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2822.報道比較2016.12.13

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日経の社説が、今日は熱かった。日本の新聞の社説に信念を感じたのは久しぶり。こういう熱い主張が復活すれば、やがて日本も再生する気がする。農業。熱く捉えたいテーマだ。

日本経済新聞・社説
コメの減反廃止を看板倒れにするな

政府は2018年につくるコメから生産調整(減反)をやめる方針だ。しかし、現実には高い補助金で家畜飼料米への転作を誘導し、18年以降も計画的な生産が続く可能性が高い。安倍政権が減反廃止を農業改革の柱にするのであれば、生産カルテルを抜けだし、競争力の強化をめざすべきだ。政府は11月、17年産主食用米の生産数量目標を今年産より8万トン少ない735万トンと決めた。産地ごとに減反を政府目標より強化する「自主的取組参考値」(全国ベースで733万トン)も設定した。減反をやめる18年以降も、自治体や農業協同組合などが作付け計画を作成し、そこに政府が関与してコメの生産カルテルを継続する案が有力視されている。これでは減反廃止が看板倒れに終わる。コメ市場では外食産業などが使う割安なコメが再び不足し、外国産米の調達拡大を考える企業も出てきた。コメ農家の所得を維持しようとする政策が、結果として国内産米の消費減少を加速する結果になっている。輸出拡大の目標も遠ざかる。北海道などの大規模農家がコメを思い切って増産する。一方、コメでは将来性がないと判断する農家は野菜などの生産に切り替える。そんな競争を通じ、地域や農家ごとに強さを引き出す農業改革を貫徹してもらいたい、としている。

今日の日経の社説には、思いが感じられる。久しぶりに、日本の新聞の社説に信念を感じた。
少しだけ議論を拡大させると、コメはすでに日本の主食と呼べない、と聞いたことがある。小麦も主食として必要不可欠になっている。

食料自給率に関する統計 by 農林水産省

小麦は、日本の気候には合わずに育て難い、儲からないから育てないだけ、海外から買わされている…いろいろな議論はある。こういう話題こそ、様々な意見を持ち寄り、リーダーが意見を集約して長期計画を立てるべきテーマだ。
本当に小麦は日本に育たないのか?育たないのなら、コメを使った小麦代替食の開発がビジネスになる。この領域、欧米ではかなり注目度が高い。理由は、小麦アレルギーが米アレルギーより極端に多いからだ。主食を食べられない苦痛を考えると、コメによるパン、ケーキ、麺類…数々の小麦代替食のニーズは世界に存在する。もし、日本でも十分に小麦が育つ品種を作れるなら、これも世界にニーズがあるだろう。
畑を耕し、年に一度の収穫をする農業を活性化し、自給率とともに食の安全保障を日本国内で完結させるのは、重要なテーマだ。それとともに、これだけ世界が開かれ、日本が先進国として存在する以上、日本の人件費、生活費は高い。技術を海外に売るのは必然だ。ならば、農業も技術を売るべきレベルに発展させるのが重要なテーマだ。品種、生産方法、技術、サプライチェーン、加工、証券化…農業も、いくらでも先進的で、ワクワクできる領域にできる。
TPPで保護主義を否定しながら、農政ではバラマキで過保護をつづける。それでは未来は暗い。明るくするリーダーシップは、別に政治でなくても構わない。政治から脱却した方が、ずっと楽しいチャレンジができる気がする。日経には、ぜひ推進して欲しい。

読売新聞・社説
川内運転再開 原発正常化へ実績を重ねたい

鹿児島県の九州電力川内原発1号機が、定期検査をほぼ終えて、運転を再開した。川内原発は、安定して発電できるベースロード電源として、九州地方の電力供給の柱である。立地する薩摩川内市などの地域経済にも大きく貢献している。運転を再開した意義は大きい。今春の熊本地震を受け、鹿児島県の三反園訓知事の要請で特別点検も実施した。原子炉内を水中カメラで点検するなど、10項目で異常は見つからなかったという。脱原発派の支援も得て7月に初当選した三反園氏が、川内原発の運転に現実的対応を取り始めたのも、こうした取り組みを考慮せざるを得なかったからだろう。原子力や地震・火山などの専門家12人が、川内原発の安全性や避難計画を検証する。原発稼働の是非は検討対象としておらず、「県民に対する分かりやすい情報の発信」などを目的に掲げている。原発に対する住民の理解を深めるための議論を期待したい、としている。

読売の主張に同意見だ。三反園氏は翻意したのなら、誠実にその意志を説明して、なぜ受け入れたのか、安全性に最大限の努力があることを明確に宣言すべきだ。それは、鹿児島にはもちろん、他の自治体にとってもマイナスにはならない。安心のためには電力会社と衝突しつづけることがいいはずがない。不信がどの行動で払拭されたか、どのような議論を電力会社と自治体が行ってきたのか、そのモデル・ケースを示して欲しい。それができれば、翻意の違和感は消える。

産経新聞・社説
ノーベル賞講演 独創育む社会を築きたい

2016年のノーベル賞授賞式が日本時間の11日未明にストックホルムで行われ、医学・生理学賞に選ばれた東京工業大栄誉教授、大隅良典さんらにスウェーデン国王から記念のメダルと賞状が贈られた。授賞式に先だって行われた記念講演(ノーベルレクチャー)で、大隅さんは「科学を何かに役立てるためのものでなく、文化としてとらえ、育んでくれる社会になってほしい」と述べた。大隅さんが受賞決定以降に繰り返し訴えてきた日本の基礎研究の現状と将来に対する危機感を、世界に向けて発信したものといえるだろう。大隅さんの栄誉を改めてたたえるとともに、基礎研究を支える国の政策や社会のあり方について考える契機としたい。大隅さんは、絵画や音楽のように、直接役に立たなくても人を豊かにする力が、科学(基礎研究)にもあると考えている。賞金の一部を、東京工大が設立する基金に拠出し、成果主義にとらわれず、若い研究者を支援する。産官学が連携し、国民も巻き込んで社会全体で研究の広い裾野を支え、研究者の独創を育むシステムを築きたい。それが30年、50年先の日本を照らすことになる、としている。

大隈氏の言葉を、じっくりと噛みしめている。たしかに科学を私たちは社会で利用する前提で捉えている。役に立たない科学というものが、私にはイメージできないのだが、科学の世界にはきっとあるのだろう。オートファジーという、極めて有益な研究をした人が、役に立たないものを許容せよと言うことを理解したい。

朝日新聞・社説
小池都政 情報公開というのなら

東京都の小池百合子知事がくり返し口にし、自らの都政をアピールする重要施策がある。「情報公開」だ。就任直後から、従来の都政を「政策立案の過程や、意思決定の理由が十分に公開されていない」と批判し、12月都議会の所信表明では「信頼回復への一丁目一番地」と位置づけた。実際、豊洲新市場の土地購入をめぐる交渉記録は、これまでほぼ全面黒塗りのうえで開示されていたが、最近になって改まり、内容が明らかになった。
小池氏の考えを評価するからこそ、疑問と注文がある。ひとつは東京五輪のボート・カヌー会場の見直し問題だ。国際オリンピック委員会などとの協議が決まった際、小池氏は「見える形での議論を」と話していた。だが非公開で進み、結局、氏は宮城・長沼での開催案を自ら取りさげた。こうした点について、小池氏から説明らしい説明はない。自身が批判する「都政のブラックボックス化」そのものだ。開示制度にも問題がある。都に情報公開を請求すると、まず文書の閲覧だけで1枚10円が徴収され、さらに1枚20円と割高なコピー代がかかる。これで情報公開の旗を掲げるのは恥ずかしい。こうした条例も速やかに改める必要がある、としている。

結果を出しつづけることの重要さ、特に、一番最初の成果は確実に達成することの大切さが判る。小池氏への風向きは、オリンピックの会場が決定するにつれて逆転している。結果を確実に出せそうな豊洲で成果をアピールしなければ「騒ぐだけの人」に印象が変わる。いま、その分岐点にいることを認識しているといいが。朝日の微細な注文、記者会見での今まで感じなかった猜疑心で、十分に気づくはずだ。期待は失望に変わりやすい。結果が必要だ。

毎日新聞・社説
託送料の上乗せ 国会を通さない増税だ

東京電力福島第1原発事故の処理費用が、21・5兆円に膨らむとの試算を経済産業省が公表した。従来の見通しからほぼ倍増したが、それで収まる保証はない。政府は、一部を新規参入した電力会社(新電力)に負担させるという。電力自由化の理念に反するだけでなく、なし崩しに国民へ負担を転嫁するものであり、容認しがたい。政府が利用しようとしているのは送電線の使用料(託送料)だ。これまで東電と他の大手電力会社が負担してきた賠償金の一部を託送料に上乗せして新電力からも徴収する。結局、託送料を含んだ電気代を支払う国民の負担になるということだ。大手の送配電事業は、完全自由化後もコストを積み上げて料金を決める総括原価方式と地域独占が認められている。送電線を使う新電力は選択の余地なく、その地域で設定された料金を支払わなければならない。税金で賄うとなれば国会の審議が欠かせない。倍増した事故処理費用の積算根拠や国民に負担させることの是非、事故を起こした東電、原発事業を監督する国の責任なども厳しく問われるはずだ。託送料方式では、そうした議論は回避され、国民負担という結論だけが残る。国会を通さずに増税するようなもので、ご都合主義と言わざるを得ない、としている。

毎日は、話を余計に複雑にしている。これが原発の現実で、これがイヤなら今ある原発の安全性と今後の使い方の議論を推進すべきだ。メルトダウンしなければいいのなら安全基準の問題だし、最後の廃炉で必ずこうなるのなら、つくることはもう許すべきではないはず。福島は事故が起きたから増税になるのかを明らかにすべきだ。もともと、払うべきものを隠してここまで安い電力と言ってきたことが虚偽だったのであって、この代金を税で賄うのは、私は最終的には受け入れる事になると思う。重要なのは、目の前の賠償だけではなく、原子力発電にまつわる費用の現実を明白にすることだ。

Financial Times
トランプ人事に渦巻く不安、まるで軍事政権との声も (2016.12.9)

国土安全保障長官にジョン・ケリー氏が指名される見通しになった。国防長官には「狂犬」の異名を持つジェームズ・マティス氏、国家安全保障担当大統領補佐官には元情報将校で何かと物議を醸すマイケル・フリン氏がすでに選ばれており、トランプ氏は自らの安全保障チームに3人の退役将官を呼び入れることになる。トランプ氏はこのほかにも、陸軍士官学校(ウエストポイント)出身のマイク・ポンペオ元陸軍大尉を中央情報局(CIA)長官に指名した。国務長官にはデビッド・ペトレアス退役大将、米国の諜報部門全体を統括する国家情報長官にはマイケル・ロジャーズ国家安全保障局(NSA)局長(海軍大将)の起用をそれぞれ検討している。マイケル・マレン元統合参謀本部議長は先日、「政府の軍国化」を心配していると語った。軍の幹部の多くはこの世界のかじ取りをする政治についての理解が十分でない、とも述べている。「彼らに何を言われようが関係ない。彼らはとにかく、自分たちが何に手を出そうとしているのか分かっていない」、としている。

トランプ政権の人選の懸念は、アメリカ国内からも出ている。マス・メディアが絶望的なのは、トランプ氏からも、社会からも信任を失っていることだ。トランプ氏は簡単に取材に応じなくなっている。批判すればすぐにTwitterで反論される。その様子を見た時、社会がいま味方するのはトランプ氏だ。
この状況は、就任時に一度は冷静になる。その後、トランプ氏が成果を出せなければ、批判は高まり、やがてトランプ氏の味方が誰もいなくなる。いまの時点でも、閣僚に違和感があるのは、トランプ氏には既存の有能な人材には人脈がなかったこと、未だに関係形成は拒絶されていること、だから一部のコミュニティに偏った選出になるのだろう。それが軍になっただけと信じたいが、すべてが見えないトランプ氏。注視しつづけた方がいい。これが8年前なら、絶対に許されなかった人選。世界が戦争に不感症になっただけなら、もっとも危険だ。

Wall Street Journal
アップル、ソフトバンク投資ファンドへの出資を協議=関係者 (2016.12.13)

アップルは、 ソフトバンクグループ が来年立ち上げる予定のハイテク投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」への出資を協議している。事情を知る複数の関係者が明らかにした。このファンドは1000億ドル(約11兆5000億円)の調達を目指しており、テクノロジー分野で世界最大の投資ファンドになる可能性がある。この投資が実現すれば、最近まで新興ハイテク企業の少数株式取得に軸足を置いていたアップルが投資戦略を変えたことを示す動きとなる。アップルは今年、中国の配車サービス最大手で米ウーバーと競合する滴滴出行に10億ドルを出資した。ソフトバンクも滴滴出行に出資している。ソフトバンクは自らこのビジョン・ファンドに最低250億ドルを出資する計画であるほか、サウジアラビア政府系ファンド(SWF)である公共投資基金(PIF)から最大450億ドルの投資を取り付ける動きが最終段階にある。事情を知る関係者によれば、アブダビのSWFもまた大規模な出資の可能性を検討している、としている。

いま動いている話題は、カネ。テクノロジーでも、人材でもない。この話題のうちは、私は興味はゼロだ。たとえそれが、1兆ドルを超えても、誰がカネを出すことになっても。

人民網日本語版
中国は世界市場経済最大の原動力 (2016.12.12)

世界貿易機関(WTO)への中国の正式加盟から11日で15年になる。過去15年間に中国は世界第6位の経済大国から世界第2位の経済大国へとなり、製品輸出総額は2001年の世界第6位、世界全体の4.3%から、2015年には世界首位、世界全体の13.8%へと増加した。規模変化の背景にあるのは、世界経済の構造が深く変わったことだ。過去15年間で、新興エコノミーと途上国が世界経済全体に占める割合は40%足らずから50%以上へと増加した。「先進国が投資し、途上国が投資を受け入れる」という構造は相互投資へと転換した。これと同時に、中国も世界経済の中心に出てきた。現在、中国は世界第一の製品生産国、第一の消費市場国、第一の外資導入国、第2の対外投資国だ。中国による後押しと維持がなければ、多角的貿易体制が生命力を持つことはないと言える。だが、中国は過去15年間にWTO加盟時のほぼ全ての約束を果たしたのに、中国の市場経済地位認定を拒否する加盟国が依然ある。いわゆる「中国の市場経済地位認定を拒否する」真の意図は、中国に対していわゆる「反ダンピング」調査を発動する際に、依然として「第三国市場」の同類の製品価格を参照とし、中国市場の価格を採用しないことで、中国製品に高い関税を課すことにある。保護貿易主義、小さな貿易グループの構築、多角的貿易体制の阻止といった歴史の流れに逆らう行為は、最終的には世界市場の奔流に溺れることになる、としている。

正論に見えるが、中国の外から見ると、今回の主張には少し違和感がある。中国の成長のために、一番努力したのは中国自身なのは認めるが、そのために世界が中国の成長に期待して甘いルールを設定したり、特別な条件に合意した部分もある。それらを、いまのステージまで到達したら終了させるのもまた、中国が世界で成長するために重要な一歩だ。高い関税を課すのは間違っていると思うが、世界が呆れるほど安い価格の鉄鋼を、国内の産業保護のために世界中に売りまくったり、人民元の価値を意図的に操作されたりすると、世界も言いたい事が出てくる。中国は世界にとって重要な買い手であり、供給元だ。貿易は両国のためにある。そのために、そろそろ特別なルールを終わらせる時期に来ているのではないだろうか?

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