ORIZUME - オリズメ

2854.報道比較2017.1.12

2854.報道比較2017.1.12 はコメントを受け付けていません。

オバマ氏の最悪の失敗は?次期大統領にトランプ氏が選出されるようなアメリカにしたことだ。

日本経済新聞・社説
理想を追い求めたオバマ政治の8年

政治に必要なものが2つある。理念と実行力だ。どちらが欠けてもよい政治はできない。去りゆくオバマ米大統領の評価はにわかには定まるまいが、反知性主義が勢いを増す時代にあって「核兵器なき世界」などの高い理想を掲げ、米国の良識を世界に示したことは大きな足跡といえよう。「民主主義の維持には、相違を超えて結束することが重要だ」自宅があるシカゴでのお別れ演説でオバマ氏はこう強調した。医療保険制度改革(オバマケア)により、約2000万人の無保険者に救いの手をさしのべた。保険料の上昇への中間層の不満がトランプ政権の誕生を促した面はあるが、雇用不安に苦しむ人々の安全網の強化になったことは間違いない。次期政権でも制度の一部は存続する見込みだ。理想を追い求めたオバマ政権の2期8年は決して無駄な時間ではなかった。「イエス・ウィー・キャン」。お別れ演説はかつて世界を熱狂させた言葉で締めくくられた、としている。

毎日新聞・社説
オバマ政権8年 「チェンジ」の決算 理念の実現に苦しんだ

バラク・オバマ大統領は米国史においてどう位置づけられるか。世界に何を残したのか--。この問いに答えるのは容易ではない。理念の人ではあった。8年前、打ち続く戦争と不況にあえぐ米国で変革(チェンジ)を訴えて就任し、プラハで「核兵器のない世界」構想を唱えてノーベル平和賞を受賞した。オバマ政権が新たな紛争への介入を極度に嫌ったのは、無い袖は振れぬ台所事情とは別に、超大国が腕力を使う際の、思わぬ落とし穴を警戒したのだろう。謙虚さでは史上まれな大統領だったのは間違いない。その一方で、「理念の人」は理想と現実の落差や実行力不足に苦しみ、打開に向けて悩み続けた。8年間、スキャンダルと無縁だったオバマ氏は、冷静で理知的な大統領だった半面、自分のスタイルを崩さず難しい問題は遠ざける傾向が目立った。米議会の多数派・共和党がオバマ氏の手足を縛ったにせよ、大統領として局面を打開する力を欠いたことは否めない。00年に同じ民主党のクリントン大統領が中東和平の実現をめざし膝詰めで関係3首脳会談を続けたように、たとえ失敗しても、泥をかぶっても、世界のために身をていする覚悟を見せてほしかった。それでこそ可能な「チェンジ」もあったはずだ、としている。

読売新聞・社説
オバマ氏の8年 理念と行動力の均衡を欠いた

黒人初の米大統領として国民をまとめ、国際協調による平和を目指す。高邁な理想と清廉さは秀でていたが、米社会の分断と世界秩序の動揺を招いた責任は免れまい。近く退任するオバマ大統領が、8年の任期最後の演説で、米国の多様性の強みを訴え、「我々はやり遂げた」と力説した。最大の問題は、米国を軸とする国際秩序の維持に消極的な姿勢をとったことである。シリアのアサド政権の化学兵器使用に対する軍事行動を見送り、内戦終結に向けて影響力を行使できなかった。オバマ氏が「米国は世界の警察官ではない」と公言した後、ロシアのクリミア併合や中国の南シナ海の軍事拠点化など、「力による現状変更」が進んだ。米国の存在感は明らかに低下し、ロシアとの核軍縮交渉は頓挫した。トランプ氏はオバマ氏の政治遺産を否定し、「米国第一」主義を採る。民主主義の理念を欠いたままで、米国の指導力を回復できるのか。重い課題が残った、としている。

オバマ氏の実績で最悪の失敗は?私は次期大統領にトランプ氏が選出されるようなアメリカにしたことだと思う。
8年間の実績の見方は、3紙に大差はない。世界も同様な評価だろう。各論の評価はあえてしない。オバマ氏しか知らないことも含め、ナイス・ガイのオバマ氏なりの最適な決断はしてきたのだと思う。
だが大罪は、次なるアメリカに適切なバトンを渡す社会さえ壊したことだ。この責任をリカバーするために、これからのオバマ氏にまだ期待したい。

Wall Street Journal
トランプ氏、オバマケア廃止・代替案の同時採決を支持 (2017.1.12)

ドナルド・トランプ次期米大統領は、議会共和党が医療保険制度改革法(通称オバマケア)の廃止法案とその代替案を同時に採決することを望むと述べた。トランプ氏は11日に開いた記者会見で、廃止法案と代替案は同日あるいは同じ週内に可決されるだろうと言明した。新政権は厚生長官の就任後、この計画を推進していくと語った。だが、これまで共和党指導部は、オバマケア廃止法案を迅速に可決後、数カ月かけて代替案に置き換える戦略を打ち出しており、トランプ氏とは意見が食い違っている。一方、トランプ氏は、オバマケアの段階的ではない同時の廃止・置き換えを支持する少数の共和党議員と足並みを揃えている、としている。

日本時間の25時に行われたトランプ氏の就任前の最初で最後の記者会見は、海外にとっては興味深い内容はあまりなかった。ロシアを除いては。アメリカ国内、それもメディアは、トランプ氏とロシアの関係に、ニクソン大統領時代のウォーターゲート事件のような暗さを描いているのかもしれない。
日本人にとって、そんなことはどうでもいい。具体的な政策を語る場でもなかったし、期待しても応えてくれるような人望は感じていないが、相変わらずアメリカの政治が、メディアも含めて、無意味な足の引っ張り愛をするのなら、オバマ時代よりさらにアメリカが後退するのを見るだけだろう。オバマ氏は8年間叩いても、埃のひとつさえ出なかった。トランプ氏は、売春婦という言葉が出てきても「あり得る」と思わせるほどのキャラクター。そして口論好き。言い争いをしはじめたら、永遠に止まらない。それは、本質的な仕事を、確実に邪魔する。
オバマ・ケアの将来に関して、トランプ氏の意見は整合性がある。国民を考えれば、まともな判断だ。だが、議会も、メディアも、トランプ氏のやり方を平然と邪魔する。そのための醜聞をかき集め、揚げ足を取る。
トランプ氏の会見から、誰もが理解したのは「この人は、大統領になっても変わる気がない」ということだ。それは、共和党代表に選ばれた時と変わらない。何度もあった変貌のタイミングを、彼はいつも無視し、今までどおりのトランプ氏のままでここまで来た。これからも変わらない。
ということは…今までどおり、彼の発言が物議を醸し、失礼な言い争いを各所で繰り広げ、非生産的なことに時間を浪費しつづける可能性が高い。

Financial Times
ダウ平均2万ドルが試す投資家の忍耐力 (2017.1.11)

減税し、企業の規制を緩和するというドナルド・トランプ氏の約束は、同氏の米大統領選出以来、ダウ工業株平均を9%近く上昇させた。この高騰によって、ダウはクリスマス前から2万ドルの節目と戯れており、今では大台にいつ到達してもおかしくない状況にある。アトランティック・トラストの最高投資責任者、デビッド・ドナベディアン氏は、「市場の進展の節目として、誰もが切りのいい数を好む。だが、アナリストとして、そしてストラテジストとしては、短期的に市場を動かしているプラスの投資家心理に追加の刺激を与える可能性があることを除けば、(2万ドルという数字に)ほとんど意味はない」と指摘する。もう1つ、極めて重要な側面は、120年前に創設されたダウ平均は、市場のプロに概ね見限られ、S&P500種指数に切り替えられたということだ。「S&Pは機関投資家向けで、ダウはその他すべての人向けの指数だ」と証券会社コンバージェックスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ニコラス・コラス氏は言う。ダウ平均はS&P500を上回っているとはいえ、米国の小型株は両指数に圧勝している。そうした小型株で構成されているラッセル2000は選挙後に約15%上昇している。米国経済の成長加速と金利上昇の見込みがドルを14年ぶりの高値に押し上げ、多国籍企業が海外で稼ぎ、国内へ持ち帰る売上高を目減りさせている、としている。

ひさしぶりにFinancial Timesらしい記事が届いたのがうれしい。経済紙らしく、Wall Street Journalとは違う視点が生きている。日経には期待できない考察をFinancial Timesが届けてくれた。
今回のトランプ氏の記者会見を影響なく進んだとして、20日の就任後、新政権が動きはじめたどこかで、NY DOW 20,000は現実になりそうだ。私にはこれを2016年中に実現できなかった慎重さが、むしろアメリカ株にもう少し期待してもいいか?と思わせる印象だった。
だが、今日の感覚は少し違う。陶酔の兆しが見えはじめた。「持たざるリスク」「強気相場はじはじまったばかりか」という記事も見えはじめた。強気最後の陶酔がはじまった予感だ。

ダウ2万ドル目前、強気相場は始まったばかりか by Wall Street Journal

私は、昨年初からベアに振り向けている。2度あったチャイナリスクで利益確定のチャンスはあったが、スルーした。いま、それを後悔しているか?不安を感じているか?ノー。トランプ政権への期待で含み損はさらに大きくなったが、まだ、最後のナンピンの余力を残して待っている。アメリカ経済に期待しているからこそ、現実をもう一度考えたい。いまの膨張は、FRBのおかげだ。トランプ氏はまだ何もしていない。彼の公約に具体的なものはゼロ。この根拠から、私はポジションを変えない。もし、トランプ氏がうまくやったら、時代が変わったと損を受け入れるつもりだ。まだ上を求める人が増えるほど、私が有利になれるのだから、余計な話なのだが…

産経新聞・社説
天皇陛下の譲位 実現の方向性示す時期だ

天皇陛下の譲位をいかに実現していくかは、日本の国のありようにかかわる極めて重要な事柄である。有識者会議での議論も、円滑な実現へ方向性を示す時期を迎えた。昨年8月に陛下が示されたお気持ちと、高齢でいらっしゃることを踏まえれば、譲位の実現にいたずらに時間はかけられまい。大きな対立を避けつつ、国論をまとめる努力が必要なときである。31年元日には「剣璽等承継の儀」(三種の神器などの引き継ぎ)と「即位後朝見の儀」(三権の長らの初拝謁が宮中で行われ、政府は即日改元する。今の陛下は「上皇」になられる。皇位継承に伴う重要な祭儀である大嘗祭と即位の礼は、同年11月が想定されている、としている。

政治、メディア、宮内庁、有識者会議の情報と発言が一致しない。最初に、天皇陛下に退位の意志があると伝わった時に似た、奇妙な状況になっている。メディアが先走っているのか、政治は必死に否定している。会議から出てくる慎重で建設的な議論がすばらしかっただけに、違和感がある。決まる前に観測気球を上げたい人がいるのだろうか?

朝日新聞・社説
出版差し止め 表現の自由の理解欠く

改憲運動などにとり組み、国政にも影響力をもつ日本会議の沿革や活動を書いた「日本会議の研究」について、東京地裁が出版差し止めを命じる仮処分決定をした。文中で言及した男性の名誉を傷つけたとの理由だ。本の販売を許さない措置は、著者や出版社に損害を与え、萎縮を招くだけではない。人々はその本に書かれている内容を知ることができなくなり、それをもとに考えを深めたり議論したりする機会を失ってしまう。差し止めを求めているのは、日本会議と関係が深いとされた宗教法人の元幹部だ。地裁は「この部分は真実でない可能性が高く、販売を続けると、男性は重大かつ著しく回復困難な損害を被る」と述べ、差し止めの結論を導き出した。問題ある記載があれば差し止めという、粗っぽい筋立てになっている。説得力に欠け、憲法価値に対する無理解・無頓着を疑わざるを得ない。出版元は当面の措置として、指摘された部分を削った修正版をつくり対応するようだが、根本的な解決にはならない、としている。

日本会議は安倍氏と思想が近いと言われている団体。政治結社でも宗教団体でもない。

日本会議 by Wikipedia

以前から朝日新聞とは意見が合わないのだろう。対立が多かった。その対立を社説を使って非難する姿勢は、傍観者としてはどうでもいい。日本会議という組織に興味がないのと同様、こういう時だけ表現の自由を盾に抵抗するのは、朝日新聞の感覚に違和感を覚える。なぜ第三者の朝日が、感情的に出版社を擁護しなければならないのかが見えない。名誉棄損で出版差し止め。理由として十分だ。修正版をつくって対応すると出版社も言っている。何が悪いのか?朝日の感覚は、仮に日本会議という組織の思想に偏りがあったとしても、それ以上にカルトだ。そのカルトがメディアとして発信する権利を行使しているのは社会としては害だ。

人民網日本語版
16年の中国経済規模は70兆元を突破か (2017.1.11)

国家発展改革委員会の徐紹史主任は10日に国務院新聞弁公室で行われた記者会見で、「2016年の通年の国内総生産(GDP)増加率は6.7%前後になり、経済規模は70兆元(約1172兆2590億円)に達し、前年より約5兆元(約83兆7329億円)増加したことが予想される」と述べた。徐主任は、「2016年は『三去一降一補』(過剰生産能力の削減、在庫の削減、デレバレッジ、コストの引き下げ、弱点の補強)の効果が出てきて、過剰生産能力削減の年間の任務を前倒しして予定よりも順調に達成し、再配置した人員は70万人に迫った。中国鋼鉄工業協会の会員企業は昨年1~11月に331億元(約5545億円)の利益を上げ、石炭企業の利益は2.1倍増加した。分譲マンションの販売面積は、16年1月から10カ月連続で減少し、市場化された債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)と企業の再編合併が秩序をもって進められ、実体経済のコストが低下し、重点分野の弱点補強の取り組みが積極的な成果を上げた」と振り返った、としている。

国家の調整が過度に行われていると言われる中国だが、それでも5%以上の成長維持は他国には真似できない。問題は統計の調整よりは、バブルがどれだけ含まれているかだ。不動産が収縮しても成長がつづくと言いたいようだが、信憑性を高めるには、もう少し時間がいる。

Comments are closed.