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2879.報道比較2017.2.6

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国内紙の社説は、アメリカ政権とはすべて無関係な話題。けっこう大事な話ばかりだ。トランプ氏にばかり気を取られているわけにもいかない。

日本経済新聞・社説
「共謀罪」は十分な説明なしには進まない

テロや組織的な犯罪を、実行する前の計画段階で処罰する「テロ等準備罪」の新設を目指し、政府が組織犯罪処罰法の改正を検討している。いまの国会に法案を提出し、成立を図る構えだ。2020年の東京五輪対策やテロ防止を過度に強調したり、条約上絞り込めないと明言していた600超の対象犯罪を半数程度に削る姿勢を見せたり、政府側の対応はあいまいで二転三転している。イメージの悪さを払拭する必要からか、「共謀罪とはまったく違う」「発想を変えた新たな法律だ」との説明も聞かれた。だが共謀罪とまったく違うなら肝心の条約が締結できなくなってしまう。こうなると一体何を目指しているのかさえよく分からない。そもそも国民の権利の侵害につながる懸念を持つ法案である。「本当に条約を締結するために不可欠なのか」「どの程度、処罰対象を限定することが可能か」といった疑問点も多い。まさかカジノ法のときのような、駆け込み的成立を狙っているわけではなかろう。ここはまずは腰を据えて、分かりやすく説明していく必要がある、としている。

日経としては珍しく、法案ではなく国会運営の批判。完璧に論破できるほどの論理的正論。野党はこのまま黒海で使ったらどうだろう?与党はこの質問に解答する義務を果たせるだろうか?

読売新聞・社説
カジノ誘致構想 住民の不安を解消できるのか

昨年12月のカジノ解禁法の成立を受けて、関係自治体の動きが活発化している。大阪市と府は、経済団体とともに構想案をまとめた。臨海部の人工島・夢洲の約70ヘクタールに大型複合施設を整備する。2024年頃の開業を見込み、市長・知事直轄の部局を近く共同設置するという。カジノを不安に思う住民は少なくない。昨年秋の読売新聞の府民世論調査では、誘致反対が半数を超えた。地元経済界にも「ギャンブル依存症対策など宿題が多い」「もの作りで雇用を生むのが本来の姿だ」などと消極論が残る。北海道や九州の自治体でも、カジノの計画が浮上している。訪日客を増やす狙いだが、外国人が果たして日本観光にカジノを期待しているのだろうか。自治体は、カジノを頼りにする前に、活用できる地域の魅力がないか、再点検すべきだ、としている。

読売はカジノ推進派だと思っていたので意外だった。遊ぶ人が多ければ、確実に儲かるのがカジノ。宝くじや他のギャンブルと同様、胴元のビジネスとしての安定性は固い。だが、そのカジノが世界中で斜陽に向かっている。競争が激しくなったこと、確率のゲームのバカバカしさが、射幸心に勝てるほど世界の教育が高まったからだろうか?誘致前からこの懸念。それでも行政がやるとなったら…どれだけのリスクを自治体は取るつもりだろう?カジノ・ビジネス以上に低い成功率になっている気がするが…それでも血税を投じるのだろうか?

朝日新聞・社説
GPS捜査 明確なルールが必要だ

捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)端末をとりつけて居場所を監視する「GPS捜査」について、警察庁の運用マニュアルの一部がわかった。窃盗事件を審理している東京地裁が開示を命じた。GPSを使ったことを、取り調べ時に容疑者に明かさない、捜査書類に書かない、報道機関に発表しないなど、「保秘の徹底」を説くもので、06年に全国の警察に通達していた。容疑者が、いつ、どう動いたか、情報把握が捜査に役立つことは大いにあるだろう。だが、期間の制約がないまま常時監視下におき、捜査終了後もその事実を当人に知らせず、移動の記録がどう扱われるかもはっきりしない。そんな運用は人権侵害のおそれが極めて高い。警察当局も最近になって姿勢を一部見直し、裁判所の令状をとったうえでGPS捜査を行う例が見られるようになった。捜査機関任せにせず、こうした第三者の目を入れる方向でチェック体制の確立を急ぐべきだ。その際は、通達やガイドラインといったあいまいな取りきめではなく、法律で定めるのが適切だ。監視期間や事後の通知などの手続きを明確にし、人権保障と捜査の両立を図りたい、としている。

警察以外、犯罪者でなくてもすべての人たちが朝日の意見に同意するのではないだろうか?これは立法府の仕事だろうか?司法が警告を出すことだろうか?取り締まりの可視化より懸念の大きい問題だと思う。政治が動かない理由は見つからない。早急に動いて欲しい。

毎日新聞・社説
原発内部の確認 廃炉の道一段と険しく

炉心溶融を起こした東京電力福島第1原発2号機で、原子炉圧力容器の下部に初めてカメラが入った。作業用の足場に堆積物があることが確認された。溶融した核燃料の可能性が高いと見られている。東日本大震災から6年近くを経たが、内部が確認できたことは、廃炉作業にとって一歩前進だ。だが、東電の解析によれば、現場の放射線量は1分足らずで人間が死亡するほど高く、溶融燃料と見られる堆積物は広範囲に飛散していた。東電はカメラ付きのサソリ型ロボットを月内にも投入し、本格調査する予定だったが、見直しを迫られた。炉心溶融が起きた1979年の米スリーマイル島原発事故では、溶融燃料の取り出しが始まったのは事故から6年後、作業が終了したのは11年後だ。溶融燃料は圧力容器内にあり、内部を水で満たして放射線を遮りながら遠隔操作で取り出した。困難な道のりだが、政府と東電には、情報公開を徹底するとともに、廃炉の課題を着実に克服していく取り組みが求められる、としている。

これだけの難問を抱えて原発の恐ろしさと無限にも思える負債を抱えながら、一方で原発再稼働を平然と進める。巨大な企業は、そこまで不感症になれるのだと驚く。国に対しても同様の感覚だ。ヒステリーのような反対は、実際に被害に遭った人にのみ許されるとは思うが、経済合理性と生理的な拒絶感から考えても、原発をもう一度動かす理由には、よほどの思慮がなければ進みたくないのが普通の感覚だと想うのだが。この事故の悲惨さを見た上で、推進派の意見をまた聞いてみたくなった。

産経新聞・社説
一極集中の是正 地方高齢者への支援急げ

安倍晋三政権が旗を振る東京一極集中の是正に成果がみられない。総務省の人口移動報告によれば、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)は21年連続で転入超過となった。大阪圏と名古屋圏は4年連続の転出超過だった。より条件の良い働き口を求め、人々が集まってくるためだろう。東京五輪に向けて、こうした流れはさらに強まるとみられる。東京圏の高齢化がさらに進めば、病院や福祉施設の不足がさらに深刻化する。こうした高齢者は、少しのサポートがあれば、住み慣れた地域で暮らし続けられる。地方高齢者の生活支援の強化を求めたい。例えば、安価な家賃の高齢者住宅を整備し、病院への送迎、役所の窓口での手助けといったサービスを、公的事業として展開してはどうか。これらはコンパクトな町づくりの推進にもつながる。五輪後を見据え、東京圏をどう位置付け、人口集積によらない新たな成長モデルをどう築くか。安倍政権には、早期に国家のグランドデザインの検討に入ってもらいたい、としている。

問題の認識は理解できるが、各論になると支離滅裂。いつもの産経のまずさだ。これこそ、高齢化した曖昧な主張に感じる。論点を整理して欲しい。地方の高齢者の少しのサポートを行うのを誰に期待しているのだろう?公共事業ということは、自治体?今以上の交付税を回してという意味だろうか?その後に地震の話、雇用の話、地域と首都圏の産業の話、さらにはオリンピックの話が雑然と混ざる。これでは読み手が疲れ、考える気力さえ失う。苦情で終わって残念だ。

Wall Street Journal
トランプ氏は初の「シリコンバレー型」大統領なのか (2017.2.6)

表面的に見れば、トランプ氏とシリコンバレーは水と油の関係だ。トランプ氏は不動産王で、同族経営企業の出身だ。移民には反対で、反貿易主義的だ。しかし破壊的なDNAは両者とも共有している。権力を恐れずハイリスク・ハイリターンである一面も同じだ。不可能と思われることに挑み続け、周りからは理解されないこともある。自動運転車もトランプ氏の大統領当選も、実現するまではクレイジーな発想だったと言える。シリコンバレーのように、トランプ氏はあらゆるルールを破る。トランプ氏もシリコンバレーも、ツイッターをマスメディアを破壊する武器とみている。とはいえ、投資家のピーター・ティール氏は別として、シリコンバレーではトランプ氏は概して嫌われている。サンフランシスコでの世論調査では、ヒラリー・クリントン氏の支持率は85%だったのに対し、トランプ氏は9%だった。サンタクララ郡でも、支持率はクリントン氏が73%、トランプ氏が21%と大差が開いていた。そのためシリコンバレーで働く人たちは、メリル・ストリープも驚くほど精神的に参っている。誰も触れたくない事実だが、シリコンバレーでは投資案件が10個あれば9個は失敗に終わる。しかも派手に散ることが多い。トランプ政権も破壊的になるのだろうか。それはまだ分からない。しかし選挙期間中に見せた勢いのままに米連邦通信委員会(FCC)のような時代遅れな機関や部門を実際に閉鎖すれば、トランプ氏が初の「シリコンバレー型」大統領と呼ばれるようになるかもしれない、としている。

コラムとしてはおもしろい。事実のみで構成されていると思うし、異論は感じない。だが、何も生まないし、何のヒントさえ教えてくれない。置きている混乱が少しでも収まる方法を教えてくれる方が、ずっと役に立つのだが。

人民網日本語版
中国政府、米国に釣魚島主権問題への誤った発言停止を求める (2017.2.4)

中国外交部(外務省)の陸慷報道官は3日、記者の質問に対し、「いわゆる『日米安保条約』は冷戦時代の産物であり、中国の領土主権と正当な権益を損なってはならない」とし、米国政府に釣魚島(日本名・尖閣諸島)の主権問題に関する誤った発言を行わないように求めた。陸報道官は「釣魚島及びその附属島嶼は古来より中国固有の領土であり、これは改竄を許さない歴史的事実だ。いわゆる『日米安保条約』は冷戦時代の産物であり、中国の領土主権と正当な権益を損なってはならない。中国政府は米国に対し、責任ある態度を求め、釣魚島の主権問題に関する誤った発言を行わないように求めるとともに、関連問題を更に複雑化させ、地域の情勢に不安定要素をもたらすことを回避するよう求める」、としている。

予定調和過ぎて、答える必要さえ感じられない。日本政府ともども、議論する意志はないようだ。アメリカも火種になるような結論を求めたりはしないだろう。いまの不安定な現状をつづけるというメッセージと受け止めよう。

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