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2883.報道比較2017.2.10

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またトランプ氏の発言にマーケットが反応。日米首脳会談で、一言で円のレートを1-2円下げさせるだけのバッファーは事前に作れた。この神通力はいつまで?

Wall Street Journal
日米首脳会談、通貨論争は勝者なき戦い (2017.2.9)

ドナルド・トランプ米大統領が貿易摩擦を引き起こすのではないかと懸念している投資家は、10日に安倍晋三首相との間で行われる日米首脳会談に注目するに違いない。トランプ氏が貿易交渉において「為替操作」への対抗措置を切り出してくるのかを確かめるためである。安倍首相は雇用創出への投資という手土産を持参するが、これで円安を巡る議論からトランプ氏の注意をそらしたいと願っているのは明らかだ。貿易摩擦と日本のデフレに対するより良い解決策は、金融政策への依存から脱却し、国内経済の規制緩和に向かうことだろう。トランプ氏の通貨安批判が伝わると、円相場は一時上昇し、日本国債の利回りも上昇した。一部の投資家は、日本銀行が米国に譲歩して国債買い入れを縮小するのではないかと思案した。これに対抗する形で日銀が2月3日、国債買い入れを増額すると、利回りは低下した。だが、日銀の政策が功を奏していると信じるに足る根拠はない。高齢化の中、日本で経済成長が加速すれば投資資金流入や円高、大幅な貿易赤字を招く公算が大きい。これこそが相互の繁栄と貿易摩擦の緩和につながる道であり、勝者なき通貨戦争を巡る議論などではない、としている。

産経新聞・社説
安倍トランプ会談 同盟の基盤を語る機会に

初の首脳会談に際し、異例の厚遇を受ける。揺るぎない日米同盟を築く出発点にしてほしい。日米両国は、安全保障のみならず、経済面でも共通の価値観に基づき、共に発展を図っていくことが必要である。安倍晋三首相は既に、トランプ大統領の正式就任前に顔合わせしている。その優位さを生かしたい。フロリダ州の別荘で過ごし、ゴルフや食事を共にする。実務的な訪問に比べ、信頼関係を築く時間は豊富にある。トランプ氏は経済活動面で中国に強い警戒心を抱いている。中国が南シナ海の支配をもくろんでいることは、経済的覇権につながる問題でもある。日本と米国、その同盟国、友好国が連携して対処することが、その野心に対抗するには欠かせない。トランプ氏との間でそうした認識を共有できるかだ。トランプ氏の物言いは、断片的ながら孤立主義、保護主義を色濃く伝える。それは真意か、誤解なのか。安倍首相が新指導者をどう見極めるか。ひいては日本への評価にもつながる、としている。

朝、為替を見ると、ドルが急激に上昇していた。またトランプ氏の発言にマーケットが反応した結果だ。日米首脳会談で、彼の一言で円のレートを1-2円下げさせるだけのバッファーは事前に作れた。
トランプ政権発足から20日。まだマーケットもメディアも、トランプ政権に注目しているし、期待もしている。拒否反応が出たものもあるが、無関心よりはいい。トランプ氏が求めているのは、スタート・ダッシュと、成果。小さくてもいいから、とにかく成功だと言える結果を望んでいる。時が来れば、彼のつぶやきも、大統領令へのサインも、さほど意味をなさなくなる。失敗がつづけばその日はさらに近づくし、ヒットが打てなければ、どんどんフォロワーは減っていくに違いない。日本との会談の後、フォロワーは増えるだろうか?トランプ氏のフォロワー数は、支持率のバロメーターになりそうだ。

人民網日本語版
米国防長官に専門家が反論「THAADの韓国配備は本当に他国に影響しないのか?」 (2017.2.9)

米国のマティス国防長官は先日の訪韓時、「THAAD」を韓国に配備する唯一の理由は朝鮮の「挑発行為」に対するものであり、「他のどの国にもTHAAD配備を懸念する必要はない」と表明した。本当にそうだろうか。米国によるTHAADの韓国配備は他国の利益と地域の安全情勢に本当に影響を与えないのか。軍事科学院中米防務関係研究センターの趙小卓センター長は取材に以下のように指摘した。韓国側の直面する脅威は主に低空と中空からのものであり、迎撃高度40~150キロのTHAADは基本的に無用の長物だ。しかもその配備地点を見ると、韓国の政治・経済において極めて重要な地位にあるソウル核心圏はTHAADの防御範囲内にない。THAADシステムには終末迎撃任務を遂行するミサイルだけでなく、早期警戒と誘導・測位を行うXバンドレーダーも含まれる。このシステムには2つの作動モードがある。探知・早期警戒に用いる前方配備モードと、迎撃に用いる終末配備モードだ。両モードは必要に応じて随時切り換え可能だ。前方配備モードの探知距離は1000キロを超える。これは中国の華北、東北地域及びロシア極東地域での発射行動や飛行がその探知範囲内に入るということだ、としている。

中国の懸念どおりの事実がTHAADだろう。アメリカの最大の懸念は北朝鮮だろうが、どうせ配備するなら、中国やロシアを意識するに決まっている。中国は韓国外交を完全に失敗した。北朝鮮との関係も期待ほどではないかもしれない。カネと脅しの外交の結末はこんなものだ。再考が必要なのは中国だろう。

朝日新聞・社説
日韓外交 双方の利益を考えよ

安全保障や経済、環境など広い分野で目標や課題を共有する隣の韓国に、日本政府を代表する特命全権大使がいない。そんな状態が1カ月続いている。この不正常な事態がさらに長引けば、両政府の疎遠な関係が常態化しかねない。ことの発端が韓国側の動きにあったのは明らかだが、このまま放置することは双方の利益にならない。韓国ではその後、大統領に疑惑が浮上し、国政が混乱に陥った。だが、その事情があったにせよ、敏感な国際問題を自治体の判断にゆだねるような韓国政府の無責任な振るまいが、今日の対立を招いたのは確かだ。韓国は像の撤去に真剣に取り組み、関係修復へ最大限の努力を払うべきだ。日本も経済などの分野に対立を持ち込まず、冷静に協力を進めるときだ。そのためにも、大使には現地での外交の先頭に立ってほしい、としている。

毎日新聞・社説
大使帰国1カ月 正常化へ日韓で努力を

長嶺安政駐韓大使が一時帰国してから、きのうで1カ月となった。慰安婦を象徴する少女像が韓国・釜山の日本総領事館前に建てられたことを受けた措置だ。大使は、通信手段が未発達だった時代には自国を代表しての外交交渉を任されてきた。現代ではそうした実務的な意味合いは薄れたものの、任地において正常な外交関係のシンボルとなっている。大使の帰国後、韓国の尹炳世外相は国会で「外交公館前への造形物設置は望ましくない」と答弁した。大統領権限代行を務める黄教安首相も記者会見で「時間はかかるだろうが、(少女像の問題を)必ず克服するよう努力する」と語った。地方議会では竹島に少女像を設置しようという動きが出たが、韓国政府はこれに反対する考えを表明している。韓国政府は釜山の地元自治体に像の撤去を働きかけ、日本政府はその努力を認めるなどして早期帰任へ向けた環境作りに努めるべきだ、としている。

昨日、読売が取り上げた話題。産経は無視をつづけるだろうか?そういう姿勢がある限り、日韓関係が本質的に良好になることはないだろう。昨日の読売、朝日、毎日とも、無益な提案に終始している。日韓関係に期待するものも減っているのかもしれない。本当の日韓関係が成立するには、有事、外圧、秀逸な外交をできるリーダーのいずれかがなければ動くことはないだろう。動かない時に損をするのは?日本政府のようなコミュニケーションを閉ざす手法が、もっとも被害が大きい。別の策を考えてでも、対話の入り口は持つべきだ。退けない手を打ってしまったのも無策だが、現地の情報が入らなくなるのは、さらに危険だ。

読売新聞・社説
陸自PKO日報 適切な保管と公開が不可欠だ

公文書を適切に管理する重要性を軽視していたことは否めない。防衛省は、「廃棄した」としていた陸上自衛隊の日報が、省内に保管されていたと発表した。日報は、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に従事中の部隊が昨年7月に作成した。首都ジュバでの南スーダン軍と前副大統領派の衝突を記述している。日報には、ジュバの自衛隊宿営地周辺で「戦闘」「銃撃戦」との表記が複数ある。野党側は国会で、政府が「戦闘」という表現を避け、「武力衝突」と言い換えているのは問題だと追及した。稲田防衛相は、「日報には、一般的用語として『戦闘』が使われた。法的な『戦闘行為』を意味しない」と説明した。南スーダン情勢はPKO参加5原則を満たしているとの考えを示したものだ。やや疑問なのは、稲田氏が「憲法9条上の問題になる言葉を使うべきではないから、武力衝突と使っている」と答弁したことだ。憲法上の問題があるのに、表現で糊塗しているかのような誤解を招きかねない。稲田氏には、より慎重で的確な発言を求めたい、としている。

国会も読売も、論点が分散していてよく判らない。野党は何の目的でこの指摘をしたのだろう?防衛省の情報保管の問題?稲田氏の憲法解釈?派遣されている自衛隊の安全?適切な議論がないまま、また国会は会期だけが過ぎていく。不愉快だ。

日本経済新聞・社説
再犯防止に向けた刑罰見直し議論深めよ

罪を犯した人に対する懲罰や、立ち直りに向けた指導・教育はどうあるべきか。現行刑法が制定された1907年(明治40年)以来変わっていない懲役刑などの刑罰の見直しについて、金田勝年法相が法制審議会に諮問した。犯罪の発生件数が減るなか、出所後に仕事や身寄りがない人などの再犯率の高さが大きな問題になっている。いまの刑罰が社会復帰につながっていない、との指摘もある。こうしたことを受け、刑務所が受刑者の再犯防止に力を入れることは理解できる。対象年齢を引き下げると、これまで少年院に送られていた18、19歳が刑務所に入る例が増え、更生に向けた教育が手薄になるという指摘が強かった。
 こうした批判をかわすため、刑務所のなかに教育の受け皿をつくろうという考えがあるとすれば、本末転倒だろう。少年、成人にかかわらず、犯した罪への反省を迫り、円滑な社会復帰にもつながるような実効性ある制度への見直しを期待したい、としている。

日経の社説も読売同様、まとまりがない。まだ議論がスタートしたばかりなのだろうが、問題提起で止まっている。社説から抱く印象は、議論が建設的に行われている形跡のなさだ。以前の経験では、これは大抵誤解で、審議会などは論理的に議論が進んでいることが議事録から窺えることが多い。
ちなみに、法務省で2月9日に行われている法制審議会第178回会議の議事録は、ほぼ少年法改正に議論は集中している。日経が着目した論点は出てこない。

法制審議会第178回会議(平成29年2月9日開催) by 法務省

この差異はどこから来たのか?

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