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2882.報道比較2017.2.9

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朝日は昨日のジャーナリズム不安に応えるような鋭い指摘。はじまる前の会談の予測よりは確実に有益。世界がトランプ恐怖症を克服するのはいつだろう?

朝日新聞・社説
PKO日報 国民に隠された「戦闘」

昨年7月の南スーダンの状況を記録した、国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報などの文書を防衛省が公表した。この当時、政府軍と反政府勢力の大規模な戦闘が起きた。文書には、部隊が派遣された首都ジュバの、生々しい状況が記録されている。「宿営地5、6時方向で激しい銃撃戦」「戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘」。事態が悪化すれば、PKOが継続不能になる可能性にも言及している。稲田防衛相はきのうの衆院予算委員会でこう説明した。「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」政府は「戦闘行為」について「国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し、または物を破壊する行為」と定義する。こうした「戦闘」が起きていると認めれば、憲法やPKO参加5原則に抵触し、自衛隊はPKOからの撤退を迫られる。こうした政府の決定は結果として、国民にも、国会にも重要な判断材料を隠したままで行われた。駆けつけ警護の付与、さらにはPKO派遣継続自体の正当性が疑われる事態だ、としている。

朝日の適切な報道が素晴らしい。昨日、ジャーナリズムの機能不全を憂慮した翌日だけに、効果は大きい。こうして報道が、注目度や政治の偏向を気にせずに適切に情報を集め、提供すれば、自衛隊の活動が犬死にになることは減る。これは、自衛隊に国家主義のエールを送る産経や読売より、ずっと自衛隊を支援する適切な活動だ。
政府にとっては耳が痛いだろうが、安倍政権が3年間、安全保障や自衛隊の位置づけを安易に拡大したこと、不用意に行動に移したことがどれだけのリスクになるのか、意識することは極めて重要だ。危機を認識しながら静観するのと、過信して放置するのはまるで違う。ポイントは、政府やこの事実を適切に認識し、対策したのかだ。もし気がかりなら、直すのは被害が起きる前、まさに今だ。

毎日新聞・社説
安倍首相の訪米 言うべき事を言う旅に

安倍晋三首相がトランプ大統領との会談に向け、きょう米国に出発する。ワシントンでの会談の後、フロリダ州のトランプ氏の別荘を訪れ、ともにゴルフをする予定だ。会談は、経済と安全保障が2大テーマとなりそうだ。経済は、どんな話し合いになるか見通しは不透明だ。トランプ氏は、日本の自動車市場が閉鎖的と批判するなど的外れな発言を続けている。首相は安易に相手の土俵に乗るべきではない。トランプ氏の保護主義は米国の利益にもならないことをしっかり説明し、自由貿易体制の重要性を理解してもらうべきだ。安全保障分野では、先日、来日したマティス米国防長官が、尖閣諸島は米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約5条の適用範囲と明言するなど、不安の払拭に努めた。日米関係の強化は重要だが、トランプ政権は従来の米政権とは違う。自国の利益を第一に掲げ、そのために理不尽な主張をする米国に同調していては、日本に対する国際社会の信頼が損なわれる。首相にその自覚を求めたい、としている。

マーケット、特に為替は、昨日あたりから変動幅がかなり狭まった。政治で揺れる為替はひさしぶりだ。とはいえ、出発前に社説で取り上げるほどの事態でもない。毎日の主張も内容は薄く、無益なレベルに留まっている。GPIFを使ってまでトランプ氏の政策にすり寄ると報道が取り上げた件が、事実になるかが心配なくらいだ。そんな売国のような提案を安倍氏はするだろうか?

人民網日本語版
トランプ大統領の東アジア戦略を世界が注視 (2017.2.8)

米国のマティス国防長官は韓国訪問後、休む間もなく日本へ向かい、東アジア訪問を続けた。トランプ大統領が就任直後にマティス国防長官を東アジア訪問に派遣したことは、トランプ政権の対アジア太平洋戦略の手がかりが初めて見えたことを意味するのだろうか。外交学院の周永生教授によると、米国の歴代国防長官の就任後初外遊先は日本が多かったが、欧州やオーストラリアの事もあった。今回マティス国防長官の初外遊先が韓日であることで明らかなメッセージが発せられた。つまりトランプ政権は日韓との軍事協力を強化するということだ。現時点では、米新政権のアジア太平洋戦略はなお観察が必要だ。これは米国内の勢力による牽制を受けるだけでなく、重大な戦略と安全保障問題における中米の働きかけ合いにかかっているからだ。トランプ大統領自身は大統領選前後にアジア太平洋問題についての考えを繰り返し表明した。こうした政策傾向は米国内で大きな立法抵抗に遭うため、実際に打ち出される政策の方向と強度は判断が難しい、としている。

中国が焦るのも無理はない。トランプ政権が中国と対立姿勢を鮮明にしているのは誰が見ても明らかだ。習氏が安倍氏との首脳会談を徹底的に遅らせたほどの対応を、トランプ政権は中国にする可能性は高い。今週末の日米首脳会談にも注目しているに違いない。毎日同様、内容は極めて薄いが、焦燥感は相当大きい。トランプ政権にとっては有利な状況だ。

Wall Street Journal
トランプ氏、入国禁止令巡る司法批判止まらず (2017.2.9)

米国のドナルド・トランプ大統領は8日、移民を制限する権限が自身にあることは明確で、イスラム圏7カ国出身者の入国を禁じる大統領令を判事も「当然」支持すべきだと述べ、引き続き司法批判を展開した。サンフランシスコの第9巡回連邦控訴裁判所では、入国制限の大統領令について今週中に3人の判事が合議で判決を下す見通し。現在はこの大統領令の執行が差し止められている。トランプ大統領は8日、「米国がこれほど明白な今回の裁判に勝てなければ、われわれが権利を持つ安全や安心を決して得られない。これは政治だ」とツイッターに投稿した。大統領がまだ判決の出ていない訴訟に影響力を及ぼそうとする過去の例は多くないが、前代未聞ではない。だが大統領が判事の品格や政治的な動機に疑問を呈すことは極めて例外的と言える。バラク・オバマ前大統領は、自身の移民政策の一部を最高裁判所が昨年阻止した際に「つらい」後戻りだと述べたが、判決が出る前にコメントすることにはより慎重だった、としている。

この件に関して、トランプ氏の周囲から「大統領令の執行に不手際があって混乱の元になったことは反省している」という陳述があったと聞いて、沈静化に向かう印象が見えはじめた。冷静な人たちほど、大統領令自体の不当性よりは、実行までの時間の短さ、内容の不明瞭さと、実行した際の混乱への準備不足、その後の事態収束能力の不足を指摘している。控訴裁判所がどう言うかは判らないが、最高裁までには、司法が政府に「立法より行政に難あり」と的確に指摘すれば、事態は収束する可能性が高い。
センシティブな問題、アイデンティティに関わる問題に触れると、どれだけの抵抗をアメリカ国内だけでなく、世界が示すのか、トランプ政権は経験した。これが学習につながるといいのだが。日本の民主党が政権を担った時の素人ぶりにそっくりだった。この先も、当分は失態がつづく可能性が高い。大きめのトピックは、3月に債務上限問題が再燃する。今回のように勘定だけで振る舞い、素人が無謀に強行すれば、アメリカはデフォルトする。オバマ氏時代でさえ、数日の混乱が起きた。当時の状況は、報道比較でも取り上げている。マーケットも、その傷跡は確実に記憶している。
当時の日本は、消費税8%を安倍氏が決断した時期。まだ震災復興から2年目だった。アベノミクスはもうはじまっていたはず。アメリカの過去をずいぶん昔に感じるとともに、日本の再生はずいぶん時間を使っても何も進んでいないのでは?と憂慮。

日本経済新聞・社説
ファンドの力を生かして経営改革を

米国で誕生したプライベート・エクイティ(PE)ファンドが、日本でも存在感を増している。リスクマネーを投じて企業に変革を促すPEファンドは、日本企業が進化するうえで重要な役割を果たす可能性を秘める。警戒感を持つ経営者も少なくないが、彼らの力をうまく使いたい。日本でもすでに実例がある。たとえば1月には、日立製作所子会社の日立工機が米大手ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の傘下に入ることになった。インフラ事業に注力する日立製作所にとって工具メーカーの日立工機との相乗効果は薄く、保有株を手放すことにした。一方でKKRは、豊富な海外ネットワークを生かして日立工機の国際展開やM&A(合併・買収)を進めることで、同社の企業価値を高められると判断した。PEファンドは米国で株主の力が強まり、企業が経営改革を迫られた1980年代以降に台頭してきた。企業統治の改革が進む現在の日本でも、活躍の舞台が広がるだろう。今は米系ファンド中心の展開だが、これからは国内系ファンドの育成も課題である、としている。

マネーを働かせることに長けていない日本が、ファンドという概念を経営に持ち込める可能性は低い。村上ファンドの事件の時代から、発想も何も進歩していない。さらに内部留保を積み上げながら、投資さえできない経営者が上場会社を平然と経営しているつもりになっている。ファンドという発想で自らのマネーを有効に使おうとする経営者で注目されているのは、孫氏くらいだ。
個人マネーが狙われた時代は防御できたが、企業の持つマネーはプレッシャーをかけて放出させやすい。外圧でカネを奪われないといいが。

読売新聞・社説
対韓措置1か月 少女像撤去へ行動が見えない

長嶺安政駐韓大使らが一時帰国してから、9日で1か月になる。帰国は、昨年末に、慰安婦を象徴する少女像が韓国・釜山の日本総領事館前に設置された問題を受けた措置だ。2012年に李明博大統領が竹島を訪れた際の大使帰国が13日間だったのと比べても、今回の長期化が異例であるのは確かだ。少女像の設置は、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」や、ソウルの少女像撤去への韓国側の努力を明記した15年12月の日韓合意の精神に反している。在外公館や領事機関の保護を定めたウィーン条約上も、問題がある。懸念されるのは、左派系の最大野党「共に民主党」が、日本への対抗策として、駐日大使の一時帰国や、10億円の返還などに公然と言及していることだ。北朝鮮の軍事的な脅威を踏まえれば、日米韓の連携の重要性は増している。これ以上、日韓双方が非友好的な行動に走り、悪循環に陥る愚は避けねばなるまい、としている。

強行を煽っておきながら、状況が変わらないことに焦る主張が無様だ。10億円が返還される可能性は想定していなかったなら、いまの日本政府は外交を感情だけでやっていることになる。まさか、何も考えていなかったのだろうか?いまのアメリカ政府なら、仲介するならカネを要求するだろう。それが10億円だったら、私はアメリカの商才に驚嘆する。その時に損をするのは…日本だけだ。何のために事を荒立て、対立を煽り、右往左往しているのだろう?

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