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2890.報道比較2017.2.16

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東芝に厳しい社説を書かない読売。利害関係のリトマス反応で、一紙だけ違う色になった印象。

朝日新聞・社説
東芝巨額損失 再生へうみ出し切れ

東芝が原発事業で約7千億円の損失を公表した。子会社の米ウェスチングハウス(WH)が受注した原発で、建設費が大きく膨らむのが主な原因だ。原発部門では、海外の建設工事から撤退する。損失を穴埋めするため、「虎の子」の半導体事業を切り売りする。経営責任は重い。原発部門を率いた志賀重範会長が辞任したのは当然だ。ただ、問題の根源は巨費を投じた06年のWH買収にある。歴代経営陣の責任も改めて問われる。東芝は、株主や従業員、取引先に加え、社会にも重い責任を負っている。特に、福島第一原発の廃炉をはじめ、多くの原発で安全管理を担っている。福島第一の事故後、原発の安全規制が国内外で強化され、建設費は膨らむ傾向にある。東芝が、リスクが高まっている原発事業を縮小するのは当然の経営判断だろう。それでも、安全の確保に必要な人材や技術を保ち、メーカーとしての責任を果たさなければならない、としている。

毎日新聞・社説
東芝の経営危機 1カ月で打開できるか

東芝は最終(当期)赤字4999億円など決算の見通しを示したが、経営への不信が増し15日の株価は大幅に下落している。あと1カ月で直面するいくつかの問題の解決策を見いだしたうえで、再建の明確な道筋も示さなくてはならない。14日の発表は本来、経営への疑念を払拭する場だった。米国での原子力事業で被った7000億円以上の巨額損失の原因や経営陣の責任の有無、債務超過対策のための半導体事業の分社化、銀行の支援姿勢などについて、説得力のある説明をしなくてはならなかった。東芝は、歴代3社長が引責辞任に追い込まれた2年前の不正会計問題でも、発表の延期を繰り返した経緯がある。海外子会社まで目が届かなかったというだけでなく、事態収拾策の段取りもおぼつかないようでは信用の低下は止められない。決算発表延期という異常な事態を通じて明らかになったのは、企業内部を統制する力のなさだ。それを取り戻し、出直しに向けたスタートを切れるか。時間は1カ月しかない、としている。

昨日の日経の指摘のタイミングで、2本目の社説にこの東芝の話題を選んでいたの産経。読売だけが、まだスルーしている。この不自然な足並みを見ると、東芝とメディアには強い利害があり、政治との関係、特に現政権の自民党とは近いのだろう。政治との関係が近いほど、既得権から得た利益の分だけ、マーケットや消費者は東芝から離れる。もちろん政府からも。

読売新聞・社説
子育て介護提言 人口減克服へ将来の不安拭え

読売新聞社は「安心の子育て・介護」に向けた提言をまとめた。子育てや介護の支援を強化し、仕事と両立できる環境を整備することが主眼である。女性や高齢者の活躍を後押しする。多様な人材の登用は、企業活動のイノベーションを促し、生産性を高める。家計に余裕が生じ、将来不安が軽減することで、消費が拡大し、経済が活性化する。出生率の向上にもつながろう。最優先課題は、保育所に入れない待機児童の解消である。潜在需要も含めれば、9万人に上る。提言は、「カギは1~2歳児保育だ」と訴える。待機児童の7割を占めるこの年齢層の受け皿を大幅に増やすべきだ。3~5歳児向けの幼稚園を、保育所と一体化した「認定こども園」に移行させるのは、有効な手段だ。主に専業主婦世帯の子供が通う幼稚園は、少子化と共働きの増加で定員割れが目立つ。移行に向けた財政支援の強化が求められる。高齢化に伴い社会保障費は膨張を続けている。社会保障・税一体改革は、消費増税の延期で枠組みが揺らいでいる。給付の効率化と能力に応じた負担の推進を軸に、練り直す必要がある。財政の赤字と対照的に、家計の金融資産は1700兆円を超え、半分以上が現預金だ。企業の内部留保も378兆円に上る。「眠れる資金」を活用できないか。活力ある社会を築くため、あらゆる手立てを尽くすべきだ、としている。

東芝の話題を避けただけでなく、読売は社説が自紙広報の場になっている。提言内容は政治がすでに提案したようなものばかりで新鮮味はゼロ。これで有識者も集めて導いた解だという。

安心の子育て・介護へ官民の力結集…読売提言 by 読売新聞

力を注ぐ場所を、完全に間違っている。

日本経済新聞・社説
柔軟に働ける制度づくりも忘れずに

働く人の健康を確保するため、残業に一定の制限を設けることは妥当だ。ただ、働く時間の配分を本人にゆだねた方が生産性が上がる業務の場合は、そもそも労働時間への規制がなじみにくい。柔軟に働ける労働時間制度の整備も忘れないでもらいたい。政府の残業規制案は、仕事が集中する時期には月60時間を超える残業も認めるが、年間では720時間以内に収めることを義務づける。忙しい時期は2カ月の平均で月80時間を超えないようにすることなどを検討する見通しだ。仕事の繁閑に対応するため残業の上限を弾力的に定めるのは適切だろう。上限をどうするか、政労使で議論を深めるべきだ。厳格な労働時間の管理は、工場労働を念頭に戦後に設けられた仕組みだ。働く時間が長いほど生産が増える工場労働には、時間に応じた賃金の支給が適している。だが、時間で成果が測れないホワイトカラーにはそぐわない。時間でなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」制度は、独創性や企画力で勝負するホワイトカラーなどの生産性向上を促す。この制度の創設を盛り込んだ労働基準法改正案を政府は国会に提出済みだが、本格審議は見送られ続けている。成立を急ぐべきだ、としている。

入社したばかりで、まだ経験を習得している時期は、時給型の業務が有効で、経験が活かされる段階や、即戦力採用された人材、管理職は、むしろ時間の制約は成果を束縛する。ただそれだけのことだ。ならば法が定めることは、人としての最低レベルの労働時間を規定し、破った際の罰則は刑法に相当するものにする。各社員に必要なら選択制としての条件を提示する。その程度で十分だ。後は各社が人材に適切な選択をさせているかの監督と、労働者にふたつの働き方の選択のあり方を学ばせる。税制のようなスタイルでもいいし、社会保障にしてもいい。すべてを法にしようとするから審議が進まないし、すべての雇用者を対象にしようとするから法にできない。何年もそんな議論をしているが、その間に過労死で犠牲者が増え、社会のニーズも子育てから介護に、リストラから長期雇用へと変異している。今の行政のスピードでは、永遠に問題を法がキャッチアップできそうもない。公務員に支払っている給与の生産性は、著しく低いだろう。無駄な議論を止めさせるべきだ。

産経新聞・社説
金正男氏暗殺 恐怖政治の限界に備えよ

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が、マレーシアの空港で暗殺された。正恩氏は、実力者とみなされていた叔父の張成沢氏ら幹部を相次ぎ粛清した。それを主導した金元弘国家保衛相が先月失脚し、多くの同省幹部も処刑されたという。恐怖政治による体制維持はこれ以上、可能なのか。国際社会は重大な警戒心を持ち、さらなる暴走や崩壊に備える必要がある。核・ミサイルの脅威と直面する日本と米韓両国のより強い結束が欠かせない状態に入っていることを認識したい。中国の役割も当然大きい。中国はかねて、正男氏を通じて北朝鮮に「改革開放」を働きかけようとしていたのではないか。正男氏を保護してきたのも、そのためだったろう。さらなる制裁などで北朝鮮に圧力をかける必要性が高まっている。中国も足並みをそろえ、地域の平和と安定に努めるべきだ、としている。

力を入れている朝鮮半島に関する話題で盛り上がっているが、何の主張をしているつもりだろう?起きている現実に慌てているようにさえ見える。拉致問題を的確に伝えた地道な努力のような姿勢がまったく見えない。

人民網日本語版
日米の釣魚島・南中国海に関する言論に中国は断固反対 (2017.2.14)

中国外交部(外務省)の耿爽報道官は13日の定例記者会見で、中国は日米の共同声明の釣魚島や南中国海に関わる言論に強い懸念と断固反対を表明するとした。、としている。中国側は日米の関連する言論に強い懸念と断固反対を表明する。釣魚島及びその付属島嶼は中国固有の領土だ。誰が何を言おうとも、何をしようともこの事実を変えることはできない。また、南中国海問題に関する中国の立場は一貫しており、明確だ。中国は南中国海諸島及びその周辺海域に対して争う余地のない主権を有する。中国は自国の島や礁で建設活動を行っているのは完全に中国の主権範囲内のことであり、軍事化とは関係がない、としている。

日本の文部科学省は、この中国政府の意見を、新たな指導要綱でどう説明するつもりだろう?

Wall Street Journal
トランプ政権、オバマケア見直しまでの暫定規則を提案 (2017.2.16)

米ドナルド・トランプ政権は15日、医療保険制度改革法(通称オバマケア)の見直しについて共和党が統一した計画を策定するまでの一時的な包括案を公表した。同法に基づいて個人に医療保険を提供している「エクスチェンジ」市場の崩壊を防ぐためだ。提案された規則は保険会社に一層多くの誘因と確実性をもたらす狙い。保険会社は雇用主を通じて医療保険に加入していない個人を対象とする保険プランをエクスチェンジで提供するかどうかを春までに決定する必要がある。トランプ政権がこうした規則を提案した背景には、共和党がオバマケアの撤廃・置き換えについての計画をまとめる前に保険会社がエクスチェンジから脱退しかねないとの警戒感がある。保険会社が相次いでエクスチェンジから引き揚げれば多数の消費者が医療保険を失い、2018年11月の中間選挙で共和党に逆風が吹く可能性がある、としている。

トランプ政権も、オバマ・ケアの廃案にはまともな政治で挑んでいる。共和党と心中する気はないようだ。すべての大統領令が、これくらいの思慮の後で動いていれば、混乱は少なかっただろう。トランプ政権も学んだということだろうか?

Financial Times
ギリシャと欧州、真実を語れないことが招く危機 (2017.2.13)

IMFはギリシャ経済の最新調査で、「公的債務は2015年末に(国内総生産=GDP=比)179%に達し、持続不能だ」と述べた。欧州の人間は、そのような露骨な物言いに慣れていない。ドイツ人は抗議した。欧州委員会も抗議した。ギリシャ人も抗議した。彼らは皆、もうしばらくの間、ギリシャの債務の持続可能性のおとぎ話を続けることを望んでいる。どうして、こんな事態に至ったのか。2015年7月、欧州連合(EU)とギリシャは第3次救済に同意した。ギリシャの債務の持続可能性は、明らかに実現不可能な前提に基づいていたわけだ。ギリシャは3.5%のプライマリーバランスの黒字達成から遠く離れているだけではない。絶対に達成することはないのだ。もう1つ、語られていない真実は、ドイツは決してギリシャの債務を減免しないということだ。なぜなら、ドイツ議会がそれを受け入れず、9月の選挙後には、ギリシャ債務の減免に反対する議員の数がいっそう多くなるからだ。もしIMFが今、ギリシャから手を引いたら、2つの出来事のうち、どちらかが起きる。ギリシャ政府が今夏、デフォルト(債務不履行)を起こし、ユーロ圏離脱を強いられるか、ドイツ政府が選挙のわずか数カ月前に債務減免を受け入れるか、どちらかだ。いずれにしても、これは誰かが床に倒れて終わる戦いだ、としている。

先送りしたギリシャ危機は、3年も待たずにに蒸し返されることになった。ヨーロッパは問題解決能力を日本以上に失っている。プライドがさらに高く、解決したつもりになって与えられた時間内に、何か手を打った形跡もない。トランプ氏でなくとも、IMFはこの件から手を引くだろう。ウルトラCは中国だろうか?

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