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2884.報道比較2017.2.11

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一足早く、Wall Street Journalは日米首脳会談の会見を報じた。アメリカ国内では、大統領令への判決の方が騒がれているようだが…

Wall Street Journal
日米、北朝鮮核問題で緊密に連携へ=共同記者会見 (2017.2.11)

ドナルド・トランプ米大統領は10日、日米両政府は「北朝鮮のミサイルと核の脅威に対する」防衛で緊密に連携していくと語った。また、日本政府との同盟関係はアジアにおけるその他多くの脅威から防衛する上で必要不可欠だとの認識を示した。ホワイトハウスでの安倍晋三首相との会談後、共同記者会見で語った。トランプ氏は、北朝鮮に対する防衛は「非常に、非常に優先度が高い」と話した。「われわれは数々の課題に直面している。二国間協力は不可欠だ」と続けた。そのほか、両国は「航行からの自由と航行の自由」を含む「共通の利益を促進」すると話した。これは南シナ海の軍事拠点化への米政府の懸念を指した発言とみられる。さらに、米国は「日本および同国の行政管理下にある全地域の安全保障と、われわれの非常に重要な同盟の強化に努める」と語った。安倍首相は、安保上の利益を巡る日米の足並みはそろったと話した、としている。

一足早く、Wall Street Journalは日米首脳会談の会見を報じた。この機動力はすばらしい。明日の日本国内紙の社説は、この話題で統一されるだろうが、二国政府の目的は「仲良しだと印象づける」で一致したようだ。トランプ政権は、すでに不支持率が支持率を超えている。司法から大統領令にノーと言われ、メキシコやオーストラリアとも緊張が増した。実行力に疑問符が付いている現在、「これ以上、敵は増やせない」がトランプ政権の現状だろう。もっとも対決姿勢を鮮明にしていた中国とも、トランプ氏は電話会談で協調性をアピールした。
これがこの先、どんな結末に至かは、神のみぞ知る領域だ。トランプ氏は自身の信念よりは、現状に合わせて我慢もできる人ということは判ったのはプラス。いま欲しい「早い時期に、信任を得るための、確実な成果」のために、彼はディールの内容よりは、相手とのチャネル維持を優先した。安倍氏にとっても、これはプラスだろう。すべてリセットして再考するとまで言われていた安全保障の最低ラインは担保された。むしろオバマ時代より強いコミットメントを得た。最初のゴールとしては十分だ。
次は、中国と、日本の持つマネー、そしてアメリカ国内の政治が絡み合う。個人的には、これ以上の有効関係アピールする必要性は、安倍氏にはない。日米同盟の維持を手にしたのだから、追加の請求書が来ない程度の関係で十分だ。いっしょに中国をやっつける必要も、アメリカ国内に投資する必要もない。ただ、トランプ氏が困った時には助けると、会見の見えない場所で約束すればいい。あとは、トランプ氏の成功を祈るだけだ。
そのために安倍氏ができるとすれば、教科書のような答えになるが、日中関係の緊密さを高めておくことと、日本経済を強くしておくことだろう。ケンカしても、日本を飛び越えて仲良くされても困る相手が中国。ならば、先に日本が仲良くしておくのがアメリカにとっては助けになる。そして、雇用に徹底的にフォーカスしているトランプ氏のアメリカを支えるためにカネを出すなら、大義名分さえ整うなら、個人的にはノー・プロブレムだ。年金のカネを使うようなことをせず、素直に日本国債で、血税でやればいい。アメリカの未来への投資なら、投資効率は世界の中でもっとも低リスクだろう。安全保障の見返りや、トランプ氏への支援と言われない大義を整えるのが政治の仕事だ。やりたいなら、投資できるカネを作るべきだ。

毎日新聞・社説
米入国禁止訴訟 大統領の暴走を止めた

東日本大震災の復興政策を担う復興庁が、発足してから5年を迎えた。21年3月までに廃止されることになっており、折り返し点を過ぎた。これまで復興庁は、被災地に寄り添い、自治体や住民らの声をすくい上げる「御用聞き」の役割を重視してきた。そこから一歩前に出て、現場で課題を掘り起こし、解決につなげられるか。復興の司令塔としての力量が問われる。復興庁の特徴は、震災前は国の役割とはされてこなかった仕事に力を入れていることだ。仮設住宅に住む人の交流促進や、復興にかかわりたい民間人材を被災自治体や団体に紹介するといった事業だ。行政が不慣れな分野だけに、ノウハウを持つNPOや企業と積極的に連携してきた。復興の重点は今後、福島県の原発周辺地域に移っていく。これまで賠償や除染といった仕事をそれぞれの担当官庁が進めてきたが、地域の再生に向けた取り組みでは復興庁が先頭に立つべきだ。NPOや企業といった民間と二人三脚で、「公」の仕事を担う。こうしたやり方をさらに広げ、新しい行政のモデルを目指してほしい、としている。

読売新聞・社説
米入国制限停止 強引な大統領令阻む司法判断

テロ阻止を名目に、イスラム圏7か国の国民の入国を制限する大統領令について、一時差し止めを認める司法判断が示された。高等裁判所に相当する連邦控訴裁判所が、下級審の決定を支持した。国家の安全保障に関する問題について、大統領は不可侵の権限を持つわけではない。行政、立法、司法の三権分立は尊重されるべきである。こうした厳しいメッセージが政権に送られた。政権側は法廷闘争の継続を検討している。大統領令自体の違憲性を問う裁判も別途、審理される。いずれの訴訟も最高裁に持ち込まれる可能性がある。問題なのは、トランプ氏がツイッターなどで司法批判を繰り返し、具体的な根拠を挙げずに、テロの脅威を煽っていることだ。発足から間もないことを差し引いても、トランプ氏の政権運営には、稚拙さが目立つ。支持層に向けて、既存の制度の破壊を「成果」として誇示する戦術も再考する時ではないか、としている。

重要な判決だったが、国内紙は、的確な分析ができていないようだ。この社説を書いた人は、どこまで情報を集めただろうか?NHKのニュースに触れただけでも、これ以上の考察になるはずだが。
今回のポイントは、司法がニュートラルに判断しているということ。ワシントン州の判事は感情も含めた抵抗だっただろうが、その後の証拠で適切に勝利を導いたこと。政府は大統領の権限と支持率があれば勝利できると司法への適切な証拠提供を怠ったことが敗因だ。公開された電話での弁論で明白になった。司法が今回の判決を導いた大きな理由は「対象の7か国の入国を禁止しても安全になる根拠がない」だ。憲法解釈や大統領の権限の話より前に、司法はシンプルに大統領の政策の不明点を突き、政府はそれに答えられなかった。ドラマティックな結末や、司法が自由を守ったと感情的に解釈すべきではない。もし、トランプ政権の新たな懸念を見出すとしたら、彼らはすべき手続きや準備を、勝ちたい勝負にさえ怠る人たちということだ。これもまた、日本の民主党時代に似ている。
日本の恣意的な報道と同様、司法が日本でもブレーキの役割を担えるかが気になる。感情で結末が移ろうのは日常茶飯事だが、メディアや司法は、感情を挟むのは最も避けるべき仕事のひとつのはずだ。日本のプロフェッショナルにそれができているだろうか。少なくとも、新聞からはプロの仕事は感じられない。

人民網日本語版
トランプ大統領書簡の別の意味 (2017.2.10)

米国のトランプ大統領が8日、中国の習近平国家主席宛てに書簡を送ったことに、国際世論は大変注目している。一通の書簡に多くの解釈が生じることは、中米関係の重要性を十分に示し、トランプ大統領就任後の中米関係の行方に各方面が敏感であることを物語っている。書簡はまず儀礼的で、トランプ大統領就任を祝う習主席の書簡に謝意を表すとともに、中国の節日と祝った。次に実質的意味を持ち、習主席と「共に中米の建設的互恵関係を推進する」意向を表明した。「建設的」と「互恵」が書簡のキーワードだ。これはトランプ大統領のこれまでの対中発言の基調と比べると大きく違う。このような姿勢表明は、米政権が交代したばかりで、中米関係に不確定性が多い中、明らかに別の意味合いがある。中米の建設的互恵関係の発展には協力が必須であるのは明らかだ。習主席が指摘したように、中米両国唯一の正しい選択は協力だ。トランプ大統領は習主席に、米中両国は互恵・ウィンウィンを実現できると語った。
中米の建設的互恵関係の発展に対して双方には基本的な認識とコンセンサスがあると言うべきだろう。現時点で、両国は良好な相互作用を強化し、中米関係の基調が偏らないよう確保し、両国関係がすり合わせ期を早期に終えられるよう確保する必要がある、としている。

トランプ氏からレターが来ただけで大騒ぎ。中国にもトランプ氏の意思決定は相当な影響力を持っているのは確実だ。これは、この先のアメリカには相当なプラス。主導権がアメリカにあることを確実視しただろう。電話会談でも「ひとつの中国の理念を守る」の一言だけで、習氏はご機嫌になってしまった。トランプ氏のArt of Dealを、各国首脳は知らないらしい。
アメリカのメッセージは明らかだ。「言うことを聞いておとなしくしていれば仲良くしよう」だ。為替の話も、南シナ海の問題も横に置いただけ。この話題が気に障ったら、また吠える。吠えれば次は、相手が気を遣う。それで中国がどこまでおとなしくしているかが、次の問題だ。

産経新聞・社説
建国記念の日 明治150年の意義考えよう

明治元(1868)年から数えると、今年はちょうど「明治150年」にあたる。その年に迎える11日の「建国記念の日」を、とりわけ意義深く感じる人も多いことだろう。日本の創建を顧みることで、先行き不透明な現代を乗り切るための教訓をつかみたい。先の敗戦で紀元節は廃止されたが昭和41年、これを引き継ぐ形で建国記念の日が祝日法に定められた。「建国をしのび、国を愛する心を養う」とうたわれてはいるものの、国民こぞってより良い日本を築きたいと願う雰囲気になっているだろうか。政府主催の記念式典は今年も開催されない。現在、わが国に押し寄せている他国の脅威は、明治維新の頃にも匹敵すると言っても過言ではなかろう。中国は強大な軍事力を背景に日本領域の奪取を狙い、北朝鮮は核・弾道ミサイルの開発を強行している。脅威はまさに、目の当たりにある。欧米諸国でも一国主義が広がるなど、世界情勢は全く先が見通せない。今こそ国民一丸となって、新しい「日本のありよう」を見つめ直すときではないか、としている。

日米首脳会談よりも建国記念日を重んじる発想は、今の時代には貴重だし重要な価値観だと思う。だが、産経の望む日本のありようを国民がみんなで見つめ直すには、産経のような国家主義思想からは生まれないし、持続しない。本気で考えるのは、危機に瀕した時、日常の中に危機がある時だ。その危機を軍事的危機ばかりで意識すると、確実に海外からケチがつく。経済、文化、教育といった領域で日本らしさを追求する発想に転換できれば近道だと思う。

朝日新聞・社説
復興庁 「御用聞き」から前へ

東日本大震災の復興政策を担う復興庁が、発足してから5年を迎えた。21年3月までに廃止されることになっており、折り返し点を過ぎた。これまで復興庁は、被災地に寄り添い、自治体や住民らの声をすくい上げる「御用聞き」の役割を重視してきた。そこから一歩前に出て、現場で課題を掘り起こし、解決につなげられるか。復興の司令塔としての力量が問われる。復興庁の特徴は、震災前は国の役割とはされてこなかった仕事に力を入れていることだ。仮設住宅に住む人の交流促進や、復興にかかわりたい民間人材を被災自治体や団体に紹介するといった事業だ。行政が不慣れな分野だけに、ノウハウを持つNPOや企業と積極的に連携してきた。復興の重点は今後、福島県の原発周辺地域に移っていく。これまで賠償や除染といった仕事をそれぞれの担当官庁が進めてきたが、地域の再生に向けた取り組みでは復興庁が先頭に立つべきだ。NPOや企業といった民間と二人三脚で、「公」の仕事を担う。こうしたやり方をさらに広げ、新しい行政のモデルを目指してほしい、としている。

朝日も産経同様、日米首脳会談から距離を置いた。会談後のコメントで十分、毎日や読売の選んだ話題とも距離を置いた。その結果が復興庁。いつから準備していた原稿?というほど中身がない。

日本経済新聞・社説
気象ビッグデータの産業利用を進めよう

日経の今日の社説も、準備されていた原稿だろう。タイミングが良ければ興味深い内容だ。冷静に読める環境ではないのが残念だ。
人工衛星が果たしている役割で、民間が利益を享受できているのはGPSと気象くらいだと言われている。つまり、宇宙ビジネスで事例が蓄積されているのは、位置情報と気象観測くらい。この領域をイノベーションしていくという発想は、理にかなっている。
IT側から見ると、データ・ソースの膨大さは確実だ。あとは、分析ということになる。いま、もっとも社会でノイズが高まっているAIの領域。日経が取り上げた意味も判る。
過去とは異なる発想の転換が、データ分析でも必要になりそうだ。災害や、雨量や気圧の変化、天候の転換点を予測したいと取り組んでいるだろうが、パターンから分析すると異なったものも見えてくる気がする。不快指数のような発想の、天気、気温、降水確率とは違う気象。太陽や大気の運動は、もっと私たちの生理現象に影響を与えているのは確実だ。何か新しい指標はあるのではないか。
予報に関しては、渋滞予測と似ているとするなら、定点からの厳密な観測は、無差別な膨大な荒い観測に劣るという結末に至る気がする。Googleの渋滞情報は、世界の官公庁の情報のアプローチを覆し、正確で適切な情報を提供している。翻訳でも、囲碁でも、確実に成果を出しているのは発想の部分だ。この発想を出せる理由は、膨大な挑戦をしているからに尽きる。国という閉じた発想でやるのでは、もう成り立たない時代に来ている。

日経の社説も、準備されていた原稿だろう。タイミングが良ければ興味深い内容だ。冷静に読める環境ではないのが残念だ。
人工衛星が果たしている役割で、民間が利益を享受できているのはGPSと気象くらいだと言われている。つまり、宇宙ビジネスで事例が蓄積されているのは、位置情報と気象観測くらい。この領域をイノベーションしていくという発想は、理にかなっている。
IT側から見ると、データ・ソースの膨大さは確実だ。あとは、分析ということになる。いま、もっとも社会でノイズが高まっているAIの領域。日経が取り上げた意味も判る。
過去とは異なる発想の転換が、データ分析でも必要になりそうだ。災害や、雨量や気圧の変化、天候の転換点を予測したいと取り組んでいるだろうが、パターンから分析すると異なったものも見えてくる気がする。不快指数のような発想の、天気、気温、降水確率とは違う気象。太陽や大気の運動は、もっと私たちの生理現象に影響を与えているのは確実だ。何か新しい指標はあるのではないか。
予報に関しては、渋滞予測と似ているとするなら、定点からの厳密な観測は、無差別な膨大な荒い観測に劣るという結末に至る気がする。Googleの渋滞情報は、世界の官公庁の情報のアプローチを覆し、正確で適切な情報を提供している。翻訳でも、囲碁でも、確実に成果を出しているのは発想の部分だ。この発想を出せる理由は、膨大な挑戦をしているからに尽きる。国という閉じた発想でやるのでは、もう成り立たない時代に来ている。

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