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2878.報道比較2017.2.5

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ウォールストリートでは、デモは起きたが刑務所に入った人は一人もいない。私たちは、失敗から学んだのだろうか?同じ失敗を繰り返す原因を取り去ることもなく、すべてリセットされるようだ。

Wall Street Journal
金融規制改革法見直し、危機時代の終幕告げる (2017.2.4)

トランプ政権は3日、金融危機の惨状と怒りから生まれた金融規制改革法(ドッド・フランク法)を見直すと発表した。オバマ政権下で制定された「受託者規則」の導入も阻止するという。同規則は退職資金の投資アドバイザーたちに顧客の最大利益の追求を義務付けるものだった。こうした動きは金融危機後の過剰な疑心に終止符を打つとみられる。経済の再スタートが目的だとしたら、銀行を金融危機後のまひ状態から解放することには少なくとも象徴的な価値がある。それはトランプ大統領の「商魂を解き放つ」という主要政策目標とも合致している。しかし、政治はそこまできっぱりと割り切れるものではない。新しい政策では、数百万人の国民が自宅を失っていた時に、銀行を直接救済するために使った7000億ドルのことがほぼ忘れられている.「ウォール街を占拠せよ」運動が定着し、ニューヨークのパークアベニューをデモ隊が行進したのはわずか6年前のことだ。あの怒りがその後のバーニー・サンダース上院議員の民主党予備選挙での大健闘を後押しし、いろいろな意味でトランプ大統領の誕生にもつながった。トランプ氏の支持者たちは、移民問題では安全のために自由を犠牲にすることを受け入れている。今回の問題でもさまざまな政治的要因や感情が交錯している。彼らはウォール街の解放のためにどれくらいの安全を犠牲にしてもいいと考えているのだろうか、としている。

社名にもWall Streetを含んでいるアメリカ経済紙が憂慮するのだから、この決定はリスクを伴う規制緩和になりそうだ。リスクとはコントロールすれば利益を生むものであり、うまく付き合うべきものだが、6年で捨て去っていいほど金融機関は利益に喘いでもいなければ、反省もしていない。同じ失敗を繰り返す原因を取り去ることもなく、すべてリセットされるようだ。
次に起きるショックは、2008年より大きいだろう。あの失敗を埋めるために、世界の中央銀行はマネーを刷り、その後始末は今でも手を付けることさえできない。これをバブルとは呼ばないようにしているようだが、いまの世界の株のゲタは、どれも中央銀行のマネーだと投資家は知っている。このマネーを原資に、また野放図にカネを貸せる。ウォールストリートでは、デモは起きたが刑務所に入った人は一人もいない。私たちは、失敗から学んだのだろうか?

朝日新聞・社説
日米関係 確かな基盤を築けるか

マティス米国防長官が韓国に続いて日本を訪れ、安倍首相や稲田防衛相らと会談した。トランプ大統領は選挙中、同盟軽視とも受け取れる発言を重ねていた。マティス氏が初の訪問先に日韓両国を選んだのは、東アジアへの米国の関与を確約し、同盟国の不安をぬぐう狙いがあったとみられる。中国の東シナ海や南シナ海での海洋進出について懸念を共有し、尖閣諸島は「日本の施政下にあり、日米安保条約第5条の適用範囲だ」と明言。在日米軍駐留経費の日本側の負担増には触れず、日米の経費分担は「見習うべきお手本」と述べた。日本政府としてはひと安心かもしれないが、これでトランプ政権への不安が払拭されたかと言えば疑問が残る。問題はトランプ氏自身にあるからだ。大統領上級顧問のバノン氏は昨春のラジオ番組で、南シナ海で5年から10年以内に米中戦争が起きる可能性を指摘した。そのバノン氏は、米国の安全保障戦略を練る国家安全保障会議(NSC)のメンバーだ。米中関係の行方は、アジア太平洋地域の、ひいては世界の平和と安定を左右する。国際秩序を保つ努力を続けることが、米国の利益にもなる。そのことをアジアや欧州の米国の同盟国などとともに、トランプ氏に説かねばならない、としている。

産経新聞・社説
米国防長官の来日 新たな同盟強化の起点に 抑止力向上へ自衛隊拡充せよ

トランプ米大統領の信任が厚いマティス国防長官の来日は、日本の防衛とアジア太平洋地域の平和に資する、大きな戦略的意義を持つものだと評価できる。マティス氏は安倍晋三首相との会談で、安全保障面で米国は日本を「百パーセント」支持すると表明した。米国の日本防衛義務を定める日米安保条約第5条の適用範囲に尖閣諸島を含むことや、「核の傘」を柱とする拡大抑止の提供についても再確認した。強調したいもう一つの点は、尖閣防衛への米国の協力が確認されたことは歓迎すべきであるものの、それに安堵して防衛努力を怠ってはならないことである。日本の領土である尖閣の防衛は、あくまでも一義的には自衛隊が主体で行うものだ。一方、中国や北朝鮮は地域の軍事バランスを崩すようなペースで軍拡をしている。防衛費の思い切った増額に踏み切らなければならないし、敵基地攻撃能力の導入も待ったなしの課題である、としている。

日本経済新聞・社説
日米同盟を強めアジアの安定に貢献を

多くの国民がほっとしたことだろう。来日したマティス米国防長官が、尖閣諸島を含む日本防衛に米軍がしっかりと関与していく方針を明確にした。指摘するまでもなく、日米同盟はわが国の外交・安保の基軸である。アジア太平洋地域の安定のため、この絆をより強固にする道筋を考えたい。駐留経費の問題がすべて片付いたわけではない。日米両政府とも「協議では全く話題にならなかった」と説明するが、何やら不自然である。今回は太陽に徹したトランプ政権が一転して北風を吹かしてくるかもしれない。大事なのは、我が国を守るためのグランドデザインを自ら描き、それに基づき、思いやり予算の適正額を主張することだ。安保と通商を取引することは、絶対に避けなければならない。自民党の保守派には「日米で中国を押し返そう」など勇ましい発言をする向きが少なくない。会見で対中政策について聞かれたマティス氏は「外交的努力に訴える」と語るにとどめた。過激なもの言いで物議を醸すトランプ政権でさえ、安保担当者の言動はかくも慎重である。その言葉の重さをよく認識したい、としている。

読売新聞・社説
米国防長官来日 尖閣「安保適用」を協調の礎に

マティス米国防長官が来日し、安倍首相、稲田防衛相らと会談した。首相はマティス氏の早期来日を歓迎し、「揺るぎない同盟を更に確固たるものにしたい」と述べた。マティス氏は、対日防衛義務を定めた日米安保条約5条の尖閣諸島への適用を明言した。「日本の施政を損なういかなる一方的な行動にも反対する」とも語った。中国は東シナ海で軍用機・艦艇の動きを活発化させ、尖閣諸島周辺の日本領海に公船を恒常的に侵入させている。マティス氏の見解は中国への強い牽制となろう。在日米軍駐留経費のあり方について、一連の会談では議題にならなかった。ただ、マティス氏は記者会見で「日米の経費分担は他国のお手本になる」と評価した。米軍再編経費を含め、同盟国で最も多い年間約7612億円にも上る日本の負担を踏まえた発言とみられる。妥当な認識である。首相とマティス氏は、米軍普天間飛行場問題について、辺野古移設が「唯一の解決策」との認識で一致した。沖縄県の反対で遅れが生じている移設作業を着実に前進させることが求められる、としている。

各紙、日本人らしく悲観的だと笑える。軽視、楽観が過ぎるのは良くないが、国防長官が会見で発言した以上、余計な心配よりは建設的な同盟関係のあり方を議論した方が前向きだ。いつ翻意されるかと不安を煽るよりは、あるべき北朝鮮への対応、日米同盟への日本ができることを考えればいい。急に予算を求められたら?「以前に言われたことと大きく違うので、国内で検討が必要」と、好きなだけ時間を求めればいい。これがコミットメントであり、交渉であり、ディールだ。だから2/10の首脳会談も大丈夫と過信したり、中国に牽制するのは違う。むしろ中国にアメリカとの同盟を前提に、貿易交渉を進めたり、アメリカにできないことを日本が担うのが、自立した同盟関係だ。
いつも思考の力点が違う。考えるべきことを置き去りにして、どうでもいいことにいつまでも時間を使っている。
これで、2/10の首脳会談は、経済のみに話題が集約された。この外交で、トランプ氏は「日米同盟ではずいぶんとサービスした」と言えるカードを手にした。円が高い、アメ車が売れない、雇用を増やせ…サンドバッグのように日本を殴る準備かもしれない。心配するなら、むしろ経済だ。

毎日新聞・社説
トランプ時代/9 政治と科学 ここでも事実の軽視か

地球温暖化対策にかかわる環境保護局(EPA)や農務省など米政府機関の関係者らが、ツイッターに非公式アカウントを開設し、トランプ政権を批判するつぶやきを次々に流している。政権が打ち出した検閲まがいの指示に反発してのことだ。トランプ氏が温暖化に懐疑的なことは広く知られている。この他にも、ワクチン接種の副作用で知人の子供が自閉症になったと主張するなど、科学的根拠を欠く発言を続けてきた。EPAなどへの指示は明らかに行き過ぎだ。自説に不都合だからといって、国民の共有財産とも言える科学的データを、覆い隠そうと言うのだろうか。大統領就任式2日前、米航空宇宙局と米海洋大気局は地球の平均気温が昨年、3年連続で観測史上最高を記録したと発表した。温暖化の主因は二酸化炭素などの人為的排出だというのが両機関の見解だ。これは世界の科学界の共通認識でもある。科学をおろそかにする国は、国民が事実に基づき、合理的な判断をすることを難しくする。科学の世界に「ポスト真実」を持ち込む権利は、大統領にもないはずだ、としている。

一紙だけ意味不明な連載のような、感情的な主張をつづけている毎日。昨日、一足先にマティス氏の話題を書いてしまったので話題に困ったのだろうか?言っている事は正論に見えて、トランプ氏と主張の次元は一緒に感じる。トランプ氏がやることは、どんなこともおかしいというバイアスがかかっているように感じられる。これこそ、トランプ氏がメディアを敵視する原因だ。
トランプ氏は、国民から選ばれた大統領だ。彼は公約で言っていたことを、そのまま実行している。言った事を支持され、実行する権力を国民に負託されたことを忘れている。科学に対する事実の軽視という書き方は整合性があるように見えて、トランプ氏がアメリカ国民から指示を得た大統領という事実を軽視している。私は個人的には、トランプ氏の意見の大半に同意できない。だから毎日の感情の部分は理解できる。だが、アメリカ国民が選んだ大統領は、科学より経済を優先する権利までは持っている。トランプ氏を批判する時は、冷静に、確実な論理武装をしてから行わなければ勝てない。トランプ氏にではなく、支持したアメリカ国民に対しての反論だという準備が不足だ。

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