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2816.報道比較2016.12.7

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人民網は、トランプ対策を適切にイメージしている。冷静さを忘れずに、準備を怠らず、対話をつづける。ディールを感情でやろうとする人に勝つには、論理が一番だ。

日本経済新聞・社説
トランプ氏の企業活動介入は禍根を残す

強い違和感を覚えざるをえない。トランプ次期米大統領が米国企業に圧力をかけ、メキシコへの工場移転を撤回させたことだ。こうしたやり方で雇用を守っても効果は一時的だ。政治指導者が個別企業の意思決定に気ままに介入する行為は、むしろ企業活動を萎縮させ、経済の停滞につながりかねない。米国の経済運営に対する信頼も損なわれる。大きな禍根を残すことになるのではないか。米大統領は強い権限を持つだけに、恣意的な権力行使は極力慎まなければならない。法律によらずに、個別企業の経営判断に公然と踏み込む同氏の行動が大統領就任後も続けば、長年培われてきた米国の民主主義の原則も傷つく。ランプ氏は北米自由貿易協定(NAFTA)について、「メキシコだけが得をする仕組み」と批判し、再交渉で良い条件を得られなければ離脱すると脅しをかけている。同氏の顧問らは対米貿易黒字が大きい国と2国間で交渉し、不均衡を是正する考えも示す。保護貿易や管理貿易につながるこうした主張が実行されれば、世界経済には打撃となる。米国の競争力強化にもつながらず、長い目で見た雇用増加にも役立たない。工場の移転を強引に止めて喝采を求めるようなやり口は長続きしない。労働者を本当に守りたいなら職業訓練の強化や潜在成長力を高める政策などに専心すべきだ、としている。

人民網日本語版
戦略的不動性で中米関係の可変的要素に対処 (2016.12.6)

トランプ米次期大統領がニュースメーカーであることは間違いない。蔡英文氏との通話事件の余波が収まらないうちに、先日もツイッターで中国に関する問題を取り上げ、為替、貿易、南中国海問題における中国の政策に不満を述べた。中米関係の平穏な移行を確保することが、現在両国の直面する極めて重要な課題だ。中米関係が平穏な移行を実現できるか否かは、共に努力できるか否かにかかっている。中国側としては、2つの事をしっかりと行う必要がある。
1つは、意思疎通と対話を堅持すること。トランプ氏が「一面を知り別の面を知らない」状況に対しては、事実を示して道理を説き、関係問題に対する中国の立場と見解を明確に表明する必要がある。
もう1つは、戦略的不動性を保つこと。トランプ氏の常軌を逸した言動は中国に探りを入れるものであり、反撃しなければ中国は都合の良い弱者と思われてしまうとの声がある。中国側は米国の対中政策の二面性を良く理解している。中国は既定の目標に従い、自らを良く発展させ、コミュニティを拡大し、協力・ウィンウィンによって有利な国際環境を築き、米国の敵意ある選択、勝手気ままな選択を制限するべきだ。
米政権交代、中米関係移行の時期に必要なのは、遠大な視点に立った大きな構造と戦略的不動性だ、としている。

トランプ氏対応策は、人民網は適切に理解している。トランプ氏が意図しているのは感情を乱すこと。判断力が低下した状態で交渉して有利に進めようとする。彼は、いつも強権のカードを切る。アメリカは超大国として、いくつもこの切り札を持っている。ポイントは、相手が出す切り札にいつも勝つ必要はないということだ。結果が有利になることと、交渉に勝つこととは違う。
今までのトランプ氏の評価が低いのは、自分も感情のコントロールを失うことだ。いまの議論に勝つことに執着して、結論を有利に運ぶことを優先できなかった。クリントン氏とディベートした時と同じ精神状態なら、習近平氏は、容易にトランプ氏をいなせるだろう。「そうです、私たちはまだ発展途上ですから。ぜひ、ご配慮ください。ついては…」南シナ海の件は、どうすればいいでしょう?人民元のレートをどれくらいが適切と考えていますか?中国の輸出をどれくらいにしたいつもりでしょう?訊いて答えてもらえば、次にカードを出す権利は中国にやってくる。もっとも快適な結論は「持ち帰って検討します」だ。トランプ氏のペースに乗らない。彼を苛立たせる。彼に譲歩させる。ディールが好きな人には、これで有利な条件を相手煮出させる方がラクだ。
メキシコ進出の件も同様だ。トランプ氏は何が欲しかったのか。話題だ。恐怖心だ。彼はどんな手でも使う。彼は本気だ。そう社会が認知すれば良かった。本当にメキシコに行きたければ、翻意してメキシコに出るべきだ。トランプ氏なら相当怒るだろうが、大統領の言うことはすべて聞かなければならない訳でもない。論理的な説明をして、経済合理性が証明できれば、あとはトランプ氏の大好きなディールだ。減税、規制緩和、何らかの優遇措置がなければ国境を越えるしかない。たとえ、大統領に言われても。そういう現実を見せつけられるのが、トランプ氏にはもっとも堪える。メディアが手を抜いてはいけないのは、議論ではない。論理の積み上げだ。取材だ。

朝日新聞・社説
安倍首相 真珠湾で何を語るか

安倍首相が26、27両日、米ハワイに赴き、オバマ大統領と真珠湾を訪ねる。旧日本軍による奇襲攻撃から75年、日米の首脳がともにその犠牲者を悼み、和解の価値を発信する意義は大きい。今回の真珠湾訪問で、首相がどんなメッセージを発するか。日米だけでなく、広く世界が注目する場となるだろう。首相がまず語るべきは、無謀な戦争に突き進んだ深い反省のうえに立ち、不戦の誓いを新たにすることだ。忘れてならないのは、アジアの人々への視線である。戦火の犠牲になったのは、日米の軍人や市民らだけではない。真珠湾攻撃に端を発した太平洋戦争は、アジアの多くの人々に犠牲を強いた。だが真珠湾攻撃以前から、日本は満州事変に始まる10年に及ぶ侵略と、植民地支配を進めていた。塗炭の苦しみを味わった人々の間には、いまなお日本への厳しい感情が残る。安倍氏は戦後70年の首相談話で「私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます」と誓った。その決意を、真珠湾でも改めて語ってほしい、としている。

産経新聞・社説
首相の真珠湾訪問 まず靖国参拝を再開せよ

安倍晋三首相が26日から、米ハワイを訪問してオバマ大統領とともに戦没者を追悼する。折しも日米開戦から75年を迎える。静かな慰霊を通して日米友好を一層深め、国際社会の平和に貢献する決意を新たにする機会とすべきだ。併せて、ハワイを訪れるちょうど3年前に行った靖国神社の参拝を、首相が再開することを求めたい。訪問は、米国の政権移行という微妙な時期にあたる。だが、日米同盟の強化がアジア地域を安定させ、二度と戦争への道を歩まないための最善の道であることを再認識する機会としての意義は小さくないだろう。真珠湾攻撃では日本側にも多くの死者がでた。日本の戦没者遺族からは、国のために命をかけて戦った双方の人々に敬意を表し、慰霊することは「未来を思って戦った」人々の思いにかなうとの声も聞かれた。首相はこの言葉をかみしめてほしい。慰霊を重視するならばなおさら、靖国神社参拝の再開は欠かせない。それは国の指導者として当然の行いだからである、としている。

毎日新聞・社説
首相が真珠湾へ 日米史の新たな節目に

安倍晋三首相がオバマ米大統領とともにハワイの真珠湾を訪問すると発表した。日本軍の真珠湾奇襲攻撃により太平洋戦争の戦端が開かれてから今年で75年。戦後、日米両国は強固な同盟関係を築き上げてきた。だが、底流には、大戦をめぐる両国民の複雑な感情が横たわる。首相の発表からは、犠牲者の慰霊と不戦の誓い、和解の発信、同盟強化の意義の再確認という、三つの意図がうかがえる。この時期に真珠湾を訪問することには、トランプ米政権が発足する前の同盟強化の狙いがあるのだろう。首相は、大戦についての謝罪はしないという。オバマ氏も広島で原爆投下について謝罪しなかった。昨年4月の米議会での演説で、首相は「先の大戦に対する痛切な反省」や「アジア諸国民に苦しみを与えた事実」を表明した。真珠湾では、不戦の誓いや日米同盟の将来について語るだけでなく、歴史に謙虚に向き合い、大戦への反省を自らの言葉で語ってほしい、としている。

読売新聞・社説
首相真珠湾へ 歴史的な日米和解の集大成に

安倍首相が27日、米ハワイの真珠湾をオバマ大統領とともに訪れることが決まった。1941年の日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊するのが目的だ。首相は「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。未来に向けた決意を示したい」と語った。安倍首相は、真珠湾の追悼施設「アリゾナ記念館」で献花し、所感を述べる見通しだ。慰霊に重点を置き、直接の謝罪は避けるとされる。妥当な対応だろう。オバマ氏は先月、首相から真珠湾訪問を提案され、「強いられるものであってはならない」と語った。オバマ氏の広島訪問への返礼ではなく、首相の自発的な訪問とすべきだという趣旨だ。前向きな未来志向の発言と評価したい。様々な課題に直面しているからこそ、日米両国がより緊密に連携する道を真剣に模索する必要がある。そのことを胸に刻みたい、としている。

どんなに素晴らしい作文も、時機を逸すれば素通りされる。1日遅れの国内紙の社説からは、心を打つような主張は目に付かなかった。昨日に間に合わせた日経の努力を称賛する結果になった。新聞の未来はますます怪しい。自動車の時代に、徒歩で旅に出るような無謀さ。インターネットの時代の24時間が、永遠に等しい賞味期限棄損を生じさせることを理解していない。
安倍氏は「タイミング」を理解している。オバマ氏は、それを活かしている。トランプ氏も、十分に価値に気づいている。トランプ氏がマス・メディアを相手にしない理由を、国内紙は認識した方がいい。日本にも、そんなリーダーが生まれるのは時間の問題だ。日本の国会議員に、それだけのセンスがあれば、だが。

Wall Street Journal
中国債券市場、借り換えはリスクのすり替え (2016.12.6)

負債は中国から到底消え去りそうもない。つまり、借り入れコストの安さが続かなければ問題が起きる。今年に入ってから社債のデフォルト(債務不履行)が相次いで約20年ぶりの高水準に上り、一時は中国の債務状況がかつてないほど不安定に見えた。それでも後から調子がまた戻り、デフォルトに陥る企業はほとんどなくなった。だが変化したのは見た目だけかもしれない。中国政府はデフォルトを強制して債務再編手続きを試す方法に代え、借り換えの利用へ動いた。償還額が昨年に比べて最大94%も増加する中、企業が割安かつ容易に新たな債券を発行できる状況になった。ウィンド・インフォメーションによると、オンショア人民元建ての債券市場では今年これまでの発行額が既に昨年1年間の合計を44%も上回っている。長期金利が低水準にとどまっている限り(現在は1年前と比べ約0.5ポイント低く、中国企業の社債発行が過去最高に達した14年の水準を大きく下回っている)、借り換えは救いをもたらし続けるだろう。だが、最近じりじりと上昇している短期金融市場の金利と債券利回りは、こうした策略が持続できなくなる可能性を示唆する。投資家が債券を保有するコストは、目に見える水準より本当は高いかもしれない、としている。

中国と日本は、似たようなことをしている。債券市場で中国がやっていることは、日本は同様なことはしなかったと思うだろうが、金融機関への公的資金注入で、銀行だけでなく、住専や、投資法に触れる虚偽の投資話の損失補填を国が支援している。そして、株式市場では…もうひとつの、この記事を見て欲しい。

日本と中国の株式市場で存在感増す「国家」 by Wall Street Journal

日本の上場会社のすべての大株主が日銀になる。そうトレーダーが嗤っていたのは、今年の夏だ。もうそれが現実に一歩近づき、弊害の方が指摘されはじめた。これでも日銀はETF買い、市場操作のような株価維持策を正当化できるだろうか?そしてこれは…アベノミクスの大切な矢のひとつだが。中国もまた、同様のようだ。奇妙に株価が上がり、信用売りを規制し、大口の売りには申請を義務づけてブレーキをかける。
必死の策が、アメリカからはじまる金利上昇だけでご破算になる。政治や中央銀行の無策に怒ることになるが、一方で、政治の助け船で生き長らえるマーケットや経済活動も、批判しなければならない。大きくて潰せない会社という事例は、どれだけの社会的混乱があっても受け入れなければならない時はある。そうしなければ、国家の財政が破綻に向かう。最後は国家が助けてくれるという甘えはないだろうか?その過信は、きっと裏切られる。

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