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2820.報道比較2016.12.11

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アメリカ依存と、中国敵視を捨てて、冷静に。アメリカと中国が求めているのは実益だけだ。彼らの損得勘定がバランスする可能性は、かなり高い。

人民網日本語版
外交部、中国を「市場経済国」と認めぬ日本へのコメント発表 (2016.12.10)

外交部(外務省)の陸慷報道官は9日の定例記者会見で、「日本側が自国の果たすべき責任問題を解決した上で、中国側は日本と中国の『市場経済国』の地位に関する問題について話し合うことを希望する」と述べた。12月11日前までに、中国の輸出品への反ダンピング調査において、代替国制度の適用を放棄するという日本が国際社会におけるコミットメントと義務を履行する準備があるのかどうかという点であり、日本は左右を顧みてよそごとを言うのではなく、まずは誠実に自国の果たすべき責任と向き合うべきだ。中国は改革開放から40年もの発展を経て、経済総量が世界第2位となっただけでなく、世界の数多くの国々の最大貿易相手国となっている。特に中国経済の成長は全世界経済の成長を促す重要な動力の一つとなっており、現在、世界経済成長における貢献度は4分の1ちかくまで達している。日本側が認める認めないにかかわらず、中国と世界経済との高度なつながりと互恵・ウィンウィンの関係自体が中国の『市場経済国』としての地位を説明するのに十分だ」とした、としている。

日本経済新聞・社説
貿易自由化交渉を切れ目なく加速せよ

日米など12カ国が合意した環太平洋経済連携協定(TPP)が日本の国会で承認された。トランプ次期米大統領はTPPから離脱する方針を示している。もしも日本が国内手続きをやめてしまえば、TPPが「完全に死んでしまう」(安倍晋三首相)おそれがあった。ひとまず国会承認を歓迎したい。米議会には、TPP承認の環境を整えるため、まず日米の2国間で自由貿易協定(FTA)を結ぶべきだとの声がある。その場合、米国はTPP合意より踏み込んだ関税撤廃を日本に求めるだろう。日本は米国を除く11カ国の結束を固めながら、多少時間がかかってもTPPの価値をトランプ次期政権に粘り強く訴えてほしい。トランプ氏は米国のWTO脱退すら示唆していた。トランプ次期政権の下でのWTO交渉はさらに難航する懸念があり、心配だ。WTOは世界共通の貿易ルールをつくるとともに、加盟国の貿易紛争を解決する機能を持つ「自由貿易の番人」だ。その価値は日本が率先して守らねばならない、としている。

Wall Street Journal
トランプ氏、中国を改めて非難 「ルールに従い行動せよ」 (2016.12.9)

米国のドナルド・トランプ次期大統領は8日、中国の経済・政治活動をあらためて強く非難した。トランプ氏は大統領選の激戦地となったアイオワ州で開かれた集会で演説し、中国を「ルールに従って行動」させるため、米中の緊張が高まることもいとわない姿勢を示した。トランプ氏は中国を名指ししたうえで、米国の労働者を犠牲にして自国の利益を守っていると非難。「ルールに従って行動していないし、ルールに従う時が来ていることを知っている」とし、「ルールは守らなければならない。誰もがみんなルールに従って行動している」と述べた。トランプ氏はさらに、中国の行動が弁護の余地がなく不公平であることを示す例として、「知的財産権の大量窃盗」「自国通貨価値の大幅な引き下げ」「製品のダンピング(不当廉売)」を挙げた、としている。

中国、アメリカ、日本の3紙が貿易を論じているが、もっとも冷静で自信に満ちているのが中国という、固定観念では不思議で、時代がここまで変わったのかと認識させられる現実を思い知った。3国ともに、自国の都合はもちろんある。国民と政治に緊張感があるのは?中国、アメリカ、日本の順。成長しているマーケットは?中国、アメリカ、日本の順。市場規模は?アメリカ、中国、日本の順。いつも、日本は3番目。つまり…アメリカと中国が握手してしまうのが、日本にとっては最悪の結末だ。トランプ氏の中国攻撃を嗤って見ていると、そのブーメランはやがて日本に返ってくる。中国が、アメリカに対抗するのではなく、妥協する代わりに日本を叩けと言われたら?それだけにトランプ氏のアメリカは日本より中国を優先するだろう。アメリカ依存と、中国敵視を捨てて、冷静になった方がいい。アメリカと中国が求めているのは実益だけだ。彼らの損得勘定がバランスする可能性は、かなり高い。

朝日新聞・社説
相模原の事件 再発防止の歩み着実に

相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を検証してきた厚生労働省の有識者会議が、再発防止のための提言をまとめた。容疑者は事件の約5カ月前に措置入院していた。提言は、退院後の対応が不十分だったとの反省にたち、こうした入院患者すべてについて、病院を出た後も引き続き支援する計画をつくることを求めた。監視ではなく、適切な治療や福祉を提供する措置だと強調している。たとえば、容疑者が殺害をほのめかす言動をしていたことから、「警察が早くから関与していれば」との声がある。これに対し提言は、関係機関の協力の重要性にふれつつ、身柄の拘束などは「(患者の)人権保護の観点から極めて慎重でなければならない」としている。重く、心にとめるべき指摘である。提言が、職員がやりがいをもって働けるよう、研修の充実や待遇改善にとり組むべきだと注文しているのも大事な点だ。必要とする人に医療や支援が届き、孤立を生み出さない。障害の有無にかかわらず、みんなが地域でともに暮らせる。そんな社会に向けた歩みを、着実に進めなければならない、としている。

読売新聞・社説
相模原事件検証 情報共有が再発防止の基盤だ

神奈川県相模原市の知的障害者施設で起きた入所者殺傷事件を検証する厚生労働省の有識者検討会が、最終報告書をまとめた。措置入院した患者を、退院後も継続的に支援する仕組みの構築を再発防止策の柱に掲げた。安倍首相は関係閣僚会議で、「実効あるものとするため、連携して取り組んでほしい」と指示した。措置入院中に都道府県知事が支援計画を作成する。退院後は、居住先の保健所を管轄する自治体が中心となって、訪問ケアなどを実施する。転居時には、移転先の自治体が引き継ぐ。報告書は、こうした制度の導入を提言した。支援の責任体制を明確化した妥当な内容だろう。支援にあたる人員の確保が、今後の課題だ。男の入院の判断には、精神保健指定医の資格を不正取得した医師が関与した。信頼回復には精神科医の倫理観の向上が不可欠だ。大麻使用の事実が、市から神奈川県警に連絡されなかったことも看過できない。情報共有と連携強化が、事件を防ぐ基盤となる。男は障害者への偏見や差別感情を抱いていた。こうした誤った意識を社会から払拭したい、としている。

読売の「情報共有が再発防止の基盤」という主張に同意する。行政の縦割りを情報の共有が越えられるかが課題の根幹だろう。それは、相模原の問題だけではない。いじめの問題や、行政で問題視されるサービスが時間を浪費する原因も、大半は縦割りが問題だ。個人情報などの法規を言い訳にするが、プライバシーに厳密さを要求される前から、役所の仕事の遅さは際立っていた。責任が、課題とともに引き継がれないのが問題をさらに悪化させる。責任が取れないなら、権限は与えてはならない。シンプルな仕組みをつくって欲しい。

産経新聞・社説
川内再稼働 安定運転で原発の回復を

13カ月ごとの定期検査で、10月上旬から停止していた九州電力の川内原子力発電所1号機(鹿児島県薩摩川内市)が再稼働した。3・11から間もなく満6年を迎えようとする中で、ようやく本来の姿に立ち戻った。鹿児島県の三反園訓知事は「私に原発を稼働させない権限はない」との法に則した認識を示すようになっており、いわゆる知事リスクも薄らいだことになる。川内原発は、司法リスクの洗礼も受けている。周辺住民から運転差し止めの仮処分申請が出されたが、昨年4月に鹿児島地裁が却下している。川内原発はベース電源としての機能回復が遅れている原子力発電の活用で先駆的な役割を果たしている。三反園氏は、その現実を踏まえ、自信を持って対応すべきである。温暖化防止にも経済活性化にも原発の復活は不可欠だ。川内原発の通常運転の再開がその契機となることを期待する、としている。

毎日新聞・社説
三反園知事 看過できない変節ぶり

定期検査で10月から停止中だった九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が、運転を再開した。知事は脱原発を掲げて7月に初当選した。ところが、今回の運転再開については、「私に稼働させるかどうかの権限はない」などとして明言を避け、事実上容認した。なぜ、有権者との約束を破ることになったのか。その理由をきちんと説明する責務が知事にはある。知事に原発を停止する法的な権限がないことは、最初から分かっていたことだ。だからこそ、県独自の検討委員会を早急に設置して原発の安全性や避難計画を検証し、浮かび上がった問題点を九電や政府に問うていく必要があったはずだ。脱原発は、知事選を有利に戦うための打算の産物だったのか。原発を止める権限はなくとも、原発に対する県民の不安を解消し、安全を確保する義務が知事にはある。脱原発を掲げた真意が問われている、としている。

ここにまた、無能なリーダーシップが生まれそうな予感。こういう時、住民は「約束が違う」と即刻リコールすべきだ。勉強不足、または支持があれば法さえ曲げられると思ったのだろうか?再稼働させないと主張して当選した人の変容は許すべきではない。原発は、止まればいいとは思わないが、納得のないまま動くと、少しの危機でまた問題が再燃する。だからこそリーダーは、容認するなら適切な説得役を買って出るべきだし、納得の合意形成を主導する責任がある。自分の感覚だけで変容するなら、降りてもらう手続きをすべきだ。これぞポピュリズムだろう。

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