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2835.報道比較2016.12.26

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Tokyo

CC Attribution, Photo by Moyan Brenn via flickr

昨日の学習指導要領につづいて、朝日は今日は原発費用負担。有識者会議はしっかり仕事をしているように見える。感情が先走っていないか?連休明けの仕事としては雑だ。

朝日新聞・社説
原発事故負担 国会で幅広く検討を

福島第一原発の事故費用のうち、東京電力が自前でまかなえない分は、手っ取り早く電気料金で集める――。経済産業省が主導し、有識者会議を舞台にしたこの3カ月足らずの議論は、そんな「結論ありき」だった。膨らむ賠償や廃炉などの費用を、誰にどう負担してもらうべきか。この難題を考える際の大原則は、関係者の責任をうやむやにしないことと、国民負担をできるだけ抑えることだ。だが、有識者会議でこれらは脇に追いやられた。年明け以降、関連する法案や予算案が国会で審議される。経産省がまとめた負担案にとらわれず、最善の策を徹底的に探ってほしい。原発の「安全神話」によりかかり、備えを怠ってきたのは、ほかならぬ経産省と大手各社である。自民党内からも「利益は自分の懐に入れ、損失は他人の懐を当てにするのは、理屈が成り立たない」との批判が出た。与野党ともに、消費者の視点を大切にして、選択肢を広げて利点や課題の検討を尽くす責任がある。今の案のまま不透明な国民負担が確定するようなら、エネルギー政策への不信をいっそう強めるだけだろう、としている。

昨日の学習指導要領の件に似た状態。簡単にネットから手に入る情報で、いろいろ推測してみる。今回の結論は、朝日新聞の主張への違和感の方が強い。この社説は、適切な情報をベースに書かれたのか、気になる。
第三者委員会、有識者会議への違和感は舛添氏の事件の頃に話題になったが、調べてみると人選やバランスは、当然だが平均以上で意図は感じられない。

東京電力改革・1F問題委員会 委員等名簿
総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会 委員等名簿
どちらも経済産業省より

朝日が噛みつきたい理由が、この委員に読売新聞の会長が含まれていること。まさか…そんな小さい発想はないと思うが。もう少し、国際的な情勢に通じた人や、技術系の人がいるべきだとは思うが、大学系がその役割を担っている認識でいいのだろうか。なぜ、この人選なのか、どのような役割を担って出席しているかを各人は認識しているのか、は気になるが、騒ぎ立てるほどの問題はない。

提言だが、極めて重厚。

東電改革提言 by 経済産業省

東電に甘いかといわれれば、まるでそんな印象はない。改革提言の中の厳しさは相当なもので、オブザーバーで参加していた東京電力は相当耳が痛かったのではないか。むしろ、22兆円と資料内で書いているものを、わざわざ新聞は細かく計算して21.5兆円と統一して記載しているあたりを見ると、経済産業省の意向に合わせているのは有識者会議よりはメディアでは?という印象を受ける。
昨日の教育改革に比べれば、各工程の細かさや提言はかなり微細にまで踏み込んでいる。非現実的な教育改革とは比較にならないほど緊張感に満ちている。
毎日新聞の記事では、この有識者会議の議長の山内氏と、反論意見を持つ京都大学の安田氏の意見を載せている。安田氏は税の方がシンプルとの意見。たしかに不公平感と国民の理解は得られる気もするが、東京電力の電力を消費し、原発の恩恵にあずかるエリアにだけに負担させる仕組みは、よく考えられたものだ。高速道路の費用がガソリンや車検から多く徴収されているのと同様の仕組みで、関東に住む私としては、負担は増えるだろうが、原発のない沖縄にも負担が及ぶよりは、自らが払うべき代償だと思う。徴税になればシステムが必要になり、関係者が増え、取りこぼしも増える。利用者負担ならその心配はなく、私は安田氏がこだわる意見よりも、利用者負担の方がシンプルだと思う。
とすると、朝日の主張には、感情の先走りが見える。関係者の責任はうやむやになどされていない。首が絞まるほどの改革を要請し、そそのチェック・スキームまで規定している。さらにその計画には、地球温暖化、エネルギー改革なども、ほぼ盛り込まれた長期プランだ。そして、国民負担もできるだけ抑えられている。それは、原発の電力を使う人に負荷が多い形でバランスされている。これは、考え得る選択肢で、もっともシンプルで理解が得やすい結論のはずだ。安全神話によりかかったのを経済産業省と政治だけに限定するのは間違っている。メディアもその危機感を持っていなかったし、安価な電力で恩恵を受けたのは、国民自身だ。だから、原発の恩恵を受けていない地域は、今回の負担から除外されている。考え得る辻褄は合っている。
もし、私たちが反省するなら、マネジメントの体制であり、安全を過信したことだ。それは有識者会議の資料も徹底して書いている。ただ、有識者は提言をまとめるまでだ。ここから先、誰がこの意志を決断し、管理・監督していくかは、政治、行政、電力会社になる。そして、メディアはそれを監視するのが役割だ。私の感覚では、今回の有識者会議の仕事はすばらしい。この先、政治、行政、電力会社、そしてメディアが適切に動いてくれるか?少なくとも、フクシマでミステイクしたのもこの方々だ。彼らを改革するシステムを、有識者会議はなぜ提案しないのだろうか?それだけが残念だ。

産経新聞・社説
東京都議会 都政不信への敏感さ欠く

東京都の予算編成で慣例化していた200億円規模の「政党復活枠」を小池百合子知事が廃止し、波紋を呼んだ。東京都は予算規模が他の自治体よりはるかに巨大で懸案も多い。その運営にあたり、強い責任感と公平性が求められることをいまいちど認識してもらいたい。復活枠は、主に自民党の要望が反映されてきた。通常では得にくい予算を恣意的に獲得し、政治力の源泉にしてきたとみられても仕方あるまい。知事、議会の双方に来年の都議選をにらんだ思惑もうかがえる。だが、豊洲市場問題などをめぐり、都議会のチェック機能が欠如していることが露呈し、都政への信頼が大きく損なわれたことを忘れてはならない。政務活動費(政活費)の不正受給が全国で相次いだことから、地方議会や地方議員に対する市民の目がかつてなく厳しくなっていることへの対応も必要である。諸改革の先頭に立つ議会に変貌することを期待したい、としている。

産経らしい、正義感に満ちた主張。同意する。
地方行政は変わるチャンスではあるが、なり手がいるだろうか?慣れて汚れていくくらいなら、輪番制にして各地区から議員を無条件で選任した方がいい。その方が、ずっと利害なく公平になる。まじめな日本人なら、それが一番だ。

読売新聞・社説
防衛予算増額 機動的な対処能力を高めたい

2017年度政府予算案は防衛費に5兆1251億円を計上した。初の5兆円台となった前年度より1・4%増えた。北朝鮮は今年、新型を含め、20発以上の弾道ミサイルを発射し、技術向上を誇示した。中国は、海空軍の急速な軍備増強を背景に、尖閣諸島周辺などの東シナ海で海洋進出を強めている。財政事情が厳しい中で、日本の領土を守り、地域の安定に寄与するため、安倍政権が5年連続で防衛費を年0・8~2・8%伸ばしてきたことは評価できる。北朝鮮の核・ミサイル開発を考慮すれば、ミサイル防衛の優先度は高い。中長期的観点から計画的に迎撃体制を拡充すべきだ。離島防衛の強化も喫緊の課題である。17年度は、陸上自衛隊に水陸両用車などを備えた水陸機動団を創設する。輸送機オスプレイ4機を購入し、長射程の地対艦ミサイルの開発にも乗り出す。過去最高の2106億円の予算を計上した海上保安庁との連携を強めることが重要である、としている。

人民網日本語版
日本の防衛予算が過去最大に 中国は「関心と警戒」 (2016.12.24)

日本の防衛予算が5年連続で増加し、過去最高を更新していることについて、外交部(外務省)の華春瑩報道官は23日の定例記者会見で、「歴史的な原因により、中国には日本側の動向や真の意図に対して高い関心と警戒を抱くだけの理由がある」と述べた。ここ数年来、日本側が一方では「中国の脅威」を絶えずねつ造して喧伝し、また一方では軍事力を絶えず高めてきた姿をみている。歴史的な原因により、私たちには日本側の動向や真の意図に対して高い関心と警戒を抱くだけの理由がある。
日本側は真に歴史を鑑とし、平和発展の道を歩むことを堅持できるのか。アジアの隣国と国際社会は強く注視し続けている、としている。

中国の空母が西太平洋に進出したタイミングでの日本の防衛費の話題は、読売にとっては援護射撃、人民網にとっては失笑したくなる反応だ。GDPから見れば、もう日本が中国を追う立場に入れ替わっているのだから、読売の政府援護射撃も、中国の理解に苦しむ牽制を意味をなしていない。一番笑っているのは、しっかり予算の取れた防衛省と人民解放軍というだけのことだろう。

毎日新聞・社説
まとめサイト ビジネスといえるのか

IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営する医療情報サイトが根拠の不明確な記事を載せ、公開中止に追い込まれた。記事の正確さをないがしろにして、広告料稼ぎに走るようではビジネスといえない。テーマごとに情報を集めるサイトは、「まとめサイト」と呼ばれる。近年、急成長したインターネット上のメディアである。だが、他社にも同じような問題が見つかり、非公開の動きが広がっている。公開中止のきっかけになったこのサイトは、DeNAが運営する医療系サイト「WELQ(ウェルク)」だ。2015年10月に開設された。外部筆者らに記事を募り、まとめ情報を無料で提供する。そして閲覧率をあげることで広告収入を増やす仕組みだった。月間の利用者は延べ約2000万人にのぼったという。引用は本来出典を明記し、正当な範囲で行わなければならない。いずれも安易な運営であり、大がかりな著作権侵害になる可能性がある。ネットには、参加者全員が情報を共有し、見知らぬ者同士を結びつける力がある。一方で情報は玉石混交だ。広く情報を扱うネットメディア全体の自覚を求めるとともに、利用する側が情報の質を見極められる教育を進めなければならない、としている。

いつの話?よほど忙しかったのか、連休を楽しんでしまったのか…新聞時間というより、毎日時間とも言える時代遅れの社説だ。この話題を日経が社説に書いたのは12.8。その1週間後の12.14の朝日のスピードにさえ失望感を持ったが、そこからさらに10日を過ぎて、平然と当時のままのレベルの主張を繰り広げる毎日。絶望のレベルだ。

日本経済新聞・社説
成長底上げへ長期志向の改革を怠るな

2016年は世界の経済政策の潮流が転機を迎えた1年だった。第一に中央銀行の大胆な金融緩和に対する限界論が台頭した。08年の金融危機後、日米欧の中銀は前例のない金融緩和で経済と物価の低迷を打開しようと腐心した。金利はゼロの下限を超えてマイナス圏に突入し、その副作用が金融や経済の活動に影響を及ぼした。第二の変化として、先進国に共通する低成長や低インフレを打開するため、財政政策や構造改革をさらに活用する意識が定着した。経済協力開発機構(OECD)は今秋の経済見通しで「低成長のワナから逃れるために財政のテコを使おう」と提言した。日本を筆頭に先進各国が直面する高齢化は、潜在成長率の低下や社会保障財政の圧迫につながりかねない。構造改革も避けて通れない道だ。日本に必要なのは中長期の視野で成長を底上げし、経済や社会を安定させる改革の断行だ。労働生産性を高める働き方改革や外国人材の活用、将来不安を和らげる社会保障の骨太な改革など、山積する宿題をさぼってはいけない、としている。

日経の社説が意識しているかは判らないが、Great Rotation(大転換)と、マーケットは見ている。シンプルに言えば、金利のない世界と、ある世界。緩和を理由にしてきた債券の無条件の価値上昇は終わる、ロジカルに考えるなら、その受け皿になるのは株だが、金融緩和のせいで、株は高値圏にある。これを勇気を持って買うのか?量的緩和バブルの崩壊を経てから急上昇するのか?神のみぞ知る世界だ。黒田氏は首を洗う時期が来た。金利が上がりはじめた時、どうやって長期金利をゼロに固定するのだろう?誰も欲しがらずに増えていく日本国債をどうするつもりだろう?金利が上がりはじめた時…日銀は国債の金利を払えるのだろうか?すべての辻褄が合わなくなってくる。こんなに早く汗をかく日が来るとは…黒田氏がマイナス金利と言い出したのは2016年、今年だ。バズーカと呼ばれた時よりも黒田氏の政策寿命は賞味期限が短くなっている。無能と呼ばれる日は近い。

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