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2862.報道比較2017.1.20

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格差が世界中を覆っているなら、今までのやり方は何かが間違っている。逆行するのでも、今までのやり方を盲目的につづけるのでもない、第3のやり方を見出す必要がある。この新しいコンセプトを見出した人こそが、次のリーダーになれる。

人民網日本語版
経済グローバル化をゆるぎなく推進すべき 人民日報 (2017.1.19)

習近平国家主席は17日に世界経済フォーラム2017年度年次総会(ダボス会議)開幕式で基調講演を行い、経済のグローバル化をゆるぎなく推進する必要があると強調した。人民日報は18日に発表した論評の中で、「世界が複雑な要因と不確定性に満ち、『反グローバル化』の流れが密かにわき起こる中、習近平氏の基調講演は、時代に合わせて行動する、開放的で包容力を備えた大国としての役割を示すもので、復興への力不足に陥った世界経済に強大なプラスのエネルギーを注入するものといえる」との見方を示した。「習近平国家主席が強調したように、経済グローバル化プロセスのリバランスを実現させ、グローバル経済が苦境から脱するよう誘導することは、各国の指導者が果たすべき役割であり、各国国民の期待でもある。人類の運命共同体という意識をしっかりとうち立て、手を携えて努力することで、ともに難関を乗り越えられる」と結んだ、としている。

習氏の演説を評価する形跡は、世界のどこにもない。演説の内容に新しい発想はなかった。注目されたのは中国の主席がダボス会議に登場したという事実と、アメリカへの対抗心がにじんでいるという点、自由経済の推進者だったアメリカの変質への懸念が渦巻いているだけだ。中国にとって、この4年はナンバーワンになるには決定的なチャンス。日本にとっては大いなる危機かもしれない。だが、不思議と中国と日本のリーダーは同じことを言っている。しかも、過去を振り返り、今までのままがベストなのだと主張する。
この発想は、ノーだ。グローバリゼーションを否定する必要はないし、保護主義に前向きな要素がないのは正しい。だが、明らかに格差という問題がこれだけ世界中を覆っているなら、今までのやり方は何かが間違っている。逆行するのでも、今までのやり方を盲目的につづけるのでもない、第3のやり方を見出す必要がある。この新しいコンセプトを見出した人こそが、次のリーダーになれる。この提案にもっとも近い場所にいるのは誰だろう?今のところは…ドイツ?

Wall Street Journal
ムニューチン次期財務長官候補、オバマ政権の金融規制を支持 (2017.1.20)

ドナルド・トランプ次期米大統領が財務長官に指名したスティーブン・ムニューチン氏は19日、バラク・オバマ政権が導入した主要な金融規制への支持を表明した。米金融大手 ゴールドマン・サックス ・グループのパートナーを務めた経歴を持つムニューチン氏は、財務長官への指名に関する上院の承認公聴会に出席。銀行の一部投資活動を制限するボルカー・ルールや、オバマ政権下で新設された米消費者金融保護局(CFPB)を支持すると言明し、これまでになく掘り下げた見解を明らかにした。ムニューチン氏はさらに、CFPBを存続させるべきか問われると「イエス」と答え、この点でも一部の共和党議員とは異なる見解を示した。ただ、CFPBの変更を求める共和党の方針は認めた。CFPBは連邦準備制度理事会(FRB)の予算を分配されるのではなく、議会から直接予算の承認を得るべきであり、これを同局の「最大の課題」とみなしていると述べた、としている。

このコメントは意外。新財務長官ムニューチン氏の心中はまるで見えなかったが、トランプ氏、議会、FRBのいずれともニュートラルなポジションからの意見なら、ポジティブだ。財務長官はそれだけの権力を与えられているポスト。ムニューチン氏自身のセンスが問われる。特に、世界がトラブルメーカーと見ている大統領の周辺で重要なポスト。聡明でシンプルなコミュニケーションを期待している。それができれば、トランプ氏以上の信任を得るチャンスはいくらでもある。トランプ政権で人気者になるには、常識的な人になること。ムニューチン氏にはできそうな気がする。

日本経済新聞・社説
組織的な天下りあっせんは許されない

中央省庁では長年、組織の円滑な運営のため、事務次官までたどり着けない幹部に「肩たたき」と呼ばれる退職勧奨をし、代わりに再就職先をあっせんしてきた。ポストの確保のため、税金を費やして不要不急の外郭団体を設立することもよくあった。文科省は高等教育局長の再就職を支援するため、行き先候補である大学に職歴を伝えるなどしていたという。同局は大学を所管する部署であり、そこへの再就職はただでさえ職権乱用ではないかと疑われやすい。あっせんまでするとは、あまりにも無神経な振る舞いだ。政府の再就職等監視委員会は他省庁を含め、厳正に調査し、ウミを出し切ってもらいたい。文科次官の引責辞任はやむを得まい。天下りあっせんの禁止は2007年の改正国家公務員法に盛り込まれた。同法を成立させたのは第1次安倍内閣だった。当時は内閣支持率が落ちていて、綱紀粛正に必死だった。あれから10年たった。再登板後の安倍内閣の支持率は高水準だ。だから、役所も世の中を甘く見たのか。政権全体の緩みでないことを望む、としている。

毎日新聞・社説
天下りあっせん 全ての省庁で洗い直せ

文部科学省の元高等教育局長(61)が早稲田大学に再就職する際、法で禁じられた「天下り」のあっせんを受けるなどしたという疑惑が浮上した。省内の組織的な関与も指摘されている。国家公務員法は、再就職をあっせんすることを禁じ、本人による利害関係のある企業・団体への求職行為も禁じている。文科省は大学の設置認可や助成などに権限を持ち、実務は高等教育局が担う。大学との間に利害関係は生じうる。文科省の当事者たちが犯したルール破りの影響は大きい。疑念は省庁全般にも及ぶ。総点検を急務とするとともに、結果や実態の情報公開を強く望みたい、としている。

久しぶりに社説で目にした感のある行政の不祥事。大臣など政治家側ではなく、公務員から出たのは、中央省庁では最近は見かけなかった。理由は何だろう?
1.現実として、不祥事は減っている。
2.現政権が中央省庁に甘い。
3.メディアが中央省庁の問題を察知できなくなっている。
今回の発端、政府機関の再就職等監視委員会から出ている。私は雑誌メディアに詳しくないが、出版社のスクープが発端でないなら、政府が公務員の不正を適切に告発したことになる。文部科学省はオリンピックから教育改革まで、課題が山積、評価はかなり低い省庁。内部のストレスが多い状況とはいえ、内部からのリークが機能したとは考えにくいタイミング。となると…政府が文部科学省か省庁に、懲罰を示したことになる。政局や支持率が揺れている時期でもない。不自然だ。
いずれにしても、3のメディアが蚊帳の外という印象は、さらに強くなった。マス・メディアの弱体化が止まらないのだけは確実のようだ。

朝日新聞・社説
駅の転落事故 欄干を社会でつくろう

目の不自由な人たちが「欄干のない橋」と恐れる駅のホームで、また悲劇が起きた。埼玉県のJR蕨駅で14日朝、盲導犬を連れた男性が転落し、電車にはねられて亡くなった。ホームドアがない駅では、人の目が何よりの「欄干」である。慣れた駅でもふとした原因で視覚障害者が転落することはある。鉄道各社は改めて、現場の駅員に声かけや見守りの徹底をはかってほしい。鉄道各社は合理化に力を注ぎ、駅員は自動改札機の普及とともに急速に削減されてきた。1日平均12万人弱が利用する蕨駅でも、ホーム上に駅員が立つのは平日朝だけだという。駅を利用する人たちも、できる限りサポートをしたい。白杖を持ったり、盲導犬を連れたりしている人を見て「危ない」と感じたら声をかける。転落を見たらすぐ非常ボタンを押す。「歩きスマホ」や、点字ブロックをふさぐ荷物も、視覚障害者がぶつかればたいへん危険だ。だれもが命を守る「欄干」になれる、との意識を広めたい、としている。

ここ最近、何度も耳にする気がする駅からの視覚障害者の転落。これは、考えられる理由は朝日の人材削減がもっとも大きな要因と考えられる。社説で主張する以前に、率先した取材の方が有益な問題のはず。議論が必要な問題ではない。すぐ行動すべき問題だ。

読売新聞・社説
経団連春闘指針 賃上げ継続で脱デフレ確実に

経団連が2017年春闘に向けて、経営側の交渉指針をまとめた。基本給を底上げするベースアップを、定期昇給や賞与・一時金と並ぶ「賃上げの柱」と位置づけた。今は減益でも中期的に収益増が見込める企業にも賃上げを促すなど、これまで以上に賃金水準底上げに踏み込む姿勢を示した。景気の本格回復には、企業収益を賃上げにつなげ、家計の所得増で個人消費を喚起するという経済の好循環が必要である。人口減で働き手が減る中、日本経済の成長力を取り戻すには、生産性の向上と、女性や高齢者も働ける環境の整備が欠かせない。日本の生産性は、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均を下回り、米国の6割程度にとどまる。非効率で硬直的な雇用制度が足かせとなっている。指針が政府への要望を明記するのは異例の対応だ。経済界の賃上げ方針は、政府の要請に沿っている。年金、医療、介護などの改革で応える必要があろう、としている。

これからの経済にインフレを折り込むなら、ベースアップは効果的だろう。だが、まだ企業は先行きをポジティブに見られる自信はないと思う。稼げる手応えを感じている業界はあるだろうか?経済全体に先行きは見えない。この見えない状況を好転させるのは、私は政治ではなく、経営の仕事だと思う。少なくとも、雇用者の仕事ではない。内部に留保している自信のなさを、プレッシャーをかけて仕事を促すべきだろう。

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