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2891.報道比較2017.2.17

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シェアリング・エコノミーの規制緩和に異様にこだわる日経。私はITで育ち、リベラルだと思うが、今のシェアリング・エコノミーは破壊だけだと感じている。間違いだろうか?

日本経済新聞・社説
自治体による民泊の規制は最小限に

個人住宅の空き部屋などに旅行者を有料で宿泊させる「民泊」について、政府や自民党に、自治体が独自に条例を定め稼働日数を制限できるようにしようという動きがある。民泊は観光地としての魅力を高め、個人の持つ資産の活用にも道を開く。営業日数などの規制は最小限にとどめるべきだ。旅館業界は民泊の合法化にかねて反発しており、解禁する場合でも稼働日数を短く制限すべきだと主張してきた。仮に自治体が上限をゼロ日と定めれば、一部の特区を除き、その地域での合法的な民泊はできなくなる。有名観光地などで民泊が事実上、不可能になる事態も考えられる。仮に自治体による営業日数の制限を可能にするとしても、規制は最小限にとどめてはどうか。既存の業界を保護するために新サービスの芽を摘むとしたら、長い目でみて地域の活力をそぐことにつながりかねない。民泊をはじめ、個人の資産や技能を多くの人と共有し生かす「シェアリングエコノミー(共有型経済)」が各国で広がっている。外国人観光客の誘致も、アジアなどの経済成長を国内に取り込むのに有効だ。民泊という新しい文化をうまく生かしたい、としている。

日経はずっとシェアリング・エコノミーを推奨している。私は、今のビジネス・モデルをシェアリング・エコノミーと呼ぶなら、危険だと毎回、懸念を書いている。

報道比較2016.10.8
報道比較2016.2.29
報道比較2015.12.1

インバウンド、タクシーの規制緩和、ライド・シェアの話題が出ると、いつもシェアリング・エコノミー称賛論が出るが、私は、いつもMP3の時のNapsterと表現して、iTunesのようなルールを遵守したフェアなルール・チェンジャーの登場を期待している。時代の変移を説くなら、ルール違反を許容するのではなく、新しいルールの魅力を説いた上で、今ある規制に則ったビジネスをしている人たちに、新しいルールへの移行を促すべきだ。今のAirBnBやUBERの現時点でのビジネス・モデルは、それではない。危ういところ、利益が低い部分は回避して、法に触れない準備を周到に行っているに過ぎない。本質的な変革は、それでは成立しない。
それは、他のシェアリング・エコノミーでも同様だ。フィンテックは海外送金やクラウド・ファンディングに期待しているが、為替やマネーロンダリング、投資法、税…それらを意識もせずに擬似通貨を使えば問題は回避できると思っているなら、完全に誤解だ。なぜ法があるかといえば、過去に問題が発生し、悪意が入り込む隙があったからだ。ITを使えばそれらの問題がなくなると日経が考えているなら、私は浅はか過ぎると心配になる。現時点でも問題が起きている民泊を、これ以上規制緩和してでも進める理由が判らない。

産経新聞・社説
拉致問題 日米共闘で全員救出迫れ

安倍晋三首相とトランプ大統領による日米共同声明には「両首脳は、拉致問題の早期解決の重要性を確認した」とする文言が盛り込まれた。日米首脳間の文書では初めてのことだ。これを拉致問題の解決へ向けた一歩としたい。北朝鮮は昨年2月、拉致被害者の再調査を約束した「特別調査委員会」を解体すると一方的に表明した。以来、目に見える事態の進展は、何一つない。米国ではユタ州出身の大学生、デービッド・スネドン氏が2004年、中国雲南省で行方不明となり、その後、北朝鮮の工作員に拉致されたとの情報が明らかになった。昨年9月には米下院が、米政府に本格的にこの件を調査するよう求める決議を採択した。米国も拉致問題の当事国である。共闘の理由は、ここにもある。拉致被害者の家族会は、06年にワシントンでブッシュ大統領と、14年には東京でオバマ大統領と面会し、解決への協力を訴えた。トランプ氏にも、怒りを共有してもらいたい、としている。

トランプ氏が拉致問題まで包括した共同声明に合意したとは知らなかった。この声明後、早々にミサイルが飛んでトランプ氏は慌てたことだろう。
本気で解決したいなら、アメリカ人の拉致被害者を探すことだ。日本人だけが拉致されている可能性は低い。アメリカ人が拉致されていれば、通常なら軍、特殊部隊を使ってでも取り返すのがアメリカだ。その手間を避けるためにアメリカ政府が公式にしていない可能性さえある。トランプ氏はそういう計算はしないタイプだ。北朝鮮が求めているのも対話のはず。産経のような戦闘的な発想にならなければ、少なくとも交渉は進む気がする。

人民網日本語版
米空母艦隊南中国海諸島周辺海域に進入との報道に対する中国の反応 (2017.2.16)

米海軍は航空母艦カール・ヴィンソン率いる艦隊を南中国海に向けて派遣する準備をしており、航行の自由を確保する準備を進め、同艦隊が南中国海諸島の周辺海域に進入する可能性があると、このほど報道された。これに対し、中国外交部(外務省)の耿爽報道官は15日の定例記者会見で、中国は各国が国際法に基づき南中国海で享有する航行と上空飛行の自由を尊重し、維持する一方で、航行と上空飛行の自由を名目として中国の主権と安全を損なおうとするいかなる国に対しても断固として反対するとの見方を示した。また耿爽報道官は、「現在中国とASEAN加盟国が共に努力した結果、南中国海情勢は安定して、望ましい、積極的な方向に発展しつつある。我々は域外国も中国とASEAN加盟国の努力の結果を尊重することを希望し、共にこの積極的な情勢を維持し、堅固していくことを希望する」とした上で、「中国も米国が南中国海地域の平和・安定維持に向けた域内各国の努力を尊重し、中国の主権と安全に挑むような行動をとらないように促す」とした、としている。

中国の冷静な反応は、トランプ氏との首脳会談でコミットメントを得たからだろう。言動に余裕が見える。アメリカにとっても欲しかった平静のはず。悔しいのは安倍政権くらいか?日本人も大半は平和を望んでいると中国には知って欲しい。

Wall Street Journal
米国務省、3月3日以降の難民受け入れ凍結 在外大使館に通達 (2017.2.17)

働く人の健康を確保するため、残業に一定の制限を設けることは妥当だ。ただ、働く時間の配分を本人にゆだねた方が生産性が上がる業務の場合は、そもそも労働時間への規制がなじみにくい。柔軟に働ける労働時間制度の整備も忘れないでもらいたい。政府の残業規制案は、仕事が集中する時期には月60時間を超える残業も認めるが、年間では720時間以内に収めることを義務づける。忙しい時期は2カ月の平均で月80時間を超えないようにすることなどを検討する見通しだ。仕事の繁閑に対応するため残業の上限を弾力的に定めるのは適切だろう。上限をどうするか、政労使で議論を深めるべきだ。厳格な労働時間の管理は、工場労働を念頭に戦後に設けられた仕組みだ。働く時間が長いほど生産が増える工場労働には、時間に応じた賃金の支給が適している。だが、時間で成果が測れないホワイトカラーにはそぐわない。時間でなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度は、独創性や企画力で勝負するホワイトカラーなどの生産性向上を促す。この制度の創設を盛り込んだ労働基準法改正案を政府は国会に提出済みだが、本格審議は見送られ続けている。成立を急ぐべきだ、としている。

入社したばかりで、まだ経験を習得している時期は、時給型の業務が有効で、経験が活かされる段階や、即戦力採用された人材、管理職は、むしろ時間の制約は成果を束縛する。ただそれだけのことだ。ならば法が定めることは、人としての最低レベルの労働時間を規定し、破った際の罰則は刑法に相当するものにする。各社員に必要なら選択制としての条件を提示する。その程度で十分だ。後は各社が人材に適切な選択をさせているかの監督と、労働者にふたつの働き方の選択のあり方を学ばせる。税制のようなスタイルでもいいし、社会保障にしてもいい。すべてを法にしようとするから審議が進まないし、すべての雇用者を対象にしようとするから法にできない。何年もそんな議論をしているが、その間に過労死で犠牲者が増え、社会のニーズも子育てから介護に、リストラから長期雇用へと変異している。今の行政のスピードでは、永遠に問題を法がキャッチアップできそうもない。公務員に支払っている給与の生産性は、著しく低いだろう。無駄な議論を止めさせるべきだ。

産経新聞・社説
金正男氏暗殺 恐怖政治の限界に備えよ

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が、マレーシアの空港で暗殺された。正恩氏は、実力者とみなされていた叔父の張成沢氏ら幹部を相次ぎ粛清した。それを主導した金元弘国家保衛相が先月失脚し、多くの同省幹部も処刑されたという。恐怖政治による体制維持はこれ以上、可能なのか。国際社会は重大な警戒心を持ち、さらなる暴走や崩壊に備える必要がある。核・ミサイルの脅威と直面する日本と米韓両国のより強い結束が欠かせない状態に入っていることを認識したい。中国の役割も当然大きい。中国はかねて、正男氏を通じて北朝鮮に「改革開放」を働きかけようとしていたのではないか。正男氏を保護してきたのも、そのためだったろう。さらなる制裁などで北朝鮮に圧力をかける必要性が高まっている。中国も足並みをそろえ、地域の平和と安定に努めるべきだ、としている。

力を入れている朝鮮半島に関する話題で盛り上がっているが、何の主張をしているつもりだろう?起きている現実に慌てているようにさえ見える。拉致問題を的確に伝えた地道な努力のような姿勢がまったく見えない。

人民網日本語版
日米の釣魚島・南中国海に関する言論に中国は断固反対 (2017.2.14)

中国外交部(外務省)の耿爽報道官は13日の定例記者会見で、中国は日米の共同声明の釣魚島や南中国海に関わる言論に強い懸念と断固反対を表明するとした。、としている。中国側は日米の関連する言論に強い懸念と断固反対を表明する。釣魚島及びその付属島嶼は中国固有の領土だ。誰が何を言おうとも、何をしようともこの事実を変えることはできない。また、南中国海問題に関する中国の立場は一貫しており、明確だ。中国は南中国海諸島及びその周辺海域に対して争う余地のない主権を有する。中国は自国の島や礁で建設活動を行っているのは完全に中国の主権範囲内のことであり、軍事化とは関係がない、としている。

日本の文部科学省は、この中国政府の意見を、新たな指導要綱でどう説明するつもりだろう?

Wall Street Journal
トランプ政権、オバマケア見直しまでの暫定規則を提案 (2017.2.16)

米国務省は在外大使館に対し、今後の難民受け入れペースを減速させ、3月3日をもって一時的に凍結するよう通達した。ドナルド・トランプ米大統領による先月の大統領令で設定された年間5万人の受け入れ上限に近づいていることを受けた措置。米政府関係者が明らかにした。中東の米国大使館関係者は、最終手続きを待っている難民の渡米を3月3日をもって即時停止するよう、国務省人口・難民・移住局から14日に通達を受けたと述べた。通達によると、これまでに受け入れられた難民の数は、トランプ大統領の定めた2017年の上限に近づいている、としている。

この状況を作りたいだけなら、入国禁止の拒絶反応はトランプ氏には無駄なだけだった。だが、望むのだろう?戦争でもしたがっている?ゴールドが奇妙なほど値を上げているのも、中東には挑発的な発言を止めないのも、違和感が大きい。トランプ氏の胸中に今まで見せなかった邪心が生まれはじめている。

朝日新聞・社説
米国と中東 「2国家」が和平の道だ

中東地域の紛争の根源にあるのは、イスラエルとパレスチナの歴史的な対立である。トランプ米大統領はその転換も辞さない発言をした。イスラエルのネタニヤフ首相との会見で、「2国家共存と1国家を検討している。双方が望む方でいい」と述べた。パレスチナ側やアラブ諸国と綿密な調整をした様子はない。世界の安全保障にも直結する中東政策について、唐突に変更を口にするのは軽率に過ぎる。さらに憂慮されるのは、米国大使館の移転計画だ。米国をはじめ多くの国は、イスラム教の聖地でもあるエルサレムをイスラエルの首都と認めてこなかったが、これもトランプ氏は変更しかねない。トランプ政権は、テロ対策に力を入れると強調するが、パレスチナ問題が放置される限り、国際テロは根絶できない。世界と米国の安定のためにも、米国は2国家共存の道に立ち戻り、公正な仲介役を果たすべきである、としている。

読売新聞・社説
金正男氏殺害 「北」恐怖政治の残虐さ強まる

マレーシアのクアラルンプール国際空港で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が殺害された。地元警察が、容疑者として女2人を逮捕した。マレーシア政府は、死因は不明と発表したが、韓国政府は、北朝鮮の工作機関が毒殺したとの見方を示した。事実とすれば、マレーシアの主権を侵害する重大な国家犯罪であり、許し難い。韓国情報機関によると、金委員長が最高指導者となった5年前から、工作機関は暗殺指示を継続的に受けていた。かつて、正男氏が「3代世襲には反対だ」と語ったことがメディアで報じられた。金委員長は正男氏を体制の潜在的脅威とみなし、除去を図ったのではないか。強引な国内引き締めに、エリート層の反発が強まっている。昨年夏には駐英公使が韓国に亡命したほか、昨秋には北京の北朝鮮代表部に所属する保健省出身幹部の亡命が判明した。北朝鮮の体制が変動する場合は、正男氏が金委員長の後継候補になり得ると考えて、庇護下に置いていたとすれば、殺害されたのは中国にとっても誤算だろう、としている。

この手の話題は、社説で語るには相当な配慮がいるはず。偏った考えでは論理破綻するし、歴史とともに、直近の空気にも配慮がいる。日本の報道は「べき」と正論を説くことに力を注いでいるようだが、読んで納得させられたこともなければ、誰かに有益に機能しているとも思えない。学習の糧にするには情報が足りないし、新たな発想も取材による新発見もない。
海外の事例を参考にして欲しい。海外がこういう話題を社説(オピニン)として伝える時は、

  • いくつかの考え方を提示する。ひとつのコンセプトに固執しない。
  • 「べき」で指針を示す時は、そのべきを行った際のメリット、行わなかった際のデメリットを提示する。

という視点を採って欲しい。今の社説スタイルは、役に立たない説教になっている。しかも、中身が薄い。

毎日新聞・社説
稲田防衛相 省内を統率しているか

南スーダンの国連平和維持活動(PKO)をめぐり、稲田朋美防衛相の答弁の揺らぎが目立つ。民進党など野党4党は、稲田氏の辞任を要求する方針で一致した。防衛省は、南スーダンで昨年7月に起きた武力衝突の状況を、陸上自衛隊の派遣部隊が記録した日報を公表した。「戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘が確認される」など生々しい様子が伝わってくる。稲田氏の答弁は、憲法9条との関係が問題視されないよう、戦闘を武力衝突と言い換えていると受け取られかねないような内容だった。稲田氏が答弁に窮し、安倍晋三首相が引き取ってその場を収めることもたびたびある。防衛相の答弁が安定性を欠くようでは困る。防衛省は、日報の情報公開請求を受け、当初は廃棄を理由に不開示にしたが、自民党議員から再調査を求められると、一転して電子データが残っていたとして、開示した。電子データが残っていたことがわかった後、稲田氏に報告されるまで1カ月もかかったのは理解に苦しむ。稲田氏が省内を統率し、情報が迅速に報告される体制をとっていないことに原因があるのではないか、としている。

防衛省とは、国防の意味で極めて重要なポストに思えて、大臣はお飾りでいい、政府の伝言役を担える従順な人材を置いているのだろうか?安倍政権で大臣に能力不足と批判が出たのは珍しい。大臣が答えられない答弁を首相がするのは異常な状況だ。これは、南スーダンへの派遣の決定は相当に安倍氏個人の思惑が強かったことを意味している。もし致命的な事件が起きた時、責任は稲田氏だけでは済まなくなるだろう。

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