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2826.報道比較2016.12.17

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安倍氏とプーチン氏、やりたいことが見えていれば、もう少し会談も盛り上がったのかもしれない。ゴールが見えないと、人は走れない。

朝日新聞・社説
日ロ首脳会談 あまりに大きな隔たり

安倍首相が焦点を当てたのは北方領土問題を含む平和条約締結。一方、ロシアのプーチン大統領の関心は日本の経済協力。その溝は深い。プーチン氏が共同会見で領土問題にからんで強調したのは、1956年の日ソ共同宣言だ。平和条約を結んだ後、歯舞、色丹の2島を日本側に引き渡すとされ、国後、択捉への直接の言及はない。さらに歯舞、色丹を引き渡すにしても、ロシアの主権を維持する可能性にも触れた。4島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶという日本の立場とは大きく食い違う。「戦後71年をへてなお、日ロの間に平和条約がない。異常な状態に、私たちの世代で終止符を打たなければならない」首相はそう意気込むが、今回あらわになったのはむしろ、交渉の先行きが見えない現実だ。近い将来、大きな進展が見込めるかのような過剰な期待をふりまいてはならない。米国の次期大統領にトランプ氏が当選し、国際社会は米ロ関係やシリア問題の行方に目をこらしている。領土問題は重要だが、決して焦ってはならない。外交の原則を崩さず、粘り強く解決をめざす姿勢が肝要だ、としている。

産経新聞・社説
日露首脳会談 「法と正義」の原則崩せぬ 四島での共同活動は危うい

安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領との2日間にわたる首脳会談で、北方領土の返還に関する進展はみられなかった。「平和条約のない異常な状態に私たちの手で終止符を打つ」と首相は会見で述べた。だが、分かったのは領土をめぐるロシア側の岩盤のような姿勢だ。その実態を見て見ぬふりはできない。重要なのは、日本にとって平和条約の締結自体が目的ではないということである。条約締結は、北方四島の日本への帰属や返還が決まることの帰結にすぎない。首脳同士の信頼関係をテコに領土問題を動かそうという、安倍首相の強い意欲は否定しない。個人的信頼関係は深まっているのだろう。ただ、プーチン氏が領土問題解決の相手として真にふさわしい人物か、さらに見極めたい。国際情勢の流動化がみられるなか、対露交渉が日本の安全保障の基軸である日米同盟などにどう影響を与えるかについても、注意深い対応が必要だ。会見での首相発言で、気になった点がある。「互いに正義を主張しあっても問題を解決できない」と述べたことだ。主権や領土をめぐり、「法と正義」に基づき対応する姿勢は変えられない。尖閣諸島の奪取や南シナ海で現状変更をもくろむ中国も、日本の交渉を注視している、としている。

日本経済新聞・社説
出方見極め冷静に対ロ交渉継続を

戦後70年以上も解決できなかった課題だ。北方領土交渉の着地点を見いだすには、相当な努力と知恵が欠かせない。ロシアのプーチン大統領が来日し、安倍晋三首相と2日間にわたって会談した。両首脳の会談は通算で16回目、今年だけで4回目だ。プーチン氏が大統領として来日するのも11年ぶりだったが、ロシアの姿勢は硬く、返還への目立った進展があったとは言いがたい。今回の会談では、かたくななロシアの態度が印象づけられた。領土問題でプーチン大統領はかねて、平和条約締結後の色丹、歯舞両島の日本への引き渡しを定めた1956年の日ソ共同宣言の有効性は認めている。ただし、共同記者会見では、この2島返還ですら、主権の問題を含めて「どのような条件で引き渡すかは明確に定義されていない」と強調。この2島に米軍が駐留しないことも、返還の条件に加える姿勢すらにじませた。日本は主要7カ国(G7)の一員として、ロシアに国際社会の懸念を伝え、正しい行動を促す役割もある。日ロはともに強いリーダーシップを持った安定政権が続く。安倍政権は会談の結果を次に生かし、局面打開への努力を続けてほしい、としている。

毎日新聞・社説
日露首脳会談 領土交渉の出口見えず

安倍晋三首相の招きでロシアのプーチン大統領が訪日し、首相の地元である山口県長門市と東京で2日間にわたって会談した。通算16回目の会談は首脳同士では異例の回数だ。しかし、領土交渉は前進しなかった。今年5月のソチ、9月のウラジオストクでの首脳会談を通じ、安倍首相は領土問題打開への「手応え」を強調し、12月が歴史的な会談になるという期待感を高めていた。それだけに落差は大きい。今回両首脳が合意したのは、北方領土(歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)で日露が共同経済活動に取り組むための「特別な制度」に関する交渉開始にとどまる。安倍首相はこれを「平和条約に向けた重要な一歩」と位置づけた。北方領土での共同経済活動は、ロシア側が90年代に提案して以来、何度も検討されてきたが、結局は主権の問題が障害になって進まなかった。新たに始まる協議が停滞すれば、領土交渉そのものの進展を阻むことにもなりかねない。ロシアが米国の政権交代を見据えて、対日政策を見直し始めた可能性もある。領土交渉をどう進めるか。安倍政権の外交戦略は大幅な立て直しを迫られている、としている。

読売新聞・社説
日露首脳会談 「領土」解決へ重要な発射台だ

北方領土問題に関する日露の立場の隔たりは依然、大きい。だが、両国首脳が解決の意志を確認したことは重要だ。戦後70年余も残されてきた歴史的な問題を克服するための大切なスタートとしたい。会談では、焦点の4島における共同経済活動について、「平和条約締結に向けた重要な一歩」になるとの認識で一致した。「特別な制度」の下での実施に向けて協議を開始することでも合意した。漁業、養殖、観光などが対象だ。会談では、日本人の元島民による北方領土への自由往来を拡大することでも大筋で一致した。一つの成果と言えよう。1986年に、元島民らが査証(ビザ)なしで墓参などを行う枠組みが定められたが、手続きが煩雑だと指摘されていた。手続きの簡素化や北方領土への渡航地点の追加などを検討するという。両首脳は、安全保障分野での対話の重要性でも一致した。ただ、日本がロシアとの閣僚級の安保対話を行えば、先進7か国(G7)の足並みを乱す懸念もある。慎重な対応が欠かせない、としている。

国内新聞各紙を見る限り、ロシアとの対話には、日本国内でもう少し意識を統一させる必要があると思う。朝日と産経の言っている事は、まるで違う。これではロシアは誰がリーダーになっても交渉などしない。長い間、ロシアにかかわる人ほど、朝日に近い意見を言う。著名で議院としても関わった鈴木宗男氏でさえ、もっと歴史とロシアを学ぶべし、と言う。

鈴木宗男氏「北方領土への誤解が多すぎる」 by 東洋経済

もちろん、彼も政治家で、2017年に公民権を回復したら復帰を公言している。彼の意見がすべてにおいて真とは思えないが、ロシアが日本に描いている不信は、アメリカ依存の主体性のなさであり、リーダーの移ろいで意思決定がぶれる様だ。
安倍氏は、何がしたくてロシアとここまで交渉しているのだろう?私は、それが知りたい。一番イメージしやすいのは、中国への牽制。他に何か、理由があるだろうか?まさか歴史に名を残すためとは思わないし、仲が悪いよりはいい方がいいのだが、イメージが湧かない。鈴木氏の記事からも、結論は見えない。喫緊の課題がなければ、人は動かない。それは、ロシアも日本も一緒だろう。ロシアにとっては、すでに優先順位は相当低くなったように見える。

人民網日本語版
中国は依然として全面的に台頭する時代にあり (2016.12.16)

国際環境と世界の発展の大勢について、今世紀初め、中国共産党中央委員会は国情を全面的に分析し、発展段階について精確に判断し、遠い将来まで見通した戦略的判断を行った。21世紀初頭の20年間は、中国がしっかりとチャンスをつかみ、大いに力を発揮できる重要な戦略的チャンス期と位置付けている。中国はこの20年間で力を集中して数十億人の人口に恩恵を与え、より高い水準の小康(ややゆとりのある)社会を築く必要があるのだ。小康社会構築のために、中国はより効率的に利益を向上させることを基礎とし、国内総生産(GDP)を2000年比で4倍にし、総合国力と国際競争力を顕著に高めるとした。すなわち20年間でGDPを7.2%前後アップさせるという計画だ。
第1に、第1の百年目標の実現を確保するために経済的基礎を固めたこと。比較的スピーディな経済成長は、国民の生活水準を確実に向上させるための経済的基礎となる。
第2に、中国の経済力は世界において新たな段階へと歩みを進めたこと。
第3に、中国の経済力は総合国力、科学技術力、軍事力、国際的な影響力強化において重要な条件となること。
今後中国は中・高度成長を維持しさえすれば、「第1の百年の目標」を予定通り実現できるだけでなく、より長期的な戦略的なチャンス期間を生み出し、「第2の百年目標」実現のための堅固な基礎を固めることができるだろう、としている。

Wall Street Journal
南シナ海「砂の万里の長城」 一段と進む軍事化 (2016.12.16)

中国の習近平国家主席は2015年9月に訪米した際、南シナ海を軍事化しないとホワイトハウスで約束した。しかし、そう約束したはずの男にしては、かなり軍事が進んでいるのは確かだ。15日に公開された衛星写真には南沙(スプラトリー)諸島で中国が埋め立てた7つの人工島すべてに強力な対空砲やミサイル迎撃システムが配備されている様子が映っている。この海域は年間約5兆ドル(約590億円)相当の物資が行き交う海路になっている。ドナルド・トランプ次期大統領は最近、こうした人工島を「巨大な軍事施設」と呼んだ。フィリピン政府は15日、報道官を通じて「深刻な懸念」を表明したものの、同国のロドリゴ・ドゥテルテ大統領は中国に対する融和的な姿勢を維持している。インドネシアは今週、国際的な海洋法を尊重するよう求めるインドに初めて加勢した。ベトナムは同国が実効支配するスプラトリー諸島の手ぬるい防衛体制を強化し始めた。今年8月には可動式のロケット発射装置を配備したが、これは理解できる反応だ。とはいえ、偶発的な事態や計算違いが発生するリスクは高まる。2年近く前、ハリス司令官は中国が海上に「砂の万里の長城」を建設していると警告した。トランプ氏が大統領に就任する来年1月にハリス司令官に良いアドバイスを求めることを期待したい、としている。

本来、人民網が言いたい成長は、Wall Street Journalが伝えるような話題とは別物だろう。だが、中国外から見れば、これらは同じだ。人民網の中に「軍事」の言葉がある以上、世界は南シナ海のような行動があれば、今後は中国の成長をむしろ批判し、反発する。成長の利益を最初から最後まで享受すべきは中国国民だが、拡張で他国を侵害するのは論外だ。

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