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2849.報道比較2017.1.8

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保護主義にむかう時代だからこそ、国境を越えていく挑戦が生きる時代になる。マネーや経済の流れを見て誤解しない方がいい。テクノロジーや知識に国境はない。

読売新聞・社説
欧州政治情勢 独仏結束で安定を維持したい

欧州連合(EU)は、英国の離脱問題とテロ拡散という二重の危機を克服し、安定を維持できるのか。相次いで国政選挙を迎える主要加盟国が結束を強めることが欠かせない。3月にオランダ総選挙、4~5月には仏大統領選、秋には独総選挙が予定される。EUの枠組みを重視する既成政党がポピュリズム政党の挑戦を受ける構図だ。ポピュリズム勢力が躍進すれば、EUは統合の方向性を見失う。歴史的な試練だと言えよう。欧州一の大国のドイツでは、メルケル首相が政権維持を目指す。経済は底堅いが、難民の大量流入とベルリンで起きたテロで批判が高まり、足元は盤石でない。人口5億人の単一市場であるEUは、世界経済に果たす役割が大きい。自由や民主主義の価値観を日米と共有し、法の支配に基づく国際秩序を支えている。EUが内向きになり、存在感が低下する状況は避けねばならない、としている。

読売は二重の危機というが、数年前、世界は4重苦とも6重苦とも言っていた。ギリシャ危機でEUが断絶をはじめた頃から、ヨーロッパはずっと暗い。ただ、当時の暗さは大半が経済だった。いま、ヨーロッパの課題は政治が半分以上を占めている。カネで揉めていた人たちが、貧しさで苛立ち、ルールがおかしい、指導者がおかしいと言い出す。さらに、国からマイノリティを締め出せと言い出した。この流れは最悪だ。歴史が繰り返すなら、この先、断絶は壁を作り、壁の向こうで勝者と弱者ができあがる。勝者は分断が勝利の要因と捉えて維持しようとし、敗者からは逃げ出そうと人がさらに争いを続ける。分断が、やがて紛争に変わる。これは、ヨーロッパだけの縮図ではない。地球というコミュニティで、この問題が大きくなっている。
アメリカは、極めて豊かだ。オイルも自国で賄えるようになった現在、アメリカは世界で唯一、鎖国しても十分に成り立つ国と予想されている。中国は、残念ながら人口の多さで食えない。ヨーロッパは国境が多過ぎるせいで、もっとも争いが起きやすい地域に戻る。ロシアは、また連邦にならなければ食えない中で、欲を出す可能性が芽生える。
日本は、加工貿易で経済発展してきた以上、相当に危うい。アメリカとだけでもうまくやりたい気持ちになるのは判る。保護主義反対論を唱えるのも当然だ。今のところ、見透かされながらもうまくやれている印象だが、キーとなる経済的なカードが以前に比べて少ない気がする。私たちに求められるのは、仲良くしたくなるほど欲しいテクノロジー、人材、スキルだと思う。保護主義にむかく時代だからこそ、国境を越えていく挑戦が生きる時代になる。マネーや経済の流れを見て誤解しない方がいい。テクノロジーに国境はない。

産経新聞・社説
原子力問題 日米協定の継続に全力を 山積する大型課題を解決せよ

東京電力の福島事故から満6年を迎える今年の日本は原子力エネルギーをめぐる大型課題の打開に向けて動かなければならない。まずは、原発の使用済み燃料を再処理した際に出る核のごみ(高レベル放射性廃棄物)を地下深くに埋設する最終処分場の建設候補地探しの件である。遅れを最小限にするためにも、年度内には科学的有望地を提示すべきである。その際には安倍晋三首相の口から、最終処分の必要性を説明し、国民の理解促進につないでもらいたい。日本がエネルギー資源の極貧国であることを再認識し、安全性を高めた原発の活用を図るバランス感覚の回復が望まれる。出口の見えない原発の長期停止がさらに続くと、原子力発電事業を断念する電力会社も現れよう。電力自由化の厳しい環境下での企業経営を考えると、この判断もあり得ることだ。電力会社は忍従するものと決め込んでの対応は一大誤算のもとである。できるところからの歪み是正への着手が急がれる。規制委は今年9月で設立から満5年の節目を迎える。独立性の高い三条委員会ではあるが、「わが国の安全保障に資する」という設立目的の本旨に立ち返る機会としたい、としている。

産経の主張には、社会で合意形成されていないものが多く含まれているが、政府がリーダーシップを取って合意形成すべきという意見には賛成するし、ピックアップしたマイルストーンの存在は、とても有益だ。今回の産経に、感情的な主張は一切ない。これに建設的な議論で反対論を展開できる脱原発派の意見を聞きたい。

日本経済新聞・社説
揺れる世界と日本(5)企業は社会問題解決を推進力に

昨年1年を振り返ると、例年と同じく企業をめぐる様々な不祥事が話題になった年だった。軽自動車の燃費性能を偽った三菱自動車はブランドを大きく毀損し、女性新入社員が過労自殺した電通は長時間労働が批判された。製薬大手の米ファイザーは節税目的の巨大買収計画が厳しい批判を浴びて撤回に追い込まれ、トランプ米次期大統領は海外に生産移転を計画する企業に対して報復関税の導入をちらつかせる。かつて近江商人は「売り手よし、買い手よし、世間よし」を商売の基本に掲げた。モノを売買する当事者だけでなく、商いを通じて社会(世間)の発展に尽くすことの大切さを説いた。その精神は今の時代にも通用する。例えば国連によると下痢疾患でなくなる乳幼児は世界で毎日800人にのぼるが、その多くは衛生的なトイレがあれば防げたはずという。この問題の解決に取り組むのがLIXILグループだ。各国政府も「アンチ・ビジネス(反大企業)」の風潮に流されることなく、民の力を建設的な方向に引き出す「賢い政策」「賢い規制」を望みたい、としている。

年明けからはじまった連載はいつまでつづくだろう?今日まででは、具体的でもっとも読み応えのある内容だった。事例があるのは、やはり説得力がある。社説に取り上げられている話題は、どれも聞いた事がないものばかりで参考になった。これぞ日経のバリューだ。すばらしい。社説に固有名詞が出るのは、抵抗感や偏見が生まれやすいのも事実だ。それでも、こうして事例を見る効果は、やはり大きい。変化を受け入れていいのではないか?

朝日新聞・社説
オバマ政権の8年 言葉で築く平和、未完に

「核なき世界」をめざすとの宣言には、北朝鮮やテロリストへの核拡散という「差し迫った脅威」が念頭にあった。アジア重視の外交を唱えたのも、経済成長が著しい地域に積極関与して米経済の底上げを図る実利策とみれば合点がいく。米大統領として初の被爆地・広島への訪問、キューバとの国交回復は「歴史を乗り越えることで前向きの関係を築く」との意思に裏打ちされていた。理念と現実は相反する概念ではなく両立しうることをオバマ氏は示した。世界の政治家がぜひ踏襲してほしい認識だ。いくら言葉が崇高でも、説得や妥協、かけひきを駆使して一致点を見いださねば政治は行き詰まる。そんなオバマ氏の限界は米国内でも露呈した。オバマ氏は米史上初の黒人大統領として国を率いたことで、政治における人種の壁を打ち破った。ただ、全国民の大統領として、黒人だけに寄り添う立場をとれない宿命も背負った。そして、差別的な言葉や事実に反する言葉を重ねてきたトランプ氏が次の大統領に就く。「言葉の力」で平和と繁栄をめざしたオバマ氏のレガシー(遺産)を、世界は受け継いでいく責任がある。そのためには「行動」も伴わねばならないという教訓も、としている。

正月明けすぐに3連休が来る日本らしい社説。詩的な考察は考えた気にさせられるが、次に何を考えるべきか、何をすべきかは示唆しない。メディアにありがちな姿勢だ。安倍氏がパール・ハーバーでした演説にも通じる、ポエムのような現実論。新聞に求めたいのは、より強烈な現実を伝えることだ。メディアが正論に導く権利も能力もないことは、すでに十分に明らかになっている。新聞がインターネットのスピードの中で情報で価値を生む可能性も低い。生き残るためには、ニュートラルな視点での取材の努力だと思う。

毎日新聞・社説
歴史の転機 人口減少 深刻な危機が国を襲う

人口維持のためには出生率2・08以上が必要だ。ところが、この20年間は1・5を上回ったことがない。現役世代の女性はこれからも減っていく。現在の出生率のままだと生まれてくる子供は減り続け、人口減少に歯止めが掛からなくなるのだ。特に問題なのは現役世代の労働人口の減少だ。人工知能(AI)やロボットで代替できない人的サービスの労働力不足は深刻になる。海外からの労働力に頼ることを真剣に考えなければならなくなるが、急激な移民の増加が国内にさまざまな社会問題をもたらす懸念もある。賃金が低く不安定な非正規雇用の若者の未婚率は著しく高い。子供を産まない理由として経済的に苦しいことを挙げる人も多い。「日本が直面している最大の課題は人口の減少と老化だ。意識革命をして出生率を高めないと30~40年後に突然災いがやってくる」私たちが気づかないうちに、人口減少は社会の土台を崩していく。今こそ未来志向の政策を大胆に実施し、急激な人口減少から日本を救わなければならない、としている。

昨年12.30に毎日自身が書いた社説を、10日後に焼き直し。しかも内容は以前よりレベル・ダウン。毎日は認知症に陥っている。自社の10日前の過去さえ喪失している。

人民網日本語版
「きれいな空気はいつ?」環境保護部が回答 (2017.1.7)

国務院が「大気汚染対策行動計画」(大気十条)を施行してからの3年あまりで、大気環境の質は改善され、2016年の北京市の微小粒子状物質「PM2.5」の平均濃度は73 μg/m3(マイクログラム・パー・立方メートル)となり、ここ3年で最も改善が進んだ年になった。北京・天津・河北地域の平均は71μg/m3、長江デルタ地域は46μg/m3、珠江デルタ地域は32μg/m3で、どのデータも例年に比べて明らかに低下した。全国の地級以上の都市338カ所でも空気の質の改善が持続的に進められた。陳部長は、「先進国の同期の動きに比べ、中国の環境の質改善ペースは遅くない。これは中国の大気汚染対策の方向性の正しさを物語るものだ」と述べた。だが陳部長は次のようにも指摘した。「中国の経済構造は重化学工業の占める割合が高く、エネルギー構造が石炭を中心とする化石燃料により依存するようになり、単位面積あたりの人間活動強度と汚染物質排出強度はいずれも一層上昇し、環境保護の取り組みは引き続き重い荷物を背負って前進する段階にある」。いつ青空になるかは、経済構造調整によって決まり、個々人の努力によっても決まる。人々がもっと努力したい、青空のために何かしたいと考えるなら、このプロセスは加速することになる。中国が技術的により迅速にブレークスルーを達成すれば、大幅に加速することになる」と答えた、としている。

期日の明言は避けているが、回答には自信が見える。技術的な裏付けも見えている印象を受ける。この状況になれば、過信せずに、適切な予算がつづく限り、中国の公害もコントロールされるだろう。環境問題をクリアできれば、中国はさらに自信を深められる。同じ失敗をするとは思えない。これでまた、日本の優位性はひとつ追いつかれ、抜かれることだろう。

Wall Street Journal
「トランプケア」の政治的攻防 (2017.1.6)

バラク・オバマ大統領とマイク・ペンス次期副大統領が4日、ともに連邦議会を訪問した。オバマ政権の看板政策である医療保険制度改革法(オバマケア)の将来をかけた攻防の火ぶたが切って落とされた。共和党議員は間もなくオバマケアが自分たちのものになるという現実を理解する必要がある。首尾一貫した市場重視の代替案が議会を通過するまでは、好むと好まざるとに関わらず、政治的にはオバマケアはトランプケアになるのだ。この戦略の政策面でのリスクは、オバマケアの撤廃後に代替案の導入が遅れれば、オバマケアで創出された保険市場の崩壊が加速しかねないことだ。政治的なリスクは、共和党が先延ばしの道を選ぶか、分裂とスタンドプレーのいつものパターンへ逆戻りすることだ。保守派の純粋主義者はいかなる代替案もオバマケアの簡易版だとして阻止を試みるかもしれない。ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)は4日、共和党のオバマケア撤廃案は財政赤字を増大させる可能性があるとして、反対を表明した。自称リバタリアン(自由至上主義者)が給付制度の撤廃に反対すると同時に財政上の美徳を主張できる場所はワシントンだけだ。共和党は、中道右派の改革が福祉国家のトップダウン式の命令を改良できることを示す、1世代に1度あるかないかの機会を手にしている。ここでしくじれば、ワシントンを追われる羽目になっても仕方がない、としている。

この記事は、出た時から心に残っていた。いよいよトランプ政権がスタートを前に、批判ではなく対案が必要だと意識しはじめ、その答えはまだ道半ばのようだ。いい案が出せなければ、共和党は早々に失点する。トランプ氏はそのリスクに危機感を持っているようだ。
日本でも、似たようなことは何度もあった。郵政民営化は形骸化し、今のところは事無きを得ている。沖縄の基地移設は完全に迷走している。東京オリンピックも、豊洲市場も、原発問題も…どこの国も一緒だろうが、政治が決めたことが成果を出し、その後も期待どおりに進むことは稀だ。
決断は勇気がいる。実現には決断以上の苦労が伴う。それを止めるのも民意があれば可能だが、賢い市民は、止めるだけでは満足しない。より良く前に進めるなら賛同する。日本の民意は、感情だけでやめる事だけに集中し過ぎている。トランプ氏を熱狂的に推すように見えて、アメリカ国民はしっかり注文をつける。やめるだけなど、許さない。日本も、変わるべきだろう。
原発を止める?じゃあ電力をどうする?消費税を先送り?じゃあ財政はどうなる?答えのないまま先送りするだけで、選挙などさせている場合ではない。

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