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2830.報道比較2016.12.21

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決まったまま進むなら、政治や裁判もロボットがやれる。割り切れない感情を、どこまでなら折り合えるか、全員が感心するような案を出すのが政治。日本に、政治家はいなくなった。

朝日新聞・社説
辺野古訴訟 民意を封じ込める判決

最高裁はきのう沖縄県側の上告を退ける判決を言い渡した。前の知事が認めた海の埋め立て処分を、後任の知事が取り消すことができる要件は何か。そんな法律論を淡々と展開したうえで導き出した結論である。12ページの判決全文から浮かびあがるのは、民主主義の理念と地方自治の精神をないがしろにした司法の姿だ。たしかに行政の意向が二転三転したら、業者らに混乱が起きる。だが自治体がめざす方向を決めるのは住民だ。辺野古移設に反対する県民の意思は、県トップの交代を招いた2年前の知事選をふくむ数々の選挙によって、くり返し表明されている。沖縄の人びとの目には、国家権力が一体となって沖縄の声を封じ込めようとしているとしか映らないのではないか。安倍首相は「沖縄の気持ちに真に寄り添う」大切さを説く。自らの言葉を実践し、この小さな島が抱える負担を少しでも軽くする道を示さねばならない、としている。

産経新聞・社説
「辺野古」判決 知事は和解条項の尊重を

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設をめぐる国と県の訴訟で、最高裁は国側の勝訴を言い渡した。移設に反対する翁長雄志知事が昨年10月、前知事による辺野古沖の埋め立て承認を取り消した処分は違法であると、最終的な判断が下された。懸念されるのは、翁長氏が判決を受けて「今後も辺野古に新基地を造らせない公約実現に向けて取り組む」と述べたことである。前知事が許可した岩礁の破砕許可は来年3月末に期限が切れる。この許可の継続や、一部工事の設計変更を認めない手段をすでに検討しているという。実際に対抗手段がとられれば、国は県に対する損害賠償請求を検討する。地方自治法に基づく代執行の手続きをとる事態も起きる。再び、和解前のように双方が訴訟をぶつけ合うのだろうか。尖閣諸島など安全保障環境の悪化を考えれば、対立の悪循環に陥っていいはずがない、としている。

日本経済新聞・社説
円滑な日米同盟には沖縄の理解が必要だ

日本の安全保障において沖縄は地政学的に極めて重要な地域だ。在日米軍や自衛隊が重点配備されるのは当然である。だが、いくら基地をつくっても周辺住民の協力なしに日米同盟の円滑な運用は望めない。沖縄県民の過重な負担感をいかに軽減するか。安倍政権はいまこそ対話姿勢を示すときだ。沖縄県宜野湾市にある米軍普天間基地を県内の名護市辺野古へ移設する政府の方針について、最高裁が全面支持する判断を下した。翁長雄志知事は判決に沿って移設先の埋め立て承認の取り消しは撤回する意向だ。とはいえ、ここで政府がただちに工事再開に動くのがよいかどうかはよく考える必要がある。翁長知事はほかの権限を駆使して移設を阻止したいとしている。知事に方向転換を促すには、県民が抱く反基地感情を少しでも和らげる努力が欠かせない。政府内には翁長知事がさらなる移設阻止に動いた場合に損害賠償訴訟を起こして追い詰めるなどの案もあるようだ。それが本当に移設実現への近道なのか。力ずく一辺倒の政権と思われれば、沖縄以外の案件にもマイナスだ、としている。

毎日新聞・社説
辺野古で県敗訴 政治的な解決に努力を

沖縄県・米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐる国と県の訴訟で、最高裁は、埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の対応を違法と判断した。これにより県の敗訴が確定した。最高裁の論理は、前知事による埋め立て承認に違法な点が認められない以上、それを取り消した翁長氏の処分は違法というものだ。確定判決には従うと言ってきた翁長氏は、近く埋め立て承認取り消しを撤回する見通しだ。22日には沖縄県・米軍北部訓練場の一部返還にあわせた式典が予定されている。政府は負担軽減をアピールして、辺野古移設に弾みをつけたい考えだ。これらを受けて政府は、移設工事を再開する方針だ。移設反対の民意が何度も示されながら、政府が前知事の承認を錦の御旗(みはた)のようにして移設を強行するのが、民主主義や地方自治の精神に照らして適切かが問われている。本質は行政手続きではなく、政治のあり方だ。政府は自らの手で解決を主導すべきだ。回り道のようでも国と県が再度、真摯に話し合いをすることを求めたい、としている。

読売新聞・社説
辺野古判決確定 翁長氏は徹底抗戦続けるのか

最高裁が、移設先の埋め立て承認を取り消した沖縄県の翁長雄志知事の処分を違法だと認定した高裁判決を支持する判決を言い渡した。翁長氏の上告は棄却された。菅官房長官は記者会見で「今回の判決などに沿って、県と協力して移設を進める」と強調した。判決は、普天間飛行場周辺の騒音被害の軽減や危険性の除去に加え、施設面積の相当程度の縮小、住宅地上空の飛行の回避など移設の効用に言及した。移設先の環境保全措置の合理性にも触れた。仲井真弘多前知事の埋め立て承認に「違法があるとうかがわせる事情は見当たらない」とも認定した。妥当な判断である。外交・安全保障政策は本来、国の専管事項である。高裁判決は、自治体には、国全体の安全について判断する権限や組織体制、立場がない、と指摘している。翁長氏には、最高裁判決を重く受け止めてもらいたい。辺野古移設による現飛行場の危険性除去こそが最大の安全対策であることも忘れてはならない、としている。

他にニュースがなかったのもあるだろうが、沖縄への最高裁の判決を全紙が社説に取り上げた。誰が読んでも納得できるのは日経の主張。朝日と毎日は感情的になり過ぎているし、産経と読売は国家主義に固執している。政治とは、日経のような提案を行い、妥協を含めた最適解を創出することにある。正論に固執する冷徹な論理も、感情だけで反対を訴えつづけるのも、必ず禍根が生まれる。そのための答えが辺野古だったというのは国の意見だろうが、沖縄は度重なる事故や犯罪で、米軍の存在に辟易している。どんな論理でも拒絶したくなるほど追い込まれている。補助金も、多少の不公平さえ受け入れてでも、県外へ。できれば日本から消えて欲しい。それが沖縄の感覚だろう。そうでなければ、トランプ氏に祝電を送ったりはしない。
決まったことをただやる、問題はなさそうだから邪魔するなら違法という発想のまま進むなら、政治や裁判もロボットがやれる。それでは割り切れない感情を、どこまでなら折り合えるか、アメリカや中国を含めた全員が感心するような案を出すのが政治だ。私は、この案を今の自民党に期待する方が無駄だと思う。この仕事を翁長氏にして欲しかった。残念なのは、最近の翁長氏には、そういう努力よりは、とにかく抵抗する姿勢しか見えないことだ。抵抗のためにアタマを使うのではなく、案を出すためにアタマを使って欲しい。

人民網日本語版
中央経済政策会議公報 来年の経済業務への5つの期待 (2016.12.20)

中央経済政策会議は次年度の経済の方向性をつかむ上での最も重要なバロメーターといえる。現在のようなかつてない複雑さを抱えた経済情勢の下では、会議から中国経済の新たな位置づけを探ることがより重要になる。戦術面で、17年の経済業務には期待できる5つの注目点がある。
(1)農業の供給側構造改革。
(2)実体経済の振興の強化。
(3)不動産市場の安定。
(4)民間投資を奨励。
(5)金融リスクの防止。
16年は第13次五カ年計画スタートの年だった。17年でより重要なことは確実に攻めて難問を克服することだ。国内外の経済情勢は錯綜して複雑な状態が続き、国内では金融リスクが見え隠れし、国外ではブラック・スワン事件がしばしば発生している。十分な準備をしっかりと行い、構造改革によって供給側のボトルネックをうち破り、安定したマクロ政策で需要側のリスクを緩和することが必要だ、としている。

今日の解説は、一昨日に感じた印象を払拭する明確で、戦術まで踏み込んだ内容を教えてくれている。ありがたい。
感じた印象は、12.19と大きくは変わらない。不動産バブルを退治する、金融リスクを防止する、これらが大きなテーマに挙がっている。不動産には国家が是正の介入に入る予告と感じる。規模によっては大きく収縮するだろう。金融ではシャドーバンキングを本気で整理するつもりかもしれない。不正撲滅のように、痛みを伴う整理を経済分野でもやれるだろうか?
それ以外に、農業があるのは興味深い。どのように品質を向上するのかまでは見えないが、第二次産業に偏っていた今までの中国の発想が、サービスや農業に浸透しているのはすばらしい。成功すれば、もう中国の成長を疑う人はいなくなる。足腰が強く、成熟した経済環境に近づく。実際に、どんな活動として見ることができるのか、期待している。

Wall Street Journal
ギリシャに長い冬到来 (2016.12.21)

2017年には欧州の数多くの国で選挙が予定されている。議会の解散が現実味を帯びてきたギリシャも、その輪に加わることが濃厚だ。仮に選挙が実施されたとしても、同国の経済問題の解決にはつながらないだろう。しかし選挙が行われればギリシャでどの程度の改革が実現するのかを計ることができ、欧州他国や自国民にとってもそれを確かめる機会にはなる。選挙が実施されれば、ギリシャ国民が改革の必要性を理解するきっかけになる。選挙が行われれば、2015年1月の選挙でチプラス氏に敗北した中道右派の新民主主義党が勝つと予測されている。同党にはキリアコス・ミツォタキス党首を中心に新たな改革に向けた動きもある。同氏は増税に頼るやり方ではなく、減税と財政出動によって財政目標を達成するべきだと主張する。また、民営化などを通してサプライサイドの大きな改革を任期当初に実現させ、投資家や債権団からの信頼を再び得たいとしている。来年はイタリア、オランダ、フランス、ドイツで議会選挙が行われる。ギリシャでも選挙実施となれば、国民の意思に変化があったかどうかが示される機会になるだろう。他国の有権者たちも、自らの票を投じる際にギリシャの選挙結果を参考にできる。ギリシャ国民が選んだ道を支持し、自分の税金を再度投入してまで債権放棄を認め、さらなる譲歩をするべきかの判断材料にできるはずだ、としている。

来年のヨーロッパは、各国で選挙がいくつも行われる。すでにリスクとして見ている人は多い。トランプ氏が施政をはじめ、欧米は本当に不安定な雰囲気を漂わせるだろう。日本円がリスクオフで買われる路線は、この環境ではつづくに違いない。日本国内にいると、未来に明るさなどまるで見えないし、弛緩した政治がさらに積み上げる借金が不安で仕方ないが、海の向こうはもっと大きな不安と、予想さえできないリーダーや政治がはじまろうとしている。日本が、本当にリスクオフの国になれる復活を演じられればいいが…足りないのは、なんだろう?

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