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2828.報道比較2016.12.19

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意味もなく心地いい風の吹く経済状況の中、年末が近づく。弛緩した印象は新聞にも現れている。もう思考は停止している印象。2017年のはじまりが恐い。

Wall Street Journal
米利上げ、世界市場にとって両刃の剣 (2016.12.16)

市場は12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利上げが実施されるとの見方でほぼ一致していた。そして、FRBは予想通りの決定を下した。だが、新たな政策見通しで2017年に見込む利上げ回数がこれまでの2回から3回に増えたことを受け、米国債利回りとドル相場が急伸した。米インターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数は2日間で1.8 %上昇し、02年以来の高水準をつけた。一方、ユーロは1.05ドルを割り込み、円は1ドル=118円まで売られた。10年物米国債利回りは15日に2.6%台に乗せた。欧州などの先進国市場にとって、FRBが米経済の拡大を確信していることは恐らく朗報だろう。一方、新興国市場にとっては、強弱材料が入り混じっている。メキシコペソから南アフリカランドに至るまで新興国通貨はドルに対し下落した。これはドル建て債務を抱える借り手を苦しめる可能性がある。米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利を受け、市場はリフレ政策期待からドル高・債券売りを演出しており、FRBも市場が描くこのリフレの筋書きを受け入れたようだ。ドルと米国債利回りの上昇ペースが先行きを大きく左右するだろう。どちらかがあまりに速いペースで上昇すれば、世界の市場は混乱する可能性が高い、としている。

毎日新聞・社説
米国の利上げ 新政権が新たなリスク

米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を0・25%引き上げた。金融危機後では、昨年12月に続き2回目の利上げだ。景気が順調に回復しているためで、想定通りの決定である。ただ、政策を決めるメンバーらの、来年中の平均的な利上げ回数見通しが、9月時点の「2回」から、今回「3回」へと増えたため、利上げのペースが早まるとの見方から長期金利や外国為替に影響が出ている。FRBの政策運営を一段と困難にしそうなのが、トランプ次期大統領の存在だ。同氏のバラマキ的な景気対策、そして中央銀行に対する遠慮のない発言が、金利正常化への道を険しくする恐れがあり、懸念せずにはいられない。大統領選直後から、米国をはじめ世界の市場で株価の高騰が続いている。当選したトランプ氏が大規模な公共投資や減税の実施を表明しているためだ。FRBはといえば、政策判断の背景や意図について、これまで以上に丁寧な説明を心がける必要がある。政治から独立して行動していることを市場に明白に伝えることが、政治介入の余地を狭めることになる、としている。

セオリーどおりの将来像を語るWall Street Journalと毎日。トランプ大統領誕生後の状況をまるで予想できなかった人類の知見を考えると、役に立つのは半分程度。この解説どおりに進むかは半信半疑だ。イエレン氏が昨年のプランは「年3回程度」と利上げをプランしていたのを考えれば、アメリカの経済政策に予定など存在しないようなものだ。
確実なのは、新興国にとっては苦しいことくらいだろう。トルコの危うさは際立つ。次の震源は、新興国で、オイルとは縁がない国ではないだろうか。

読売新聞・社説
日銀短観改善 新規投資で成長への布石打て

日銀の12月の企業短期経済観測調査(短観)は、景況感を示す業況判断指数が、大企業・製造業で前期比4ポイント高い10となり、1年半ぶりに改善に転じた。大企業・非製造業は前期比横ばいの18、中小企業は製造業、非製造業ともに指数が上昇した。トランプ次期米大統領の経済政策への期待を背景に円安が加速し、電機や自動車など製造業を中心に景況感が回復した。原油価格の持ち直しで石油・石炭製品などの業種も改善が目立った。気がかりなのは、3か月先の業況を予想する指数の不振である。大企業も中小企業も、先行きの業況悪化を見込んでいる。環太平洋経済連携協定(TPP)離脱など、トランプ氏の経済政策の影響を見極めたいとするムードが経営者の間に強いのだろう。中長期的には、人口減による国内市場縮小や、米国が保護主義を強めた場合の輸出減など、先行きに懸念材料があるのは分かる。だが、リスクに立ちすくむのではなく、将来の需要創出に向けた布石を打つことこそが、経営者本来の仕事だろう。賃金を含む処遇改善で人材を確保しようとする企業を、政府も後押しする必要がある。それが日本経済の活性化にもつながろう、としている。

文末は、かなりいい加減な発破の掛け方。日本のどこに需要が創出できるだろう?読売自身も四苦八苦している課題のはず。政治がどれだけ財政を投じても増えなかった需要。取りに行くなら海外で、その最大のマーケットが中国だったのだが、意味のない対抗心でおいしい時期は完全に逸した。もし、いま目指すならインドだろうか。いずれにしても、国内ではない。

朝日新聞・社説
北陸新幹線 あまりに前のめりだ

北陸新幹線を福井県敦賀市から大阪市へ延伸するルートが固まった。複数の案を検討してきた与党が、福井県小浜市と京都市を経由する案を採用した。北陸や関西の政財界からは早期着工を求める声が相次ぐが、あまりに前のめりだ。小浜・京都ルートの建設には2兆円超かかりそうだ。建設を決めるのは政府だが、財源のあては当分ない。国の財政状況は厳しく、社会保障をはじめ、多額の公費が求められる課題は多い。北陸新幹線の延伸を特に優先する必要性はない。期待した効果がどれほどあったかは冷静に見極める必要がある。東京一極集中は加速し、地方では急速な高齢化と人口減が進む。新幹線が通る中核都市の多くも例外ではない。新幹線はあれば便利だ。政治家が「実績」とアピールしやすいこともあって、「建設ありき」の議論になりやすい。ただ、新幹線建設に多額の税金が充てられることを忘れてはならない。必要性や妥当性について国民が十分納得できない限り、着工に進むべきではない、としている。

2兆円が、オリンピックの話を聞いていると小さく聞こえてくる。オリンピックと新幹線なら、確実に新幹線の方が経済貢献度は高いだろう。新幹線とオリンピックを比較することはないかもしれないが、同じ投資なら効果のあるところを優先したい。そして、経済効果を考えると、2兆円は規模が小さい。景気回復に貢献する規模にはまるで足りない。中途半端な策は、あとで後悔する事になる。ずいぶんと耐用年数に懸念が出る施設が増える中、予算も見えないのに新設という発想は、さらに前時代的だ。自民党にやらせていると、ずっとこんな政治の繰り返しのようだ。また歴史を繰り返すように転ぶだろう。

日本経済新聞・社説
国際社会の安定へ問われる国連の役割

国連事務総長の潘基文氏が月末に任期満了で退任し、1月からポルトガル元首相のグテレス氏が新事務総長になる。10年ぶりの「国連の顔」交代だ。国連にとって不安な点のひとつは、米国のトランプ次期大統領の外交姿勢が読めないことだ。米国が自国の利益ばかり優先して大国同士の直接取引を好み、国連を舞台とする多国間の調整や合意づくりをないがしろにすることはないか。環境や開発、人権といった国連が時間をかけて成果をあげてきた分野を軽視し、国際的な合意や規範から一方的にはずれる恐れはないか。疑問は尽きない。建設的に関与するよう、各国はトランプ次期政権に働きかける必要がある。国連に限界や欠点は少なくないが、ほかに代わりうる枠組みはない。新しい事務総長のリーダーシップにも期待したい。日本の役割拡大をめざす安保理の機構改革もそろそろ前に進めたい。それには日本の地位強化が国連にどう役立つのか、説得力のある案を示さなければならない。求められるのは、外交の大きなビジョンを構築し推進する力だ、としている。

昨日の毎日、読売が取り上げた国際連合の話題。日経の視点は、新しい事務総長とトランプ政権のアメリカ。国連の話題よりはトランプ氏の読めない政治スタイルへの苦言が中心。内容は散漫でまとまっていない。いまの日本の国際貢献に似た、真意の見えない主張になっている。

産経新聞・社説
医療・介護改革 負担増も透明性が重要だ

政府・与党が支払い能力に応じた負担増を重視する医療・介護保険改革案をまとめた。75歳以上の医療保険料軽減の縮小や大企業社員の介護保険料引き上げなど年齢にかかわらず「痛み」を求める内容だ。特筆すべきは、先送りされてきた高齢者優遇策の見直しに切り込んだ点である。公明党の強い要求で一部は圧縮されたが、大きな成果といえるだろう。国民に痛みを求める以上、政府・与党には引き上げ幅の根拠や仕組みを丁寧に説明する責任がある。いきなり倍増を狙った厚労省案が乱暴すぎたともいえるが、決着した引き上げ案との乖離は大きすぎる。消費税増税の2度にわたる延期により、今後の社会保障の財源を確保することへの見通しは立っていない。そもそも、消費税率が10%となっても、社会保障費をすべて賄えるわけではないのだ。
 今回の議論で、新たな財源確保の手立てが検討されなかったのはどうしたことか。消費税率引き上げの必要性や、引き上げ後を含めた社会保障の全体像をどう描くのか。安倍内閣は早急に道筋をつけるべきだろう、としている。

こちらも昨日の朝日の話題の後追い。ただ、産経は自民党が高齢者の負担増に切り込んだことを評価している。これが長期政権ならではの安定基盤による理想を求めた政治ならすばらしいが、もはや首も回らない切迫した財政状況が本音ではないだろうか。たとえばマイナンバーの導入や、年金改革にしても、漏れている場所を締める対策の微細さが目に付く。増やせる見込みのない税収と、もはや財政の膨張も限界と嫌な汗をかきはじめたようだ。やはり2020年あたりが節目になる。その時期の収入を増やしたいなら、いま仕込んでおくべきだが、その緊張感はあるだろうか?

人民網日本語版
中央経済政策会議が北京で開催 来年の経済8ポイント (2016.12.17)

習総書記は会議で重要演説を行い、当面の国内・国際経済情勢を分析し、2016年の経済業務を総括し、経済業務の指導思想を明確に述べ、2017年の経済業務の計画を示した。
(1) 安定の中で進歩を求める、重要分野で進展を遂げる
(2) 需給関係の新たな動態バランスを実現する
(3)農業の供給側構造改革を推進する
(4) 実体経済の振興に力を入れる
(5) 不動産市場の安定的で健全な発展を促進する
中国経済は基礎がしっかりし、柔軟性が高く、展開の可能性が多く、地域発展のアンバランスは発展の潜在力という意味合いも大きい。ここから予測できるのは、今後の都市・農村地域のバランスのとれた発展に向けた各種の措置は、中国経済のためにより多くの新しい成長のエネルギーや動力を育てることになるということだ、としている。

長文な解説だが、翻訳の品質が低いからか、まるで意味が判らない。禅問答のように安定や進歩を強調するが、戦術はそれほど出てこない。不動産市場、金融リスクなど、存在さえ目を背けていたことを直視しているのは以前よりはいいが、対策は無策。習氏が経済に疎い現実が見える。国内政治はどうにでもできるかもしれないが、世界が関われば問題はもっと複雑になる。中国の足下がぐらつくのは、いつもそのパターンだと認識しているだろうか?アメリカの利上げで、またリスクが高まっているが、チャイナ・リスク再燃はないだろうか?

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