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2823.報道比較2016.12.14

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NY DOWは20,000ドルを射程圏に入れた。FOMCの利上げとともに達成したら、ドラマティックなホリデイ・プレゼントになる。イノベーションの停滞をWall Street Journalが称える中、マーケットはパーティーを必死で盛り上げている。1年前を思い出そう。

毎日新聞・社説
相模原事件検証 再発防止には不十分だ

相模原市の知的障害者の入所施設「津久井やまゆり園」で元職員の男が19人の障害者を殺害し、27人にけがをさせた事件で、厚生労働省の有識者チームが最終報告をまとめた。報告によると、男が退院した際、病院は市に提出した「症状消退届」に今後の支援内容を記載せず、市も確認していなかった。病院の職員の中には退院後も男が同市内に住み続けると本人から告げられた人もいながら、東京都内の両親と同居するとの間違った情報を市に伝えていた。また、同病院の医師は男が大麻使用による精神障害と診断していた。男自身も薬物中毒の治療を受けることを望んではいたが、実際には同病院での薬物治療がまったく行われていなかった。今回、男は衆議院議長あてに犯行予告とも取れる手紙を出しており、警察は事前にそれを把握していた。また、「やまゆり園」で男が働いていた時には障害者の存在を否定するような発言を繰り返し、障害者に対する虐待行為があったこともわかっている。警察や施設の対応の検証や連携のあり方に踏み込まなければ、有効な再発防止策は立てられない、としている。

あまり役に立つ結論に至っていない。有識者とは何か。この会合の意義はあったのかが問われる。どんな人選か確認してみた。

「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」の報告書 by 厚生労働省

ここにある報告書に出席者が出ているが「関係省庁等」は誰だか判らない。省庁からの出席者こそ、誰が担当し、何を語るかが知りたいところだ。公務員や官僚に責任意識を持たせる方が、有意義な議論になるのではないだろうか。

日本経済新聞・社説
支障なく副業ができる環境整備を丁寧に

政府の働き方改革実現会議では柔軟な働き方の一環として、副業や兼業をどのようにして広げるかが議論されている。副業や兼業は働く人にとっていくつか利点がある。収入を増やせることに加え、新しい技能を習得でき「第二の人生」に備えられる。独立・起業の準備にもなる。企業にとっての意義も指摘されている。新規事業などのプロジェクトに、他社の人材が副業として加わる形をとることができる。外部の人材と連携して新しい製品・サービスやビジネスモデルを生みだす「オープンイノベーション」を進めやすくなる。ただし現在は、副業などをする環境が整っているとはいえない。たとえば仕事の掛け持ちで心配される過重労働への歯止めは不十分だ。1日8時間など法律で定められた上限を超える労働時間には、雇い主が割増賃金を払わなければならない。だが副業や兼業では厳格に運用されていない。雇用保険に入れない人が出てくる問題もある。加入するには1週間の所定労働時間が20時間以上あることという条件がある。複数の企業で働く場合、どの会社の所定労働時間も20時間に満たなければ雇用保険に加入できない。雇用をめぐる様々な制度は、ひとつの企業に勤めて生計を立てることを前提にできあがっている面が多い。副業や兼業を広げるには、そうした制度の底流にある考え方から見直し、働く人が使いやすい仕組みに変えていく必要がある。一朝一夕にできるものではない。政府は着実に制度の整備を進めるべきだ、としている。

制度とやらは、どこまで根深く決められているのだろう?契約なら、新たに交わすか、書き換えればいい。雇用保険?副業に求める人はいないだろう。副業をするというリスクを取るなら、守ってもらおうという意識をいくつか犠牲にする必要は出てくる。それくらいは認識するのではないだろうか。これも政府が決めることなのか?個々人が、個々の企業と決めればいいことではないのだろうか?

朝日新聞・社説
情報サイト 公共性をどう守るか

IT大手のDeNAが運営するインターネット上の生活情報サイトに、うその内容や他人の記事の引き写しが多いことがわかり、同社は10あるすべてのサイトの公開を中止した。同業他社でも似たような問題が次々と明らかになっている。特定のテーマに沿った記事や写真を集めたサイトは「キュレーションサイト」と呼ばれる。美術館や博物館の学芸員(キュレーター)が専門知識に基づいて収集・展示するように、ネット上の膨大な情報を精選し、まとめるのが本来の目的だ。だがDeNAサイトの大半の記事は、外部筆者や学生がマニュアルに従って量産したものだった。別メディアからの転用を推奨するような指示もあったとされ、病の根は深い。利用する側も、ネットには玉石混交の情報があふれているとの認識を持つことが、改めて求められる。それらをつき合わせたり、出所が信頼できるサイトかどうかを調べたりして、主体的に活用する姿勢が大切だ。そうした営みの先に、社会の公共財としてのネットがある、としている。

新聞時間での社説。この話題が出てからずいぶん時間が経過している。私が長めに原稿を書いたのは12.8。もう一週間は経とうとしている。ネットではすでに消化し、会社としての謝罪は終わった。すでに次の対策を模索する段階に、朝日の時間は完全に止まったまま。この時間感覚では、何を言っても説得力が感じられない。
朝日の提案する手法は、ネットでは成立しない、とも付け加えておきたい。ネットは、簡単には情報にたどり着けない。だからキュレーションが生まれたのであり、それ以外の導線は、SNS、検索に限定される。その検索をジャックするような手法が、今回のDeNAやキュレーションの悪意だ。一方で、SNSはアメリカ大統領選挙でも指摘されるとおり、虚偽情報が検索よりさらに混じりやすく、キュレーション以上に浄化が難しい時間の流れだ。出所にDeNAという知名度を利用したのが悪意のひとつであり、突き合わせがキュレーションの本質だった。悪意を持った利便性の追求と、インターネットへのマスメディアも含めた理解度の低さが今回の問題の原因のひとつだ。朝日は、その意味さえ判っていないようだが。

産経新聞・社説
北方領土交渉 主権回復への原則を貫け

ロシアのプーチン大統領を迎えての首脳会談が迫った。安倍晋三首相には、最大の焦点である北方領土問題の前進に全力で取り組んでほしい。首相は旧島民との会合で「私の世代でこの問題に終止符を打つ」と語った。現状を打開する決意の表れだろう。その際、四島の主権は本来、日本のものであるという原則を崩してはなるまい。終止符を打つこと自体より、どのように打つかが重要なこともある。北方領土周辺で、関係改善に水を差す動きが相次いでいる事実にも目を向けておく必要がある。択捉、国後両島への地対艦ミサイルの配備、ロシア人を対象とする土地の無償分与手続きの開始などは、領土交渉に真摯に向き合う国のとる姿勢ではない。首相はプーチン氏と10回以上、協議を重ねてきた。自らの地元、山口県での会談という舞台を設定したが、あくまでも原則にのっとった交渉に徹してほしい、としている。

読売新聞・社説
プーチン氏会見 北方領土で際立つ消極的姿勢

ロシアのプーチン大統領が15、16日の来日を前に、モスクワで読売新聞、日本テレビのインタビューに応じた。領土交渉について「平和条約の締結を目指す。我々は完全な正常化を求めている。条約がないのは時代錯誤だ」と強調した。プーチン氏が日露関係の改善に意欲的なことは、前向きに評価したい。51年のサンフランシスコ平和条約で、日本は千島列島と南樺太を放棄した。ただ、千島列島の範囲は明示されず、4島への言及もなかった。ソ連が日ソ中立条約を破って、終戦直後、4島を不法占拠した事実を忘れてはならない。安倍首相は、まず2島返還を実現し、残る2島の継続協議につなげたい意向とされるが、返還交渉の行方は楽観できない。問題なのは、プーチン氏がロシアの主権下での実施を求めたことだ。ロシアの国内法が日本人に適用されれば、ロシア側の主権を実質的に認めることにつながる。共同経済活動は、日本の法的立場を害さないという前提を崩さず、領土交渉の前進に資するよう進めることが求められる。日本は、日露の安全保障協力を拡大することも検討しているが、その道のりは簡単ではないことが印象付けられた、としている。

この2紙のような姿勢では、議論はまるで進まないだろう。これでは交渉にならない。安倍氏がこんな発言をしたら、東京に来ないで帰るだろう。ロシアにしてみれば、日本はまだ敗戦の意味さえ判っていないと思うに違いない。歩み寄れとは思わないが、お互いが持つ意見の根幹は理解しておくべきだ。日本の新聞がこういう論調を持っていると知れば、私なら領土交渉は議題から外す。話すだけ時間の無駄に思える。まずは理解のために学び、調べるべきだ。

人民網日本語版
中国の科学技術進歩、世界はどう見たか (2016.12.13)

西側主流メディアはこのほど、中国が近年、量子通信やスパコンなどの分野で大きな成果を手にし、科学技術革新の最先端クラスに戻ろうとしていると報じている。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「千年の眠りから覚め、中国が発明に再着手」と題する記事で、経済協力開発機構のデータを引用し、「中国の研究開発費は2009年に日本を、2013年に欧州を上回り、2020年には米国を上回る見通しだ」と報じた。多くの西側メディアは、中国の科学技術革新の経済促進効果に注意している。英エコノミスト誌は今年8月のトップ記事で、「中国IT企業は多くの成功の革新を成し遂げた。西側企業は中国の同業者を参考にしている」と報じた。NYタイムズはそれよりも先に、「師だったシリコンバレー企業は、中国からインスピレーションを得ようとし始めており、さらには中国製品を模倣する現象が生じている」と伝えていた。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は最新の記事で、「中国の科学技術発展は、経済に推進力をもたらしており、さらには世界経済の発展を促す可能性がある」と判断した、としている。

30年前に日本で見たのと同じ風景が中国に見られる。10年後、中国が世界中の賞を獲得し、世界標準となるようなイノベーションを牽引するのは当然だろう。それを持続できるか。今のままでは怪しい。日本が失った信頼や勢い以上に、今の中国の減速は際立っている。日本を悪い見本にして構わない。ぜひ学んで欲しい。今のところ、中国から生まれたイノベーションとして記憶に残るものはゼロだ。これから数年でそんなホームランを打たなければ、中国の時代は始まりもせずに終わることになる。

Wall Street Journal
トランプ氏と中国の交渉、投資家は結果を焦るな (2016.12.13)

ドナルド・トランプ次期米大統領が中国に対して最初の一手を打った。だが、投資家は交渉の結果をすぐに期待すべきではない。結果が出るまで長期にわたって予想外の出来事や貿易摩擦が続くことになるだろう。トランプ氏は11日のFOXテレビの番組で、台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」政策を見直す可能性を突如示唆した。ニクソン政権以降、米中関係の前提となってきた政策だ。もうひとつ再検討を明示したのが、中国との通商関係である。政治家が国務に関してこれほど率直に発言するのは珍しい。トランプ氏が何を交渉するにせよ、対中政策に早くから取り組むことで米経済に有益な結果を得られることが期待できる。話し合うべき事はたくさんある。市場アクセス、中国政府の助成金・補助金、通貨管理などだ。米空調大手キヤリアに介入し国外への工場移転をやめさせたように、トランプ氏はすぐに結果を出したいと考えているかもしれない。中国とトランプ氏が同じくらい重要とみている問題は何か。1つは中国の為替だ。現状はトランプ氏が望む状態にある。中国は巨額を投じて人民元を下支えしており、これは米国の競争力にとって有利に働く。だが、この中国からの大きなプレゼントは取り消される可能性もある、としている。

トランプ氏の就任は1か月後。そろそろ各国、落ち着いて戦略を練っていることだろう。中国が最大の標的になることは間違いない。それは中国自身も認識しているだろう。Wall Street Journalの言うとおり、時間が解決する部分が多いかもしれない。前述のイノベーションを中国が進められれば、アメリカは少しおとなしくなる。知性や能力は、武力や経済力と同様、強力なパワーだ。圧倒的な知性や技術力は、マネーや核兵器を保持するより強い時はある。中国はそのパワーに気づいているだろうか?日本は、完全に忘れかけている。アメリカは、イノベーションの遅れに焦りを感じはじめている。各国、立場は様々だ。

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