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2859.報道比較2017.1.17

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AIを脅威と語る人たちの発想は、銃どころか、自動車も、インターネットも、電話やプログラム言語さえ脅威という発想に似ている。喧騒は、いつもの空騒ぎだ。

日本経済新聞・社説
AIで日本を強く(4)脅威論超え技術使いこなす教育を

東京大学は昨年6月、AI専攻の寄付講座を開設した。トヨタ自動車、パナソニックなど8社が9億円を出し、50人の学生が学ぶ。特任教授に就いた中島秀之・はこだて未来大前学長は「米欧が手がけていない研究に取り組み、独自色を打ち出したい」と意気込む。AIに必要な技術は従来のIT(情報技術)とは異なる。AIの性能を飛躍的に高めた深層学習(ディープラーニング)は、膨大なデータを分析して隠れた法則性を見いだす。統計学やデータ科学、人の言葉を機械で処理する技術などがそれを支える。だがこれらの知識をもつ人材の層は薄い。日本の大学でデータ分析を学ぶ学生は米国の7分の1、英、仏などの半分にとどまる。世界の学術誌に載ったAI論文は欧州が3割、米中が各2割を占めるのに対し、日本はわずか2%だ。こうした状況に政府や大学、産業界は危機感をもつべきだ。AI利用のルールについて社会的合意を得ることも欠かせない。AIが分析対象とするデータは個人情報を含み、保護と利用のあり方に課題を残す。学会や産業界が指針を示し、利用者らと議論の場を設ける必要がある、としている。

AI連載の最後は、いまの日本の現状と似てひどい。教育から新しい胎動を期待するのは、日本では難しそうだ。これは、日本の大いなる問題だ。大学が、まるで現実と乖離した研究をしている。企業が独自に研究しているものに比べると散漫で、根拠も薄い。ついた予算が9億円と小さい理由も頷ける。企業にしてみれば、自社で研究する方がROIは確実に高いと見ているのだろう。社説の取材力の低さか、大学の感覚が間違っているのか判らないが、独自色を出すと意気込めるリソースは、どう見てもない。「あと3年で学び、追いつく」と真摯な態度で挑んでもいいと思うのだが、現実を認識しているだろうか?人間自身がまずは学習した方がいい状況だ。
いまのAIの喧騒、判らない人が判ったように語って混乱を招いているのが問題の発端だ。挙げられた大学が、何をしようとしているのか?AIのどの領域に特化するつもりなのか?明確に語れないのだから、まずはAIにその分析をしてもらったらどうだろう?いまの学生たちだけでなく、教授たちの白痴状態も明らかにしてくれるはずだ。AIを脅威と語る人たちの発想は、銃どころか、自動車も、インターネットも、電話やプログラム言語さえ脅威という発想に似ている。プログラム言語がエクセルが人の雇用を奪っただろうか?そろばんや手書き決算書にこだわる人からは、大いに奪っただろう。インターネットや電話が仕事を失わせた?商店街がシャッター街になった遠因はあるだろうが、うまくやっている人はインターネットや電話で仕事を増やしている。ならば、プログラム言語を学んだ人がインターネットで金持ちになっただろうか?エクセルのプロになれば、将来の仕事は安泰?いま、AIの周りで起きている喧騒は、いつもの空騒ぎだ。
富豪になったのは、インターネットを使い、世界のルールを変えた人たちだ。もっともインターネットに詳しいエンジニアではなかった。エクセルを使いこなせる人が奪った仕事は、そろばんをできる人の仕事だ。騒ぐくらいなら、学びはじめた方がいい。判っていないことが何なのかに気づけるはずだ。だが、何をしたらいいのか、何をすればいいのかは、学びから答えは出せない。AIももちろん、そんな答えは知りはしない。
大学は、何を教えるつもりだろう?

朝日新聞・社説
豊洲市場 「安心」へ、徹底検査を

東京都の豊洲市場の地下水から、驚くべき数値の有害物質が検出された。濃度がケタ違いにあがり、検出箇所も大幅に増えた。巨費を投じた都の汚染対策はきちんと機能しているのか、という疑念さえ起こさせる。調査結果は予期せぬものだった。盛り土のあるなしにかかわらず、敷地内の72カ所から環境基準を超える有害物質が検出された。発がん性物質のベンゼンは最大で基準の79倍。本来検出されてはならないシアンは初めて検出された。都の専門家会議は、原因について、(1)昨秋から「地下水管理システム」を動かし、地下水のくみ上げや排出を始めたことで水の流れが変わった(2)採水時に土の粒などが混入した、という可能性を指摘している。移転を予定する仲卸業者らには、都への不信感が改めて広がっている。今回の検査は、入札で過去8回とは異なる会社が初めて担当した。今後、都は複数の会社に検査を依頼し、数値を突き合わせることなどで信頼回復に努めてもらいたい。「安全」と「安心」をどう両立させるか。都に求められるのは、一歩ずつ着実に手順を尽くし、不信をぬぐう姿勢だ、としている。

読売新聞・社説
豊洲市場地下水 汚染度上昇の原因を究明せよ

築地市場の移転先となる豊洲市場の地下水調査で、国の環境基準を大幅に上回る有害物質が検出された。揮発性のあるベンゼンは、基準値の最大79倍に達した。最大3・8倍のヒ素や、不検出であるべきシアンも検出された。201か所の調査地点のうち、有害物質が環境基準を超えたのは、72か所に上っている。敷地内では、地下水管理システムが昨年10月に本格稼働した。地下水位を一定に保つために、ポンプで吸い上げる仕組みだ。これにより、水質が変化したとの見方がある。詳細な分析が不可欠だ。このまま移転しては、築地で築き上げた市場のブランドイメージにも、傷がつきかねない。小池氏は、豊洲市場問題を夏の都議選の争点とする意向だ。移転を承認した都議会の審議の妥当性などを問うのは、理解できる。だが、安全かどうかは、選挙結果で決まるものではない。正確なデータを基に、知事の責任できちんと判断することが重要だ、としている。

出てはならないものが出た。ならば、隠していたということだ。築地が移転するほど過密だとしても、豊洲は食品市場には、投げ出したくなるほど不適切の印象が付いてしまった。ずいぶん宅地も造ってしまった。不安を拭えなければ、地域の価値が棄損する。東京都は、オリンピックの後は、さらに根深い問題に挑むことになる。
以前、工場のあった東京ガスは、この地を手放す際に相当なリスクを東京都に伝えていたと聞いている。もし裁判や検証になり、そのあたりが明らかになったなら、この問題は行政と政治が責任の中核になる。小池氏よりは、ジャーナリズムは何をしているのか?が気になる。この問題を検証すべきは、責任を追う事になるであろう東京都ではなく、メディアの方が適切だ。なぜ、メディアはこの問題を今まで遠ざけてきたのか?今でも距離を取ろうとするのか?

産経新聞・社説
阪神大震災22年 いたわる心持ち続けよう

阪神大震災から17日で22年となった。その後も日本は、新潟県中越地震、東日本大震災、そして昨年の熊本と、阪神と同じ震度7を記録する大地震に相次いで見舞われている。時の経過とともに、世間の関心にも濃淡の差が生じてしまうだろう。しかし見えにくくはなっていても、被災地が抱える問題に敏感であるべきことを、阪神での22年の月日は教えてくれる。災害には「自助」と「共助」が不可欠だ。困っている人に何ができるのか、改めて考えたい。ボランティアや、心的外傷に対応する「心のケア」は、阪神大震災で定着した。近年の災害でも効果を見せている。被災者をいたわる心を持ち続けよう。緊急事態条項の創設を含む憲法改正議論は、遅々として進んでいない。災害時に一時的に政府に権限を集中させて国民を守る条項の整備は、急務である。災害があってからでは遅い。巨大地震はいつかやってくる。万全の態勢で備え、被害を少しでも小さくすることが、阪神大震災で犠牲になった6434人に対する、私たちの責務だろう、としている。

私の意見は、昨日の朝日の社説に合わせて書いた。憲法のようなトップダウンより、気づいた点から積み上げていくボトムアップ手法の方が、災害には有益だと思う。行政を待っていては生き残れない。気づいた人が助け合う。そう気づいた20年だったと思う。ならば、余計な憲法論に時間を浪費するより、ガイドラインをつくってできることは任せる方が理にかなっている。そういうしなやかさは、十分に日本の中で育ってきた。むしろ、行政しか手を出せないような原発や復興は、相変わらず遅い。20年を経ても、まるで進歩が感じられない。

毎日新聞・社説
天皇退位と国会 与野党の知見生かそう

天皇陛下の退位を巡る議論が国会でも始まった。衆参両院の正副議長が協議し、退位実現に向けた法整備の在り方について衆参合同で与野党の議論を深めていくことを決めた。与党の自民、公明両党は正式な党方針を示していないが、政府内で検討されている陛下一代に限って特例的に退位できるようにする特別立法の制定を支持する意見が多い。これに対し、民進、共産、自由、社民の主要野党は制度化を前提に皇室典範の改正を主張している。時間の制約を認めつつも、憲法との整合性を明確にさせる狙いがある。憲法を含めて論点は多く、奥行きの深い議論が求められる。政府は天皇退位に関する有識者会議の結論を踏まえて法制化を進めるが、与野党が活発な議論を通じ知見を生かしてこそ、「国民総意」に近づく合意形成ができるはずだ、としている。

議論を深めるというが、いまの国会議員がまともに議論できる人たちで構成されているとは思えない。いつも数の論理で押し切る与党と、建設的な議論を拒む野党で、無意味な口論をしているだけだ。今のところ、有識者会議から提案される内容は建設的で、オープンだ。議会に任せるのは、わずかの時間でいい。時間の無駄だ。それくらい、いまの議会の信任は低下している。

人民網日本語版
「中国のアジア太平洋安全協力政策」白書 専門家の解説 (2017.1.16)

現在、アジア太平洋地域には地域全体をカバーする多国間安全体制はなく、主に役割を担っているのは準地域安全体制だ。例えば、ASEAN主導の安全協力体制、上海協力機構、アジア信頼醸成措置会議、米国主導の二国間軍事同盟などだ。このうち、軍事同盟には明らかな冷戦の痕跡があり、排他性と第三国を念頭に置くという特徴があり、同盟国の利益を守ると同時に、人為的にアジア太平洋地域に分裂をもたらしている。
白書はパートナーシップの構築を推進し、「対立ではなく対話、同盟ではなくパートナー」という新たな道を歩み、未来志向で地域の実情に合い、各国の必要性を満たす安全構造を構築する方針を打ち出した。アジア太平洋地域は紛争問題が多く、冷戦の残した問題もあれば、新たな問題もある。朝鮮半島核問題は北東アジア地域の平和と安定に影響を与え、国際的な核不拡散体制に打撃を与え、大国間の緊張関係を激化している。米国は冷戦式の軍事同盟を行い、世界と地域のミサイル防衛体制を構築しており、戦略的安定と相互信頼の構築にマイナスであり、包摂的な世界及び地域の安全構造の構築にもマイナスだ。白書は、域内国は尊重し合い、小異を残して大同につき、平和的に共存する伝統を堅持し、直接の交渉と協議によって問題を適切に処理し、平和的に解決するべきであり、古くからの問題が地域の発展と協力を損ない、国家間の相互信頼を破壊することがあってはならないと指摘した。、としている。

記事の序盤、これは中国流のすばらしい発想に基づいた提案?と期待したが、具体的な方法論は明記されず、単純にアメリカのやり方を批判し、中国に任せればみんなが仲良くなるという妄言で終わっている。残念ながら、時間の無駄だった。
前半に感じた可能性、ひょっとすると世界は新しい平和の解決策を生み出せるのか?という期待を、中国自身が伸ばせる可能性は低そうだ。いまのシナ海で起きているようなことを「細かいことは気にしないことにしましょう」とみんなで気楽に構えろ、ということだろうか?放置したら島を埋めてミサイルを置く国、冗談にもなっていない。

Wall Street Journal
独財務相、トランプ政権の基本路線に警鐘 減税も示唆 (2017.1.16)

ドイツのウォルフガング・ショイブレ財務相は、保護主義的な経済政策や、西側の民主主義国をないがしろにするロシアの台頭が招く脅威に警鐘を鳴らした。ドナルド・トランプ次期米大統領と重要な同盟国であるドイツとの間の溝が浮き彫りになった。「(トランプ)政権は成長を優先するはずだと信じているが、成長を望むなら誰しも開放された市場を支持しなければならない」とし、「保護主義は短期的に利点を確保し得るが、長期的には必ずと言ってよいほど悪影響を生む」と語った。米国や英国が法人税の減税に動こうとする中、ショイブレ財務相はドイツも同じ方向へ進む可能性があると話した。国際的な競争力を高めるため、複雑な法人税制の簡素化が必要だとの見方も明らかにした。同相は減税について、9月の総選挙で自ら所属する与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が勝利すれば実施可能だと述べた。最近の世論調査によると、CDU・CSUは支持率で他党を大きく引き離して首位に立っている、としている。

Financial Times
プーチン氏が本当にトランプ氏から得たいもの (2017.1.13)

米国のドナルド・トランプ次期大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領に心酔することの危うさを認識するには、トランプ氏に近づいてその評判を落とそうとしたロシア側の取り組みについての、あの忌まわしく、裏付けのない話を信じる必要などない。トランプ氏は裕福な不動産開発業者で、プーチン氏はロシア連邦保安庁(FSB)という無慈悲な組織のトップだった人物だ。役者が違いすぎる。ホワイトハウスの主が中央情報局(CIA)、国家安全保障局(NSA)、連邦捜査局(FBI)といった諜報機関を信用しないとなれば、一体ほかの誰が諜報機関を信用するのだろうか。トランプ氏は大統領の座を勝ち取るために政治のルールをすべて破ったが、米国の安全を守ることを使命とした部署と敵対する大統領とは、一体どういうことか。トランプ氏がロシア政府から何を得たいと思っているかははっきりしないが、プーチン氏が目指すところは明白だ。ロシアによるウクライナでの失地回復主義政策や、シリアのアサド政権を支えるために行った一般市民への無慈悲な爆撃を、西側に黙認させたいと思っている。そしてロシアに対する経済制裁を解除させること、ゆくゆくは欧州から米軍を撤退させること、最後に旧ソビエト連邦の領土にロシアの勢力圏を築くことを願っている、としている。

トランプ政権が率いるアメリカに、冷静に対応できるのはドイツだけ。この記事を見る限り、そんな印象だ。もうドイツは腹を括っている。メルケル氏はトランプ氏に警告のような賛辞しか贈らなかったし、ショイブレ氏は明確にカードを見せた。半分はドイツ国内への選挙に向けたメッセージ、残りはアメリカ新政権への警告。この様子では、ドイツはユーロが崩壊した際のシナリオまででき上がっている。もちろん、ロシアとアメリカが接近することも、NATOが崩壊した時のことも。やせ我慢できる自信を持った国家は強い。稼げる能力とセンスがあれば、ドイツのように振る舞える。日本もそんな国だったはずだが…いまは影も形もない。こういう対立は、衝突しても後で合意形成できる。ドイツは、それを十分に理解している。
Financial Timesのロシアとトランプ氏へのバイアスは、アメリカのメディアと同じレベル。日本が取ったイヌのような迎合ほど軽蔑されることはないが、対立の仕方としては良くない。感情が前提の対立は、禍根を残す。関係は修復したとしても、信頼は戻らない。
日本のやり方が、私はもっともネガティブに見える。つかの間の信頼のために、なぜ譲歩を先に約束しなければならないのか。これはサムライではない。黄色いサルだ。

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