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2876.報道比較2017.2.3

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プーチン氏が本当に大統領選挙に介入したのなら、もっとも理想的な状態にアメリカを陥れている。自滅を待っているだけで、十分にアメリカは国力を失っている。

Wall Street Journal
入国禁止令に見るトランプ素人劇 (2017.2.2)

ドナルド・トランプ米大統領が海外の危険地域からの訪問者に対して「徹底的な審査」を行うと発言したのは、選挙期間中の昨年8月15日のことだった。その公約が守られたことには誰も驚くべきではないだろう。しかし大統領令の内容、署名されたタイミング、そして発表後の混乱には、当惑せざるを得ない。仮にトランプ氏が時間をかけて準備し、計画的に大統領令に署名していた場合を想像してもらいたい。トランプ氏は国務長官や国土安全保障長官に囲まれて大統領らしい演説をする。7カ国からの訪問者に対するビザの新規発給は即時停止すると発表し、なぜこれらの国々が選ばれたかを明確に説明する。また2人の長官に対しては「徹底的な審査」の方法を90日以内にまとめるよう指示し、シリアからの難民受け入れは無期限で停止する。こうした手順を踏んでいれば、大統領令の狙いをすべて達成しつつ大きな混乱を避けることができたはずだ。米クイニピアック大学が先月行った世論調査によれば、国民の48%は「テロ事件の起こる傾向がある地域からの入国を停止すること」に賛成しており、反対はわずか42%だった。過去にも出だしでつまずいた大統領はいる。ピッグス湾事件でのジョン・F・ケネディがそうだ。しかしケネディは過ちから学び、軌道を修正した。トランプ氏とその側近も同じ道を歩むべきだ。次に間違いを犯せば、トランプ政権だけではなく国全体に重大な影響を与えかねない、としている。

毎日新聞・社説
トランプ氏と為替 国際協調の土台揺らぐ

警察の一存で、GPS(全地球測位システム)発信器を利用した捜査が秘密裏に行われることは、極めて危ういと言わざるを得ない。捜査対象者の車にGPS発信器を付けて居場所を確認する捜査に当たって、捜査書類にその存在を推測させる記載をしない運用を警察庁が全国の警察に通達していた。懸念されるのは、捜査の名目で際限なくこの手法が利用されることだ。立ち寄り先によっては、思想信条や交友関係などプライバシー情報が浮き彫りになる。その対象者は警察の恣意的な判断で決められる。刑事裁判にならないケースもある。その場合、警察内部に蓄積されたGPS捜査による個人情報はどうなるのか。捜査の痕跡を消そうとするような警察の姿勢の先には、超監視社会を招く怖さを感じる。携帯電話などの位置情報を捜査機関が電気通信事業者から取得することを含め、刑事訴訟法にはGPS捜査に関する明文規定はない。捜査手法として有効に活用しながら、どう人権に配慮するか。法規制の必要性について国会でしっかり議論すべきだ、としている。

読売新聞・社説
米入国制限混乱 テロ阻止の効果は上がるのか

トランプ米大統領がテロ対策を名目に打ち出した入国制限の大統領令に対し、内外で批判が拡大している。「信教の自由」や「法の下の平等」を保障した憲法に違反するとして、各州の司法当局が執行差し止めを求めた。政権の雇用拡大策に協力する米主要企業の多くも、不支持に回った。世界各国から多様な人材を集め、成長につなげる経営戦略が崩れるとの危機感からだろう。世論調査では、大統領令に49%が賛成し、反対の41%を上回った。テロに対する不安や難民への拒否感が背景にあるとみられる。公約実行を支持層に訴えるトランプ氏の戦術が功を奏している。トランプ氏は、入国制限の大統領令に反旗を翻した司法長官代理を更迭し、後任を任命した。問題なのは、肝心の新たな入国審査基準を議論する前に、一連の措置を強行したことだ。特定の国や宗教を差別し、難民を排除する人権軽視の発想だと受け取られる事態を想定しなかったのか。関係国がテロ関連情報を共有して、監視体制を構築することが肝要である。トランプ氏の排他的な姿勢に国際社会の批判が集まるようでは、結束はおぼつかない。過激派組織「イスラム国」が混乱に乗じて、反米テロを扇動することも警戒せねばなるまい、としている。

Wall Street Journalと読売は、ほぼ同様の主張。うまくやれたはずのことを、素人行政が混乱を招いたと結論づけている。トランプ氏のマネジメント・スタイルが変わらないなら、同じことは起きる。鳩山氏の時と同じだ。自分の側近に話すより、根回しより、打ち上げ花火のような注目を浴びる方を優先する。両者がその手法にごだわる理由は、支持率が欲しいからだ。適切なブレーンがいない、信任のために結果を出さなければならない、やったこともない手探りだとは悟られたくない…結果、ツイートし、誤解を招いても「悪いのはメディア」で押し通す。かわいそうなのは、振り回される政府関係者と行政だ。下手を打つほど、黙って仕事をするべき人たちの生産性が下がり、協力を得にくくなるだろう。
プーチン氏が本当に大統領選挙に介入したのなら、もっとも理想的な状態にアメリカを陥れている。政治が機能停止し、市民は分断される。トランプ氏とうまくやる必要も何もない。自滅を待っているだけで、十分にアメリカは国力を失っている。10日でここまで壊れたアメリカ。トランプ氏にはまだ100倍以上の時間が与えられている。

日本経済新聞・社説
賃金制度の改革で成長への基盤固めを

経団連と連合のトップが会談し、春の労使交渉が本格的に始まった。毎月の基本給を引き上げるベースアップと並び、長時間労働の是正や非正規社員の賃上げも、今年は議論の焦点だ。労働時間を短くすると、残業代が少なくなって毎月の収入も減ってしまう社員が出てくる可能性がある。成果をもとに報いる制度を整える必要がある。非正規社員についても、技能の向上にともなって賃金が増える仕組みが求められる。企業の労使は賃金制度の議論を深め、改革につなげてほしい。非正規社員の待遇改善では、政府は仕事が同じなら賃金も同じにする「同一労働同一賃金」を広げようとしている。だが継続的に賃金を上げていくには非正規社員も生産性の向上が求められる。米トランプ政権の保護主義的な政策や英国の欧州連合(EU)単一市場からの離脱表明などで、世界経済は不透明感が増している。日本の景気の先行きも予断を許さない。こういうときだからこそ企業は、成長への基盤固めが大事だ。賃金制度の見直しはその柱のひとつになる、としている。

企業がやっている労使交渉も、日経の社説のような会話なのだろうか?労働時間が減ると残業代が減って収入が減る?そういう議論は失われた30年の最初にしていた議論だ。会社が儲からなければ報酬は増えないし、給与を底上げするための残業代なら、日本の生産性は永遠に上がらないし、帰れないのは会社の文化ではない。カネが欲しいから仕事をゆっくりやって帰らない方が多い気がしてくる。私は自営になってもう20年足らず。まさかそんな認識が正社員になっても残っているとは思わなかった。時給で働くアルバイトさえ、ブラック企業という議論がある以上、仕事よりも適切な勤怠が望まれているのだと思っていた。でなければ、安倍氏が提唱する同一労働同一賃金のコンセプトさえ揺らぐ。これが事実なら、成果主義が根付かなかったのは日本の商習慣や文化だと論じる人も多いが、残業代という文化を先になくした方がいい。賃上げの議論さえ無意味だ。私の知る人から、残業代という言葉は最近聞いた記憶がなかっただけに、日経の主張はショックだ。もし、こんな事実がまだ日本に残っているのなら、まずは外資で働いて文化を学べ、という主張をする人の感覚も納得する。

朝日新聞・社説
検索サイト 情報の流通、重い価値

検索サイトに約5年前の逮捕歴が表示される男性が、その削除を求めた仮処分事件で、最高裁は訴えを退ける決定をした。注目すべきは、決定が検索サイトを「情報流通の基盤」と位置づけ、「検索結果の提供は事業者自身による表現行為の側面をもつ」と述べたことだ。社会インフラとしての同サイトの意義を評価し、検索結果の削除に高いハードルを課した。検索結果を提供する行為も、憲法が定める表現の自由のひとつの形態として、一定の保障を受けることがはっきりした。そうであれば、正当な削除要請には、これまでにも増して誠実に対応しなければならない。グーグルやヤフーなどの事業者は、決定がもつ意味をよく理解し、公共財として、より適切な運営を心がけてほしい。忘れてならないのは、民主社会の維持・発展には人々が自由に情報を発信し、アクセスできる環境が欠かせないということだ。今回の最高裁決定が改めて示すところでもある、としている。

最高裁の判決には違和感はないが、朝日の主張には微かな違和感を覚える。一番、重要なのは表現の自由との兼ね合いよりは、公共の利害と、プライバシーを守る利益が、「今回のケースでは」公共の利害を優先させる方が適切という部分だと思う。つまり、常に表現の自由が勝るわけでも、検索サイトやインターネットではプライバシーよりも公共の利益が優先と位置づけられるという意味では、誤解が生じる。
新聞社ではなく、時事通信社の取材情報からのコンテンツで、事実を認識してみたい。

ネット検索結果、削除認めず=逮捕歴「公共の利害」-初の判断基準示す・最高裁 by JIJI.COM(時事通信社)

ポイントは、次の点だと思う。

  • 最高裁の裁判官5人全員一致の意見。
  • 今回の裁判の逮捕歴は、公共の利害に関する。
  • 個人のプライバシー保護が明らかに優越する場合は作女が認められる。

今後の日本では、公共の利害と、個人のプライバシーのどちらに重きを置くかが、検索結果やインターネットのコンテンツでは重視されることになる。これは、今までのメディアが震ってきた表現の自由にも似ている側面がある。ガイドラインが示される可能性はあるが、メディアも頻繁に表現の自由とプライバシーで争っている。機能する指針は生まれるだろうか?

産経新聞・社説
韓国国定教科書 事実無視し反日あおるな

韓国の中学と高校で来年から導入される国定歴史教科書の内容が明らかになった。旧日本軍が慰安婦を「集団殺害」したとする荒唐無稽な記述まで盛り込んでいる。事実を無視して反日をあおるのは、いいかげんにしてほしい。そもそも韓国側が主張する慰安婦が「強制連行された性奴隷」というのは、「慰安婦狩り」をしたとする吉田清治証言などにより広がった虚説だ。実証的な歴史研究で否定されており、これを報じた朝日新聞も証言は虚偽であったことを認めている。韓国の中高校用歴史教科書は、日本と同様、検定制度のもとで民間の出版社などが編集した複数の教科書から選ぶ方式だった。だが、教科書に左派色が強く、歴代政権を否定的に描くなど、北朝鮮寄りの記述が目立つといった背景があった。だがこれでは、かえってひどいものになったとしか評価できないではないか、としている。

産経の韓国嫌いは、トランプ氏の混乱より優先順位が高いらしい。不愉快な事実ではあるが、アメリカの教科書の原爆の記述とも感覚は近い。日本の教科書が何を言っているか、自民党が教科書にどういう介入を使用としているのかを思えば、産経の主張は論理よりは感情で書いたのだと判る。感情で韓国を批判するなら、韓国が日本に抱く感情としていることは一緒だ。産経がしていることは、韓国がしていることと同レベルで、感情の対立から理解や譲歩が得られるとは思えない。

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