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2875.報道比較2017.2.2

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悪が成功を収めるのに唯一必要なのは、善良な人が何もしないこと。分裂の進むアメリカに善良な人はどれくらいいるだろうか?

産経新聞・社説
円安誘導批判 不当な米の「介入」許すな

トランプ米大統領が日本を名指しして、円相場を安値に誘導していると批判した。ドル高をすべて他国のせいにする言いがかりであるトランプ氏がこの問題を取り上げること自体、米国による露骨なドル安誘導にも映る。為替への無理解がもたらす口先介入だろうとも、見過ごすわけにいかない。それは、トランプ氏が2国間の通商協定で、通貨安誘導を厳しく制限する姿勢を打ち出しているからである。誤った認識に基づき、日本の政策に圧力をかけられる恐れがある。足元のドル高は、利上げに転じた米国と、金融緩和を続ける日欧の金利差拡大などに起因する。米政権のインフラ投資や減税に期待してドルが買われていることも見逃せない。ここに目をつむり、他国を批判するのは筋違いだ。為替相場が経済の実態からかけ離れ、景気に深刻な悪影響を与えるほどドル高が行き過ぎているというなら、先進7カ国(G7)など多国間の舞台で国際的に協調しながら対処すべきである。そうした道筋を経ず、基軸通貨国である米国が2国間交渉で強引に相場を動かそうとしても、市場の混乱を招くだけとなろう、としている。

日本経済新聞・社説
経済の混乱招く米大統領の為替「口先介入」

トランプ米大統領が中国と並んで日本を名指しし、「何年も通貨安誘導を繰り広げている」と批判した。日本は過去5年間、為替市場への介入をしておらず、明らかな事実誤認である。米大統領が為替問題に安易に言及すれば、金融市場や経済の混乱を招く。「口先介入」は厳に慎むべきだ。発言は日本の金融緩和政策を標的にしたものとも受け止められている。米国が利上げする一方で、日銀が緩和政策を継続していることが結果的に円安につながっているのは確かだ。だが、日銀の金融政策は米欧の中央銀行と同様、自国の経済や物価を安定させることを目的に運営されている。批判は筋違いである。強い権限を持つ米国の大統領が為替市場や金融政策について、気ままに発言すれば、金融市場の先行き不透明感が高まるのは必至だ。為替相場が政治家の言動に左右されるようになれば、企業の投資活動にも悪影響が及ぶ。為替問題に関する発言は、財務長官などマクロ経済政策の責任者に委ねるべきである。大統領は来週の安倍晋三首相との会談で、不均衡是正へ向けた日米2国間の貿易交渉を提案する可能性がある。重要なのは貿易の収支尻合わせではなく、両国間の貿易や投資を拡大することだ。日米関係の強化は大切だが、会談ではまずこうした原則について米国側の理解を促すことが肝要だ、としている。

読売新聞・社説
トランプ氏介入 円安誘導との批判は筋違いだ

トランプ米大統領が米企業幹部との会合で「他国は通貨安に依存している。日本は何年もやってきた」と述べた。名指しで日本の為替政策を批判したのは、就任後初めてである。米自動車産業などは、日本市場への参入が思うように進まないのは、日本の円安誘導に原因があると主張している。トランプ氏の円安批判は、こうした意向を反映したものとみられる。通商問題が焦点となる10日の日米首脳会談で、対日圧力をかける布石とも読める。トランプ氏は「通貨供給」にも言及した。日銀に批判の矛先を向けかねないとの指摘もある。日銀が継続する大胆な金融緩和は、着実なデフレ脱却が目的だ。円安誘導批判は筋違いである。そもそも、トランプ氏が問題視する現在のドル高は、米国の経済事情によるところが大きい。米金融当局は、景気回復を受けて段階的な利上げを実施し、日米の金利差が拡大した。それが円安・ドル高の要因だ。貿易交渉を優位に進めるために為替政策を取引材料としてはならない。トランプ氏は、自らの発言の重みを十分に認識すべきだ、としている。

個人的には、もう少しこの件でボラティリティが高まるかと思ったが、触れ幅は2円程度。トランプ氏が選挙に勝利した後の為替の振幅から思えば、まだマーケットはドル円へのトランプ氏の思惑を材料視していない。
まんまと弱みを見透かされたか、トランプ恐怖症が政府にも浸透していると見る方が自然だ。日本の切望は日米同盟の維持と、円安誘導の許容。何を考えてるか読めず、ディールの経験に疎い政治家が恐れおののいている。大坂商人やヤクザを気取る社長くらいに思えばラクになるのだが。トランプ氏やポピュリズムが、各国の醜態を露にしているなら、日本はイエロー・モンキーそのものだ。人権に関わることのコメントからは逃げ、自国の都合だけに必死で防戦する姿が、世界に見られている。いつでも平常心のサムライ・マインドはどこにもない。また準備不足?11月から、何も準備していなかったのだろうか?

Wall Street Journal
トランプ氏、最高裁判事承認へ「核オプション」示唆 (2017.2.2)

ドナルド・トランプ米大統領が連邦最高裁判所判事に指名したニール・ゴーサッチ連邦控訴裁判事を巡り、共和党を中心とする支持勢力は早速、民主党の中道派議員から支持を取り付けようと駆け引きに奔走している。最高裁判事の承認手続きを進めるには60人の賛成票を必要とする上院規則があるが、共和党がこれを満たすには民主党議員の支持を取り込まねばならず、リベラル派は民主党上院議員がこの規則を味方に付けることを望んでいる。ゴーサッチ氏の承認が阻まれれば、共和党は規則を変えて単純過半数で先に進めるよう「核オプション」を用いる可能性がある。トランプ氏は「ワシントンで過去にあったような膠着状態に陥るなら、(中略)できることなら、ミッチ(マコーネル氏)、核オプションを使えと言うだろう」としたが、それまでにはゴーサッチ氏が「とても迅速に」承認されるだろうと語っていた。上院司法委員会の報道官は、承認公聴会が3月中旬に始まる見通しだとした、としている。

Financial Times
トランプ大統領との対立に賭ける方法 (2017.1.29)

先日の米国・メキシコ関係の恐ろしい破綻は、米国が自国を第一に置くようになったことで状況がどれだけ変わるのかについて、とても役立つリハーサルの場を世界中の国々に与えてくれている。米国が負担を強いられるかもしれない唯一の実質的なコストは、米国の対策が国境の南側で全面的な危機を引き起こした場合に生じる。隣に破綻国家が存在することは不健全であり、その結果、米国への移民大量流入が再び生じる可能性が高い。だが、ドナルド・トランプ大統領の次のターゲットは中国だ。中国との交易条件に何らかの変化があれば、世界が揺さぶられる。また、メキシコは米国との貿易戦争に勝てないが、中国は何とか勝てるかもしれない。中国に対応はすでに用意されている。中国から資本を引き揚げることが難しくなった。もし中国からの輸入品が突如、値上がりしたら、米国の消費者が痛めつけられることになる。勝つためには、米国はドル相場をめぐるにらみ合いにも勝たなければならない。この戦いの結果は不透明だ。メキシコと中国とは異なり、投資家には、トランプ氏に迎合することも立ち向かうこともせずに、自分の賭けを分散させる選択肢がある。投資家はそうすべきだ、としている。

まだ、トランプ氏のブレーンになりたがる人は、選べる状況だろうか?メキシコとの国交、入国規制あたりから、支持率は下がり、当初から引き受けるのを避けていた有能な人材は、ますます引き受けるのを躊躇するだろう。
「悪が成功を収めるのに唯一必要なのは、善良な人が何もしないことだ。」トランプ氏を批判しているサマーズ氏が引用した言葉は、アメリカ人の選ばれた側にいる人たちの心にあるだろうか?

サマーズ:幻滅、期待、計画 by フィナンシャル・ポインター

朝日新聞・社説
「共謀罪」 前提から説明し直せ

「共謀罪」をめぐる論戦が国会冒頭から交わされている。政権は「テロ等準備罪」と名称を変え、適用要件を厳しくしたうえで、創設のための法案を提出する構えだ。だが政府答弁には乱暴さやゆらぎが目につく。国民の理解はなお遠い。政府は今回、(1)対象を団体一般から「組織的犯罪集団」に限る(2)摘発には、重大な犯罪の実行にむけた「準備行為」がなされることを必要とする――という二つのしばりを加え、さらに「重大な犯罪」の範囲も絞り込む考えを示している。方向性は妥当だが、具体的な条文案は明らかになっておらず、「恣意的な取り締まりにはつながらない」という説明を受け入れられる状況ではない。テロ対策はむろん重要な課題だが、組織犯罪の類型は麻薬、銃器、人身取引、資金洗浄と多様だ。それを「テロ等準備罪」の「等」に押しこめてしまっては、立法の意義と懸念の双方を隠すことになりかねない。誠実な説明と情報公開を通じて議論を深め、合意形成を図ることが肝要だ。看板を替え、五輪を名目に成立を急ぐような態度は、厳に慎まねばならない、としている。

毎日新聞・社説
GPS秘密捜査 超監視社会を招く怖さ

警察の一存で、GPS(全地球測位システム)発信器を利用した捜査が秘密裏に行われることは、極めて危ういと言わざるを得ない。捜査対象者の車にGPS発信器を付けて居場所を確認する捜査に当たって、捜査書類にその存在を推測させる記載をしない運用を警察庁が全国の警察に通達していた。懸念されるのは、捜査の名目で際限なくこの手法が利用されることだ。立ち寄り先によっては、思想信条や交友関係などプライバシー情報が浮き彫りになる。その対象者は警察の恣意的な判断で決められる。刑事裁判にならないケースもある。その場合、警察内部に蓄積されたGPS捜査による個人情報はどうなるのか。捜査の痕跡を消そうとするような警察の姿勢の先には、超監視社会を招く怖さを感じる。携帯電話などの位置情報を捜査機関が電気通信事業者から取得することを含め、刑事訴訟法にはGPS捜査に関する明文規定はない。捜査手法として有効に活用しながら、どう人権に配慮するか。法規制の必要性について国会でしっかり議論すべきだ、としている。

昨年までの3年間、安倍政権が安全保障に注力している時の、イヤな雰囲気が再現されつつある。今度は軍事ではなく公安。私たちの生活にさらに近く、政治の思惑が影響しやすい領域。今まで以上に、注視する必要がある。メディアは統制され、産経や読売は政権に迎合し、日経は無関心を装いやすい。NHKが会長を変えて、どれだけ中立を保てるかは未知数だ。無力化されたメディアが本当のことを言えなくなれば、北朝鮮や戦前までの例えは遠くても、中国やロシアくらいの情報コントロールは、いまの日本政府はやりかねない。ポピュリズムと格差への懸念が顕在化する中で忘れられているが、日本は安倍政権で国家主義をどんどん強めている。しかも、財政が脆弱さを増す、ジリ貧の国家に。

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