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2815.報道比較2016.12.6

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3年前に、クリスマスにヤスクニに行った人が、今年はパール・ハーバーに。どんな批判をされようが、どんな作為があろうが、決断を歓迎する。

日本経済新聞・社説
日米の真の友好につながる真珠湾訪問に

75年前、日米開戦の舞台になったハワイの真珠湾を安倍晋三首相が訪れることになった。オバマ米大統領と一緒に献花などをして犠牲者を悼み、平和の尊さを広く訴える意向だ。国際情勢が激動する中で、かつての敵が真の友になり得ると世界に発信する意義は大きい。オバマ氏の広島訪問と並ぶ成功を期待したい。「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないという未来に向けた決意を示す」。安倍首相は訪問の狙いをこう語った。ホワイトハウスの報道官は「日米同盟を強めようという2人の指導者の努力を振り返る機会となる」との談話を発表した。こうした視点はオバマ氏の広島訪問でも強調された。真珠湾で安倍首相はもう一歩進み、日本が戦争への道を突き進んだことへの反省の意も示してもらいたい。いま世界中でポピュリズムの旋風が巻き起こっている。政治がうまく進まないことを外国のせいにする風潮も目立つ。民族、宗教などのいがみ合いが、大きな国際紛争につながるのではないかと心配になる局面も増えている。こうした時期にかつての悲惨な戦いを多くの人が思い起こし、なぜそうした事態に至ってしまったのかを振り返ることは有意義だ。日本がその発信源となれれば、国際政治への大きな貢献となる、としている。

この話題を社説に間に合わせたのは日経だけ。その事実を、新聞は反省して欲しい。これは、インターネットの存在を言い訳にはできない。時代遅れになっているのは、自らの行動だ。もし明日、この話題を出しても賞味期限は過ぎている。新聞の未来は、日本の財政よりも短いだろう。
どんな批判をされようが、どんな作為があろうが、この決断を歓迎する。あいさつ、礼、謝罪は、どんな思いがあってもしないよりはした方がいい。それを75年も時間が経過しないとできない理由を反省するのが、これからの仕事だ。3年前、アメリカ時間のクリスマスにヤスクニに出向く暴挙をやった安倍氏。当時に比べれば、ずいぶんとアメリカに気を使っている。何が彼をそうさせたのか判らないが、当時の安倍氏よりは、いまの安倍氏の方が、私は好きになれる。それは、トランプ氏やオバマ氏を含め、すべてのアメリカ人もいっしょだろう。2016年を心に刻むなら、トランプ氏を選んだアメリカの変容より、ヒロシマに来たオバマ氏と、パール・ハーバーに行った安倍氏だ。

人民網日本語版
「小細工」は中米関係の大構造を変えられない (2016.12.5)

12月2日、米次期大統領のトランプ氏と台湾地区指導者の蔡英文氏が電話会談した。この事件に世論が注目したのは、両氏が何を話したかではなく、通話自体が尋常ではないことにある。通話を行うという行為自体が「1つの中国」原則に背き、米国の遂行する「1つの中国」政策にも違反する点で悪質であると言える。さらには中米国交樹立以来、米国の現職大統領または次期大統領が台湾当局指導者と直接接触するという悪質な前例を作ることになり、中米間の関係にまで抵触する問題となる。台湾問題は中国の主権と領土の一体性に関わり、中国の核心的利益に属し、これまで一貫して中米関係における最も重要で敏感な核心的問題だった。台湾問題の2つの「核心」としての位置づけが、「1つの中国」原則が中米関係の政治的基礎であることを決定づけている。中米関係の歴史も、台湾問題をうまく処理すれば中米関係は着実に発展でき、両国協力が順調にいくことを示している。その逆の場合は、中米関係には波瀾が生じる。この問題で米国が曖昧なことをするのは、意図的であろうとなかろうと、中米関係に悪影響を与える。「小細工」は中米関係の大きな趨勢、構造を変えられない。だが「小細工」が多ければ、中米関係の大局は深刻に妨害される。トランプ氏及びその移行チームは中国関連の問題において非常に慎重である必要がある、としている。

産経新聞・社説
トランプ氏と中国 暴走阻止する姿勢を貫け

1979年の台湾との断交後、現職、次期米大統領として初めて台湾総統である蔡英文氏と電話で話し合った。「一つの中国」原則に違反するとの立場から、中国は強い不快感を示している。だが、ペンス次期副大統領は「儀礼的な電話」に問題はないとして、抗議は受け付けない構えを示している。トランプ氏はすでに、中国の習近平国家主席との電話協議は終えていた。今回の台湾総統との接触は、中台関係の均衡に配慮した中でのものといえよう。トランプ氏は、日本など同盟国の防衛上の負担のあり方に疑念も呈してきた。アジア・太平洋地域なかんずく東アジアが置かれた現状に目を向けようとしているなら、歓迎したい。トランプ氏は激しい言葉が先走り、明確な立場や本音を読みにくい。ビジネス界での経験から、発言が「ディール(取引)」の材料に化する危うさも残る。ここは腹を据えて、中国の挑発や覇権を許さない政治家としての理念を構築してもらいたい、としている。

効果てきめん。トランプ氏は笑みを浮かべただろう。世界は、見ておいた方がいい。良くも悪くも、これがトランプ氏のアメリカのやり方だ。80年〜90年代の標的がいつも日本だったように、これからは中国がいつもこうしてターゲットになる。私たちは、それを見て学べる。本当にチンピラのやり方だ。吹っかけられたら、笑って立ち去るのが一番だ。何も言ってはならない。

朝日新聞・社説
カジノ法案 「数の力」を振り回すな

刑法の賭博罪にあたるカジノの解禁に道を開く法案が、きょうにも衆院を通過する見通しだ。自民党は14日に会期末が迫る今国会での成立をめざす。ギャンブル依存症の増加や治安の悪化、青少年への悪影響、不正な資金洗浄(マネーロンダリング)に使われることへの懸念など、法案は数々の問題をはらむ。世論もむしろ慎重・反対意見の方が多い。それなのに、公聴会や参考人質疑といった幅広い意見を聴く手順を踏むこともなく、「数の力」で押し通そうとする。あまりに強引で拙速な進め方であり、衆参ともに圧倒的な議席数を握った安倍政権のおごりというほかない。カジノ解禁がもたらす社会問題よりも、海外からの観光客の呼び込みなど経済効果を重視する政権の姿勢が浮かぶ。衆参ともに単独過半数を握った自民党には、異論がますます届かなくなっているように見える。カジノ解禁は日本の社会に禍根を残すことになりかねない。「数の力」を振り回し、強引に通すようなことは許されない、としている。

毎日新聞・社説
安倍政権 「道半ば」は通用しない

安倍晋三首相の在任日数がきのう、第1次政権時と合わせて1807日となり、中曽根康弘元首相を抜いて戦後4位となった。第2次安倍政権が発足する前まで、ほぼ1年で首相が交代していた時代から一転し、久しぶりの長期政権である。第2次安倍政権ができて間もなく4年になる。にもかかわらず首相が「アベノミクスはまだ道半ばだ」と繰り返しているのは理解に苦しむ。自民党が党総裁の任期を「連続3期9年まで」に延長すると内定したことから、安倍政権は場合によっては2021年秋まで続く可能性がある。在任期間は戦後最長だった佐藤栄作元首相を上回るばかりか明治以降でも最長になるかもしれない。だが、まさかそれを前提として「道半ば」と言っているのではあるまい。「まだ道半ばだから今後に期待を」ではもはや通用しない時期だ。まずはこの4年間の経済政策を政権としてきちんと総括して、国民に示すことだ。「戦後4位」はその作業のための節目とすべきだろう、としている。

安倍政権や自民党の安定感は増している。朝日や毎日の批判的な感覚は私も持っているが、野党も、批判するメディアも含めて、対抗したい人たちは、負けている理由を反省していない。真面目にすべきことをしていない。過半数を握ってからの横柄さは増しているが、その弛緩を追いつめるだけの戦略も、生真面目な検証や追求もしていない。目の前の課題を対案も持たずに批判するに留まっている。数で押し切る人も、対抗する人も、まっとうな競争をするようになればいいのだが。

読売新聞・社説
伊国民投票否決 首相辞任招いた大衆迎合主義

欧州は、既成政治を批判するポピュリズム(大衆迎合主義)政党の伸長という大波を乗り切り、結束を保てるのか。懸念される事態である。上院権限を縮小する憲法改正の是非を問うイタリアの国民投票が行われ、大差で否決された。改正を唱えたレンツィ首相は「敗北の全ての責任を取る」と述べ、辞意を表明した。レンツィ氏は憲法改正により、「決められない政治」に終止符を打ち、首相権限を強化して、種々の改革を断行しようとした。その狙いは理解できよう。だが、国民投票に自らの進退をかけたのは、戦術上のミスである。事実上、政権への信任投票と化してしまった。欧州連合(EU)と協調して進めてきた緊縮財政路線への反発が結果に反映された。来年、仏大統領選と独総選挙が予定される。両国では、難民の厳格な規制を主張するポピュリズム政党が勢力拡大を図る。英国の離脱問題で露呈した反EU感情の拡大を食い止められるのか。EUにとって、加盟国の国民の要求に配慮した対応が急務だ。南欧諸国に向けた成長重視政策や、不法移民の抑制も求められる、としている。

戦術の話?イタリアの選挙の結果で注目すべきは、誰ひとり勝者がいなかったことだ。レンツィ氏は辞任し、批判していた野党も与党も、次のリーダーを選べる自信がない。投票した国民は政治が混乱に逆戻りすることを憂慮している。ならば変わるルールに。その決断をイタリアはできなかった。これが戦術の話とは思えない。どちらかと言えば、決めることを促したリーダーを、国民が選ばなかった。大衆迎合よりは、厳しいリーダーを国民が拒絶したように見える。アメリカやイギリスが、感情的だったとしても変化を求めたのに比べて、イタリアは目の前の痛みを避けるために否決に票を入れている。これは後悔する結果につながりやすい。日本が必要な増税を先送りしたように。

Financial Times
中国、金の輸入と人民元の流出を制限 (2016.12.2)

中国が人民元流出の抑制と金(ゴールド)の輸入制限を同時に実施し、世界第2位の経済大国からの資本逃避を阻止する措置を強化した。外国への人民元の支払いと金の輸入の抑制は、人民元の下落圧力の緩和と、減少している外貨準備高の保護を目指した最新の資本規制策である。中国人民銀行のデータによれば、国外への人民元の支払額は、第3四半期に1兆7000億元という過去最高の水準に到達した。一方、国外からの流入額は9700億元にとどまった。当局は、以前は人民元の流出に寛大なアプローチを取っていた。外国で人民元が蓄積されれば、中国国外での貿易や投資に人民元を使うことが可能になるためだ。「こうした措置はすべて、資本流出に対する規制の強化と、元安期待の増大に歯止めをかけることを目指したものだ」。中国国際経済交流センター(CCIEE)の王軍氏はこう指摘する。「現状では、こうするよりほかに手がない。中国は多額の外貨準備を失いつつある」としている。

輸出のために、貿易では人民元安に誘導したいはずの中国。為替に過度に関与している国として、日本とともに中国もアメリカの監視リストに名を連ねている。その一方で、刷っても刷っても人民元が国内から消えている。国民さえ危機感を示す人民元の価値下落と将来の悲観が、国際通貨を目指す夢を遠のかせている。為替や金利は、バランスを示す数値だ。意図を持って誘導すれば、必ず歪みが起きる。その歪みを正すと、また別の場所で問題が起きる。コントロールしようとしてはならない、介入すればどこかで破綻するのがマーケットの原則だ。日本は財政赤字のためにこの原則を破る必然に追い込まれたが、中国もその動きが加速している。日本も、中国もいっしょだ。

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