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2869.報道比較2017.1.27

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トランプ政権に気を取られている傍で、日本の内閣府の財政資産はTPPの運命より悲惨だ。トランプ・リスクが、このリスクをさらに増幅させそうで恐い。

産経新聞・社説
財政再建目標 黒字化の道筋を洗い直せ

内閣府が、平成32年度の国と地方の基礎的財政収支(PB)が8・3兆円の赤字になるとの試算を示した。税収減などが原因で、昨年7月時点の予測から2・8兆円も赤字幅が拡大した。経済再生と財政再建を両立させて黒字化を果たす、という安倍晋三政権の目標は、すでに疑問視されていたものだ。成長に伴う税収増で黒字化できるという説明に、もはや説得力はないだろう。財政を立て直すには、歳出を削るか、税収増や増税で歳入拡大を図る方法しかない。政権として経済政策の成果を誇示するため、税収も伸びると言い続けるのは、経済の将来像を正確に見るうえで妨げにしかならない。新たな歳出・歳入改革を打ち出すとともに、現実的な黒字化の道筋を立てることが急務だ。その過程で、31年10月に延期した消費税増税をどうするかの判断を迫られるのは言うまでもない、としている。

日本経済新聞・社説
25年度より後の財政・社会保障の姿示せ

内閣府が中長期の財政試算をまとめた。それによると、仮に中長期の経済成長率が物価変動の影響を除いた実質で2%以上、名目で3%以上で推移しても、20年度の基礎的財政収支は8.3兆円の赤字になるという。赤字額は昨年7月時点の前回試算より2.8兆円増えた。円高で16年度の法人税収が落ち込み、収支改善が遅れるからだ。消費増税を2度延期した影響もある。経済の成長力を高めて税収を増やそうという発想は正しいが、円相場しだいで企業収益やそれに伴う税収は増えたり減ったりする。しかも高い成長率が実現するとは限らない。やはり税収増に過度に頼った財政健全化策は危うい。まず社会保障費を軸とする歳出の削減・抑制が急務だ。18年度は診療報酬と介護報酬の同時改定を控える。政府は直ちに社会保障の抜本改革の議論に入るべきだ。日本人の間で財政や社会保障への将来不安は高まり、足元の個人消費が伸び悩む一因にもなっている。超長期の財政や社会保障の姿を試算することを、不安解消策を考える一歩とすべきだ、としている。

いつ聞いても、財政の話にはため息が出る。Wikipediaによれば、この問題の発端は明治維新から書かれているが、1995年の村山内閣が危機を明示し、以降20年を超えても改善どころか悪化の一途。民主党政権と今の安倍政権からは、論理的な議論さえしない姿勢を感じる。民主党はまるで裏付けのない財政支出をバラまいて平然としていたが、アベノミクスも同じ手法を平然と取りつづけている。税収は?減るらしい。これでも強弁をつづける政権と、批判することさえ忘れた国民とメディア。国民全員が無責任になっているようだ。
私は、2020年あたりが潮時と、ずっと見てきたが、トランプ大統領の誕生は、さらにこの期限を前にずらす気がする。トランプ氏の政権は、経済に大きな振幅を生み出す。そして、金利の上昇を生む。どちらも、日本の財政が悪夢としてきたものだ。どこかで、日本経済は信任を落とす失点をするに違いない。そこで中国政府以上の落ち着きのなさを見せれば、アメリカは日本を完全に見限るだろう。

Wall Street Journal
メキシコ大統領、トランプ氏との首脳会談中止を発表 (2017.1.27)

メキシコのエンリケ・ペニャニエト大統領は26日、来週に予定されていたドナルド・トランプ米大統領との会談を中止すると発表した。トランプ氏はこれに先立ち、メキシコが国境沿いの壁の建設費用を負担しないつもりならペニャニエト大統領との会談をキャンセルすると示唆し、建設費用を支払わせようと圧力を高めていた。トランプ氏は前日、メキシコ国境沿いの「物理的な壁」の建設計画を進める大統領令に署名。選挙公約の柱に掲げた不法移民取り締まりを実行へ移す姿勢を見せた。トランプ氏は瀬戸際戦術をとり、2国間関係が悪化すればメキシコの方が失うものが大きいと示唆。ツイッターへの投稿では、1990年代初めに北米自由貿易協定(NAFTA)が締結された結果、米国は対メキシコ貿易で不利益を被っていると述べた。NAFTAは米国の雇用喪失につながった「一方的」な協定だとも批判した、としている。

毎日新聞・社説
「トランプの壁」 分断と排除を助長する

米国のトランプ新大統領がメキシコとの国境に壁を造る大統領令に署名した。物議をかもした大統領選の看板公約が実行に移される。フランシスコ・ローマ法王が懸念を表明するなど「壁」への反対論は強かったが、トランプ氏が考えを変えなかったのは残念だ。だが、歴史的に「移民の国」である米国は、不法移民の労働力を必要としてきた側面もある。そこから米国の多様性も生まれた。「壁ありき」ではなく、メキシコと話し合いを重ねるべきだ。壁の建設費をメキシコに払わせるというトランプ氏の主張は他国の主権を軽く見ており、国内的にはポピュリズム(大衆迎合主義)の極致と言える。テロや移民の問題の解決には、壁ではなく、国際的な協調を必要とする。欧州も移民や難民の流入に悩んでいる。トランプ氏の大統領令が、欧州などで分断と排除につながる短慮な風潮を加速させないか、改めて重大な懸念を覚える、としている。

当然の流れ。トランプ氏の行動が、どんなゴールをイメージしているのか、まるで判らなくなった。ここまでマーケットはトランプ氏の政策をポジティブに見ていたようだが、一気にネガティブに変わるだろう。同様の状況になった時に日本政府はどうふるまうだろう?
毎日が並べた論理は、トランプ氏を考えた時にまったく役に立たないが、トランプ氏も思い知ったのは、政治はディールとは似て非なる部分があることだろう。国家は、ビジネスのように、必ず弱者は強者に折れるわけではない。飢えを忍んでも抵抗する北朝鮮のような国もある。トランプ氏が尊敬するプーチン氏のロシアこそが、その筆頭だ。政治がディールで動いた方が、世界はもっとシンプルだったと思うかもしれないが、残念ながらその時代は1世紀ほど前に終わっている。
日本は、メキシコの行動から学んだだろうか?どれだけ重要な相手でも、答えがすべてイエスである必要などないということを。

朝日新聞・社説
NHK新会長 公共放送の使命を常に

NHKの新しい会長に上田良一氏が就任した。就任会見で上田氏は「コンセンサスの経営をめざす」と述べた。その言葉通り、混乱を早期に収拾し、NHKを国民・視聴者に信頼される存在にすることに、まず徹してほしい。とりわけ政治権力との距離のとり方は、報道機関としてのNHKの死活を握る。「公平公正、不偏不党の立場を貫く」と述べた初心を、日々実践することが求められる。年間6800億円もの受信料収入があり、1万人の職員を抱える巨大な公共放送だ。報道や番組のあり方、組織の運営は常に国民の視線にさらされ、議論の対象になる。その議論を深めるために必要な情報を発信し、説明を尽くすのも、新会長に課せられた重要な任務だ。上田氏は「民放との二元体制を尊重する」と話している。国民の利益を念頭に、放送界全体を見渡した取り組みをする。それは、国民の受信料に支えられるNHKの使命である、としている。

NHKに執拗にこだわるのは朝日と読売。公共放送への監視には期待しているが、新聞の能力低下とメディア・パワーの減衰は、NHKと政府が結託した時に抵抗できる気がしない。前会長への批判が与えたインパクトは、次の会長を選ぶ時にわずかな配慮をさせた程度。行動を改めさせることは叶わず、政府からの報道への介入、妨害は露骨になった。それがNHKへの主張につながっているのだろうが、自らのパワー低下にどう対処していくのかが気になる。すべての新聞が協力してもNHKに対峙できる気がしない。それは、政府がNHKだけを取り込めばいいと判断する要因になり得る。

読売新聞・社説
「小池新党」 改革実現の道筋をどう示すか

東京都の小池百合子知事が事実上率いる政治団体「都民ファーストの会」が、7月2日投票の都議選に向けて、活動をスタートさせた。小池氏支持の会派「かがやけTokyo」に所属した都議3人と、知事選で小池氏を支援して自民党を除名された豊島区議1人を1次公認候補として発表した。小池氏は、豊洲市場問題を都議選の争点とし、移転を承認した自民党の責任などを問う考えだ。2月5日投票の千代田区長選では、5選を目指す現職の支援の先頭に立ち、新人候補を推薦する自民党と対決する。都政の透明化や不適切な慣行を見直す改革は、進めねばならない。だが、都議選をにらんだ過度な駆け引きに終始するようでは、都民の信頼は得られまい。都政には2020年東京五輪の開催などの重要課題が山積する。2月の定例会では、建設的な論議を交わしてもらいたい、としている。

真面目な政治の話よりは、政局の話。しかも国政ではなく都政。読売の価値観はこんなものか、と残念になる。全国紙、部数世界一の新聞に求められる話題と主張ではない。

人民網日本語版
中国、アジア太平洋経済統合を促進 (2017.1.26)

就任後わずか3日のトランプ米大統領は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱する大統領令に署名した。米国のTPP離脱について日本は深く頭を悩ませている。大統領令署名後も、安倍首相は現実を受け入れようとせず、引き続き米国を説得するとしている。 TPPをめぐる米日のもつれを前に、中国はアジア太平洋経済統合プロセスへの参加と促進の決意を一層揺るぎないものにしている。
第1に、中国は各国の経済・貿易政策は時代の発展の潮流に沿ったものであるべきだと揺るぎなく考えている。
第2に、中国は時勢をよく推し量り、世界経済の発展に自信を与えている。
第3に、中国は原則を堅持し、アジア太平洋地域統合プロセスのために正しい道を計画している。
最後に、中国は無私の精神で、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)のビジョンと計画を支持している。
アジア太平洋経済統合のプロセスにおいて、中国は責任をより重視しており、現在世界の直面する様々な問題の解決のため、世界の共同発展・繁栄促進のために貢献する、としている。

中国が自由経済と思ったことはないし、中国が提唱する経済圏が信頼に値するものとは思えないが、ここで書かれていることの日本への批評は事実ばかりだろう。似た思惑がオバマ氏のアメリカにはあったが、トランプ氏のアメリカは違う。中国と一線を引くのではなく、明確に敵対するつもりだ。私たちは、中国の指摘した点は反省して直すべきだ。そうしなければ、ここに書かれたシナリオに敗北感とともに同意する日が来る。現実を直視しよう。それが、軌道修正にはもっとも大切だ。

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