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2827.報道比較2016.12.18

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経済イベントが終わり、クリスマスへ向けての最後の一週間。NY DOWは20,000ドルを、日経平均も20,000円を目指しそう。そこらで一度、中座しよう。パーティーに長居は危ない。

日本経済新聞・社説
円安でも用心深い企業心理

米大統領選に勝ったトランプ氏がインフラ投資や法人税減税で米経済を成長させるとの見方が市場に広がっている。ドル買いが進み、円の対ドル相場は大統領選前に比べ10円以上の円安だ。グローバルに展開する大企業の収益好転も見込まれ、日経平均株価も選挙前から2千円以上、上昇した。市場の雰囲気は変わったものの、企業に楽観的な見方はまだ浸透していない。「トランプ相場」の持続性が不透明だからだ。大企業全産業の今年度の設備投資計画は9月調査に比べて0.7ポイント低い前年度比5.5%増だった。経営環境の好転だけでなく、国内経済の成長拡大への手応えがないと、企業は前向きな投資に動かない。中小企業を中心に人手不足の度合いも強まり、事業拡大への足かせになりかねない。企業の1年後、5年後の物価見通しは9月時点を上回った。14年3月の公表開始以来で初めてだ。物価上昇の中で賃金が伸び悩めば個人消費を冷やしかねない。企業心理の改善に向け政府の成長戦略の着実な実行が欠かせない、としている。

いまの雰囲気に呑まれる投資家はいても、企業経営者はいない。彼らは最低でも3か月の時間を意識する。当選後の過熱は、まだ1か月。何か準備を意識しながらも、この雰囲気をベースに事業を計画するには、まだ時間が短い。トランプ氏が就任したら、今度は彼が原因で円高に走る可能性も十分にある。日本株が上がっている主要因も外国人だ。今の株価がつづくなら、今度はインフレは確実に進む。ポジティブな環境には、必ず副作用がある。インフレの感覚を日本は30年忘れている。その経験不足の方が心配だ。

Wall Street Journal
トランプ氏、若年不法移民に「夢」を (2016.12.16)

ドナルド・トランプ次期大統領は不法移民を減らすと公約した。国境警備についても約束を果たすつもりであるのは疑いの余地がない。だが同時に、政治的な善意とコンセンサスを築こうとしているのであれば、いわゆる「ドリーマー」(不法移民の子供として米国で生まれ育った人々)を守る法律の制定へ向けて連邦議会との取り決めを検討してはどうだろうか。バラク・オバマ大統領は2012年に大統領令により、16歳未満に不法入国した若者の在留を合法化する「児童期入国移民送還延期措置」(DACA)を講じた。これは在学中もしくは卒業した若い不法移民を対象に一時的に在留資格を付与するものだ。米軍を名誉除隊した退役軍人も同様に在留資格が与えられる。「ドリーマー」は2年間の就労許可に申請でき、更新も可能だ。米誌タイムとのインタビューでトランプ氏は今月、ドリーマーの扱いに関する交渉に扉を開いていることを示唆した。「彼らはとても小さい頃にここに連れてこられた。ここで働き、学校にも通った。優秀な生徒もいれば、すばらしい仕事に就いている人もいる」と指摘。「彼らは何が起こるか分からないネバーネバーランド(おとぎ話の世界)にいる」と話した。そして「人道的観点から、これはとても厳しい状況だ」と続けた。トランプ氏の言う通りだ。共和党の中からは、法案の可決にはもう少し法的執行力を盛り込む必要があるとの声も出ているが、これは交渉可能なはずだ。違法だと知りつつ入国した不法移民と、そうではない不法移民と区別することで、トランプ氏は移民制度の強化を単純に図っているだけであって、メキシコ人を標的にしているわけではないことを示すことができる、としている。

トランプ氏の選挙前の発言と公約には差異が出はじめているが、今のところ、民意にポジティブに受け止められる変化だ。この移民問題もまた、強硬で度を越えていた当初の発言から寛大さを匂わせはじめている。この変化に反発する人は、極右的でアメリカの自由主義を否定するような発想に基づく。確かに世界に蔓延しはじめる風潮だが、いまのアメリカなら、まだ多数になることはないだろう。常識的な範囲への妥協は、むしろポジティブ。トランプ氏の支持率が下がることがなければ、トランプ氏はさらにエッジを丸めていく可能性が高い。それをまた、世界も望んでいる。

朝日新聞・社説
高齢者負担増 将来像示し不安なくせ

来年度から順次実施される医療保険と介護保険の見直し案が決まった。高齢者を中心に負担増を求める内容だ。医療では、70歳以上で現役並みに所得のある人の月ごとの負担上限額を、現役世代と同水準に引き上げる。75歳以上の保険料を本来より軽減している特例も段階的に縮小する。見直しの根底にあるのは「年齢を問わず、負担能力に応じた負担を求めていく」という考え方だ。4年前の社会保障・税一体改革大綱で示された方針だ。政府は、社会保障費の伸びを抑えるために、さまざまな検討項目を示している。しかし、それらをどこまで、どう実施していく考えなのかが見えない。検討課題の一つだった軽度の人への介護サービスの縮小などは今回、見送りになった。社会保障制度の根本に立ち返った改革に取り組んでほしい、としている。

財政で将来が見えないのは赤字体質だからだ。しかも、予定の組めない借金生活という、家計なら最も危うい状態だ。黒字なら余剰の配分の話になるし、赤字でも将来への計画的な投資なら、リスク計算が成り立つ。国家がもっとも悪い例を30年もつづけているのだから、個々人に計画的な家計を推奨しても説得力はない。その現状を反省すらしていない行政はプロとは呼べない。原因もまた、シンプルだ。出て行く以上に使っている。稼げる体質になっていない。その2点に尽きる。ようやく出て行く側を絞るようだが、到底足りない。だが、悠長に構えていられるかは不透明になってきた。金利が上がりはじめたからだ。金利上昇は、税収以上にきついインパクトを財政に与えるだろう。

産経新聞・社説
有明アリーナ 必要な投資まで惜しむな

東京都の小池百合子知事は、2020年東京五輪・パラリンピックのバレーボール会場として、有明アリーナ(東京都江東区)を新設すると表明した。見直し案が出た水泳、ボート・カヌーを含む3会場とも曲折はあったものの、当初の計画通りに整備される。3会場の計画見直しを通じ、有明アリーナの約65億円を含む計約400億円の経費が削減されたことは成果として評価できる。ただそこに、大事な視点が欠けていないか。経費削減の過程ではエレベーターやエスカレーターの削減が検討された。身体障害者や高齢者ら幅広い市民が利用することを考えれば移動手段の充実は不可欠な投資である。パラリンピックの会場となることも忘れてはならない。コスト削減に傾くあまり、必要なものまでそぎ落とした施設が50年、100年先まで活用に耐え得るのか。大いに疑問が残る。無駄は廃し、必要なものへの投資は惜しむべきではない。競技団体は、計画通りの施設整備に安心してはならない。巨額の公費を投じて建てる競技場を、長期にわたりどう活用するのか。施設を通じてスポーツの価値をどう高めるのか。議論をリードするという当事者意識が、スポーツ界にもそろそろ芽生えてほしい、としている。

産経の視点がずいぶんと微細なのに、主張の中心に気がかりな変異が見える。費用対効果の話と、見積もりの甘さが、今回のコスト議論の中心だったのでは?必要なものを削るなという以前に、必要なものを見積もりに算入していなかったから、不信感が蔓延していったのだ。最初の見積もりが兆の桁で議論されていれば、こんな時間の使い方はしなかった。そうならなかった理由は、シンプルに「その予算ならオリンピックはいらないと言われる」と思ったからだろう。ならば、オリンピックという荷の重いイベントを引き受けたことになる。
将来にわたって使う算段に入ると、また産経のような主張が通りはじめる。再利用の話が消えると、一度使って壊すものは議論には挙がらなかった。その方が無駄という発想だろうが…高齢化する日本に、すでに荷の重いイベントは、過剰さを許容しはじめている。この許容が何を生むか?オリンピック後の不景気だ。日本は、どんどん余計なカネを使うことを許容しはじめている。

毎日新聞・社説
国連加盟60年 国際協調の旗を掲げて

日本が国連加盟を果たしてからきょうで60年になる。日本人の国連職員第1号で後に事務次長を務める明石康さんは、総会で直接、重光演説を聞いていた。国際的に孤立して無謀な戦争に突き進んだ日本に対する、各国の温かい歓迎ぶりが印象的だったという。しかし、高度成長期を経て日本の貢献度は次第に増した。現在、通常予算の分担率は米国に次ぐ2位、安全保障理事会の非常任理事国への選出回数は首位の11回を数える。国連創設当初の集団安全保障という構想に代わって、国連による紛争解決や平和構築の中心になっているのが平和維持活動(PKO)だ。自衛隊に付与された駆けつけ警護には反対論もある。自衛隊の活動は当然、憲法の制約を受ける。しかし、PKOには自衛隊のような実力組織にしか担えない任務があることも厳然とした事実である。国際協調主義は、決して自国の利益を犠牲にする考え方ではない。自らの豊かさを追い求める基盤として世界の安定を必要とするものだ。日本は60年前の誓いに立ち返って国際協調の旗を高く掲げ続けなければならない。それが日本のソフトパワーを生み出す源になる、としている。

読売新聞・社説
国連加盟60年 発言力確保へ役割を果たそう

日本の国連加盟から、18日で60年を迎えた。国際情勢が劇的に変動する中、わが国の地位は着実に向上した。様々な国際課題の克服へ、自らの役割を積極的に果たしたい。 日米同盟とともに、国連中心主義を外交の柱に一貫して掲げてきた。国連への財政的貢献は総額200億ドル超にも上る。現在、国連通常予算の分担率は米国に次ぐ9・7%だ。ピークの2000年から半減した。中国が7・9%で3位に迫っている。大切なのは、国際紛争、テロ、環境、飢餓問題などで日本らしさを生かした貢献をすることだ。日本は現在、国連安全保障理事会で、最多の11回目の非常任理事国を務める。北朝鮮の核実験に対し、米国などと連携して3月と11月に制裁決議を採択した。日本は冷戦後、国連平和維持活動(PKO)に参加し、延べ1万人以上を派遣した。「積極的平和主義」の下、自衛隊の持ち味である綿密な計画性と高い規律を生かした活動を積み重ねるべきだ。国連の日本人職員は約80人で、7位にとどまる。世界に通用する人材を計画的に育成したい、としている。

国際連合を高く評価する毎日と読売には、他国ではどれくらい存在感と介入力を持っているのか、ぜひ教えて欲しい。国連と言われると日本国内には大きな価値を感じるが、これは他の国でも同様なのだろうか?国連に力点を置く国際関係では、外交としては不足するのは経験から学んでいるはずだ。国連の価値は十分に理解するし、費用に相当する義務と権利を求めるのは適切だが、日本に必要なのは外交の戦略と、基本的な能力の向上だと思う。この課題の懸念はPKO以上だ。

人民網日本語版
バラストとしての中露戦略的協力 (2016.12.16)

2016年以来、中露関係は高い水準で進み、各分野における両国の包括的協力は、両国及び両国民に幸福をもたらしただけでなく、地域の安定と世界平和にも大いにプラスのエネルギーを注ぐこととなった。中露の戦略的協力は、世界の平和・安定維持の重要なバラストとなっている。中露関係が世界平和・安定維持のバラストだとするなら、堅固な政治的相互信頼は中露関係におけるバラストといえるだろう。習近平国家主席とプーチン大統領は今年5回もの会談を行っている。このように緊密な首脳間の交流は国際関係においてもまれであり、中露関係の発展を力強く先導し、政治的・戦略的相互信頼を堅固なものにしている。双方は朝鮮半島、中央アジアなど共通する周辺の安全と安定を非常に重視し、米国による「THAAD」の韓国配備に共に反対し、ウクライナ、シリアなどの紛争問題の政治的解決プロセスを進めている。両国は国際問題で大きな「中露の声」を発し、世界の難題解決にも多くの「中露の案」を貢献してきた。来年の展望としては、世界情勢がさらに複雑で変化に富んだものになるだろう。中露双方も各自の発展・振興という重責に直面するが、双方の共同努力と連携の下、中露の包括的・戦略的パートナーシップは引き続きバラストとしての役割を発揮し、両国の発展・繁栄、世界の平和・安定を力強く促進していくことになるだろう、としている。

日露会談を意識しての記事のようだが、意識するほどの成果はなかった。過剰に反応するほどロシアと日本の関係強化は気になるのだろうか?中露が言うようなバラストをユーラシアで果たしてくれるならいいが、いまはバラストよりは前時代的な拡張主義の古い思想の国家だ。ロシアが評価されているのはプーチン氏のリーダーシップと資源、中国も経済だ。政治や価値観でバラストを演じるには、考え方が自己中心的過ぎる。核心的利益とやらで海を埋め立てる国がバラストになれるとはとても思えない。

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