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2860.報道比較2017.1.18

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ダボス会議で中国の国家主席が演説し、30分後に英国からEU離脱の議会採決の会見。今年の騒がしさを象徴している。

Wall Street Journal
英EU離脱、議会で採決へ ポンド急回復 (2017.1.17)

英国のテリーザ・メイ首相は17日の演説で、欧州連合(EU)離脱の詳細を明らかにした。離脱が市場で恐れられていたほど厳しい状況をもたらさない可能性が示唆され、英ポンド相場の大幅な上昇につながった。ソシエテ・ジェネラルの為替ストラテジスト、アルビン・タン氏は「議会の上下両院が合意を採決しなければならないことに触れた時に(ポンド相場が)大きく上昇した」と指摘。「議員の過半数がEU残留の意向を表明していた点を踏まえれば、あまり厳しくない合意内容に寄与すると考えられるため好材料だ」と述べた。ポンド相場は国民投票後から現在までにドルに対し19%下落し、今回の演説直前の数日間にも大きく売られていた。メイ首相は財とサービスのできるだけ自由な貿易を目指すとしつつ「自分の提案内容が単一市場への参加資格を意味することはあり得ない」と付け加えた。EU加盟国の首脳陣らはこれまで繰り返し、単一市場の恩恵を全面的に享受するには、国境を越えた人の移動の自由を無制限に受け入れなければならないと警告していた、としている。

一定の結論は出たが、最終決断は来月。そして、その先、実質的な欧州との交渉がはじまる。私はポンドと英国株にポジティブ。経済成長は不明だが、単純にインフレになると踏んでいる。16日の急落は焦ったが、その後の上昇は、ブレグジットの時と同じような利益を生んでくれた。次の3月のイベントも投機の視点で注視したい。
危険なのはEUだろう。もっと離脱が出るといったトランプ氏は下品だが、それを「現実かもね」とも「まさか」とも言える余裕は、メルケル氏にさえない。長期ではユーロは破綻する、という予測は、もう50%以上の確率になったのではないか。2017年は、その通過点になる気がする。

人民網日本語版
中国・スイス関係の三大注目点 (2017.1.16)

中国の習近平国家主席は今年初の外遊先にスイスを選んだ。素晴らしい願いと、少なからぬ注目点がある。
第1に、小によって大を推進する。スイスは小さいがとても進んでいる。EU加盟国ではないが、シェンゲン圏に含まれ、欧州単一市場との関係が密接だ。スイスは最も早く新中国と外交関係を樹立した先進国の1つである。
第2に、二国間によって多国間を推進する。スイスは国際機関が林立する国であり、習主席は公式訪問後、国連ジュネーブ本部、WHOとIOCを訪問する。これは中国の指導者が多国間主義を重視していることを十分に示すものである。
第3に、FTAによってグローバル化を推進する。スイスは中国とFTAを締結し、自由貿易と投資の円滑化を主張している。スイスはエコ、健康、スマート、平和のシルクロード建設において独特かつ重要な役割を発揮している、としている。

国家主権の中国のトップが、選ばれた貴族が集まるダボス会議で、保護主義を否定し、グローバリゼーションを語る。事実だけを見れば、喜劇のような世界情勢。しかも批判の矛先はアメリカ。時代は本当に変わろうとしている。
ダボス会議は徐々に役割を終え、そこに呼ばれるような人たちも、成功者が世界を変える代表になるという話が成立しないことを認識しはじめている。顔ぶれから、明らかに企業家、イノベーターは消えた。本当に世界を変えたい人たちは、この場所で世界が変えられないことを悟ったようだ。

World Economic Forum Annual Meeting 17-20 January 2017 Speakers by WORLD ECONOMIC FORUM

Wall Street Journalも、環境の変化を伝えている。

ダボス2017、民衆の怒りに触れた「貴族」たち
習主席のダボス参加、表向きの顔と裏の意図
(by Wall Street Journal)

成功者の提言は、政治的リーダーの発言に勝る時もあると信じていたが、会議で発信するだけでは世界へのインパクトはゼロだった。著名人の認知度が上がっただけだ。時が経て、格差から成功者は選ばれることを躊躇しはじめ、目立つことを避けたがっている。そして、国境のない成功者に、中国の国家主席が選ばれる。1年前でも想像できなかった事が現実になっている。これは、トランプ氏が選ばれたことより、奇妙で不自然な現実だ。

日本経済新聞・社説
米政権にアジアへの関与促す構想を描け

米国主導の秩序が崩れ、安定が損なわれてしまうのではないか。トランプ次期米政権の船出を控えてアジア太平洋にこんな不安が漂うなか、安倍晋三首相が域内の国々を訪れた。安倍首相が足を運んだのは、中国の海洋進出にさらされる南シナ海の周辺国と、同じ米国の同盟国であるオーストラリアだ。大きく分けてふたつの成果があった。ひとつは国際法にもとづく海洋の秩序を維持するため、各国との連携を改めて確認したことだ。フィリピン、ベトナム、インドネシアには、海上警備力の整備に向け巡視艇の供与や人材育成への支援を続ける方針を伝えた。フィリピンやベトナムは南シナ海で離島の領有権を争う。インドネシアはそうした係争は抱えていないが、近海で活動する中国漁船に懸念を募らせている。これら3カ国の海上警備力を底上げする支援は海洋の安定にもつながる。安倍首相はオーストラリアとベトナムの首脳との会談で、環太平洋経済連携協定(TPP)の早期発効に向けて協力していくことで一致した。他の署名国とも手を携えて、トランプ氏にTPPへの支持を働きかけたい、としている。

今回の外交の意味は、やはり薄い。習氏がダボス会議で行ったプレゼンテーション、その会場の周りにある異様な雰囲気の方が報じられる時期に、対中国、アメリカが見限るTPPとは、戦略の柔軟性のなさは明白だ。習氏が保護主義を批判し、グローバリゼーションを語るのはあまりに皮肉だが、同じ事を主張する日本は、まるで関係改善の兆しがない。紛争が起きているなら、中国を包囲するのではなく、中国も巻き込んで議論しなければならない。そのリーダーシップは、アメリカがその意志を持たなければ日本に回ってくる。だが、今の発想では明らかに力不足だ。

朝日新聞・社説
退位と国会 透明性が欠かせない

天皇陛下の退位を実現するための法整備をどのように進めるか、衆参両院の正副議長の下に検討の場が設けられることになった。政府が法案を提出する前から各会派で意見をかわし、合意づくりを図るねらいだ。どんな場合であれば退位を認めるかの要件は定めず、今の陛下に限った特別な法律を制定する。将来のことはそのときにまた考える――。有識者会議が軸にすえている考えだという。だがこれでは、高齢社会において、いかにして象徴天皇の代替わりを安定・円滑に行うかという、この先も引き続き直面する課題への回答にならない。会議では、将来を縛らない方が状況に応じた対応ができるとの意見が出ているという。天皇の立場が時の政権や与党の意向によって左右されかねない、危うい見解ではないか。オープンな議論が行われてこそ「国民の総意」は形づくられる。関係者は肝に銘じ、見識ある対応をとってもらいたい、としている。

朝日の意見は一理ある。私の感覚は、どちらかといえば高齢の天皇陛下の負担軽減に早急に答えを準備したい意味での特例に感じるので、現在の進行に違和感はない。いつまでに結論を出すのか?この感覚が朝日の社説に折り込まれていれば、納得できたかもしれないが。
すべての議論で意識すべきは、期日。どれだけ長期のものでも、極めて早急というものでも、具体的なデッドラインを決めなければ、建設的な議論にならない。今後、すべての議論に期日を設けてはどうだろう?それだけでスムーズに事が進む気がする。

毎日新聞・社説
豊洲市場 最悪の事態も考える時

最大で基準値の79倍のベンゼンが検出されたというデータには驚く。豊洲市場(東京都江東区)の地下水のモニタリング調査の結果だ。他にも、基準値の3・8倍のヒ素や不検出であるべきシアン化合物も検出された。しかも、201カ所の調査地点のうち3分の1以上の72カ所で有害物質が基準値を上回った。不可解なのは、ベンゼンとヒ素が若干基準値を上回った8回目以外、これまで基準値内だったのに、けた違いの数値が突然出たことだ。昨年10月、地下空間にたまった水を排出する「地下水管理システム」が稼働し、水圧の変化などで有害物質の濃度が上昇したとの推測が出ている。一番大変なのは市場業者だ。移転をめぐる判断が昨年変更され、さらに今回不透明になったことで、先が見通せない状況に拍車がかかった。都への不信感も増している。都は豊洲市場に先行投資した業者に対し、今月中にも損失補償の枠組みを決める方針だ。だが、移転について早期に方針が示されなければ、業者は今後の事業展開を決められない。まさに死活問題だろう。豊洲への移転断念という最悪の事態も想定し対応を練るべき時だ、としている。

犯人探しに時間を割かず、なぜこんな事態になったのかを考えられるようになるのが、この件を解決していく近道だと思う。結論と損失は、考えるとぞっとする。だが「もったいない」はない。損切りが必要な状況に来ている。迷いを捨てなければ、補償は日増しに増え、豊洲、東京のブランドを棄損する。
その後、犯人探しよりは、失敗の本質を直せるか?だ。オリンピックの立地やロゴでも、既視感のある議論があった。責任が不明確な状態でのリーダー依存、反対のでない空気、責任がないと知ると暴走する行政、現実よりスケジュールや決定事項を優先する体質、損失を認める撤退より現状維持を好む判断…これは東京だけでなく、日本全体でずっと起きつづけていることだ。政治だけでなく、企業の中で、学校で、家庭でさえ。日本全体が負け組の発想になっている一番の原因は、失敗や負けを認めて損切りできないことにある。失敗を認めて反省し、リセットすれば、身軽になって成功の確率は高まる。失敗した時に探すべきは、犯人ではない。原因だ。だから人を替えても、同じ失敗を何度もする。変えるのはルールとやり方だ。

読売新聞・社説
訪日客2400万人 地方の魅力向上が次の課題だ

政府は、東京五輪が開かれる2020年に4000万人の目標を掲げる。今後15%の伸びが続けば達成できる計算だ。ビザ発給要件の緩和や免税制度拡充が功を奏した。成長著しいアジアで中間層が増え、海外旅行熱が高まるという追い風もある。訪日客の増加が、人口減で内需が伸び悩む日本を活気づける経済効果は大きい。今後も外国人客の誘致を積極的に推進したい。最も人気が高いのは、東京―京都―大阪を回る「ゴールデンルート」だ。ところが、旅行者の集中で副作用も目立つ。観光スポットは恒常的に混み合い、ホテルは商用の予約さえままならない。観光庁は海外向けに売り込む地域を100か所認定し、ブランド化を進める計画だ。富良野、伊豆、琵琶湖、佐世保など全国111地域が名乗りを上げている。民泊は、生活習慣の異なる外国人客のトラブルが起きやすい。海外の旅行会社と組む手配業者には、割高な土産物店に誘導するなど悪質なケースが指摘される。これらの問題点を放置してはなるまい。政府や自治体は、適切な監督・指導が求められる、としている。

ようやくインバウンドがショッピング中心、一見さん相手のブームから、理想的な観光の発想にシフトしはじめている。真面目に取り組みたいテーマがいくつもあると期待している。ただ、今回の読売の文は2日前の産経にそっくり。コピペ?と思うほどの類似原稿。原稿のソースは、おそらく国土交通省、日本政府観光局のリリースや会見の抜粋ということだろう。官製キャンペーンなら、私は追わない。気になるのは、日本観光局は訪日外国人増加のため、徹底したキャンペーンを展開しているということだ。このリリースを見れば判る。

2016年 過去最高の2,403万9千人 by 日本政府観光局

キャンペーンは悪い事ではない。プロモーションの重要性を今まで意識せずにいたなら、意義ある活動だ。ただ、そろそろ費用対効果を見せてもいいのではないだろうか?プロモーションに投下したコストあたりの来日人数、つまり訪日外国人1人あたりのプロモーションコストは?低下しているのだろうか?獲得単価が上がるのであれば、4000万人になるまでにいくら投下するつもりだろう?原資は血税のはず。増えているからいいという話では、通常のプロモーションなら通用しない。進んで国家がプロモーションに乗り出し、予算を税金で賄うのは構わないが、カネを止めたら人が来なくなるなら…プロモーション業界ではこれを「シャブ漬け」と言う。まさか広告屋やメディアが儲かる構図になっていないだろうか?

産経新聞・社説
竹島に慰安婦像 韓国の恥をさらす暴挙だ

反日に、きりはないのか。韓国の地方議員らが島根県の竹島に、慰安婦像を「上陸」させようと計画している。竹島は、歴史的にも国際法上も日本固有の領土である。岸田文雄外相が「受け入れられない」と批判したが、あらゆる手段で中止に追い込むべきだ。領土主権を踏みにじるような嫌がらせと挑発を、許してはならない。一昨年の日韓合意で両国の外相は、慰安婦問題を蒸し返さず、不可逆的な決着を国際社会に表明した。これを覆して信頼を失うのは韓国である。捏造(ねつぞう)された歴史を広げる像の設置で恥をさらしているのは、韓国自身であると気づくべきだ。釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像について釜山市東区の区長が「永久的に保存・管理する手立てが必要だ」と述べたことも伝えられた。日本政府は駐韓大使らを一時帰国させた。早期の復帰論には耳を疑う、としている。

日本政府が結論を急いだ外交の意味は何だったのだろう?北朝鮮が理由なら理解する。アメリカからの要請も…まあ許せる。北朝鮮のミサイル開発が進むのと、THAAD配備を切望していたのを思えば、少しでも関係修復を急ぐのは適切だ。だが、もし日本政府の修正主義や、従軍慰安婦を否定できるチャンスと見込んで事を急いだのなら、目論見は失敗に向かいつつあるし、日韓関係は良くなるどころか悪化するだろう。それは韓国だけに理由があるのではなく、結論を急いでプレッシャーをかける今の日本の姿勢にも違和感がある。今の状況を見ると、日本政府の望んだ結果は遠のいている。果たして…無理強いする今の関係修復でいいのだろうか?10億円を返してでも像を残すと言い出した韓国を見ていると、禍根は消えていないのは明らかだ。「約束だから」で進めるのは難しい状態に陥っている。

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