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2817.報道比較2016.12.8

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キュレーション問題への個人的意見を。医療の広告規制のあり方を、あらためて再考して欲しい。

日本経済新聞・社説
ネット情報の粗製乱造なくす努力を

インターネット上の情報をテーマ別にまとめる「キュレーションサイト」への信頼が揺らいでいる。大手企業が運営するサイトで信ぴょう性を疑われる情報が多く見つかり、記事の公開を中止する動きが相次ぐ。情報を扱う企業の自覚を欠いていたと言わざるを得ない。手間暇をかけなければ、情報の質は保てない。キュレーションサイトはネット広告が収入源だ。読者を増やそうと、記事の執筆をネットで安価に外注したり、検索で上位に表示されるようキーワードを盛り込んだりする手法がとられている。不適切な編集方針のもと、不正確な情報や著作権を侵害する情報が生まれやすい構造がある。キュレーション各社は利用者が安心して使える仕組みをつくる責任がある、としている。

徐々にコンテンツをつくる時間も取れそうなので、この件は原稿を書こうかと思っていた。一般の理解は、こうなるだろうと予想したとおりだ。
結論から言うと、対策でやるなら、政治に規制の再考をお願いしたい点がある。医療の広告だ。何度か見直しになっているが、今回の問題のようなメディアや技術の変容に、制度がまた疲労を起こしている。ここに、いまのネット広告がうまく支援できず、入り込み難い領域がある。

医療法における病院等の広告規制について
医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)
医療広告ガイドラインに関するQ&A(事例集)

どれも厚生労働省より

医療にかかわるサイトの広告活動は規制対象だ。広義に言えば広告してはならない。この中にSEOも含まれる。だから、SEOを含めたコンテンツ開発は、商行為として医療をサポートしにくい。その意味は理解している。広告を医療が手がけて、医療行為よりビジネスの比重が高まるのは、私もおかしいと思う。だが、この法によって、ドクターも医療法人も、コンテンツ開発で適切なサポートを受け難くなっている。ボランティアでやるべきか、ビジネスではない価値の創出が可能か…いろいろ考えたことがあるが、答えはまだ見つかっていない。
もうひとつは、広告の規制をするなら、医療行為ではなく、その周りの食品あたりまで検討する必要がある。トクホ、サプリメント、健康食品、DVDや書籍、スポーツクラブ…話題を美容、健康に近いものまで規制すれば、問題は一気に防止できる。医療ではないが、人の健康や治療にかかわる部分。この業界は成長していると見る人もいつだろうから、かなり抵抗があるだろう。この業界が、今回のサイトの主要広告主なのは間違いない。なぜなら…医療は広告できないのだから。広告ができる人たちが、キュレーションのスポンサーであり、共犯者かもしれない。
クスリの話、治療の話、治療までではないが、快適になるための対応…これらのニーズは想像どおり多い。これを、個人のブログがやっているうちは問題は起きなかった…いや、多少はあった。アフィリエイト。ステマ。記憶しているだろう。その後、キュレーターという「目利き」が、検索する手間を省くために重宝されはじめると、このキュレーション・サイトに広告が集まりはじめた。前述どおり、医療は広告に規制がある。SEOも含めて。どこの広告が?想像のとおりだ。これらの広告が消費されやすいような記事に、コンテンツが加工される。やっていることは、ゴシップ誌がやっている「このクスリは飲むな!」「この医者にかかるな!」といっしょ。監修に医師がかかわったりして精度を上げているように見せているのが、キュレーションといっしょの構図だ。ということは…キュレーション各社が安心して利用できる仕組みを期待しても、永遠に完成しない。ゴシップ誌をやりながら、テレビを放送し、スポーツのスポンサーまでする。「大手メディア企業」と思う人がいるのも当然。それを同じことを、DeNAもヤフーもリクルートもやっている。私は、キュレーションという仕組みを疑ったり、インターネットを恐怖のるつぼと表現するがおかしいと思う。上場企業なのに平然とこういうことをする会社は、世界中にある。マスメディアも、まるで同じことをしている。あとは、その会社をどう捉えるかは、個人の問題だ。
日経の今回の主張は、意図的にとぼけたか、メディア企業なのにキュレーションさえ理解していない人物が社説を書いているかのいずれかだ。日経もグループ全体を見れば、似たようなことをしている。Financial Timesを買収するブランドを持ちながら、ラジオではどんな番組が並んでいるか…インターネットやキュレーションという、自分と一線を引いて批判するのは、メディア企業としては不誠実だ。

産経新聞・社説
日米防衛相会談 安全保障の空白を生むな

東アジア情勢をにらんだ日米韓の連携という枠組みを、維持することに困難さが生じている。米国が政権移行期にあることに加え、韓国の朴槿恵大統領は政治スキャンダルで来年4月の退陣を表明する事態に陥っている。この状況下で、カーター米国防長官が来日し、稲田朋美防衛相との会談で日米同盟の結束を内外に発信した意義は大きい。カーター氏は、尖閣諸島が日米安保条約の適用対象であり、核の傘を含む「拡大抑止」を提供する考えであることを再確認した。日本と地域の安全に資する表明であり、評価したい。GSOMIAの実効性ある運用や、米韓が合意した最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍配備はこれから本番を迎える。日米は韓国に対し、政局の行方にかかわらず連携を崩さないよう求めるべきだ。カーター氏は6日、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」の視察後、「日米は同じ脅威に向かっており、一丸となることが重要だ」と、同盟強化を訴えた。この基本認識は、次期政権にも確実に継承してもらわなければならない、としている。

批判が前提の政治がらみの社説よりは、産経の社説は独自色を見せてくれる。内容がアメリカ称賛、韓国批判の、産経の既定路線でなければもっと良かったのだが。カーター氏が来日したのは韓国の政治空白が原因だろうか?退任の挨拶ではないだろうか?さらに言えば、国防長官が日米同盟に言及したのも韓国を意識してよりは、次の政権に引き継ぐことをメッセージしたかったのだと思う。韓国を意識し過ぎだ。

朝日新聞・社説
党首討論 安倍さん、あんまりだ

質問にまともに答えない。聞かれた趣旨とずれた発言を長々と続ける。45分という党首討論の時間が過ぎるのを待つかのような、安倍首相の姿勢にあきれる。「なぜカジノ解禁なのか」。民進党の蓮舫代表がこの問題を取りあげたのは当然だろう。だが首相の答弁は「(シンガポールで視察した)統合リゾート施設はカジノの床面積は3%のみだった」。一方で「これは議員立法だから、国会でお決めになること」とまるでひとごとのような発言も。蓮舫氏がさらに「カジノはなぜ問題なのか。負けた人の賭け金が収益だからだ。どこが成長産業なのか」とただすと、首相は「統合リゾート施設には投資があり、雇用につながる」とようやく説明した。国会は与党が圧倒的多数を握る。「数の力」を背景に、野党の異論に誠実にこたえない。党首討論での首相のふるまいは、今国会で政府・与党が何度も見せた姿と重なって見える。党首同士の真っ向勝負であるべき党首討論だが、首相がこのような姿勢では、議論は深まりようがない。これでは「言論の府」の名が泣く。回数を増やす、全体で45分の時間を延長する、1回の発言時間を制限する、などの改善策を真剣に検討する必要がある、としている。

毎日新聞・社説
カジノ法案 再考の府も審議放棄か

カジノ解禁に向けた「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)が参院で審議入りした。自民党は週内にも成立を図ろうとしている。カジノの合法化に多くの懸念が指摘されているのにもかかわらず、まともな審議もせず法案は衆院を通過した。「再考の府」である参院までもが審議を省略するあしき前例を残してはならない。質問に立った自民党議員は「時間が余った」と直接関係ない話題に持ち時間を費やし、般若心経を唱えた。信じがたい光景である。自民党が成立を急ぐ背景には安倍晋三首相ら官邸側の意向があるとみられている。首相はシンガポールでカジノを含む施設を視察し「IRは(外国人観光客を呼び込む)成長戦略の目玉になる」と語っている。参院で法案を実質審議する内閣委員会は民進党議員が委員長を務める。自民党には委員会採決を経ず本会議で成立させたり、委員長を解任して可決を強行したりする案すら浮上しているという。こうした性急さに参院自民党からも疑問の声が起きているのは当然だろう。禍根を残さないためにも参院は法案を徹底審議し、責任を果たすべきだ、としている。

読売新聞・社説
党首討論 首相はカジノの説明を尽くせ

今国会初の党首討論が行われた。安倍首相と野党党首の論戦は、すれ違いが目立った。より建設的な議論にするには双方の努力が欠かせない。民進党の蓮舫代表は、統合型リゾート(IR)整備推進法案の衆院通過を取り上げた。「カジノは賭博だ。勤労を怠り、副次的犯罪を誘発する」と訴え、約6時間の審議での採決を批判した。首相は「(政府が今後策定する)法案で、懸念にも具体的な答えを出していく」と応じた。自民党などによる拙速な衆院採決に関しては、「議員立法だから、国会が決めることだ」とかわした。ギャンブル依存症の増加や資金洗浄の恐れなど、カジノの弊害に対する国民の懸念は大きい。首相は以前、法案を作成した議員連盟の最高顧問を務めた。カジノを推進するなら、その経済効果や、副作用の対策について、自ら丁寧に説明する責任がある。だが、一定の時間をかけて審議を尽くせば、手続きに基づいて採決するのは民主主義のルールだ。カジノ法案審議は乱暴すぎるが、両案の採決に問題はあるまい。両案には、与党に加えて日本維新の会も賛成した。「強行採決」は民進党などの演出が濃厚だ、としている。

野党も新聞も、攻め方を再考した方がいい。与党は、やがてどこかで失脚する。その地雷は、散漫な審議や、数の論理で押し切る手法で、ツメの甘い法案ができあがる時に埋められている。消費税の延期、南スーダンへの自衛隊派遣、原発の再稼働、今回のカジノ法案…どれも「運用で何とかする。具体的なことは後で」と言ったまま、省庁に投げている。次の自民党総裁も安倍氏なら、そのまま責任を取ってもらえばいい。大切なことは、自分たちが被害者にならないよう、自分の身は自分で守る手段を国民が意識することだ。
で、野党やメディア。予定調和の批判やパフォーマンスのつもりなら、もう結構。その話題では期待した支持者は確保できない。時代遅れだ。本気で批判しているのなら、こんなに散漫な政権、少しのデータを準備しただけですぐに揺れる。東京都の政治を見ればいい。盛土が行われいないような地雷は、省庁や現場を探せば、いくらでもある。パチンコでどれだけの人が生活保護になり、職を失い、産業自体が衰退して未来が見えないのか。カジノで生じる雇用がどの程度小さく、これからインバウンドと呼ばれた人の価値観とギャップがあるのか。証明は容易だ。安倍氏が答弁で窮した時を探してみればいい。彼が脅えるのは、想定外のデータだ。答えが準備されていないことに、彼はまるで対応できない。そのためのデータは現場にある。民進党は蓮舫氏になっても意味がなかったようだ。力点を国会の本番に置いたら負ける。すでに国会に入る前に勝負が終わっている状況に持ち込めれば、安倍氏には簡単に勝てるのだが。

Wall Street Journal
ソフトバンクとトランプ氏、取引の裏にある本当の理由 (2016.12.7)

ソフトバンクグループ の孫正義社長との会談後、トランプ氏は同社が500億ドル(約5兆7000億円)を米国へ投じ、5万人の雇用を生み出すとツイートした。「われわれが選挙で勝利しなければ決してこうすることはなかったと『マサ』が言った」とも付け加えた。しかし、実際は大統領選で誰が勝とうとも米国への投資が決まった公算が大きい。1000億ドル規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド設立が発表されたのは大統領選の1カ月近く前で、その時点ではトランプ氏の敗北を予想する声が大きかった。これだけの金額になると、世界で最も有望なハイテク企業が依然集中する米国に大半を投じることになりそうなものだ。会計事務所KPMGと調査会社CBインサイツによると、7-9月期にベンチャーキャピタルが集めた資金の投資先のうち6割が北米だった。トランプ氏は選挙活動中、通信大手 AT&T によるメディア大手 タイム・ワーナー 買収計画に異議を唱えたが、孫氏は少なくともTモバイルUSとスプリントの合併を再び模索するかもしれない。一つ警告しなければならない。スプリントとTモバイルUSの従業員数は合わせて8万人だ。合併に伴う人員削減は、ソフトバンクが創出するはずの雇用の一部を相殺するだろう。ここに、ソフトバンクとトランプ氏との取引における本当の技が見て取れる、としている。

このニュースが出た時、Wall Street Journalに似たことを考えていた。アメリカで学んだ孫氏が、アメリカに何かしたい情熱を持ったのは判る。それでも、実情はスプリントを何とかしたい。このまま西海岸が第2のラスト・ベルトになっても困る。そんな思いかと思う。想像よりバズが大きかった。そろそろ、世界はトランプ氏の話題づくりに目を奪われることもなくなるだろう。就任まで、あと1か月ほど。その時間に逢いたがる人はたくさんいるだろう。その中で、孫氏には時間をもらえた。その事実は称賛する。これはスタート。大切なのはこれからはじめる活動と、結果だ。

Financial Times
揺れるイタリア、不振銀行の支援は誰の責任か (2016.12.6)

選挙や国民投票で反エスタブリッシュメント(支配階級)に票が流れる世界的なパターンの中、明確なノーという第3の結果が現実になった。それとともに、レンツィ氏が約束した辞任が現実となった。そして、これに伴い、モンテパスキが市場で増資を完了する可能性が消え去った。バンカーは、金融の問題があまり重要でないときでさえ、金融のレンズを通して世界を見る傾向がある。だが、イタリアの銀行の苦境――3500億ユーロ以上の不良債権を抱え、金融システムの中で自己資本レベルが最も弱い部類に入る――は、イタリアの政治の大混乱を観察する人が皆、最も懸念すべき問題だ。銀行が資金を拠出するイタリアの補償策は、銀行業界の資本不足と絶対不可欠な政府救済の規模を大きく膨らませることになる。大変だが、やむを得ない。ベイルイン――納税者を保護する任務に取り組む世界の規制当局者の正当な目標――は、銀行の債券の基盤が十分に潤沢で、犠牲者に不適切に販売したりせず、情報に精通した投資家によって保有されているときに初めてうまく機能するものだ。その間、目先極めて重要な金融の安定のためには、国がバックストップ(安全装置)にならねばならない、としている。

大きくて潰せない金融機関の話は、どこの国の、どの政治家が語っても腹立たしい話題だ。リーマンショックという歴史に残る恐慌を経ても、金融機関救済のための税金投入を国民は認めない。複雑にするほど、拒絶感は大きくなる。そんなトラブルで失われたのは、マネーではなく、信頼だ。

人民網日本語版
中国の市場経済地位認定を拒否する西側は代償を払うことになる (2016.12.7)

米欧日は中国の製品、産業に市場経済地位を認定するべきか?これは明白でシンプルな事だ。「中国のWTO加盟議定書」第15条の(a)(d)両項はすでに明確で無条件の規定を示している。どうあろうとも、(a)項ⅱの規定は加盟後15年で終了するというものだ。言い換えれば、中国のWTO正式加盟から15年目の日(2016年12月11日)から、他の加盟国は中国に対して反ダンピング、反補助金案件において「代替国」に類したやり方を行うことはできず、対象となる中国製品の価格またはコストのみを採用できるということだ。これは実質上、中国が加盟国の国内市場で市場経済地位を得るということに等しい。米欧日が「議定書」に調印した以上、たとえ中国の市場経済地位を明確に認定せずとも、こうした国際的な約束を履行する義務がある。中国は世界第一、第二の輸入市場であり、輸入の増加速度は世界の主要エコノミーの上位にある。この市場を失うことの代償はいかほどだろう?日本や韓国と比べれば難なく理解できる。日本はかつて30年近く中国にとって最大の輸入国で、韓国を遥かに上回っていたが、2013年に韓国に抜かれ、その結果韓国の1人当たりGDPは2000年の1万1948ドルから2013年の2万5977ドルへと増加した。この時期、日本の1人当たりGDPは3万7292ドルから3万8634ドルへと微増しただけだった。そればかりか、中国の市場経済地位認定についてしらを切る西側諸国はさらに貿易、政治交渉の約束の信頼度を失う。この信頼度を失えば、将来代償を払うことになるのは必至だ。ただちには見えないかも知れないが、長い期間続くことになる、としている。

情報をしっかり準備した正論は整然としている。意図的に、この内容を期限が来る3日前に公開したのもいい作戦のつもりだろう。
アメリカの書籍を紹介しよう。「人を動かす」世界で最初の自己啓発本と言われている。その中に、どうやれば交渉が円滑に進むか、どうすると関係が破滅するかが書いてある。

孫氏の「兵法」を書いたのは中国人だったはず。その中に「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」とある。この筆者は、己を知っている。だが、彼を知らな過ぎる。
トランプ氏は、すべてを捨ててもアメリカを守るかもしれない、というリスクは無視しているようだ。アメリカは世界で唯一、鎖国しても豊かな生活が完結する国家だ。たしかに代償はあるだろう。だが、世界でもっとも消費している国だ。それを自国でやると言い切られた時、泣くのは売り手。残念ながら、アメリカはそれだけの超大国だ。通貨や、税や、小賢しい手を使わずに、大統領権限で実行できる範囲で「この国からはアメリカは買わない」と大統領令を出せる。今回のような正論で挑むと、トランプ氏はそのカードを見せるだろう。
反グローバリゼーションを語る人たちの論理は、こうだ。保護主義など、本当はしたくない。国民の雇用があり、そこで稼いだカネで普通に暮らせるなら。だが、仕事がないんだ。安いものを買える代わりに、仕事もなくなった、と。半分は間違っているが、半分は正しい。
今回の人民網の論理は、100%正しい。だが、アメリカの悩みにまるで答えていない。職を失っても、権利があるのだからおまえの国に叩き売りをつづける。何が悪い?困っているアメリカ人には、そう聞こえる。中国はやり方を変えるべきだ。世界で最も商売上手な国を自認するなら。

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