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2895.報道比較2017.2.21

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大統領とケンカしながら、メディアは旨味を享受しているとは。どんどん稼いでくれ。そして、真実を探し求めてくれ。日本のジャーナリズムの実入りはどうなのだろう?

Financial Times
「偽ニュース」時代の新聞、デジタル購読が急増 (2017.2.16)

トランプ時代に入ってから、報道機関はサンドバッグのように叩かれながらも恩恵を享受している。ニューヨーク・タイムズは第4四半期だけにデジタル購読者数を27万6000人増加させた。この伸びは過去最高で、そのほとんどがトランプ氏の当選後に申し込まれたものだ。トンプソン氏はこのデータを用いて、同紙が「経営不振」だとか「フェイク・ニュース(偽ニュース)」を広めていると主張している大統領に反撃を試みた。購読者が「減っている」とトランプ氏がツイートした後に行われた決算発表の電話会議で、「そんなに悪くありませんよ、大統領閣下」と切り返したのだ。紙の新聞の前途が明るくなるとは予想されていない。メディアバイイング会社のマグナグローバルによれば、新聞広告への支出(全世界合計ベース)は2021年にかけて年率8%のペースで減っていくという。デジタルメディアの広告収入は増えているが、紙の新聞への広告出稿の落ち込みを吸収するには至っていない。オンライン広告支出のほとんどが、デジタル広告市場の約3分の2を占めるグーグルやフェイスブックに流れてしまうことがその一因だ。大局的な話をするなら、新聞各紙はデジタル購読者からの収入の増加を加速させる必要がある。ニューヨーク・タイムズは、2020年までにデジタル収入を総額8億ドルにする目標を掲げている。2016年には、デジタルの広告収入と販売収入の合計が4億4200万ドルで、総収入の約28%を占めていた。収入の大部分はまだ紙媒体で得ている計算だ、としている。

興味深い。しかも、キュレーション、SNSのLike、ランキングという、コンテンツの評価指標がことごとくワークせず、世界がFake Newsを社会問題として捉えているタイミング。大統領とケンカしながら、メディアは旨味を享受しているとは。得た利益で、情報の信憑性が増し、アメリカ大統領選挙の時のようなバイアスが支配する報道から脱却して欲しい。
インターネットはコンテンツをホストするが、真実かの指標はまだ持ち合わせていない。私は、この判定もアルゴリズムが行うのが現実的だと思うが、それでもジャーナリズムの存在意義は明白だ。誰かが真実を追わなければ、権力に抗おうとしなければ、真実はたやすくねじ曲がる。どんどん稼いでくれ。そして、真実を探し求めてくれ。

朝日新聞・社説
PKO日報 防衛相の責任は重大だ

南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊をめぐり、防衛省が「廃棄した」としていた日報が見つかった。12年の派遣開始以来、すべての日報が電子データの形で残されていた。稲田防衛相は「隠す意図はなかった」というが、これまでの政府の国会答弁の前提が覆る事態だ。防衛省・自衛隊の情報管理に加え、文民統制の機能不全があらわになった。情報公開請求された昨年7月の日報は、首都ジュバで起きた政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘を生々しく記録していた。そこでは繰り返し「戦闘」という記述が出てくるが、稲田氏らは「戦闘」とは認めず「衝突」と言い換えて答弁してきた。驚いたのは、制服組トップの河野克俊・統合幕僚長が記者会見で、事実上、日報に「戦闘」の言葉を使わないよう部隊を指導したと語ったことである。日報の意義を損なう行為だ。現場の感覚が反映されてこそ、日報の意味がある。そうでなければ、政府として的確な状況判断に生かすことはできない。稲田防衛相の責任は重大だ。真相究明と実効性のある再発防止策を今度こそ、講じる必要がある。そのためにはまず、外部専門家らをまじえた調査委員会の設置は不可欠だ、としている。

一連の稲田氏、防衛省の見解から、いまの日本に自衛隊を派遣する能力はないことが判る。現場や部隊が悪いのではない。統制すべき文民側が、軍に信頼に値する指示を出せていない。こうなると、軍は指示を聞かなくなる。極論すれば、命を賭けて、相手を殺せと言われる仕事だ。下手な指示は、自らの身の危険と、してはいけない戦闘をすることになる。自国の法との帳尻合わせのために、レポートの記載に指示を出す管理者を、あなたは信じるだろうか?これは一般の世界でも、もっとも信じられない管理手法だ。
この事実が、なぜ明らかになったかを考えてみよう。おそらく内部から漏れたのだ。こんなボスなら行きたくないと現場が思いはじめている。どれだけ国会で過半数を持っていようが、国連やアメリカにいい顔をするための根回しをしようが、現場に適切な指示が出せないリーダーは、足場から脆く崩れる。これと同じ風景を3.11で見た。オリンパスで、東芝で、タカタで…何度も同じことを繰り返している。盤石に見える安倍政権だが、現場は背信の様相が露呈している。

毎日新聞・社説
財政の悪化 国会は危機感に乏しい

前半国会の焦点である2017年度予算案は月内にも衆院を通過する見通しだ。歳出規模が5年連続で過去最大を更新し、国債依存度は35%と借金漬けだ。しかも審議入り直前、政府は財政健全化の指標としている基礎的財政収支(PB)の将来試算が悪化したと発表した。本来なら国会論議を通じて健全化に向けた青写真を示すことが必要なはずだ。しかし、政府からは消極的な姿勢しか伝わらない。野党も具体案を欠き、議論は低調だ。国会の危機感が乏しいのではないか。内閣府の試算によると、日本経済が実力以上に成長しても、20年度の赤字は8・3兆円と、昨年7月の試算より3兆円近くも増える。昨年の円高で企業収益が低下し、法人税収などが減ることが主因だ。日銀が金融緩和で長期金利を低く抑えているため、金利上昇という市場の警告機能が働いていない。それだけに財政規律を維持していくには、政治の責任が重いはずだ、としている。

財政で危機感を見せるのは財務省の仕事。大臣は麻生氏。いま、財務省が力を入れているように見えるのは、マイナンバーによるカネの流れの透明化。民主党が埋蔵金があると豪語して政権を取った時に似ている。当時、矢面に立たされたはずの財務省が、今度はどこかに隠した課税逃れがある、次の課税対象をあぶり出せると見込んでいるのだろうが…どうだろう?いまの法のままでは難しいことばかりだろう。どう見積もっても兆の単位の課税は困難なはず。次の消費税議論は2019年10月。あと2年半。予算を組むチャンスは、あと1度だけ。注力する仕事が違う気がする。

産経新聞・社説
敵基地攻撃能力 国民守る方策を決断せよ

北朝鮮の核・弾道ミサイル戦力は現実の脅威である。弾道ミサイル防衛の能力を高めることに加え、敵基地攻撃によって危機を回避する方策を考えるのは当然といえる。安倍晋三首相も1月の国会答弁で、検討に意欲を示した。いかにして国民を守り抜くかは、すべての政治家に課せられた責任だ。意欲を口にするだけでなく、導入を決断し、具体的検討を防衛省自衛隊に指示してもらいたい。北朝鮮が近い将来、米本土への核攻撃能力を持ち、米国の対北姿勢が及び腰になったらどうするのか。自らの抑止力を考えておかなければ、有事の際の対処力は損なわれてしまう。敵基地攻撃能力や、将来的には「敵地攻撃能力」を整えることは日米同盟の抑止力を確かなものとする上でも欠かせないだろう。政府は耳に心地よい言葉として専守防衛を唱えてきた。だが、それでは平和を守りきれなくなっている。現実を国民に正直に説明すべきである、としている。

ついに安倍政権は、防衛のためなら攻撃すると言い出した。ここまで、適切な議論を経て、国民の理解を得たり、誠実な投票を経たものはゼロ。なし崩しで進め、違う論法で選挙を行い、勝てば信任されたと言い切る。過半数を取った国会は強行採決ばかり。これが、国民投票で決まるなら、まだ理解できる。一時の政権が、独自の解釈で勝手に変えている現実を認識した方がいい。

Wall Street Journal
米安全保障担当補佐官にマクマスター氏を指名 (2017.2.21)

ドナルド・トランプ米大統領は20日、バージニア州の陸軍能力統合センターを率いるH・R・マクマスター陸軍中将を国家安全保障担当大統領補佐官に指名したことを明らかにした。トランプ氏はマクマスター中将について、「才能にあふれ非常に経験豊かな人物」だと評した。マクマスター中将は、ちょうど1週間前に同職を辞任したマイケル・フリン氏の後任となる。フリン氏は、駐米ロシア大使と行った会話の内容について、副大統領に誤った情報を伝えたとして批判されていた、としている。

フリン氏の後任のマクスター氏には、マティス氏のような安定を望む。混乱は安全保障がもっとも嫌うことのはず。期待している。

日本経済新聞・社説
懸念を拭えないトランプ政権の1カ月

トランプ米大統領が就任して1カ月がたった。政権幹部の辞任劇があったり、司法と衝突したりするなどごたごた続きだ。やや現実的になった分野もあるが、世界が抱く懸念を払拭するにはほど遠い。職責の重さを自覚し、ふさわしい振る舞いをしてもらいたい。トランプ政権の出だしはあまりに多難である。ギャラップの世論調査によると、目下の支持率は41%。歴代政権の同時期の平均値より21ポイントも低い。イスラム圏の7カ国からの入国制限は連邦高裁で否定された。移民制限を進めるにしても、民族・宗教の対立をあおるようなやり方は好ましくない。来日したマティス国防長官が日米同盟の価値を再確認したことは評価できる。とはいえ、司令塔は誰で、政権全体としてどこへ向かおうとしているのかは、相変わらずよくわからない。歴代の米大統領の回顧録を読むと、酒も遊びも控えなくてはならないかごの鳥の日々への恨み節がよく出てくる。超大国の指導者というのは決して楽しい仕事ではないはずだ。トランプ氏にはまずそれをわかってほしい、としている。

昨日の毎日と同等レベル。1か月の感想をまとめただけでは役に立たない。これなら、また暴走の印象が強まってきた日本の国会を注視して欲しい。

人民網日本語版
中国経済はゆっくりと確実に成長 (2017.2.20)

今月18日、中国国務院発展研究センターの李偉センター長は、北京で行われた「国研シンクタンクフォーラム・新年フォーラム2017」で、「近年、中国の世界経済の成長に対する寄与度は3分の1程度を保っている。発展は自発性が強く、外部からのリスクに対応する条件はこれまでで一番整っている。経済運営における内外部の環境の新たな変化に対応するためのカギは、『自分達のやるべきことをきっちりする』こと。つまり、中国国内の各改革業務を確実に実施することで、それには、供給側の構造改革の深化や不動産在庫・レバレッジの削減、コストの引き下げ、脆弱産業分野の支援などが含まれる」と指摘した。李センターによると、「現在、中国の経済は全体的に安定しており、成長速度が急速に落ちるリスクは非常に低い。そして、ゆっくりと確実に成長を続け、そのクオリティも安定して向上している。今年、中国の経済は予測通りの安定した発展を遂げ、L字型成長における、下降段階を過ぎて、安定して横ばいに進むと見られている。そして、持続可能な中高速成長のための条件を積み、安定し、健全で、持続可能な発展の1日も早い実現を目指す」という、としている。

韓国の事件はブラックスワンかもしれないが、ブレグジットとトランプ大統領誕生は、「ブラックスワン=あり得ない、起こりえないこと」ではない。投票の俎上に乗っている時点で十分に予測可能で、メディアが想定していなかったと騒いでいるだけだ。これはマーケットでは「ファット・テール」と呼び、人知はすでに対策を持っている。

投資の側面なら、いいコラムがある。この筆者は、ブレグジットの3か月前にはリスクとして認識しているし、1以上前にトランプ氏の大統領就任リスクを認識している。

ファットテール・イベントに備えるには 2016/02/01 by eワラント証券

このリスクの中に、中国共産党の一党独裁終焉さえ上がっていることを人民網には知って欲しい。「自分たちのやることをきっちりする」と言葉を濁している間に、世界は中国リスクを折り込んでいる。中国経済の崩壊リスクは、もはやブラックスワンどころか、ファット・テールでさえない。あるのか?ではなく、いつなのか?だ。
ブラックスワンがなぜ恐いのか、それは準備ができていないこととともに、人間の無能さに打ちのめされ、次のリスク・テイクに躊躇する環境ができるからだ。ファット・テールは、恐くはない。大損する人はたくさんいるが、世界はすぐにリスクをコントロールしはじめる。
中国は、なぜ、自身のリスクから目を反らすのだろう?認識すれば制御できるリスクを、あえてブラックスワンに仕向けようとするのは愚かだ。

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