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2881.報道比較2017.2.8

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本来、働くべきジャーナリズムが、日本でもアメリカでもワークしていない。天下りは政府機関が発見し、大統領との衝突の見苦しさは日々増している。

朝日新聞・社説
天下りあっせん 文科省だけとは思えぬ

文部科学省の組織的な天下りあっせん問題は、関与を認めて辞めた前事務次官だけでなく、歴代の複数の事務次官もかかわってきた可能性がある――。仲介役の人事課OBは「月2日勤務で報酬1千万円」の大手生命保険顧問の職をあてがわれていた――。だが、参考人として出席した前次官は謝罪を重ねながらも、「法律違反には当たらないと軽信していた」。OB職員も「人助け」だとして第三者からの要請や指示は否定し続けた。国家公務員法は、現役の官僚に利害関係のある企業への求職活動を禁じている。しかし08年以降、政府に届け出られた再就職約1万1千件のうち、1割を超す1285件が離職当日か翌日の再就職だったことも指摘された。違法性はなかったのか精査すべきだ。首相は全府省庁への調査を指示したが、聞き取りだけで全容解明は難しい。「国民の疑念払拭に必要なことは何でもする」という掛け声だけでは困る、としている。

毎日新聞・社説
文科省天下り ルール破りにあきれる

文部科学省の天下りあっせん問題は、省が積極的に仕組み、組織ぐるみで行われていた構図が次第に明らかになった。OBを介在させたルール破りは、あきれるほかはない。背景には、前年末に施行された改正国家公務員法で、現職の国家公務員は再就職のあっせん行為ができなくなった事情がある。これを受け、省の人事課などは、現職ではないOBによるあっせんを期待するようになり、嶋貫氏も「後輩たちのために」などという意識で応じたという。今回明らかになった仕組みが法にもとることは、当然認識しえたはずだが、そうでないなら官僚世界は感覚や視点がずれているというほかはない。そのずれは大きい。文科省は退職者も含め、約3500人を対象に調査を進めるという。今月下旬には中間報告、3月には最終結果を出す。他省庁の調査も行われている。実態の全容を明らかにするとともに、根底にある「感覚のずれ」を考える機会ともしたい。それは「天下り問題」にとどまらないだろう、としている。

国会議員でもざわめく厚遇だった天下り先の公務員の報酬。中国の話かと思えるほど、贈賄に近いレベルの利権。営利団体、特に金融機関が対価を払う時、お付き合いの可能性は極めて低い。名前があるだけ、いるだけで月に1000万円支払うだけのメリットを公務員は持っている。どうしても天下りが気に入らないなら、この点を是正しなければ壊滅は困難だろう。
保険会社の場合、大量の人員を抱える公務員に近づける権利、条件に差異がない時に少し口利きしてくれるだけで十分に1000万円の価値はある。効果があるか判らないテレビCMは1億でも話にならない。営業したうち、何件決めれば採算が合うかは厳密に計算されていることだろう。その人数の達成が満たせないなら、天下りは止まる。
ビジネスの視点で見ると、いくつかの不条理に気づくはずだ。なぜ商品力で勝負しないのか?商品で差別化できれば総取りなのに。国会議員がサボっていたと反省するなら、規制緩和、構造改革の領域だ。なぜ未だにテレビのような広告と比較しないと保険が売れないのか?本質的なプロモーションを学ぼうとする企業が極めて少ない。そのふたつを解決するだけでも、保険料は安くなり、消費者の選択肢は広がり、天下りは止まる可能性もある。
もうひとつは1.20に指摘したとおり、この問題の発端は政府機関の再就職等監視委員会が問題を発見したことだ。政府が行政を監視するシステムは機能した。政治が行政の適正を判断することは困難と思われていたが、適切にワークしている。公務員の不祥事はマスコミが見つける、内部告発から見つかるのが通例だったことを思うと、マス・メディアはもう公務員の不祥事をチェックする能力さえ政府に劣ることが明らかになった。本来、働くべきジャーナリズムはどこへいったのか?朝日、毎日は公務員の批判より先にやることがある。

Wall Street Journal
トランプ氏とロシア、共和党議員に抑止力はあるか (2017.2.7)

トランプ氏はウラジーミル・プーチン大統領と新たな戦略的関係を築きたいとの意志を明確に示してきた。それはまるでプーチン氏を擁護しているかのように聞こえるほどだった。先週末、FOXニュースのビル・オライリー氏とのインタビューでトランプ氏はプーチン氏を尊敬していると述べ、それに対してオライリー氏は「でも彼は殺人者だ。プーチンは人殺しだ」と応じた。トランプ氏は米国とロシアの両政府の行為を同等とみなして、さらにこう続けた。「人殺しはたくさんいる。われわれ(の国にも)多くの殺人者がいる。われわれの国がそんなに潔白だと思っているのか」。これは誤った道徳的等価だ。重要な問題は、トランプ氏はプーチン氏とどういう種類の取引を行いたいのかだ。その点、議会共和党が幻想を抱いていないことは朗報だ。ミッチ・マコネル上院院内総務は5日、プーチン氏を「元KGB工作員」で「殺し屋」だと呼んだ。ポール・ライアン下院議長は先月、CNNテレビでロシアは「世界的な脅威」であると言明。プーチン氏は「利害を共有していない。われわれの利害に背いている」と述べた。共和党上院議員のベン・サス氏、マルコ・ルビオ氏、ジョン・マケイン氏、リンゼー・グラム氏もロシアと米国の国益に関する明確な考えを示した。共和党議員は、トランプ氏にもっとうまく対処すべきだ、としている。

トランプ氏は、公約を実行に移しているだけ。ならば公約を止めるのは議会、司法、メディア、国民だ。議会と司法はワークしている。残念なほどレベルの低い争いに終始しているのがメディア。国民は規模は大きいが、結束が弱い。形勢逆転に最も重要なのはメディアがもう一度、権力に知性ある一撃を食らわせることだ。

産経新聞・社説
北方領土の日 四島主権の明確化譲れぬ

安倍晋三首相は「北方領土の日」の返還要求全国大会で、「私とプーチン露大統領は、戦後ずっと残されてきた課題に終止符を打つ強い決意を共有した」と述べた。自らの手で、北方領土問題を何とか前進させたいという首相の意気込みはわかる。問題は、それが北方四島の返還に資するアプローチにつながるかどうかである。今月1日の日露外務次官級協議では、四島での共同経済活動に関し、関係省庁も加えた公式協議を3月に始めることが決まった。交渉の進展を演出するため、ここで主権をめぐる立場を曖昧にすることは許されない。そのような形で経済協力に踏み込めば、居留する人々の居心地をよくし、ロシアによる実効支配の強化に手を貸すことになるからだ。「力による現状変更」という点で、クリミア併合は北方領土問題と同根である。首相は対露制裁でトランプ氏とどう語り合うのか。制裁解除にくみするなら、積み重ねてきた価値観外交との整合性を説明するのは難しかろう、としている。

読売新聞・社説
北方領土の日 元島民の自由往来拡大を急げ

安倍首相は「北方領土の日」の7日、返還要求全国大会で「島民の皆さんの古里への切実な思いを胸に刻み、着実に進めていく」と強調した。元島民代表は、「これまでは期待だけで終わる繰り返しだった。共同経済活動などを領土問題解決につなげてほしい」と訴えた。北方4島の元島民は1月現在、約6500人である。終戦当時から1万人以上も減った。平均年齢は81・5歳に達している。政府は、昨年12月の日露首脳会談の合意を基礎に、日露双方が受け入れ可能な形での問題解決に全力で取り組まねばならない。まずは、元島民らの自由往来の拡大を急ぐことが大切だ。今年に入って、外務省でロシアを担当する局長と課長が交代し、「条約畑」の幹部が起用された。ロシアと国際法の専門家が十分に連携し、関係省庁とも知恵を出し合って、共同経済活動の着地点を模索してもらいたい、としている。

期待に答える成果もなく、プーチン氏との関係も疑問符が付くような安倍政権のロシア外交。政府を応援するだけの社説など、今どき何の役にも立たない。相変わらず4島にこだわる姿勢も、進歩のない固執しか感じられない。

日本経済新聞・社説
持続可能な住宅市場へ政策の大転換を

2016年の住宅着工戸数が96万7千戸と前年を6.4%上回った。消費増税前の駆け込み需要で膨らんだ13年以来の水準だ。なかでも貸家が前年比で10.5%増になった。低金利に加え、節税対策で貸家を建てる人が増えている。人口が減っている地方でも貸家が大幅に増加している点は首をかしげざるを得ない。業者が一括で借り上げて家賃収入を保証する契約方式が後押ししているが、一部でトラブルも発生している。 住宅の再建築率が低い点も大きな問題だ。住宅着工戸数全体に対する、古い物件を壊して建てた住宅の割合を示す指標で、14年度は9.1%と調査を開始した1988年度以降で最低になった。古い物件はそのままで農地などに住宅がどんどん建っている。これでは空き家がますます増える。持続可能な市場にするためには住宅政策を抜本的に改め、住宅を誘導する区域を自治体がしっかりと定めることも必要になる、としている。

問題提起はすばらしい。世帯が減り、空き家が増え、すでに供給過剰なのに供給が増える。こういう不自然な現象の結末は破滅だ。中国の不動産バブルやサブ・プライム危機に比べれば小さいかもしれないが、住専問題や地銀破綻程度のインパクトは日本国内に与えるかもしれない。マンション経営を触れ込む広告は増えているし、証券ならREIT、株なら建築・不動産系には何らかの余波が来るだろう。傍観できるだけの距離を取っておいた方が良さそうだ。
残念なのは社説の後半の提案が微細な話ばかりに行き着いていることだ。中古住宅の維持管理、住宅金融の話は、問題の大きさに比べると各論過ぎる。

人民網日本語版
中国の総人口、2020年に14.2億人に (2017.2.7)

国家衛生・計画出産委員会はこのほど、「『十三五(第13次五カ年計画:2016-2020年)』全国計画出産事業発展計画(以下、「計画」と略)」を発表した。同計画に打ち出された発展目標によると、2020年までに、中国の総人口は14億2千万人前後、自然増加率は年平均6パーミル前後、新生児の男女比は112(女児100人に対し男児112人)まで低下する見込み。「十三五(第13次五カ年計画:2016-2020年)」期間中、中国では「二人っ子政策」を全面的に推し進める。この期間は、計画出産事業におけるモデルチェンジ・発展を促す重要な5年間となる。「二人っ子政策」の全面実施にあたり、同計画では、関連法律法規・規則の完備の推進、関連部門の連携強化、婦人・児童保健、児童のケア、就学前教育、小中高校教育、社会保障など各種資源の合理的配置を進め、公共サービスに対する新たなニーズを満たしていくことが打ち出された、としている。

政治制度は違っても、どこの国も悩んでいることは一緒のようだ。経済が発展すると、少子高齢化は進む。いまの豊かさを、中国も次世代の育成に投資するようだ。少子高齢化の最先端を走っているのが日本と中国。この地球規模の課題の克服方法を見出すのは、誰だろう?

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