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2866.報道比較2017.1.24

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アメリカで、雇用が得られずに不安を感じている人たちを、安いものを売る方法以外で解決できれば、トランプ氏の貴重なパートナーになれる。日本はやるだろうか?

Wall Street Journal
トランプ氏、「極めて大型の」国境税導入に意欲 (2017.1.24)

米国のドナルド・トランプ大統領は23日、海外へ拠点を移す企業に対して「極めて大型の」課税を実施する意向を明らかにした。トランプ大統領は財界の要人との会合で、中間所得層と企業を対象に減税を実施し、規制を少なくとも75%減らす方針も打ち出した。「自由貿易は(今も)存在しない。自国へ物が入ってくるのを容易にするのはわれわれ(米国)のほうだけだからだ」とも述べた。トランプ大統領は「国境税」の具体的な内容として以前、他国へ生産を移管した上で製品を米国へ輸入する企業に35%課税する考えを示していた。これは下院共和党議員が税制改革の目玉としている「国境調整」とは異なる。トランプ氏は国境調整について、輸入品を課税対象にしながら輸出品が課税対象にならないことを批判している、としている。

朝日新聞・社説
日米関係 主体的な外交の契機に

安倍首相は、先週の施政方針演説でこう強調した。「これまでも、今も、そしてこれからも、日米同盟こそが我が国の外交・安全保障政策の基軸だ。これは不変の原則だ」「米国第一」を掲げ、「世界の警察官」はやめるというトランプ氏を、アジア太平洋地域への関与に引き留めたい。そんな思いが「不変の原則」という強い言葉に表れたようにみえる。物足りなかったのは、首相が「日米は普遍的価値の絆で固く結ばれた同盟国だ」などと答えるにとどめたことだ。近く行われるだろうトランプ氏との首脳会談では、普遍的な価値の重要性を十分に説く責任がある。トランプ氏の米国が孤立主義に閉じこもらないよう促す。そのことが、国際社会の秩序を守り、日米関係をアジア太平洋地域の「公共財」として機能させることにもつながる。トランプ政権の誕生を、日本が主体的に外交を構想する契機としなければならない、としている。

トランプ氏の主張の核は、「自由貿易は存在していない。アメリカがいつも損をしている」に集約される。これからの4年を前向きに考える方法は?トランプ氏の主張の是非は、あえて一度忘れる。アメリカ国内で、雇用が得られずに不安を感じている人たちを、安いものを売る方法以外で解決できれば、貴重なパートナーになれる。孫氏がトランプ氏に逢いに行って言ったのは、このことだろう。雇用が生まれ、アメリカ国内の不安が解消されるなら、メキシコとの国境も、中国の為替も、TPPも、害ではなく利の話に変わる。このくらいの課題は、ビジネスでも政治でも、いつでもあった話だ。冷静になれば、答えは必ず見つかる。
少し考えると、課題はやはり通貨、インフレ、膨らみ過ぎたアメリカの経済規模に集約されていく。アメリカをビジネスの地と見れるか?誰もがイエスと答える。なぜ投資しないのか?ドルが高い。賃金が高い。何もかもが高い。逆に言えば、だから外国のものが価値を持っているように思える。この中で、トランプ氏が下げてもいい、権力で下げられるのがドルの価値くらいだ。他は、下がれば国民の怒りが爆発する。やがてトランプ氏は「ドルが高い」を連呼しはじめると思う。10月ごろまで、彼ができるのはそれくらいだ。ということは…10月までにアイディアを提案できれば、相当な評価が得られる。日本はやるだろうか?これと同じ問題は、日本国内にもそのまま当てはまるのだが。

人民網日本語版
ネットとシェアリング経済が「職場コミュニティ」構築 (2017.1.23)

インターネット技術が急速に世代交代し革新を遂げることを背景として、シェアリング経済が生まれ、新しいビジネスモデルを創造し、個人と組織との関係の定義を新たにし、シェアリングの風隙の下にある伝統的な雇用関係を激しく変化させている。智聯招聘の郭盛最高経営責任者(CEO)は、「シェアリング経済の時代に、どの人も情報収集のチャンネルがますます増え、資源の統合ペースがますます速まり、これまでは組織に頼らなければ完成しなかったビジネス行為が、今では個人事業者が完全に独立した状態で完成させられるようになった」と話す。中国人民大学中国就職研究所の曾湘泉所長(教授)は、「職場コミュニティの概念が登場したのは、従来の労働力市場の変化や新技術革命がもたらした影響を踏まえてのことだ。一方では過去5年間に16~24歳の労働力が約2千万人減少し、また一方では多くの職場が新技術に取って代わられ、こうしたことが企業の管理方法、従業員のコミュニケーションスタイル、労働力市場に対する法規制のやり方に新たな変化をもたらした」と説明する、としている。

日本の経営者でも同じ感覚を持っている人がたくさんいるだろう。日本よりも自由が少ないと思われている中国でも、人は働くために会社という組織に属するより、個人の才能を活かせるチームとしての参加を求めている。私の感覚では、これが重工業型の生産になっても、農業のような自然と対峙する活動になっても、十分に成立する。安定して人材が流動していれば、の条件が必要だが。その時、もっとも重要なポイントはコミュニケーションになる。いま、日本が大きな課題に直面しているのは、ここだと思う。
世界にこのエコノミーが広がった時、反グローバリゼーションという世界で起きている潮流と、どんな反応を示すのかが気になっている。ふたつの現象は別個のものと感じているが、やがて入り交じり、衝突した上で、やがて最適解が出る。また勝者と敗者がそこで決まることになる。当事者でいなければ、感覚さえ理解できず、取り残される。積極的に関わることが大切だと思う。

産経新聞・社説
譲位の論点整理 「一代限り」着実に実現を

天皇陛下の譲位への対応を検討している政府の有識者会議が「論点整理」を安倍晋三首相に提出した。法制上の課題などが多角的に示され今後の議論に資する内容だ。国会でも円滑な協議に生かしてもらいたい。ご高齢の陛下が公務を果たされているお姿は本当にありがたい。陛下を敬愛し、譲位をかなえて差し上げたいと国民は願っている。論点整理は、将来の全ての天皇を対象とするには、「天皇が80代のとき、皇位継承順位第1位の方が70代」である場合など、どんな年齢構成でも不都合ではない制度をつくる必要性を指摘した。将来の状況はさまざまに変わり得る。拙速な議論で恒久制度化を図ることには危うさを感じる。譲位の恒久制度化は、今の陛下から皇太子殿下への代替わりを実現したうえで、英知を集め是非を含めた検討が必要である。その際、大切な宮中祭祀のあり方や、旧宮家の皇籍復帰など、皇統を厚くする方策もあわせて論ずる必要がある、としている。

日本経済新聞・社説
退位巡る議論で国民の理解深める努力を

天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議が、中間的なとりまとめとなる「論点整理」を公表した。3月の最終報告に向け、新たに専門家らからヒアリングを進めるなど、議論を深めていくという。国民の総意をくみ取る努力を続けてほしい。論点整理の中では、83歳と高齢となられた陛下の公務の負担軽減策について、摂政といった現行の制度を活用するよりも、退位による円滑な皇位継承の利点を挙げている。確かに、論点整理が指摘するように、恒久制度化には「将来の状況を、社会情勢の異なる今の時代に規定すべきではない」との反対が根強い。退位の要件を法で定めた場合でも、時の政権による恣意的な判断が正当化される恐れもあろう。一代限りの退位という制度設計を巡っては「将来の退位に関して、その時の皇室の状況や社会情勢などを踏まえた判断が可能となる」などとする指摘もあった。戦後、この国に平和と発展をもたらした象徴天皇制は永続させねばならない。未来を見据え「結論ありき」を排した議論が必要であるのはいうまでもない、としている。

毎日新聞・社説
天皇退位の論点 法的な安定性が大事だ

天皇陛下の退位をどう実現するかについて、政府の有識者会議が論点を整理して発表した。退位の法整備を巡って国会でも議論が始まっている。政府は、国民の声を幅広く聴いたうえで、慎重に法案作成を進めるべきだ。憲法を素直に読めば、皇室典範を改正し、退位の規定を追加するのが自然な考え方だろう。しかし、政府や有識者会議は、特別立法により、陛下一代限りの退位を認める考えに傾斜している。「天皇の意思」について政府は憲法との整合性から要件化は困難だとみている。憲法4条は天皇が「国政に関する権能を有しない」と定め、ここから「天皇の言動が国政に影響を及ぼすことはできない」と解釈されているからだ。陛下は昨年夏のおことばで、象徴天皇の務めが「常に途切れることなく、安定的に続いていく」ことを念じ、国民の理解を求めた。高齢化と少子化は皇室も無縁ではない。女系天皇や女性宮家などの議論を前に進め、皇室の在り方を広く考えていくことが必要だ、としている。

読売新聞・社説
「退位」論点整理 国民の総意を得るたたき台に

政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が、論点整理の結果を公表した。前回までの計8回の会合で出された意見をほぼ網羅した内容だ。陛下のご負担をどう軽減するのか。この主たる論点に関しては、「現在の天皇に限った退位」「すべての天皇を対象とする退位制度の創設」「摂政設置の要件拡大」の3案を併記した。自民、公明両党は、一代限りの特例法制定という政府の方針を支持する姿勢を見せる。民進、共産両党などは、皇室典範改正による制度化を求めている。皇室典範に付則を設けた上で、特例法を制定する折衷案も浮上している。政府は、2019年元日の新天皇即位と改元を検討している、と報じられている。これに対し、宮内庁の西村泰彦次長は「困難だ」との考えを示した。元日には宮中の重要行事が多いためだ。官邸と宮内庁の意思疎通が、ますます重要となるだろう、としている。

今回の有識者会議を無力と感じる人は少ないのではないか。有識者会議と聞くと、どれくらいの人数か想像できないが、実際はたったの6人。

天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議 根拠・構成員 by 首相官邸

6人のうち、5人が学者。政治が関わらないと、議論はスムーズで建設的に進む。そんな印象を受ける。政治家の議論が無残になるのは、選ばれた使命を感じるからだろうか?当事者意識が強過ぎるのだろうか?いずれにしても、円滑な意思決定のために学ぶことは多い。

Financial Times
ナショナリズムがもたらす経済的な危険性 (2017.1.18)

経済学の最大の貢献とは、相手を征服しようとするよりも相手と取引をしようとした方がお互いに得をするという考え方をもたらしたことにあるのだろう。そのうえ、取引の相手が裕福になればなるほど、お互いが豊かになる交易を行う機会も増える。従って、国家間で結ぶべき賢明な関係とは戦争ではなく協力する関係であり、孤立ではなく取引をする関係であることになる。ナショナリストの怒りの政治は、社会の下層から盛り上がってきたものばかりではない。これは、権力を手に入れようとする者たちが使う戦術でもある。その種の政治指導者たちが語る物語は、細かい点こそ異なるものの、エッセンスは常に同じだ。彼らは、自分を支持してくれる「本物の」国民と支持してくれない「国民の敵」を区別する。彼らにとって、人生は戦争だ。戦争なら、どんなことでも正当化できるのだ。米国は圧倒的に重要な事例だ。人民投票的独裁に向かう道のりのどの辺りまで、トランプ氏は米国を連れて行く可能性があるのだろうか。世間は、「それほど遠くには連れて行かない」という見方で一致している。米国には強い制度や機関があるからだ。権威主義的なナショナリズムは、全世界にアピールする要素を内に秘めている可能性がある。そして、このナショナリズムが世界のシステムの中核に入ってしまった。これはすべてを変えてしまうのだ、としている。

このコラムを見る限り、ヨーロッパの現状は暗い。かなりの不自由さ、未来の見えないストレスをヨーロッパの人たちは感じている気がする。2011年から2012年の日本の暗さに近い。内容は散文に近い。結論の示唆も薄く、述べられている難解な主張も遠回しで的を得ない。これがヨーロッパの現実だろう。トランプ氏ほど素直に、今まで信じていた価値観を否定できない。喉元まで「もう自由はたくさんだ」「もう競争はごめんだ」という言葉が出ている。それを言った時に、今まで信じてきた価値観が崩れ、競争に負けたことを認めるのを恐れている。トランプ氏のようなリーダーが、これからもヨーロッパで選ばれる確率は高い。数々の国家意識がひしめくだけに、リスクはさらに大きくなる。ヨーロッパが混乱すれば、アメリカの保護主義より大きな危機が世界に輸出されるだろう。

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