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2840.報道比較2016.12.30

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年末にこの騒ぎ。どれもじっくり考えたいような話題ばかり。関係者は真剣にこの宿題に取り組むだろうか?平然と年始に登場するのは誰?

朝日新聞・社説
靖国参拝 「真珠湾」は何だったか

稲田防衛相が靖国神社に参拝した。極めて残念だ。安倍首相がオバマ米大統領と真珠湾を訪ね、日米の「和解」を強調したばかりである。稲田氏も同行したこの真珠湾訪問で、日本の過去の歴史をめぐる問題は清算された。稲田氏がそう考えているとしたら、それは大きな誤りだ。稲田氏は「祖国のために命を捧げた方々に敬意と追悼の意を表するのは、どの国でも理解をしていただける」と語った。だが首相をはじめ政治指導者の参拝となると、その意味は異なる。靖国には、若者たちをアジアや太平洋地域の戦場に送った側のA級戦犯が合祀されているからだ。稲田氏の参拝について首相はコメントを避けた。だがアジアを含む国際社会と真の意味での「和解」をめざすなら、稲田氏の参拝を放置してはならない、としている。

この話題を取り上げたのが朝日だけというのが、あらためて今の日本のメディアの感覚が安倍氏に洗脳され、世界や、おそらく日本国民でさえ違和感を持つ行動を政治がしても平然とできる環境をつくり出している。これは相当な危機だ。集団的自衛権の解釈を変える、教科書を変える、メディアに介入する…こういうことがまかり通り現状は、ポピュリズムと言われながらトランプ氏が当選する環境よりも危険だろう。いつしか洗脳は進み、抵抗することが間違いのような国家観になっていくのだから。それは、実際に進みつつあるように思える。朝日がこの感覚に危機感を持つなら、抵抗は論理的にすべきだ。今の批判は価値観にだけ則っているし、感情に任せている。この手法は、もはや成立しない。安倍氏の支持率は高い。抗うには、海外の意見や、歴史を適切に読み解く取材が必要だ。その努力を朝日はするだろうか?

人民網日本語版
「巧妙なパフォーマンス」は誠実な反省に及ばない (2016.12.29)

日本の安倍晋三首相と米国のオバマ大統領は28日、ハワイの真珠湾を訪問した。安倍首相は出発前、このたびの訪問に「戦後の和解の象徴」というラベルを高々と貼り付けていたが、現地で行われた演説で謝罪にふれることはなかった。また、今村雅弘復興大臣が同日、第2次世界大戦のA級戦犯を祀る靖国神社を参拝した。「誠実」ではなく、「巧妙」だ。これが西側メディアが安倍首相の真珠湾訪問を論評する時の基調だ。ここからわかることは、安倍政権が歴史の旗を振って外交的な賭を行っても、人々の目を覆い隠すことはできないし、かえって安倍首相が歴史問題で一貫して誠実な態度を示してこなかったことに対する人々の不満や批判が高まることになった。歴史に対する清算を終えられるかどうかは、加害者が自分で決めることではない。この道理は、歴史的罪をなんとかして回避しようとする日本の右翼政治勢力にはおそらく耳の痛いものだ。だが事実が最終的に明らかにするのは、アジアの被害国に対して、国際社会に対して、日本が何度も「巧妙なパフォーマンス」を演じてきたことは無意味だということだ。日本は深く誠実な反省を行って初めて、歴史の重荷を下ろし、未来に向かって進むことができる、としている。

昨日の人民網の手法の方が、明らかにレベルが高く、日本人にも突き刺さる内容だった。今日の主張は、ニュートラルで、日本で中国に好意を持っている人でさえ、中国に反発心を持つだろう。安倍氏の国家主義には私も不愉快さを感じるが、中国政府がしていることに比べれば、中国に言われるには違和感を覚える。それに、欧米メディアから巧妙という言葉を見た記憶はない。取り上げた専門家のコメントを探せば、日本の政治の戦略的な思惑、安倍氏の右翼的思考に触れているものもあるが、アメリカ国民の半数以上が今回の訪問を好意的に受け止め、世界のメディアも好意的な伝え方が多い。中国を除いて。中国の日本への戦争を絡めた時の感情を思えば、その感覚は理解できる。現状、アメリカと日本の関係が強固になることへの対抗意識も判る。だからこそ、お互いのメディアが攻撃したいのなら、昨日のような極めて丁重な手法が適切だ。感情をぶつけ合った時、その結末は謝罪か断絶だ。冷静な戦いなら、やがてお互いは知性を使った外交を模索するはずだ。

読売新聞・社説
南スーダン情勢 安定構築へ外交努力強めたい

国連安全保障理事会で米国が提出した対南スーダン制裁決議案が否決された。安保理の15か国のうち、米英仏など7か国が賛成し、日中露やアフリカ3か国を含む8か国が棄権した。米国主導の決議案に日本が同調しないのは異例である。決議案は、南スーダンへの武器輸出を禁止し、政府と反政府勢力の幹部に資産凍結や渡航禁止を科す内容だ。虐殺など住民への人権侵害を防ぐのが目的という。別所浩郎国連大使は、「政権が前向きな行動を取っている時に、制裁は逆効果だ」と棄権の理由を説明した。制裁を科す時機として適切ではないとの認識だ。日本は、PKOに陸上自衛隊部隊約350人を派遣している。野党の一部などには、陸自の安全を優先して武器禁輸を回避するのは本末転倒だ、との批判もある。だが、重要なのは、禁輸の実効性と影響を見極めることだ。日本も、将来の制裁を否定してはいない。制裁実施も外交カードとし、南スーダン政府に過剰な暴力の自制と治安回復への真剣な取り組みを迫ることが大切だ、としている。

12.27の朝日・毎日よりは、読売の主張は論理的だ。これは政府従属の印象はない。いつでもアメリカに同調しなければ異例という感覚も変わっていくべきだろう。できれば、どうなれば制裁に同調するかを説明していれば、さらに説得力が増す。日本が自国の現状に固執していないことを示すには、より強固な論理武装が理想的だ。

毎日新聞・社説
少子化と保育 まだ危機感が足りない

今年生まれる子供の数は統計を取り始めた1899年以降、初めて100万人を下回る見通しだ。今後も出生率が大幅に改善しない限り、最も多かった1949年(約270万人)の3分の1程度になる。安心して子供を産める環境を整えないと、日本は縮小していくばかりだ。保育所の不足による待機児童問題は深刻だ。厚生労働省によると4月時点の待機児童は2万3553人だが、育児休業を延長している場合などは集計に含まれない。こうした「隠れ待機児童」は6万7354人にも上る。このため政府は来年度予算に540億円を計上し、全保育士の月給を6000円程度増やすほか、技能や経験を積んだベテラン職員はさらに4万円を上乗せする。保育士として働き続ける動機付けとしては効果があるだろう。しかし、現実には経験が7年以下の保育士が全体の半数以上を占めている。6000円増えても、まだ月給が18万円程度にとどまる人は少なくない。一段の上乗せが必要だ。これから現役世代の女性の数はさらに減っていく。あらゆる政策を動員して出生率を改善しないと、人口減少に歯止めが掛からなくなる、としている。

カネの計算ばかりで未来が見えないから、こどもが増えないのだ。毎日のような発想で、補助や支援を整えても、きっと状況は変わらない。「1949年が最多」という歴史をシンプルに理解すべきだ。戦後、なにもない時代、今より生活が苦しい時代になぜ、こどもは増えたのか?未来は確実に明るいからだ。やっと苦しい時代が終わったからだ。こどもを育てる数年間の援助を約束すればこどもが増えると考えるなら、完全にミスリードだ。危機感だけを煽っても何も変わらない。

産経新聞・社説
電通社長辞任へ 「残業文化」は通用しない

広告大手、電通の新入女性社員が昨年末に過労自殺をした問題で、厚生労働省が違法な長時間残業をさせた労働基準法違反の疑いで、法人としての電通と、女性社員の上司だった幹部社員1人を書類送検した。これを受け、石井直社長は来月に引責辞任すると表明した。同社は以前にも若手社員が過労自殺をしたほか、長時間労働で何度も是正勧告を受けていた。違法労働が全社的に広がっていた可能性もあるとみて、役員ら上層部の関与の有無を調べる捜査は継続される。日本を代表するような大手企業といえども、法令を順守した労務管理が徹底されなければ、トップの経営責任に直結する。そういう時代を迎えたとの認識が要る。「働き方改革」を掲げる安倍晋三政権は、長時間残業の解消に向け、労働時間の上限規制の強化を検討している。産業界の反発は根強いが、労働者保護の観点で実効性ある対策を講じるべきだ、としている。

産業界は反発しているのか?事実なら、まだ日本の復活は見えない。「法令を順守した労務管理が徹底されなければ、トップの経営責任に直結する。そういう時代を迎えたとの認識が要る。」この一文さえ、私は相当な違和感を感じる。私の感覚では、電通は変わろうとしていると認識していたが。
生産性を上げる発想を、未だに持とうとしない。結果のために時間、カネ、人材…あらゆる資財を投入する。赤字?やむなし。こういうスタイルのビジネスは、世界ではとっくに侮蔑の対象だし、少子高齢化が進む中で、早々に破綻する労働モデルだ。この発想は、若い世代には存在しない。老害とともに生き残っているとしか思えない。もし、産業界に未だにこういう発想が残っているなら、希望退職者にして出ていってもらうべきだろう。とっくにこんな感覚は死んでいる、変わっている、今回が最後だと信じている。

日本経済新聞・社説
東芝は不可解な「巨額損失」の経緯解明を

会計不祥事で再建中の東芝に、新たな巨額損失の可能性が浮上した。昨年末に子会社の米ウエスチングハウスを通じて買収した、原子力発電所の建設などを手がける米企業で想定外のコストが生じ、数千億円規模の減損損失が発生するおそれがあるという。財界トップを輩出した名門企業は重大な岐路を迎えたといえる。東芝の経営陣にまず求められるのは損失額の一日も早い確定と、なぜ巨額の損失が出る見通しになったのか、経緯の解明だ。東芝の説明によると、原発をめぐる安全意識の高まりから、米社の手がける原発建設のコストが予想以上に膨らみ、巨額の損失につながったという。いずれにせよ同社は今後、解体的出直しを迫られるだろう。複数の事業を抱える「総合電機」という企業の形をいつまで継続できるか、先行きは見通せない。企業の再生や事業の再構築を成功に導くには、強力なリーダーが不可欠だ。社内外を問わず有為の人材を登用し、難局に立ち向かわなくてはならない、としている。

取材もせずに、ずいぶんいいかげんだ。アメリカの経済紙は、同日でこれだけの記事を掲載している。

東芝の苦境を物語る中国原発事業の誤算 by Wall Street Journal

同じ情報を持っていたのなら、今回の大きな赤字は、事業のミスだ。前回の経営層による異様な企業文化による隠蔽、粉飾決算とは次元が異なる。解体的出直し?なにか勘違いしていないだろうか?必要以上に叩いている。

Wall Street Journal
オバマ政権、対ロシア制裁強化 サイバー攻撃に報復 (2016.12.30)

バラク・オバマ米政権は29日、ロシアの情報当局高官や政府関係者を対象とする新たな厳しい制裁措置を発表した。ロシアが11月の米大統領選への介入を試みサイバー攻撃を仕掛けた疑いを巡り、報復措置を講じた格好だ。ロシアはこれに応酬する構えだ。インタファクス通信によると、ロシア政府報道官はウラジーミル・プーチン大統領が制裁措置などに対する対応策を決めるとし、「相互主義の原則が当てはまる」と述べた。制裁対象にはロシア連邦保安庁(FSB)や連邦軍参謀本部情報総局(GRU)などの政府情報機関のほか、3企業と6個人が含まれる。GRU高官に加え、すでに米連邦捜査局(FBI)の最重要指名手配リストに載っているハッカーらも制裁の対象となる。米国務省は28日、ワシントンのロシア大使館とサンフランシスコのロシア領事館から外交官35人を追放。外交官とその家族は72時間以内の国外退去を命じられた、としている。

オバマ氏は、最後まで働いている。通常の新しい大統領選出とは、やはり様相が違う。トランプ氏が発言している価値観の行く手を阻むような決断を、退任間際にどんどん打ち出している。パールハーバー、イスラエル、ロシア…どれもアメリカ人の感情に響く言葉ばかりだ。

オバマ政権、対ロシア制裁強化 サイバー攻撃に報復
オバマ氏、イスラエルへ最後の一撃

そして、当然批判も出ている。

オバマ外交にふさわしい結末
オバマ氏「私が出馬していれば」発言の教訓

オバマ氏もトランプ氏も、個人のエゴで動いているとは思いたくないが、移行期にはそういうエゴも生まれやすい。変化を求めたアメリカが、嫌な変化の前兆を生み出してしまった。

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