ORIZUME - オリズメ

2861.報道比較2017.1.19

2861.報道比較2017.1.19 はコメントを受け付けていません。

統合と分散は、振り子のように揺れる。統合経済は分散に向かう?集中した富は分配に向かう?

朝日新聞・社説
英国とEU 「自国優先」に歯止めを

メイ首相が欧州連合(EU)からの完全離脱を表明した。昨年6月の国民投票の結果をふまえ、方針を鮮明にした。英世論は今も割れ、政治も揺れている。首相はその混迷に区切りをつけたかったようだ。しかし、英国はEUを含む国際協調の枠組みの中に常にいた国だ。自由貿易の理念や、移民に門戸を開く寛容な価値観を推進する責任を果たしてきた。国民の反移民感情に配慮する必要があったとしても、英国が欧州の国々と積み上げてきた政治・経済の協調枠組みから早々に決別するのは得策ではない。離脱は、英国自身の貿易を損ねるだけでなく、保護主義を広げかねない。規制に批判的だった英国を欠いたEUは、障壁を強めるかもしれない。EUが揺らげば、経済・金融危機は他の地域にも波及する。交渉の過程で孤立主義の弊害が顕在化すれば、民意が変化することもありえるだろう。その時、英国は改めて引き返す賢明さも忘れないでほしい、としている。

産経新聞・社説
英のEU完全離脱 混乱に拍車かける判断だ

英国のメイ首相が、欧州連合(EU)の単一市場から完全撤退することを表明した。離脱による弊害より、EUから流入する移民の制限を優先させた結果といえる。昨年の国民投票で示された民意を尊重した形だが、EU市場への一定のアクセスを残す「軟着陸」は排した。英経済そのものの地盤沈下を強めることにもつながらないかという懸念を抱かざるを得ない。英国に限らず反EUの世論が高まっている。離脱の連鎖を防ぐため、EUが強気で対英交渉に臨むのもやむを得ない面がある。それでも、英国とEUの経済的な結びつきを踏まえ、いたずらな対立は避けるべきだ。トランプ次期米大統領は英国と自由貿易協定を早期締結することに前向きだ。日本もEUとの経済連携協定交渉とは別に英国との協定を検討する必要が生じよう。ただ、英国がまず対応しなければならないのは離脱交渉だ、としている。

日本経済新聞・社説
完全撤退、企業への打撃を抑えよ(英EU離脱)

英国が欧州連合(EU)離脱に伴い、人やモノ、サービス、資本が自由に移動できるEUの単一市場から完全に撤退すると表明した。英国とEUの経済関係の枠組みが変わり、広範な影響が生じよう。英国のEU離脱がいよいよ後戻りできない局面に入ったという認識のもと、日本政府や企業もさまざまな事態を想定して対応を考えていく必要がある。英国には1000を上回る日系企業が進出している。在留邦人は6万人を超え、欧州で最多だ。単一市場離脱は日本企業や関係者に大きな影響を及ぼす恐れがある。EUには現在、加盟国のどこかで金融業の免許をとれば域内全域で営業できる「単一パスポート制度」がある。日本の一部金融機関は英国で免許を取得しており、EU離脱に伴い他の加盟国で取り直さなければならない。米国のトランプ次期大統領は英国のEU離脱を支持し、米英間でFTAを結ぶ意欲を示した。EU離脱までは第三国との通商交渉はできないルールがある。内向きな2国間主義に陥りEUに背を向けることにならないよう、両国は留意すべきだ。日本政府と企業は起こりうる変化を予想し、的確に備えていかなければならない。同時に、英国とEUが現在と近い経済関係を維持し、開かれた貿易体制を保っていくよう働きかけていくことが重要だ。英国のEU離脱が保護主義への流れにつながることのないよう、日本は先頭にたって自由貿易の旗を振り続ける必要がある、としている。

毎日新聞・社説
英のEU離脱 対立の連鎖招かぬよう

世界を驚かせた国民投票から半年以上経過し、英首相がようやく欧州連合(EU)離脱について詳細な方針を語った。中途半端な離脱ではなく、単一市場からの完全な撤退になるという。離脱後の英国とEUの関係は交渉が終わってみないとわからない。メイ首相はEUと新たな自由貿易協定を結び、人口約5億人の巨大市場と、今とあまり変わらない条件で経済取引を行いたい考えだ。しかし、そのための交渉は相当難航し長期化は必至とみられる。EUとの離脱交渉は原則2年とされるが、期限が近づいても、新たな貿易協定が展望できないといった事態に陥れば、英経済は動揺しかねない。そこに至る前に、英国に進出している外国企業が撤退の動きを活発化させることもあり得る。EUは、外交、安全保障、対テロ・組織犯罪などでも、連携を取り、世界に重要な影響を与えてきた。離脱交渉を巡る対立が飛び火し、欧州の安定や安全が脅かされるようでは困る。第二次世界大戦後、苦労して築いてきた統合の資産を台無しにしてはならない、としている。

読売新聞・社説
英EU強硬離脱 日系企業も戦略修正が必要だ

メイ首相は「EUに半分残り、半分離脱することは求めない」と述べ、移民規制を優先し、EU単一市場から撤退する「強硬離脱」の意向を表明した。多数の国民が移民制限を望んでいるためだ。単一市場は、ヒト、モノ、資本、サービスの移動の自由を原則とする。メイ氏はこれまで、移民規制と単一市場との自由貿易の双方を追求すると強調し、EUから「いいとこ取りは許さない」と、繰り返し警告されていた。英国には、日本企業約1000社が進出している。EU離脱をにらんで戦略の見直しに動き出した企業も少なくない。現在は、EU加盟国で金融免許を取得すれば、域内で業務を行える「シングルパスポート・ルール」(単一免許制度)が適用されている。単一市場離脱後は、この仕組みの対象外となろう。三井住友銀行は、ロンドンにある欧州の本部機能を他の都市に分散させることを検討している。日本政府は昨年9月、日系企業への配慮を求めた要望を英国に伝達した。影響を最小限に抑えるため、英国とEUの双方に対する継続的な働きかけが欠かせない、としている。

一昨日17日の夜21:30頃に行われた会見から、30時間ほどの時間を使って、日本国内紙5紙の社説はすべてネガティブな不安ばかり。ポンドは2008年来でもっとも大きな上昇を記録したにも関わらず。心配性で変化が苦手な国民性を象徴するかのような横並びの主張だ。もちろん、ポジティブとは言い切れない決断だ。だが、決断し、前に進む意志を示しただけでも、留まっているよりはいい。マーケットや世界は、今回の英国政府の判断をそう受け止めている。
統合と分散は、振り子のように揺れる。今まで、神話のように信じられてきた「世界はひとつ」「統一が常に勝る」という価値観が生んできた弊害に、耐えられない人たちの声が、無視できないレベルまで増えている。この事実に合わせて、世界は分散の価値を再考し、統合が生んだデメリットを是正していく必要に迫られている。
一方で、格差はより集中から分配に、より広く配分しなければ不安定な状態に陥っている。アメリカの中で起きていること、ヨーロッパに分配を求めて迫る難民…今のルールのままでは、勝者は身の危険を感じ、敗者の苛立ちは手段を選ばなくなっている。
まとまってみたら、勝つ人がいつも決まっている。その勝利者がいつもルールを決めている。それが不愉快でたまらない人たちがいる。また、勝利の恩恵で得た富は、支配に使われていると見る人もいる。
目の前の手続きや、失うメリットにため息をついている場合ではない。今まで信じてきた価値観に制度疲労が起き、新しい価値観が生まれようとしている。

Wall Street Journal
FRB、政治的偏向せず経済発展に注力=イエレン議長 (2017.1.19)

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は18日、FRBは無党派であり、短期的な政治的圧力に屈せず長期的に健全な経済の醸成に注力する考えを示した。米国では数日後にドナルド・トランプ氏が次期大統領に就任する。トランプ氏は選挙期間中、FRBとイエレン議長が民主党政権に肩入れしていると批判していた。トランプ氏は選挙運動で減税と政府支出の増加を約束した。これらの政策は今後インフレと経済成長を押し上げる可能性がある。イエレン議長はサンフランシスコのコモンウェルス・クラブでの講演向けに準備された草稿で、トランプ次期大統領や同氏の政策案には言及しなかったが、FRBが議会から委託された責務である完全雇用と低水準の安定したインフレの達成に向けて経済動向に対応していく方針であることを明確に示した、としている。

FRBが注視しはじめる値は、雇用からインフレに移りはじめている。次期大統領が雇用にフォーカスしているのは皮肉だ。もう仕事をあきらめて退場した人が増えたのかもしれないが、ほぼ完全雇用と言われる状態にアメリカが到達した時に、雇用にこだわる大統領が誕生する。次は賃金上昇であり、その先にインフレ懸念がある。トランプ氏とFRBには、明らかにギャップがある。FRBが常に正しいとは思わないが、もしインフレが走れば、いま職を求めている人たちの生活は、今より悪くなるだろう。保護主義はインフレを加速する。トランプ氏のブレーンは、経済をどう運営していくのか。数日後には明らかになるだろか?

人民網日本語版
世界と連携して困難を乗り越え (2017.1.18)

ダボスで「中国熱」が高まり続けるに伴い、中国の貢献は次第に世界の共通認識となった。世界経済が世界金融危機発生後のパニック期にあった時、中国は2009年のダボス会議で世界のために強心剤を打った。2011年の中国のWTO加盟10周年の際、当時のラミーWTO事務局長はダボスで特別に開催された討論会で「誰が勝ったのか?事実は中国が勝ち、他の国も勝ったのだ」と述べた。世界経済の深い調整が続いている中、ダボス会議で聞かれる声はすでに中国を世界経済成長の「最大のエンジン」と見ている。中国は落ち着いて力強い発展と鋭意改革に取り組むことによって、世界の舞台に「中国の力」を導入し、「中国の案」を分かち合う。歴史は勇者が創造する。まさに習主席が強調したように「困難に直面したら、自らを恨んでも、他人を非難しても、自信をなくしても、責任を逃れてもならず、共に困難に打ち勝つ必要がある」。世界各国は平等を基礎とし、開放を導きとし、協力を原動力とし、共有することを目標とし、勢いに乗って行動し、果敢に責任を担って初めて困難を乗り越えることができる、としている。

Financial Times
中国はいかにして海洋超大国を築いたのか (2017.1.13)

アラビア海に臨むパキスタンの港町・グワダルは、世界のエネルギーの急所に位置している。中国が輸入する原油のほとんどが、すぐ近くのシーレーン(海上交通路)を通る。どんな形であろうとこの交通路が使えなくなれば、世界第2位の経済大国は窒息しかねない。グワダルは、習近平国家主席が推進する、海洋超大国になりたいという大望の一角をなしている。本紙(英フィナンシャル・タイムズ)の調査が、この目標が過去6年間でどの程度達成されてきているかを明らかにした。中国は巨大な港湾ネットワークに投資を行い、自国のポート・オペレーター(港湾運営会社)を世界の大手に育て上げた。中国の海運会社が運ぶ貨物の量の合計は、どの国の合計をも上回る。グワダルの西方にあるジブチは「アフリカの角」と呼ばれる地域の海運の要衝で、ここでも似たような話が進んでいた。2016年、中国政府はジブチでの計画に別の側面があることを認めた。中国初の外国での海軍基地をここに建設し、少なくとも2026年まではこの地域での軍事的プレゼンスを確保すると述べたのだ、としている。

中国の中からの目と、外からの目。ここまで差があると、中国人は知っているだろうか?中国が新しいパワーとして世界に君臨しはじめているのは誰もが認めるが、想像以上に、いわばアメリカ以上に行儀が悪く、他国にしてみれば不愉快にパワーを振り回しているというのが現実だ。経済力は適切に使って欲しい。

Comments are closed.