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2889.報道比較2017.2.15

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学習指導要綱は重かった。調べるだけで結構な時間を浪費した。文部科学省が保守的になるのも判るが、政治に介入を許すのは間違っている。

朝日新聞・社説
学習指導要領 現場の創意を大切に

小中学校の学習指導要領の改訂案を文部科学省が公表した。2030年ごろまでの学校教育の基準を定めるものだ。小学校は20年度から、中学校は21年度から、順次実施される。知識を教え込むのではなく、子どもがみずから問いを立て、多面的・多角的に考え、問題を解決する力を育てる。子どもが主役になり、他者との対話を通じて教科の本質を学ぶようにする。小学校は高学年で英語を教科と位置づけ、成績評価の対象とする。プログラミング教育を必修にする――。改訂案のもう一つの特徴は、「どんな力を育てたいか」の目標を全教科で具体的に掲げたことだ。全体の記述量は今の1・5倍に増え、一部ではどんな場面でどんな学習活動を用意するかにまで言及している。学校は一つひとつ抱える問題が違い、子どもたちの状況も異なる。それぞれの実態にあわせて教える重点を絞り、指導方法も工夫できるよう、文科省と各地の教育委員会は現場の自主性を最大限尊重すべきだ、としている。

産経新聞・社説
次期指導要領 日本の良さ学べる授業に

小中学校の教育課程の基準となる学習指導要領の改定案が公表された。日本の領土など国への理解を深める学習の充実が図られたことを評価する。実際の指導に生かしてもらいたい。現行の中学指導要領にある北方領土に加え、竹島と尖閣諸島についても小中ともに「我が国固有の領土」と初めて明記した。次期指導要領は、東京五輪が行われる2020年以降、約10年を見通し、次代を担うのに必要な能力を考えたものだ。国際化の中で、自分の言葉で発信できる人材育成のためにも、日本の国土をはじめ、歴史や文化について子供のころから学ぶ意義は大きい。年齢や発達段階に応じ、自国について誇りを持って学び、さらに深く勉強したくなる指導を工夫したい。国旗や国歌に背を向け、日本をことさら悪く教える先生は退場を願いたい、としている。

毎日新聞・社説
新学習指導要領 がんじがらめは避けよ

「質」を向上させ、かつ「量」も減らさない。文部科学省が提示した小中学校の次期学習指導要領改定案は、この難題に挑む。小学校の英語教科化、プログラミング必修化、中学の英語の授業は原則英語で行うなど、急進するグローバル化時代や、情報通信技術(ICT)への対応だ。実際、学校現場の受け入れ態勢に不安は尽きない。例えば、既に時間割が目いっぱいの小学校で、どう英語の授業を上乗せするか。文科省は土曜日や夏休みの活用、15分の短時間授業の導入などを挙げる。教員や子供に過重な負担にならないか。教科として英語を教えるには、中学英語の免許も併有する小学校教員が担当することなどが考えられるが、文科省によると、2015年度調査でそうした併有小学校教員は5%に満たない。研修や教員養成課程を改めるなどして小学校での英語指導人材を確保するという。今後、授業改善の例も多く示すというが、学校現場がかえってそれにがんじがらめにされないか。個別の子供にふさわしい指導や機微、成長は現場が最も知る。一律の締めつけや無理を強いるものにならぬようにするのが肝要だ、としている。

読売新聞・社説
指導要領改定案 主体的に学ぶ授業への転換を

文部科学省が、2020年度から順次実施する小中学校の学習指導要領案を公表した。来月告示する。改定は、ほぼ10年に1回だ。今回は、「脱ゆとり教育」を打ち出した前回改定の学習内容を維持している。その上で、「どのように学ぶか」「どんな資質・能力が身に付くか」にまで踏み込み、各教科の指導上の目標を記述した。英語教育の強化が、改定案の柱である。ゲームや歌で英語に親しむ「外国語活動」の開始を小学5年生から3年生に引き下げ、高学年では教科化して文法を学ぶ。中学では実践的な会話力を養う。現在の外国語活動の指導は、学級担任が担っている。18年度からの移行期間を前に、外国語指導助手(ALT)や中高の免許を持つ教員らを手厚く配置し、授業の質を高めることが欠かせない。英語の授業時間をどう確保するかも、課題となる。前回改定で全体の授業時間数は増えており、今の時間割は満杯の状態だ。授業の質を高めながら、これだけの学習量をこなすことが可能なのか。教員の事務作業や部活動の負担軽減も含めた学校現場の体制整備を急がねばならない、としている。

一般紙は文科省が公表した小中学校の学習指導要領の改正案に集中。今回公表されたのは義務教育の小中学校と幼稚園。長文のため、要綱すべてはまだ読み切れていないが、3つのポイントで考察した。
ちなみに、文部科学省は本件についてのパブリックコメントを3月14日まで求めていて、情報、要綱はすべてインターネットで入手可能だ。

学校教育法施行規則の一部を改正する省令案並びに幼稚園教育要領案、小学校学習指導要領案及び中学校学習指導要領案に対する意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について by 文部科学省

1.指導要綱の概要、変更点について

幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂のポイントが、最初の理解には適切。
物議を醸し、いまだ具体的に改正の方法論が不明の大学入試センター試験を含めた改正は、今回は対象外。現在の小・中学校の学習指導にも一定の評価があるようで、言葉が先行したアクティブ・ラーニングとやらを、どう具体化していくかが注目の対象だろう。教員への配慮なのか、「これまでと全く異なる指導方法を導入しなければならないと浮足立つ必要はなく」と必死に弁解。教員の重労働への配慮のような一文も添えられている。
授業時間が増えるのは小学校の3~6年生のみ。その差は35時間×4年で140時間分。どれも原因は外国語。外国語活動と呼ばれる授業が3,4年生に、教科としての外国語が5,6年生に35時間から倍の70時間(35時間増)となって増えている。外国語活動と教科の外国語の差が教育者でない私には不明だったが、どうやら中学で習っていたような授業を2年前倒しではじめるのが教科で、活動とはコミュニケーション、プレゼンテーション、体験の実技のようなものらしい。アクティブ・ラーニングとはこういうこと?軽く読んだだけでは不明だった。
騒がれたプログラミングは、教科になるわけではなく、算数、理科などにバラされる。思考法に触れる、タイピングして、インターネットで調べる程度まで、といったレベルだろうか?テスト対象にはなりそうもない。
「量は減らさない」と言い切っているとおり、量と質の両方を、やり方の変更で達成する?授業をほとんど増やさず?という問いには、体験が増える、何ができるようになるかを目標設定する、PDCAを回す、先生たちの支援も行う…と応えている。

現在の事業時間:授業時数(平成10年改訂→平成20年改訂)の比較  (PDF:188KB)
提案された授業時間:学校教育法施行規則の一部を改正する省令案等の概要

なんとなく、会社っぽいというか、営利追求の経済活動の手法を学習に組み込むようにも見える。その是非は、個人的な意見になるし、結論が出るのは、こうして育てられた人たちが社会に出た時に明らかになるだろう。今の直感では、経済活動は上手になるかもしれないが、ゆたかか、しあわせか、は判らない。学校は学習する場所と捉えれば、いいような気がするが、学習塾に近づく気もする。いずれにしても、短絡的に印象で語っていいことではなさそうなので、これくらいに。
ただ、明らかに厄介になる、以前から指摘されている「じゃあ、設定した目標をどれだけ達成したのか?」の試験、学力のテストには、今のところ答えはない。テストの手法が変わらなければ、きっと授業の変動幅は、この案を見る限り、少ないだろう。ただ外国語の授業が増えただけ、に終始すると思う。もし、テストのアプローチを変えたら一大事になるだろうが、未だ答えが見えていない状況と、「今までと異なる必要はない」としきりに言っているのを見ると、騒ぐほどには変わらないのではないかと思う。
ただ、それは大きな社会問題になる原因になるだろう。実害が出て社会に不満が噴出するのは、高校受験、センター試験。テストの方法を躊躇して変化しなければ、授業が変わってテストの準備ができなければ、ますます学習塾のニーズが高まり、こどもの時間はさらに減る。学校以外の学習がなければレベルの高い学校が遠のくなら、私立学校のメリットがさらに上がる。格差社会には、相当印象が悪く、受け入れにくい変化だ。
ならば、どうテストするのか?未だに答えが出せないのを見ると、苦慮しているに違いない。就職面接なら、ユニークな手法も受け入れられるだろうが、学校には公平な審査が求められる。数値化、属人的でない評価基準が絶対視されるだろう。さらにテストの効率、省力化まで求められている。
やはり、テストは今のような全員に同一の問題を出して点数を競わせるものとともに、学校時代から能力を査定するシステムが必要そうだ。学校の先生による推薦、蓄積型の学力評価が理想的だろう。それなら、技能のテストは在学中に済ませることができる。人生が数日のテストの結果で決まるより、学校の重要度が上がり、学習塾より授業の比重が高まる。もちろん、学校の責任は一気に上がり、学校のランク、格付けがさらに意識されるだろうが。

2.文部科学省の体質?公務員流の根回しが先行

前述のとおり、文部科学省はずいぶんと教員に配慮した文面を全面に網羅した。以前の有識者会議、委員会がゆとり教育批判への対応、理想の教育への改善をテーマに、タブーを恐れずに理想を議論していたと伺える議事録とは、主旨に違いが見えはじめている。文書に散見する「今までも問題はなかった」「事を荒立てたくない」「現場はうろたえないで欲しい」と訴えるような表現が、目的を貫徹するよりも、保守的で変化を嫌う方向に向かいはじめた印象を強めている。これで次回の高校、センター試験の改革をどうするつもりだろうか?
変えるなら、一度で、万端に準備して、の方が事故率は低い。保守的で、危機を直視せずに逃げると、想定外と後で言い訳する原因になりやすい。ただでさえオリンピック、天下りと、問題が多発する文科省。業務の中核となる教育でミスをしたら、年金で失敗した厚生労働省と同じ境遇にいたるだろう。それを避けるには、今の「危ないことから逃げる」のではなく「恐がらずに制す」べきだと思う。今のところ、その意思はゼロだ。

3.国家主義、政権の意向の臭い

新聞が「竹島」と連呼しなければ、見落としていたかもしれないが、竹島、北方領土、尖閣諸島の件は、執拗に文書内に出てくる。しかも、その文面は、公務員が書いたのではなく、政治が要請したと思えるものになっている。文面の要点は

  • 我が国固有の領土である。
  • 尖閣諸島については我が国の固有の領土であり, 領土問題は存在しない。

となっている。尖閣だけは「領土問題は存在しない」と言い切る文書を、指導要綱に盛り込むのは、文部科学省ではなく、政治の要請なのは明らかで、この状況を産経と読売が喧伝するのも意図的だ。こういう政治要請が小中学校の指導に含まれていくのは恐ろしい。いまの自民党政治が何をしているのか、日本は、過去に教育に政治が介入した時にどんな結末を迎えたのか、なぜ中国との懸案事項だけは「存在しない」と言い切り、韓国との竹島、ロシアとの北方領土は言い切らないのか。こういう教育は、放置しておけばまるで学ばずに、日本の子どもたちは大きくなる。高校や大学で学ぶこと?または、家庭でそれぞれに考えるべきテーマということだろうか?

いまの政治体制なら、パブリック・コメントを経て、採決に至れば実現される可能性が高い。本質以外にも、ずいぶんとキナ臭い点が気になる教育改革だ。

日本経済新聞・社説
危機打開へ東芝は大胆な再建策を示せ

東芝が迷走を重ねている。14日に正式発表する予定だった2016年4~12月期連結決算は監査法人や弁護士との協議がととのわず、東芝の責任において業績数値を公表した。公表資料に「独立監査人によるレビュー手続き中であり、(数字が)大きく修正される可能性があります」と注記をつける、異例の展開である。それによると、米国の原子力発電所建設プロジェクトの費用が大幅に膨らみ、7125億円の巨額の損失が発生した。その結果、同社は昨年12月末時点で1900億円強の実質的な債務超過に転落した。そこで半導体事業の一部売却などの資本対策を実施する。東芝の経営環境はさらに厳しくなるだろう。今必要なのは原子力以外の事業も含めた負の遺産の洗い出しと、しがらみやタブーにとらわれない思い切った再建策だ。財界首脳を輩出した東芝は日本を代表する企業だが、重大局面を迎えた。総合電機の看板に固執している場合ではない。綱川智社長も記者会見で選択肢として言及したが、半導体事業を完全に手放すといった、会社の形を変えるぐらいの大胆な策が必要ではないか、としている。

マネー系のメールマガジンで、信憑性は50%程度かと思うが、東芝系の記事が出ていたので、リンクを掲載しておく。

霞が関と安倍官邸の大誤算が生んだ「東芝7000億円特損」本当の理由=中島聡 by MONEY VOICE

記者名が記載されているので、それなりの取材の上での記事とは思うが、ここに書いてあることが事実かには、まるで興味は湧かない。政治や行政が、3.11以降、必死で原発の余命をつなごうとしていたなら、もっとも得をしたのはウェスティングハウスを売り抜けたアメリカ、どこまでも間抜けを演じさせられる日本が情けなくなる。この状況は、シャープ以上に未来が感じられない。シャープは、液晶で踊り、その後の経営をミスした、ベンチャーでも世界のどこにでもあるような経営の失敗だ。これなら技術、人は残るし、経済の進化論の中で淘汰されただけのこと。下手に政治や血税を使わなかったことが奏功している。一方で東芝には腐臭がする。日経がまだ再生を望むのもまた、政治への加担だろうか?

人民網日本語版
安倍首相の「朝貢外交」に批判続々 (2017.2.14)

このほど米日首脳会談が行われている間に、日本の野党から、安倍晋三首相はトランプ大統領がイスラム圏7カ国からの入国を禁止する大統領令に署名したことについて言及を避けたと不満の声が挙がった。日本共産党の志位和夫委員長は、安倍首相が米国内の経済成長戦略に貢献することについて、「異常な『貢ぎ物外交』というほかない」とコメント。また「安保政策でも、経済政策でも、異常な『トランプ追随』が際立つものとなった」と批判した。中国社会科学院日本研究所の楊伯江副所長は、「安倍首相の打ち出した姿勢や事前に設定した交渉内容は米国に比べて非常にバランスの悪いものだった。今回の訪米で、日本は実質的な成果を得られないことを恐れていた。米国はただ従来の日本との約束を繰り返し確認するだけだ」と述べる。「時代が変わり、どの国同士の関係も単純な協力関係や敵対関係ではなくなった今、安倍首相のああした外交戦略はいずれ破綻する。米日同盟を頼みにし、『地球儀を俯瞰する外交』を標榜して日本の国際的な地位や発言権を高めようとする。こうした当然あるべき道徳的な支えを欠いた『遠交近攻』の外交政策は、日本が外交で直面する最大の欠点だといえる」との見方を示す、としている。

安倍氏批判には同意しないが、安倍政権の中国脅威論を軸にした外交には未来がないという論点には賛成。トランプ氏が、なぜ日本政府が来る前に中国と電話会談したのかを見れば、アメリカの意思も明らかだ。中国と日本の二者択一論を日本が迫っても、アメリカは絶対に乗らない。アメリカにとっては中国も大事なマーケットであり、同盟国の日本とのどちらかに傾注する戦略はない。むしろ、両国を天秤にかけながら、おいしいところを得たいと思っているのがアメリカだ。
中国が日本批判をやめて、パートナーとしての打診をすることはないのだろうか?そうすれば、中国は完全に日本を凌駕した、世界で二番目の国になれる。強さを持つ国は、圧力は使わない。譲歩という余裕を使いながらコントロールする。今のところ、中国にはまだその能力はないようだが…日本にはその発想さえなくなっている。

Wall Street Journal
フリン氏辞任、トランプ大統領が要請=ホワイトハウス (2017.2.15)

ホワイトハウスのショーン・スパイサー大統領報道官は14日、マイケル・フリン氏が国家安全保障担当補佐官を辞任したことについて、ロシア政府関係者との接触を巡る矛盾した発言でドナルド・トランプ大統領の信頼を失い、大統領が辞任を求めたためと述べた。スパイサー報道官によると、司法省がホワイトハウスに対し、フリン氏が昨年12月の駐米ロシア大使との接触に関し協議内容や期間について誤解を招く説明をしていると通知。これを受けトランプ氏は数週間にわたり、フリン氏の処遇を見直していた。ホワイトハウス顧問はこの間、フリン氏の行動は法に抵触しないとの判断を示したという。だが、トランプ氏はこうした状況を継続させるわけにはいかないと判断。フリン氏が政権幹部、とりわけマイク・ペンス副大統領を誤解させたとの懸念を強め、外国政府との交渉を任せることに不安を募らせた、としている。

早速の閣僚辞任とメディアは攻撃の手を強めている。これでトランプ氏が、奇をてらう行動重視より、周到な準備で目的を達成するスタイルに移行するなら、良い学習の機会だ。次の人材は見つかるだろうか?不支持率が支持率を上回っているということは、人材にコンタクトしても、断られる確率が半分を超えていることを意味する。優秀な人材ほど、キャリアを汚さない。増してトランプ氏に協力したという経歴を欲しがる人は…いまの状況では、いないのではないか?だから小さな成功を求めていたはずが、勝ちを急ぎ過ぎて墓穴を掘りはじめている。ますます成功を求めていくだろうが、すでに背水が迫っている印象。ハネムーン期間が終わるまでに離婚が決まるような気がしてきた。それもまた、予想どおりだろうか?

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