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2853.報道比較2017.1.11

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中国・韓国とのFTA交渉が北京で開催中と、日本ではなく中国の情報で知った。政府依存の日本の新聞では、もはや情報さえ届かない?メディアも中国が優位になる可能性は高い。

朝日新聞・社説
同一賃金指針 底上げへの一歩に

政府が「同一労働同一賃金」のガイドライン(指針)案を示した。賃金や福利厚生など約20種類の待遇について、「問題となる例」や「ならない例」を具体的に挙げたのが特徴だ。例えば、仕事の内容や成果とは無関係な通勤手当などは、非正社員も正社員も同様に支払わなければならないと明記した。賞与についても、会社の業績への貢献度などに応じて非正社員にも支払うこととしている。企業ごとに積み上げてきた合意や慣習があり、待遇の仕組みもさまざまだろう。個別の検討をさらに積み重ね、指針案を深化させる基礎としていきたい。同時に、指針案を働く側にとって実際の格差是正に役立つものにしていく工夫も必要だ。そのためには、政府が今後進める関連法の改正作業が大事になる。大事なことは、非正社員の底上げにつなげられるかどうかだ。経営側には人件費が増えることへの懸念が根強いが、正社員の待遇を引き下げる形の「同一」は、改革の趣旨に反する。首相は、格差是正が働く人のやる気を引き出し、生産性向上にもつながるとして、経営者に理解を求めてきた。官民そろってその考え方を貫いてほしい、としている。

興味がある人は、ぜひ一読を。なかなか読み応えがある。

同一労働同一賃金ガイドライン案 by 首相官邸

官邸発、政府の案ということは、法ではないし、管轄省庁もない。ここから法にしていく意欲は十分にあるだろう。ということは…日本の政治で次におきるのは、つるし上げだ。従わない見せしめの題材にならないよう、大手の企業は注意した方がいい。
内容は、微細に、周到に書かれている。私は経営側なので、雇用して支払う側だが、不満を感じる点はなかった。常識的な内容。これで非正規と呼ばれる人たちの処遇が改善されるなら、今までが何か間違っていたのだと思えるレベルだ。前文の2つめ「賃金等の処遇は労使によって決定されることが基本である。しかし、我が国においては正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間には欧州と比較して大きな処遇差がある」が、それを語っている。
政治が指針を出したことで、相当効果はあるだろう。これが経済の好循環につながるかは先の話だが、いま、世界で大きな問題になっている格差の是正には効果は確実にある。すばらしいと思う。

読売新聞・社説
社会保障政策 働き方改革を総力で推進せよ

人口減と超高齢化の克服は、日本が直面する大きな課題だ。子育てや介護と仕事を両立しやすくして、女性や中高年の働き手を増やす。国民の将来不安を払拭して経済を好転させ、中長期的に少子化に歯止めをかける。政府は、「1億総活躍社会」を目指す。要となるのが、長時間労働の是正などによる働き方改革だ。安倍首相は「断行の年」と強調した。官民を挙げて取り組みたい。人口減を抑えるとともに、働き手を増やさなければ、社会保障制度は行き詰まる。持続可能にするためには、残業が恒常化した労働慣行を見直す必要がある。厚生年金の適用拡大や基礎年金の保険料納付期間の延長も、ほとんど手つかずだ。いずれも、14年の年金財政検証で、将来の給付改善効果が確認されている。高齢者の反発を恐れ、改革の手を緩めることは許されない、としている。

読売は、なぜ朝日のような集中より、大量の懸念点の羅列を選んだのだろう?論点がぼやけてまるで判らない。読売の最近の悪いパターンは、いつもこれだ。大風呂敷のようにすべてを取り上げるが、なにひとつ掘り下げていない。これは、AI時代になる前に、明日にでも機械化できる原稿だ。このレベルなら、この仕事は消滅する。

日本経済新聞・社説
「運べないリスク」の解消へ総合策が必要だ

国内の貨物輸送はトラックと海運が全体の9割強を占める。その2つの業界で従業員の高齢化が進み、人手不足が深刻になってきた。輸送現場の労働環境を改善して新たな就労者を呼び込むとともに、IT(情報技術)の導入や鉄道などの活用で輸送効率を高める対策が急務だ。背景には長距離トラックの運転手が慢性的に不足し、過重な労働を放置する違反企業の摘発が増えたことがある。運輸業には労使協定で一般の労働基準を緩和できる特例がある。それでも厚生労働省は過度な労働を防ぐため「運転時間は2日平均で1日9時間以内」などの基準を定めている。消費者はインターネット上に開設した店舗で商品を買う機会が増え、それを即日届けてくれるサービスも広がってきた。ただ、こうした利便性は安定した物流があってこそ成り立つ。人手不足は構造的な問題だ。鉄道やフェリーなどさまざまな輸送手段とうまく組み合わせて荷物を効率的に輸送し、現場の労働条件も良くする。そんな工夫を運輸業全体で考えなくてはならない、としている。

ITが貢献できる部分があれば、ぜひやりたい領域だ。次に取り組むべきは、運送の生産性向上、物流負荷を最小限にするための取り組みだろう。サプライチェーンは、必要な時に、必要なだけ納めるのが最良だ。早ければいいのではない。いまのネット通販は、早さを最良としている。驚くほど早いことより、必要なタイミングに適切に届ける方がいいという価値観は、確実に浸透できると思う。

人民網日本語版
中日韓FTA交渉が9ヶ月ぶり再開 今月ソウルで (2017.1.10)

中国・日本・韓国の自由貿易協定(中日韓FTA)の第11回交渉会合が今月9日から11日にかけて、北京で開催される見通しとなった。第10回から9ヶ月ぶりの再開となる。3日間の交渉で、3ヶ国は関税、原産地規則、貨物貿易の方針、サービス貿易の自由化約束方法などの核心的問題とその詳細な実施プランについて集中的に話し合う予定だ。また金融や通信などの分野をめぐる話し合いも正式にスタートする見込みだ。3ヶ国がFTA交渉を早期に妥結させることができれば、3ヶ国の貿易の伸びを推進するだけでなく、3ヶ国に巨大な投資チャンスと経済効果がもたらされる。中国の業界関係者は、「中日韓FTAは中国がアジア太平洋の多国間・多地域間の貿易プラットフォームに参加する際の土台石になるだろう」との見方を示す。また韓国の産業通商資源部は、「全面的で水準の高い互恵・相互利益の中日韓FTAを推進するために、今後、交渉に積極的に参加して、韓国の利益の最大化をはかりたい」と意欲をみせる、としている。

日本から、この話題を聞いた事がない。実現困難なTPPよりは、ずっと本質的で、建設的に進んでいる交渉だというのに。後述の毎日は、長文の作文を書いているが、文中に今月に行われるこんな重要な会議の話題さえない。
日本は、本当に中国や韓国と平和共存しようという意志があるのだろうか?経済だけでも関係を深化させようと思っているのだろうか?中国の新聞より日本の新聞が真面目に考えていないのは確実だ。

毎日新聞・社説
歴史の転機 日中関係 立て直しに動く時期だ

今年は1937年7月の日中戦争勃発から80年、72年9月の日中国交正常化から45年だ。「明と暗」の節目だが、日中関係は良好には程遠い状態だ。トランプ米大統領の誕生で国際情勢の行方が不透明になる中、日中関係をどう立て直すかは日本外交の大きな課題だ。2010年代以降、尖閣諸島の「国有化」や反日デモの嵐で日中ともに相手に対する感情が悪化した。同時に日中の国内総生産(GDP)も逆転した。中国公船の領海侵入が常態化し、東シナ海上空には中国が防空識別圏を一方的に設定した。昨年末、空母「遼寧」が初めて宮古海峡を通過するなど中国軍の日本周辺での活動が活発化している。今こそ民間交流の重要性が増しているといえるだろう。戦後も72年までは民間交流でパイプが保たれた。日中関係の悪化とは逆に中国からの訪日客は増えている。摩擦もあるが総じて言えば、日中関係にはプラスだ。アニメ映画「君の名は。」は中国でも大ヒットした。中国の若者は日本のポップカルチャーに強い関心を持つ。現実の日本を知ることで、対日イメージが改善されれば、安全保障リスクも軽減される。来年の日中平和友好条約締結40年もにらみ、「第5の文書」締結を目指した対話を進める時期ではないか。「一衣帯水」の日中には「不戦」の選択しかありえない。両国首脳の決断に期待したい、としている。

作文であり、理想論だ。成人の日や日中の交流がある日なら、もう少し響いたかもしれない。
もし、中国と仲良くなりたければ、アメリカと距離を取ることになる。敵の敵は味方。外交で典型的な近視眼的な思考だが、いまの中国や北朝鮮にとって、アメリカとの対立、対抗は不同のテーマで、隣国とはいえ日本の存在は小さい。日本がアメリカとの距離感を取ってでも、中国との関係を縮めるには、トランプ政権の戦略を見るまではリスクが大き過ぎる。現実的にいま聞ける話ではない。

産経新聞・社説
テロ準備罪 国際連携に成立欠かせぬ

政府は、今月召集される通常国会に、テロ対策として「共謀罪」の名称を「テロ等組織犯罪準備罪」とし、構成要件も変えた組織犯罪防止法の改正案を提出する。国連は2000年、国際社会でテロと対峙するため「国際組織犯罪防止条約」を採択した。各国に共謀罪を設けることを求めて批准の条件とし、すでに180カ国以上が締結しているが、共謀罪を持たない日本は先進7カ国(G7)で唯一、締結に至っていない。国際社会がテロの事前情報を得ても受け取ることができない。受け取ってもこれに対処すべき法令がない。情報収集に寄与するための根拠法もない。テロと戦う国際連携の「弱い環」となっている。それが日本の現状である。テロリストは、法の成立も施行も待ってくれない。だからこそ、急がなくてはならない、としている。

私には、むしろ今まで、なぜ共謀罪という名前にこだわっていたのか、なぜ名前を変えてでも法案を成立させる努力を政府がしなかったのかが判らない。そこには、確実に何かの意図がある。その意図が気になるから法が成立しなかったのなら、日本の議会はワークしていると安心する。本当にテロ対策のためなら、可決できるだろうし、可決できる案として出せばいいだけのことだ。

Wall Street Journal
トランプ政権の経済チームに潜む分断 (2017.1.11)

米国のドナルド・トランプ次期大統領が編成しつつある経済チームにはお互い競合し、また矛盾する考えを持ったメンバーらがいるため、成長加速を目指す次期政権を予想のつかない方向に導く可能性がある。これまでのいくつかの任命はトランプ陣営に広まっていた分断を一段と深めている。チームの一方にはワシントンやウォール街出身で市場志向の顧問らが、そしてもう一方には自由貿易主義を敵視する面々がいる。トランプ氏は新設する国家通商会議のトップに対中強硬派の経済学者ピーター・ナバロ氏を起用すると決めた。ナバロ氏は選挙期間中に著名投資家ウィルバー・ロス氏と頻繁に連携し合っていた。トランプ氏から次期商務長官に指名されたロス氏は、貿易相手国に対してより攻撃的な姿勢を採るよう訴えてきた人物だ。経済チームのメンバーに指名された大半はワシントンの新参者だ。政権を立ち往生させかねない縄張り争いを避けながら、物事を進めるのに必要な議会との関係をいかに構築するかは大きな疑問だ。ブッシュ前政権で財務省の幹部だったジェブ・メイソン氏は、こうした組織体系によって、「誰が最終的な支配権を握っているかについて誰も分からないかもしれない」と述べた、としている。

最初に小さな成功を達成できるか。できれば夏頃までに。私はそれがトランプ政権の最初の関門だと思う。今の人選になった理由は、シンプルだ。トランプ氏には明確なビジョンがない。それを達成できる人物像も人脈もイメージできていない。要請に応えて政権入りを受け入れてくれる人がいない。だから親族や関係の深い人ばかりが選出され、小さなコミュニティの中から多くの選ばれている。今のまま、成功がぼやければ、さらに引き受ける人は減る。そうなると、簡単にクビにもできなくなる。優秀な人材がいなければ越えられない難題はいくつもありそうだ。逆に小さな成功があれば、提案者が表れ、賛同者から責任者を抜擢することもできる。
ハリウッドとのTwitterを通じた言い争いを見る限り、トランプ氏は改心していない。大統領になったら変わろうという意志もない。また、心は穏やかな状態ではなさそうだ。うまくいっている兆候は少ない。ハネムーン期間と呼ばれる3か月での成果を願っている。トランプ氏を好きになれる自信はないが、世界が不安定になるよりは、何もできない4年間の方がましだ。

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