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2847.報道比較2017.1.6

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著名人たちがSNSをうまく利用しているのには理由がある。社会全体の問題でも、インターネットが問題なのでもない。マス・メディアとの利害だ。

毎日新聞・社説
歴史の転機 政治とネット ゆがみの是正に英知を

米大統領に就任するトランプ氏がツイッターで日々活発に発信する情報に、世界が注目している。最新の投稿のひとつは、フォード社がメキシコでの工場新設を撤回したことに感謝の意を伝える内容だった。人をつなげるネットの効果が変質しつつある。SNSを通じてトランプ支持層は志向の似通った仲間と交流し、いわば外部から遮断された環境で都合のいい意見だけが読まれた傾向があるという。その結果、批判する側との分断が加速してしまったと指摘されている。虚偽情報や社会の分断というネットのゆがみが現実の政治に影響している。日本でも、ネットが政治にもたらす影響は増している。フェイスブックが非常に普及した米国と異なり、日本ではネットが選挙結果に与える影響について、慎重な分析も多い。ネットの政治への影響は今後、減ることはないだろう。トランプ現象はメディア不信の反映とみられたことを、既存メディアは重く受け止めなければならない。ネットの影響力を否定するのではなく、健全な対話のツールとして役立てていくよう、社会全体が向き合う必要がある、としている。

既存メディアの立場が弱くなっているという文脈で、自らの未来を心配しているなら、気づくのが遅過ぎるが、適切。一昨日に私が述べたのは、その危機感だ。もうずいぶん前からマス・メディアは死の淵を歩いているように私には見える。気づいても、今までは変化は見られなかった。今回も期待できない。
ネットへのリテラシー・レベルを思えば、日本の方がずっと危険だ。小泉氏がメール・マガジンをはじめた時と発想はいっしょ。本質は、トランプ氏の発想と戦略の問題だ。個人的には、選挙と同様、明確な戦略や計画を持ってやっているとは思えない。瞬発力はある。社会へのインパクトを強く意識している。だが、意図は極めてシンプル。ひとつの発言からドミノのように倒れていく別の事象までは意識していない。慌てて火を消すのはプライドが許さないから、強弁に変わる。自分の言動が与えたインパクトを、なるべく目的に合致させる方針をブレーンとともに模索し、いいアイディアが出れば実行、必要ならさりげなく翻意を表明する。毎日が危機感を示すとおり、ポイントは「先に表明するツール」を、トランプ氏は使うことに、今のところポジティブで、まだ大きな問題は発生していない、というだけのことだ。いまのやり方をつづけるべきかを検証している。だから良くないのは、フォードのような行動だ。トランプ氏の思い付きの言動で価値が生まれるなら「継続」と判断するはずだから。
確実にやめないのは「支持を取り付けること」と「自分の真意をメディアより先に伝えること」だ。小泉氏のメール・マガジンが、郵政への思いや、湾岸戦争や靖国神社への心情を表明したこと、自民党内で異論が出た時など、メディアが飛びつきそうなニュース、社会が当人の言葉を求める時、積極的に利用されてきた。そしておそらくその反応から、小泉氏は支持率をマスコミが報じる以上に把握し、自分の行動に活かしたはずだ。だから支持率は下がらない。反発があればすぐに察知できるし、自分の意志がミスリードされれば自らで訂正できる。トランプ氏も似た動きをするだろう。
社会全体の問題ではなく、やはりメディアの問題だ。著名人たちがSNSをうまく利用しているのには理由がある。

朝日新聞・社説
核兵器なき世界へ 逆行させず交渉前進を

8年前、プラハでの演説で「核兵器のない世界を追求する」と宣言したオバマ米大統領が今月20日に退任する。核の発射装置を引き継ぐ次期大統領はトランプ氏だ。最近になって「核能力を大いに強化する」と述べた。オバマ政権とは核政策が大きく変わるのでは、との懸念が強まっている。だが、「核兵器のない世界」に向け、後戻りを許すわけにはいかない。先月の国連総会(193カ国)で、核兵器禁止条約の制定を目指す国際交渉を始めることが、113カ国の賛成で正式に決まった。米国の「核の傘」の下にある日本も交渉開始に反対したが、岸田外相は、交渉会議には参加する意向を示している。日本政府は、北朝鮮や中国の脅威には米国の核兵器で対抗することを軸とする安全保障政策をとっている。禁止条約は、この政策と相いれないと懸念を示してきた。だが、核の威力で安全を保とうとする抑止論から抜け出さない限り、核廃絶は近づかない。とりわけ日本のように核の傘に頼る国は、脱却の道筋を模索していく必要がある。条約の交渉開始はそれを考える好機だ。同盟国が核兵器禁止の方向にかじを切れば、米国をはじめ核保有国も核政策を大胆に転換していく道が見えてくる。局面を変える行動こそが、日本に期待される役割である、としている。

産経新聞・社説
安全保障 主体性もって防衛努力を 日米戦略目標の再定義を急げ

例年にも増して、日本の安全保障を取り巻く環境は、不確実性が高まっている。政府と国民は、このことを強く認識しなければならない。アジア太平洋地域における最大の不安要因は、軍事力拡張を続ける中国である。その現実を直視しつつ、抑止力の向上に主体的に取り組むべきだ。日米同盟の維持、強化は当然、欠かせない。米国のトランプ次期政権から、日米の役割分担の見直しを求められるかもしれない。抑止力の向上には、トランプ政権と同盟の重要性を形式的に確認するだけでは足りない。中国と北朝鮮に対する日米の認識をきちんとすり合わせ、対応策を練ることが重要だ。現行の日米「共通戦略目標」の改定に向けて、早急に着手すべきである。最初に、安倍晋三政権が北朝鮮に加えて中国の脅威を明確に認める必要がある。そのうえで、平和を保つ努力を重ねていくことを内外に宣言し、防衛努力について国民の理解を得てほしい、としている。

新年が来たから、新しい大統領に変わったから、そんな単純な理由で日本の安全保障が揺れることがあれば、むしろ危険。トランプ氏から考えるきっかけをもらったのなら、整理して建設的に議論を進めるというのが、遠回りに見えて最も結果が出やすい。うやむやにしてきたことを棚卸するのがいいのだが、メディアで、自らの思想を横にどけて、それをやり遂げられる会社はあるだろうか?
自民党は、これを絶対にできない。彼らには政党という思想があり、過去に政治的判断で、自らがあえて結論を濁したことが何度もある。ならば、報道がすべきことなのだが、朝日、産経、読売には期待できない。日経が経済紙として取り組むには違和感があるが、毎日よりはニュートラルで、最近のシンプルな視点は理想的だ。
トランプ氏と対峙するなら、この分析を冷静にやっていた方が勝つ。アメリカのブレーンは確実にこの作業をやった上で、自らの戦略のために情報を端折り、意図的に解釈するのだから。日本でこれをやれる能力はあるだろうか?省庁さえ信頼が揺らぎ、政治に翻弄される日本で。

読売新聞・社説
少女像釜山設置 日韓合意を損なう不法行為だ

韓国南部・釜山の日本総領事館前の公道に、市民団体が、慰安婦を象徴する少女像を設置した。地元の区は当初、道路法違反を理由に制止しようとしたが、団体などからの抗議に屈し、容認に転じた。韓国政府が、地方自治体の判断する事案だとして、自らの立場を明確にしないのは疑問だ。日本政府は、領事関係に関するウィーン条約に抵触するとして、韓国に抗議し、撤去を求めた。条約は、領事機関の「安寧と威厳」を守るよう義務づけている。深刻なのは、今回の設置が慰安婦問題を巡る2015年末の日韓合意の趣旨に反する点である。合意では、韓国が元慰安婦支援の財団を作り、日本が10億円を拠出する。問題の「最終的かつ不可逆的な解決」と確認する。日本が撤去を求めるソウルの日本大使館前の少女像を巡っては、韓国が適切な解決への努力を約束した。日本との歴史問題を名分にすれば、国内法、国際法や他国との取り決めを順守しなくても許容される。そうした韓国の独善的な体質は、対外的なイメージを低下させるだけである、としている。

政府が行動を起こす前に、この社説を掲載したタイミングの良さに不信感を覚える。いまの政権と読売の連携は、信頼できない。

日本経済新聞・社説
揺れる世界と日本(4)危険な保護貿易主義の拡大を防げ

トランプ米次期大統領は選挙期間中、「グローバリズムによって仕事も富も奪われた。必要なのはアメリカニズムだ」と繰り返した。フランスのルペン国民戦線(FN)党首は「今起きているのはグローバリストと愛国者との分裂だ」と断じ、移民受け入れや自由貿易の批判で支持を集めている。企業の海外移転などで失職した人がいるのは事実だが、グローバル化が雇用や経済全体を悪化させているとの主張には無理がある。不当な輸入障壁を設ければ貿易相手国からの報復も招くだろう。こうした悪循環が加速すれば、貿易の縮小を通じて世界経済の失速につながることは、1930年代の教訓から明らかだ。TPPは関税削減だけでなく、新しい時代にあった貿易や投資のルールづくりに意義がある。知的財産権の侵害防止や、国有企業への補助金などで競争条件がゆがむのを抑える内容を含む。アジアにこうした質の高いルールが適用されれば、トランプ氏が「不公正」と批判する中国の貿易慣行や通商政策の見直しを促す力にもなる。自国優先の名の下に一方的措置を取るのではなく、多国間協調によって互いが果実を得るようにする。経済グローバル化の現実を踏まえれば、それがあるべき姿だ、としている。

長文だが、既知の内容が多く、新しい発想や提案もない。トヨタの事例に寄せた方が判りやすかったのではないか?まだ年末に準備した原稿を使って休んでいる印象だ。昨年に比べればマーケットが安定したスタートを切ったのも要因だろうか。緊張感が足りない。

人民網日本語版
中国が今後10年間で、原子炉60基を建設へ (2017.1.5)

国家核電技術公司の責任者は先日のインタビューで、中国は今後10年間で原子炉を60基建設することを明らかにしたが、これほど多くの原子炉を建設して、安全なのだろうか。経済が新常態を迎え、全社会の電力使用量が伸び悩み、新たな余剰生産能力を生むことはないのだろうか。国家核電技術公司専門家委員会委員の林誠格氏は、「稼働中の28基の設備容量が2614万8000kWで、建設中の26基が2912万kWであることから、2020年までに5800万kW規模には達すると思われるが、建設中の3000万kWという目標には届かない。そのため第13次五カ年計画期間中(2016-20年)に28-30基建設する必要がある。同じペースならば、2025年までにさらに30基ほど建設しなければならない」と解説している。福島原発事故は社会と人々に大きな影響を及ぼし、「受け入れられない」とする人もいる。放射能防護専門家、中核集団の潘自強氏、清華大学原子力・新エネ技術研究院教授の何建坤氏、中広核蘇州熱工研究院研究員の周如明氏らは、福島原発事故を全面的かつ詳しく分析した上で、福島原発事故が「原子力は安全で環境にやさしいエネルギー」という結論を変えることはないと指摘した。潘氏の研究によると、各種エネルギーの温室効果ガスの排出量を見ると、褐炭、石炭、石油、太陽光、推力、バイオマス、風力、原子力の順で、原子力が最も少ない。また、人の健康への影響を見ると、原子力の放射線量は石炭を大きく下回るからだ、としている。

原子力を中国が制御可能と想定して進むのは自由だ。日本の教訓から学び、新しい管理手法が見つかればシェアしてほしい。2011年の痛みを経ても、日本はマネジメント方法を見直すことなく、いつの間にか事故前に戻そうとしている。何ひとつ学んでいない。もう日本は参考にしない方がいいだろう。中国がマネジメントに長けていると聞いた記憶はないが、もはや日本よりリソースや知識は十分に持っているはずだ。ここからどんな挑戦をするのか、楽しみにしている。

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