめている。まずは2月末のトランプ氏の議会演説、3月中旬に訪れる債務上限問題が、アメリカ経済に政治が決断を下すイベントだ。その近辺にFOMCが利上げを決断したら、FRBとトランプ政権には緊張の関係に突入するだろう。ただでさえ味方の少ないトランプ政権に、FRBが距離を取ったら、アメリカはさらに分断する。

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