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2893.報道比較2017.2.19

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選挙つづきのヨーロッパに気を取られて、香港はノーマークだった。火種の予感たっぷりだ。あれから3年。中国政府は陰湿な手段しか講じてこなかった。

日本経済新聞・社説
揺らぐ香港の「一国二制度」

香港政府トップである行政長官を決める選挙が、3月26日投票に向けて本格化する。中国政府が香港に約束した「一国二制度」の下での高度の自治が、真の意味で機能しているのか問い直す良い機会である。香港では先に中国に批判的な書籍を扱う銅鑼湾書店の関係者らが次々、連れ去られた。一連の事件が浮き彫りにした香港の法規を無視した越権行為は「一国二制度」の根幹に関わる。それは国際的な信用にも影響しかねない。香港の若者らは奇怪な「連れ去り事件」を目の当たりにし、将来に強い不安を抱いている。中国は今年後半、共産党大会の最高指導部人事を控えている。一連の事件の裏には、中央の権力を巡る闘いがあるとの見方も多い。だからといって香港の高度の自治をないがしろにしてよいはずがない。「一国二制度」は、香港の繁栄が大陸の発展を後押しするとの理念に支えられてきた。香港の自由な雰囲気が消えれば都市の魅力は半減し、世界から資本や人材も集まらなくなる。香港は今後の選挙戦を通じて高度な自治を守る決意を新たにする必要がある、としている。

選挙つづきのヨーロッパに気を取られて、香港はノーマークだったが、これは火種の予感たっぷりだ。予定どおりの結果が出た時に荒れる可能性がある、不穏な前兆。だから中国政府は事前に行動しているのだろうが、逆効果ではないか?フランスの選挙よりも香港に注目したい。

人民網日本語版
海外への資金流出圧力が大幅緩和 外貨管理局データ (2017.2.18)

国家外貨管理局が17日に発表したデータによると、今年1月には銀行の外貨取引で売買の差額の赤字額が縮小し、非銀行部門の外貨の対外取引での差額の赤字額も減少した。同局の報道官は、「2017年になってから、中国の海外への資金流出圧力が大幅に緩和された」との見方を示した。同報道官は、「最近の中国の外貨需給における積極的な変化は多方面にわたる。まず、市場主体の売却意欲が回復し、購入意欲が減退している。1月には海外での外貨収入における銀行の顧客の外貨売却の割合は62%で、前月比4ポイント上昇した。また海外での外貨支出における銀行顧客の外貨購入の割合は71%で同3ポイント低下した。次に、企業の海外での外貨建て融資の規模が緩やかに上昇し、国内の外貨建て貸出の償還規模がさらに低下した。国内の主体の外貨購入ニーズがより安定に向かった。たとえば、1月の企業の対外直接投資の資本金による外貨購入は同8%減少し、投資収益による外貨購入は同20%減少した。個人での海外旅行や海外留学を中心とした旅行項目での外貨購入は同28%減少した」と述べた、としている。

ずっと悩んでいた外貨準備の減少につながる資金流出が止まったなら、ポジティブなニュースだ。なぜ?要因は内需拡大だけだろうか?人民元が年明けから急騰した。トランプ政権に配慮した介入とも言われていたが、この統計の元になる対策だろうか?金融だけで国家の経済は変わらないだろう。日本もだが、中国に求められているのは本質的な構造改革だ。本当に内需型の経済に移行できているなら、日本は早々に中国との付き合い方を軌道修正すべきだ。今以上に大きい、付加価値を求める成熟したマーケットに成長する。

Wall Street Journal
金正男氏の死が意味する真の危険 (2017.2.15)

緊急ニュースの第一報は誤報であることも少なくない。北朝鮮に関することならなおさらだ。しかし、金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏(45)がマレーシアの空港で毒殺されたとのニュースは注目すべきだ。正男氏は数少ないながらも海外から発言し、北朝鮮の体制を批判していた。2011年には日本の新聞に対し、「北朝鮮は改革と開放に関心を持つべきだ。今の道を進めば経済大国にはなれない」と語り、貧困にあえぐ北朝鮮と成功を手にした中国を比較した。また世襲制についても批判し、「社会主義の理念とは合わないし、父も反対だった」と話していた。中国は金正恩体制が崩壊した際には「金正男体制」を作ろうとしていたとの観測もあった。このことを証明する十分な事実はない。しかし正男氏がマレーシアで暗殺されたとすれば、正恩氏が同氏を問題視していたことは十分に裏付けられよう。ドナルド・トランプ米大統領は対北朝鮮政策の見直しに着手したとしているが、ぎりぎりのタイミングだと言えるだろう。正男氏がなぜ、どのようにして殺害されたのかは別にして、米国や同盟国は北朝鮮でのクーデター発生や核攻撃などのシナリオに備えた計画を持っておく必要がある、としている。

産経新聞・社説
北とテロ対策 緊張欠く審議を憂慮する

北朝鮮は、金正恩朝鮮労働党委員長の兄、金正男氏をマレーシアで殺害した。国際社会の反発を無視して核兵器やミサイルの開発も続けている。歯止めのきかない独裁体制の暴発を、強く懸念する。これに対して国内のテロ対策は、あまりに緊張感を欠いている。「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐる国会審議が遅々として進まない。法改正は、国連が国際社会でテロと対峙するために採択した「国際組織犯罪防止条約」批准の条件として求められたものだ。すでに180カ国以上が締結している。安倍晋三首相は国会審議で「条約を締結できなければ東京五輪を開催できないと言っても過言ではない」と述べた。警戒対象はイスラム過激派だけではなく、アジアを舞台にテロ事件を繰り返してきた北朝鮮も当然、含まれる。法の新設は、いわばテロ対策の入り口である。法があればテロが起きないわけではない。成立した法をいかに運用して、国民の命を守るかが問われるのだ。周囲を取り巻く安全環境の悪化と審議のもたつきぶりが、別世界のように乖離している。国会中継を平静な気持ちで見ることができない、としている。

読売新聞・社説
日米韓外相会談 対「北」国際圧力を強化せよ

北朝鮮の暴走を止めるため、国際社会の圧力を一層強めねばならない。その先頭に立つべきは、日米韓3か国である。岸田外相がドイツでティラーソン米国務長官、韓国の尹炳世外相と会談した。12日の北朝鮮の弾道ミサイル発射について「最も強い表現で非難」する3か国共同声明を発表した。北朝鮮は、米本土に到達する弾道ミサイルの完成に近づいているとの見方がある。米国は危機感を持ち、軍事的な圧力を強める構えで、安倍首相は「米国の姿勢はより厳しくなる」と指摘する。岸田氏は中国の王毅外相との会談で、「責任ある安保理常任理事国として、建設的な対応を求める」と述べた。石炭輸入制限など、厳格な制裁実施を求めたものだ。王氏は「中国は決議をきちんと履行している」と反論した。しかし、北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止できなかった要因の一つは、中国の従来の制裁実施が不完全だったことにある。中国は、その点を深刻に受け止め、北朝鮮に対する働きかけにもっと本腰を入れるべきだ、としている。

Wall Street Journalさえ、このレベル。北朝鮮対策は、アメリカを含めて、どの国の政治もメディアも無策のままだ。今回の暗殺を見て、北朝鮮の体制や圧力の話をしている場合だろうか?平然と、海外で、狙った人物を公共の場で計画的に殺した。ならば北朝鮮は、どの国にでも入り、テロで国家を混乱に陥れることもできる。外相が逢って危機感を共有?何年前からまるで効かない圧力に頼っているのだろう?リーダー不在の韓国と議論する意味があるのだろうか?北朝鮮はアメリカの政治空白をうまく利用している。
いまのトランプ氏が最高司令官のアメリカが、北朝鮮に実力行使できる戦略がつくれるだろうか?100%ノーだ。側近が1か月でクビになり、未だにメンバーも揃わないホワイトハウス。大統領令は出すたびにアメリカの価値を下げている。見えない分断は、目に見える分断に悪化した。もはやアメリカの政治とメディアの断絶は修復困難だろう。これで戦争が起きた時、的確な情報は届くのだろうか?国家安全保障を担当する省庁と大統領が対立しているのだから、さらにアメリカの分断は致命的だ。
もし、北朝鮮が動いて、アメリカの意思決定が不完全だと判明したら、ロシアと中国は確実に後を追う。Wall Street Journalはずいぶん悠長だ。

朝日新聞・社説
米政権1カ月 混乱深めたトランプ流

政権の混乱は深まる一方だ。トランプ大統領のみならず、側近らの軽率さが目に余る。国家安全保障担当の大統領補佐官は、就任前に駐米ロシア大使と対ロ制裁について協議していた疑惑が発覚、辞任した。大統領と閣僚、高官同士の発言がしばしば食い違うのも問題だ。ロシアを「脅威」とするマティス国防長官に対し、トランプ氏はプーチン大統領を「尊敬している」と繰り返す。混乱の源はトランプ氏自身の政治手法にある。環太平洋経済連携協定(TPP)離脱、メキシコ国境への壁建設、中東・アフリカ7カ国からの入国一時禁止などの大統領令を矢継ぎ早に繰り出した。国内雇用の保護、移民の規制、テロ対策など選挙中の公約をただちに実行に移し、指導力を印象づける狙いだろう。だが、自由貿易体制を後退させるリスクや、隣国関係への悪影響、現場の混乱や憲法に抵触する恐れなど、中身の吟味が尽くされた形跡はない。トランプ氏は、当選の日に語った初心から出直すべきだ。もちろん政権をチェックする議会やメディアの役割はますます重い、としている。

就任から1か月の区切りをネタにしたのは朝日のみ。それだけトランプ氏の求心力には魅力がなくなっている証拠だろう。朝日の主張もカレンダーを見て反省した程度で、内容は薄い。メディアの役割の重要さを指摘するほどの責任感は、朝日自身にはない。

毎日新聞・社説
原賠法見直し 被害者の救済最優先で

原発事故を起こした電力会社に、無制限で賠償責任を負わせる「無限責任」制が、維持されることになった。原子力損害賠償法の見直しを検討している内閣府原子力委員会の専門部会で、方針がまとまった。妥当な結論だと言えるだろう。ただし、無限責任制では、電力会社に損害賠償の原資をどう確保させるかが大きな課題だ。福島第1原発事故では、東電の負担能力を超える巨額の賠償費が発生し、同社は実質国有化された。原発事故の被害者を確実に漏れなく救済することが、原賠法の最大の理念である。救済にあたって国が果たすべき責任を、法改正で明確に位置付けるべきだ。政府は福島第1原発事故後、新設した原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて東電に賠償費用を融資、東電と大手電力会社が協力して返済する仕組みを作った。政府は、新たな事故が起きた場合も原賠機構を活用する方針だが、電力自由化で、この仕組みも揺らいでいる。電気事業法改正で、電力会社は国に届け出るだけで事業の廃止や解散ができるようになった。事故を起こした電力会社が法的整理を選択することもあり得る。損害賠償の主体がいなくなるのだ。政府が救済の最終責任を負うことも含め、対応策を準備しておく必要がある、としている。

政治も、毎日新聞自身も、電力会社も、言うほどには本質的な責任を誠実に果たす気はない。久しぶりに、無責任な大人の姿勢が全面に出ている。
政治がなぜ無限責任に行き着いたかといえば、単純に人気取りだ。次のエネルギー政策も見えないから電力関連の法案の策定でも主導権を握れない。電力会社も本気で電気で事業を営む気などない、カネになりそうだからと蠢くプレーヤーが算入している。利益が出なくなれば事業譲渡して廃業すればいい程度の意志しかない。数年後には、携帯電話の会社がいつしか3社になったように淘汰が進むだろう。毎日は知りながら正論めいた主張で取り繕っている。情報をリリースから得た程度で日曜の社説を埋めるだけの発想しかない。
バブル崩壊後の日本がやっている経済活動が、ほぼこの流れに沿っている。意図的にトレンドをつくり、国策として法ができると、こぞって算入するが、後片づけもせずに去っていく。関わる間の日銭で食えるが、終わった後に残るものはない。作っては壊すのを繰り返すだけ。手法も一緒だから、学ぶことさえない。これをITと親和性を高めるような表現をされるのが、ずっとITに関わっている身としては腹立たしい。この手法から脱却して欲しい。

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