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2886.報道比較2017.2.12

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アメリカ国内から、お世辞外交と揶揄されている今回の安倍氏。安全保障のために低姿勢に出て、コストアップの一言さえ言わせずに済んだのだから、私は何といわれても安倍氏を評価する。

Wall Street Journal
日米首脳、対話の新しい枠組み作りに着手 (2017.2.11)

安倍晋三首相は10日、トランプ米大統領とワシントンのホワイトハウスで会談。麻生太郎副総理兼財務相とマイク・ペンス副大統領が「対話の新しい枠組み作りに着手した」と語った。2国間の貿易協定を求めるドナルド・トランプ米大統領の意向に応じる姿勢を示した格好だ。米国はTPPからの撤退を表明したが、日本は「アジア地域における自由貿易体制」を構築する目標の達成に向けて引き続き取り組む考えを強調した。またトランプ大統領は、日米両政府は「北朝鮮のミサイルと核の脅威に対する」防衛で緊密に連携していくと語った。また、日本政府との同盟関係はアジアにおけるその他多くの脅威から防衛する上で必要不可欠だとの認識を示した。両国は「航行からの自由と航行の自由」を含む「共通の利益を促進」すると話した。これは南シナ海の軍事拠点化への米政府の懸念を指した発言とみられる。さらに、米国は「日本および同国の行政管理下にある全地域の安全保障と、われわれの非常に重要な同盟の強化に努める」と語った。安倍首相は、安保上の利益を巡る日米の足並みはそろったと話した、としている。

朝日新聞・社説
日米首脳会談 「蜜月」演出が覆う危うさ

型破りな発言が続くトランプ氏と、経済や安全保障政策をめぐり一定の合意が得られた。そのことは、日本にとって安心材料とは言えるだろう。だが一方で、トランプ氏の登場はいまなお、世界を不安と混乱に陥れている。「米国第一」を掲げて保護主義と二国間の交渉へと走る超大国を、多国間の枠組みに戻るよう説得できるか。日米首脳会談を見守る世界の関心は、その点にあったはずだ。しかし、安倍首相が国際協調の重要性をトランプ氏に全力で説いた形跡はうかがえない。経済分野では、麻生副総理兼財務相とペンス副大統領をトップとする経済対話の枠組みを新設することになった。トランプ氏が中国の習近平(シーチンピン)国家主席と電話で協議したのは、日米首脳会談の直前のこと。中国と台湾がともに中国に属するという「一つの中国」政策を尊重する姿勢を初めて伝えた。共同声明は、日米同盟を「アジア太平洋地域における平和、繁栄及び自由の礎」だとうたった。ならばトランプ氏との関係も、旧来型の「日米蜜月」を超える必要がある。適切な距離を保ちつつ、国際社会全体の利益、「国際益」のために言うべきことは言う。そんな関係をめざすべきだ、としている。

産経新聞・社説
日米首脳会談 揺るがぬ同盟への決意だ 「自由」の恩恵に資する対話を

安倍晋三首相とトランプ大統領が、揺るぎのない日米同盟をさらに高めていく決意を示した。両国はもとより、アジア太平洋地域や世界の平和と繁栄に寄与する合意として評価したい。強固な日米同盟は、安全保障上の努力に加え、経済面でも密接な連携が支えとなる。全体として、トランプ氏が際立った対日批判を控えたことも、日米協調の側面をアピールする要因になった。トランプ氏がアジア太平洋地域での「航行の自由が非常に重要だ」と強調し、在日米軍の受け入れについて「感謝する」と語った点にも注目したい。法の支配に基づく国際秩序の重要性を認め、「力による現状変更」に反対する基本的な価値観を共有できた意義は大きい。経済問題では、日本企業が米国での現地生産で多くの雇用を生み出してきたことを首相が説明した。トランプ氏は自動車輸出や通貨政策に関して誤った認識に基づいて発言していた。誤りを正す機会を早めに得られてよかった。共同声明は、日米間の貿易・投資を深化させるだけでなく、アジア太平洋地域の経済関係を強化するよう努めることを明記した。日本は多国間連携の意義を引き続き説いていくべきだ、としている。

日本経済新聞・社説
日米は新経済対話を冷静に進めよ

トランプ政権になって初の日米首脳会談が開かれ、互いの経済関係を深めるための新たな対話を始めることで合意した。米側は通商分野でいきなり過大な要求をしてこなかったが、これで一件落着したわけではない。首脳同士の信頼関係を上手にいかし、冷静に協議を進めてほしい。安倍晋三首相は今回の訪米ではトランプ大統領との個人的な信頼の構築を最重視した。重要なのは、せっかく築いた信頼関係をどういかすかだ。麻生太郎副総理・財務相とペンス副大統領をトップとする経済協議の枠組みをつくったが、そこで日本が一方的に押し込まれることになれば、何のためのゴルフ外交だったのかという話になる。トランプ氏はこれまで日本の対米貿易黒字をやり玉にあげ、日本市場は閉鎖的だと主張してきた。最初の首脳会談とあってか露骨な日本批判を控えたが、先行きに過度な楽観は禁物だろう。避けなければならないのは、通商と安保を取引することだ。両国民に疑念を抱かれるような不透明な取引は結局、うまくいかないものだ。取引好きなトランプ氏とゴルフ場で何を話したのか。安倍首相は隠さず明らかにすべきだ、としている。

毎日新聞・社説
日米首脳会談 厚遇の次に待つものは

安倍晋三首相がワシントンを訪れ、トランプ氏の就任後初めての会談を行った。自由貿易や日米同盟の重要性が再確認され、沖縄県・尖閣諸島が米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であることが共同声明に明記された。日米経済について、共同声明は「自由で公正な貿易のルールに基づいて、日米と地域の経済関係を強化する」とうたった。焦点の自動車問題について、首相は日本企業の現地生産と雇用創出の実績を説明し、トランプ氏は米国への投資を歓迎した。日本側が心配していた為替に関しては、円安誘導との批判はなかったという。トランプ氏は日本の自動車貿易や為替政策を問題視していたが、ひとまず抑制的に振る舞ったようだ。ただし、これからさまざまな場面で譲歩を迫られることとセットになる可能性もある。先に日本が取りたいものを与え、米側の要求を拒めなくする戦術かもしれない。経済では、トランプ氏は2国間の通商協定に意欲的だ。離脱を表明した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)のような多国間交渉よりも、米国の圧倒的な経済力を盾に相手の譲歩を引き出しやすいからだ。「揺らぐことのない日米同盟」を確保するため、ただトランプ氏にすり寄るだけでは、日本は国際社会からの信頼を失いかねない。日本は、米国が内向きにならず、国際協調に関与し続けるよう、つなぎ役を果たす責任がある、としている。

読売新聞・社説
日米首脳会談 経済で相互利益を追求したい

安倍首相がワシントンで、トランプ米大統領と会談した。「日米同盟及び経済関係を一層強化するための強い決意を確認した」との共同声明を発表した。両首脳は、会談に加えて、フロリダ州での会食、ゴルフなど1日半も行動を共にする。米側の異例の厚遇を、個人的な信頼関係を深める機会としたい。首脳会談では、沖縄県・尖閣諸島に日米安保条約5条が適用されることを正式に確認した。中国を念頭に、東・南シナ海での航行の自由や国際法に基づく海洋秩序を維持する重要性でも合意した。経済分野で両首脳は、日米両国とアジア太平洋地域の経済関係を強化することで一致した。今回、トランプ氏が重視する2国間協議である日米自由貿易協定(FTA)交渉の提案はなかった。新政権の態勢が十分に整わない中で、当面は、日米が協調する姿の演出を優先したのではないか。FTA交渉となれば、農業分野で環太平洋経済連携協定(TPP)を超えるレベルの市場開放を迫られかねない。そんな警戒感が日本国内では根強い。今後の米側の出方を注視する必要がある、としている。

Wall Street Journalを含め、国内全紙も日米首脳会談を社説に。国内紙には、実はもうひとつ理由がある。明日月曜の13日が朝刊一斉休刊日。社説が休みとなる。いつもタイミングの悪い休刊日。今回はゴルフで非公式ながら注目される発言が出なければ、何とか注目の話題を失わずに済む。必死だ。
今のところ、Wall Street Journalも大した量のコンテンツはない。それだけ内容は薄かった。確実にふたりの首脳の距離は縮まり、同盟や安全保障ではポジティブな関係が見えた。これだけで安倍氏は十分な成果だろうし、就任早々から不支持が上回るトランプ氏にとっても納得だろう。経済は先送り。いくらでもやり直しできるし、この先、何ができるかも見えない現在、むしろいつでも協力してくれるパートナーになってくれる方が好都合なはずだ。
国内紙の社説を比較してみよう。
朝日:安倍氏にトランプ氏への進言を求めているが、そこまでの大役を世界は日本に期待していない。側近、前大統領のオバマ氏、イギリスさえできないトランプ氏への説得。気が合わないはずの安倍氏の力量に、朝日がそこまで期待しているとは思わなかった。
産経:ずいぶん楽観的。報道としては疑問符が付くレベル。ここまでの楽観を交渉手段として使えれば、トランプ氏の交渉術にも対抗できるかもしれないが。安全保障が大好きな割に、交渉結果だけで安全が手に入るつもりとは、ずいぶん能天気だ。
日経:一番役に立つ。「不透明な取引は結局うまく行かない」が真意を突いている。日本の政治は、この不透明な取引をいつも着地点にしたせいで、日経の言うとおりいつも失敗してきた。トランプ政権の不安定さは際立っている。不透明な約束が、この先、決定的な失敗にならないといいが。
毎日:また心配しているだけ、恐怖に慄いているだけ。これなら迎合でも安全保障の維持のために行動した安倍氏の方が理想的だ。
読売:政府応援団らしい形式的なコメント。可もなく、不可もなく。まとめただけの社説。一番時間を使わずにまとめたに違いない。

アメリカ国内から、お世辞外交と揶揄されている今回の安倍氏。安全保障のために低姿勢に出て、コストアップの一言さえ言わせずに済んだのだから、私は何といわれても安倍氏を評価する。嫌われ者とは、仲良くし過ぎるように見えるのは良くないのか?という心配はあるが、世界でも理解されるのさえ苦労されているアメリカのリーダーに、言うことを聞いてもらえる関係を作れた。頼りないといえばイエスだが、いまの日本が対等や説得でトランプ氏から何かを得られたとは思えない。実を得たのだから外交としては大成功だ。日経の言うとおり、この先「結局うまく行かない」にならないように、これから先のアメリカとの活動に期待しよう。その仕事をやるのは安倍氏でなく、別の大臣の方が良さそうだ。安倍氏には頼りなくても信じてもらえるリーダーを演じてもらえばいい。ハード・ネゴシエーションは別の嫌われ者を…誰がいいだろうか?

人民網日本語版
専門家「米日のミサイル防衛協力強化は戦略的安定を損なう」 (2017.2.10)

日本防衛省防衛装備庁は4日、海上自衛隊と米海軍が同日ハワイ沖でSM-3 ブロック2Aの実弾迎撃実験に初めて成功したと発表した。今回の迎撃実験はマティス米国防長官の訪日期間、日本の安倍晋三首相の訪米前に行われたことで、ことのほか注目された。現在海上自衛隊の配備するSM-3 ブロック1Aと比べ、2A型ミサイルは射程も射高も大幅に向上している。中長距離ミサイル、さらには大陸間弾道ミサイルを防ぎ、高度500キロメートルの低軌道衛星を攻撃する能力があるということだ。読売新聞は同ミサイルが日本の弾道ミサイル迎撃能力を「飛躍的に高める」と形容した。ロシア外務省不拡散・軍備管理問題局長は8日「欧州とアジア太平洋でのミサイル防衛システム配備の拡大という米国の一方的行動は戦略的安定を著しく損なう。非建設的であるのみならず、有害かつ危険だ。冷戦思考に満ちたこのようなやり方は、世界の戦略的安定と大国間の相互信頼に深刻な影響を与え、国際体制を一層不安定、予測不可能にする。断固たる報復措置に遭うのは必至だ」と述べた、としている。

これはロシアでなく中国の意見だろう。トランプ氏からレターをもらっただけで、中国は直接の批判を避けるようになったのだろうか?ならば日本以上に迎合型の外交だ。習氏がそこまでの腰抜けだとは思えないが…
これだけの緊張を中露に与えられただけでも、日米にとってはポジティブだ。北朝鮮を言い訳に、日米は前に進める。中国には北朝鮮への対応をぜひお願いしたい。

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