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2856.報道比較2017.1.14

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AIが新聞記事を書く時代が、早く来て欲しい。口汚い記者会見の暴言を浄化して伝えて欲しい。感情ゼロの社説を読んでみたい。

日本経済新聞・社説
AIで日本を強く(3)高齢者支援と消費喚起に役立てよ

急速に高齢化が進む「課題先進国」として、高齢者の生活支援などで世界に手本を示す意味は大きい。行政や企業のサービスをAIで進化させれば、国内の消費市場の活性化につながる。65歳以上が人口の4割を占める京都府南山城村で、AIによる高齢者の生活支援の実験が進んでいる。ソフト開発のエルブズ(東京・渋谷)のAI対話システムを使い、タブレット端末から食品を発注したり、バスの運行状況を調べたり、雑談を楽しんだりできるという内容だ。人手不足の中、きめ細かいケアが求められる介護への応用も期待される。コンサルティングのアクセンチュアなどは、要介護者の排尿をセンサーのデータなどから予知し、トイレに連れていくシステムをつくった。NTTデータはロボットメーカーなどとともに、人と対話できるロボットを使った高齢者の見守りを実験している。人口減と人手不足、社員の高齢化が進むなか、行政や流通の生産性をいかに高めるか。課題の解決にAIが果たす役割は大きい、としている。

「この社説をAIで書きました」と日経が明かしたら、社会は驚きながら納得するだろう。箇条書きのような社説は、要点のみを抽出していて小気味良い。大手からベンチャーまで、様々な業種や業態に話が広がっているのも好印象。AIの具体的な導入イメージを、あらゆる業界の人たちが実感できるのではないか。
これで、まずはAIへの意味不明な恐怖心が消えてくれるのを期待している。AIは確かに雇用を奪うだろう。人間の発想を越える答えを提示するだろう。だが、それは今まで気づかなかった、答えを出すのに膨大な時間を要するような分析や計算を、先回りして応えてくれるようなものになる。AIが人を欺き、人と戦う日も来るかもしれないが…それは飛行機で高層ビルに突っ込んだり、クルマを使って自爆テロを思い付くようなもの。それよりもずっとささやかな場所から、AIは少しずつ浸透してくるはずだ。とともに、AIという言葉が、いささか過剰だったことにも気づくはずだ。人工知能?ちょっと仰々しい。動的に大量のデータ分析しながら、答えの導き方も変化していく。そんな印象だ。
インターネットと同様、正しく理解されれば、人は使い方を思い描き、各所で新たな試みがはじまる。期待できる段階に入ってきたようだ。あとは継続。本当に「知能」といえるレベルまで、努力をつづけたい。

Wall Street Journal
トランプ氏をすでに見限り始めた市場 (2017.1.13)

ドナルド・トランプ次期米大統領が11日に行った散漫な記者会見に対して、市場はトランプ氏を見限る反応を示した。ドルと製薬・バイオテクノロジー関連株が売られ、債券は買われた。一方、トランプ氏を嫌気して下げていた株がアウトパフォームした。防衛関連企業の株価は当初、上昇した。軍事費に関する共和党の従来通りの政策と、2013年に設けられた防衛費の強制削減措置を廃止するとしたトランプ氏の選挙公約が背景だ。ボーイングやレイセオン、 ゼネラル・ダイナミクス 、ロッキード・マーチンの株価が急騰し、防衛セクターは9%高をつけたものの、12月中旬には下げに転じた。トランプ氏は21世紀の公権力――つまり、ツイッター――を使い、ロッキードの最新鋭ステルス戦闘機「F-35」の費用が高すぎると攻撃。その後、同セクターは迷走を始めた。インフラへの支出はトランプ氏の看板政策の一つだ。当然ながら、建設業や建材サプライヤーの株価が大統領選後に急伸。1カ月後には建材セクターが13%上昇した。 USスチール は72%高、USコンクリートが30%高をつけたほか、大手以外のサプライヤーの多くも2ケタ台の伸びをみせた。だがその後、次期政権による実際の支出額と支出時期に懐疑的な見方が出てきたことから、4%下落した。懸念すべきはトランプ相場の反転が示すシグナルである。それは、ツイートによる個別企業への攻撃や中国に対する強硬な外交姿勢、貿易面での反動リスクといった、将来起こり得るトランプ政権のマイナス面に、市場がすでにより多くの関心を向けているということだ。いずれにせよ、トランプ氏の11日の記者会見が役に立たなかったことは確かだ、としている。

まだトランプ氏への期待で膨らんだ分の含み益をマーケットは持っている。この余剰がある間は、トランプ氏にはいくらか余裕をもった笑顔を維持できるし、自らのやり方を貫く根拠にできる。マーケットもトランプ氏を批判することはない。だが、ラリーと言われていた上昇の傾きの先端が下降してくれば、風向きはどんどん厳しくなる。ラリーがショックに名を変えれば、世界はすべて敵に変わるだろう。
就任式は来週。今の時点でも、以前と変わらないコミュニケーションをつづけるトランプ氏。彼がプレッシャーに弱いかは不明。少なくとも、事前のディベートでは、追いつめられるほど我を失い、発言はさらに質を下げた。あの日の敵はクリントン氏だけ。これからは、今まで敵と観ていた人だけでなく、場合によっては支持者も、マーケットも、彼に牙をむく。もうその兆候が見えはじめている。

毎日新聞・社説
オバマ政権8年 「一つの米国」 弱者に手を差し伸べた

「一つの米国」を掲げた黒人初の大統領の誕生は米国史を塗り替えた。だが、これはオバマ大統領の深い苦悩の始まりでもあった。国民の6人に1人が高額な保険料を払えず、最低限の医療も保障されない現実がある。病気に苦しんだ母の姿も脳裏にあった。多くの大統領が挑んでは挫折した難題に取り組む執念は人一倍強かったに違いない。国民に訴え、与党・民主党の慎重な議員を粘り強く説得した。国主導の公的保険は断念したが皆保険にはこだわり、導入にこぎつけた。医療保険や銃規制は米国社会の分断を深めた最も大きな課題だった。命や社会の安全を守る崇高な理念と、憲法が認める個人の自由との間で翻弄され、苦しんだ。トランプ次期大統領はオバマケアをはじめ、オバマ氏の足跡を消し去ろうとしている。しかし、弱者に手を差し伸べたオバマ氏の実績を否定すれば、米国社会の混迷と分断は深まるだけだ、としている。

こういう反省で8年を振り返れる環境は、オバマ氏自身が壊してしまった。アメリカは8年前に比べて経済は復活し、戦争から足を洗ったが、考えた以上に分断が進み、格差は次の大統領に広報者選びの時から失望を強いた。これからのアメリカに世界が身構えるほど、アメリカを世界は信じなくなっている。オバマ氏がつくったアメリカは、残念ながら彼自身が望むのと反対の形になってしまった。なぜこうなったのか?大統領でなくなったオバマ氏は、考え、答えを教えてくれるだろうか?私はぜひ聞きたい。実績を強調した最後の演説より、価値あるものになるだろう。

人民網日本語版
中日韓FTA第11回交渉会合 「連携のポテンシャルは巨大」で一致 (2017.1.13)

中日韓自由貿易協定(FTA)交渉の第11回交渉会合が今月11日、北京で行われ、中国商務部(省)の王受文・副部長、日本外務省の片上慶一外務審議官、韓国産業通商資源部の李相珍(イ・サンジン)FTA交渉官が、それぞれの主席代表として出席した。現在、中国は、日本と韓国にとって最大の貿易パートナーで、中国にとっても、日本と韓国は、2番目、3番目に大きな貿易パートナーとなっている。「中日韓貿易発展指数報告」によると、これら3国は各分野において、17の大臣級会議やさまざまな交流、対話のメカニズムを含む、連携メカニズムを構築している。そして、貿易の自由化を促進する補充的ルートと見なして自由貿易交渉に積極的に参加している。3国の首脳も自由貿易区をめぐる交渉を積極的に進めている。例えば、15年11月、第6回サミットで3ヶ国首脳会談は再開され、会談定例化や網羅的で高水準、かつ互いにメリットのある中日韓自由貿易協定交渉加速化などを掲げた「共同宣言」を採択した。また、16年10月に開催された中日韓経済貿易大臣会合でも交渉を加速させ、自由貿易区独特の価値を追求していくことで一致した、としている。

15日現在、日本のメディアでこの話題を掲載した情報はGoogle検索にはヒットしない。Twitterにも会合が行われた事実さえ意識しない発言ばかり。日中韓のFTA交渉が合った事実は外務省にしかなく、総括レポートさえ存在しない。出席者、議題、次回は日本で開催。それだけだ。

第11回日中韓自由貿易協定交渉会合(首席代表・局長/局次長会合)の開催(結果) by 外務省

前回が7か月前。状況から考えると、このFTAが結実する可能性はまるで期待できない。日本政府のやる気はゼロ。保護主義はノー、自由貿易を加速すると言っているが、もはや可能性のないTPPに注力しながら、日中韓FTAには労力を割く気はない。中国が本当に前向きなら、まずはその日本政府の態度を指摘した方がいい。あくまで丁重に、感情を抑えて。それは、日本との交渉に有利になるだろうし、中国が主導権を握れるはずだ。すでに、こうした記事を載せることに、その意図があるのかもしれない。日本は、また受動に陥る。すでに貿易の規模、主導権を考えれば、中国がリードするのは当然だが、日本は自ら墓穴を掘るような対応をしている。

朝日新聞・社説
米中台関係 波風を立てる無意味さ

昨年から中国と台湾との関係はやや緊張していた。台湾を不可分の領土とする中国に対し、独立志向を持つ蔡英文・民進党政権が台湾で発足したためだ。そこへ今度は、米国の政権交代という要因が加わった。トランプ次期米大統領は12月初めに蔡総統との電話会談という異例の行動に踏み切っただけでなく、台湾をめぐる中国の立場そのものに疑問を投げかけた。中台関係は、重大な危機を招きかねない問題である。ことさら波風を立てるのは、誰の利益にもならない。どの当事者も、緊張を高めないよう冷静な行動をとるべきである。台湾自身も、中国から距離を置く台湾意識の高まりと、経済上の密接な対中関係という矛盾を抱え、現状維持のほかに当面の選択肢はない。蔡政権もそれを踏まえている。蔡総統は昨年5月の就任以降、抑制的な行動を続けてきたと言える。中台問題は、すぐに答えが見いだせない。双方の話し合いが平和的に進むよう望みつつ、関係各国は安定を守る努力を続けるほかない、としている。

トランプ氏の話題からこのトピックになったのだろうが、唐突な印象。先日の記者会見で台中関係は話題になっていない。独自の視点で主張するには、提案内容が発展性のない現状維持では相手にされないだろう。トランプ氏が動くと、朝日はもっとも取り乱す。想定外に弱い対質は、これからのアップダウンの多い時勢に対応できる気がしない。

産経新聞・社説
首相の4カ国歴訪 「自由の海」日本が主導を

安倍晋三首相が、フィリピン、オーストラリア、インドネシア、ベトナムの4つの海洋国家を歴訪している。国際ルールを無視した中国の海洋進出に歯止めをかけ、「自由の海」を守っていくには、日本を含む地域の海洋国家の連携が何よりも重要だ。ドゥテルテ氏との会談で、海洋での「法の支配」の重要性で一致した。裁定が有効であることを改めて確認し、ルール順守を訴えていくうえで有意義だった。オーストラリアとベトナムは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加国でもある。トランプ氏は保護主義を志向しているが、日本がこれらの国と自由貿易推進への意思を改めて明確にしておくことは重要である。「米国第一」を掲げるトランプ氏の外交政策の全体像は不透明だ。とりわけアジア政策をどう位置付けるかは注視が必要だ。首相はトランプ氏の大統領就任後、早期の会談を模索している。4カ国歴訪を踏まえ、アジア重視の具体論を語り合ってほしい、としている。

ずいぶん前にスケジュールされていたのか、国会前の隙間での予定なのか、いま海外訪問する意味付けが見えない。外交には顔合わせも意味があるだろうが、新聞が社説で伝えるほどの価値は感じられない。むしろ微妙な時期の訪問が、他国を刺激している印象。

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